デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
空中戦艦フラクシナス、その司令室にやってきたトーマは既にいつもの席についていた琴里の元まで向かう
「それで、一体どういう事なのか説明してもらえるかしら」
「あぁ、もとよりそのつもりここに連絡したからな」
琴里にそう言ったトーマは先ほど起こった出来事を振り返りながら、話を始めた
「事の発端は帰り道、嫌な気配を感じたオレはその気配を感じた所まで向かったんだ。そしてらそこにあのイザクとか言う奴がいた」
「そのイザクなる人物は確か……」
「えぇ、士道たちの修学旅行の時にDEMと一緒に襲ってきた人物です」
「……今まで表舞台にも出てなかった人物。こちらでも調査を進めていますが経歴も何も以前謎のままです」
「厄介だけど、ひとまずそいつの事は置いておきましょう。それでトーマ、貴方はそいつと会って何を見たの?」
琴里の言葉を聞いたトーマが取り出したのはワンダーライドブック
「あいつはカリュブディスの餌の調達、そう言って人間からこれと同じくらいの本を取り出してた」
「人間から、本を?」
「人間の持つ物語を糧に本を生み出したって言っていた……その過程で命は消えたとも」
「それって──」
「……人の命を代償に本を生み出した、と言うことだね?」
「おおよそその認識で間違いないと思います」
会話に入ってきた令音の言葉に同意したトーマがそう言うと、琴里は顎に手を当てて少し唸る
「ほんと、厄介な事態になったわね。ただでさえDEMが動き出してるのにこんなことが起こるとはね……」
「彼に関してはその力も不明ですからね、使っているアイテムからトーマ君と同じ系統の力……と考えるのが妥当な気もしますが」
「と言うことは、まさかアイツも精霊の力を?」
「……いや、君とあの怪物の戦っていた映像の解析が先ほど終わったが、あの怪物から霊力の反応は検出できなかった」
「となると、力の源も不明……わからない事尽くめで、これ以上は考えても仕方なさそうね」
これ以上考えた所で結論は出ない、そう判断した琴里の一声でこの場は解散という流れになり。トーマもフラクシナスから美九の待つマンションに帰宅する流れとなった
「ただいま」
「……あっ、お帰りなさい」
帰宅したトーマを見た美九は少しふらついた足取りで目の前までやってきた。その様子を見たトーマは少しだけ眉を寄せる。よく見ると頬がうっすらと赤くなっておりどことなく意識が朦朧としているようにも思える
「美九、もしかして熱でもあるのか?」
「えっ、そんなこと……ないと思いますけど」
「本人はそう言っても外から見たらわからないもんなんだよ。とりあえず熱測ってこい」
「……そうですね、そう、します」
「危なっかしいな、肩貸す」
ふらついている美九の事を見たトーマは軽く頭を掻くと肩を貸してリビングに向けて歩いていく。ソファに美九を座らせると体温計を取りに向かう
「……お兄さん」
「どうした?」
「ありがとう、ございます」
「気にすんな、今更だからな……ほら、体温計」
体温計を手渡したトーマはそのままキッチンまで向かい少し遅くではあるが夕食の準備を始める。美九が風邪気味なようであるため今回は温かいものをと考えた結果、今日の夕食はうどんにすることに決めた
さっそく麺を茹で始めたところで美九に渡した体温計が鳴る音が聞こえてきた
「美九。熱何度だった?」
「37度くらいです」
「微熱か、とりあえず今日は夕食食べたら休め」
「そうします……」
しばらくして作り終えた料理を美九の前に出したトーマは自分も食べ始める前に使った調理器具を洗い始めようとしたところで、いつもワンダーライドブックをしまっている内ポケットから熱が伝わってくる。怪訝な表情を浮かべながら内ポケットの中を見ると一冊の本──アメイジングセイレーンワンダーライドブックが紫銀の輝きを放っていた
「これは……」
「どうかしたんですか?」
「あぁ、実は……ってあれ?」
美九の霊力を封印している本が輝きを放っていることを伝えようとしたトーマだったが、次に目を向けた時にはその輝きは消えていた
「……いや、何でもない」
「そうですか?」
「あぁ、それより早く食っちまえ」
心の奥底に僅かな不安をよぎらせたトーマだったが、それを振り払って調理器具を洗い始めた
そんな出来事があった翌日の朝、いつものようにトーマが朝食を作っていると制服姿の美九が起きてくる
「おはよう、体調は大丈夫なのか?」
「はい! すっかり元気になっちゃいました!」
「そうか、でも気を抜くとぶり返すかも知れないから気を付けろよ」
「わかってますよぉ」
あっけらかんと言った様子でそう言ってくる美九の事を見たトーマは少しだけ呆れたような表情を見せた後、完成した朝食を持っていく
「お待たせ」
「さっき来たばっかりですから大丈夫です……いただきます」
「そんじゃ俺も、いただきます」
自分の分もテーブルに持ってきたトーマは手を合わせると朝食を食べ始める
「そういえば美九、今日も天央祭の準備かなんかで帰り遅れるのか?」
「昨日より少ないと思いますけどやっぱり準備とか色々ありますからねぇ。多分遅くなると思います」
「わかった、それじゃあ帰りは迎えに行くから連絡くれ」
「はい、了解です」
二人で朝食を食べ終え、学校に向かう美九を見送ったトーマは二人分の食器を洗い終わらせると自分の準備をして外出をする。今日は事前におっちゃんには休むことを連絡ている為問題はない
「さてと、それじゃあ探しに行くか」
わざわざ休みをとった理由は一つ、美九が天央祭で復帰する。その噂が何処で流れたのかをはっきりさせること。その情報を得る為にまずトーマが向かったのはフラクシナスの自分に割り当てられている部屋
フラクシナスの設備は通常のパソコンと比べると技術的には数段上であるのに加えて基本的にはモニターが大きいからここの情報が見やすいというのがある。まず最初にトーマが確認するのはSNSの投稿
「この手の噂はSNSが発端になるって定石がある」
キーワード検索で誘宵美九、復帰と入力すると直近の投稿は天央祭で美九が復帰するという内容ばかりが目に入る。中にはその噂の真偽を疑うものもあったが投稿の殆どが美九の復帰を期待する内容一色だ
「さてと、とりあえず今までの経歴を振り返って──」
そもそもどんな投稿が発端となったのか、それを調べようとしたタイミングで部屋の扉が開く。それに気づいたトーマが入口の方を見るとそこに立っていたのは神無月
「どうかしたんですか?」
「いえ、少々お訊きしたいことがあって」
「訊きたいこと?」
「えぇ、実は昨日の夜トーマ君と誘宵さんの家の付近で霊力の乱れを感じたんです。何か心当たりはないかと」
「心当たり……そういえば昨日、帰った時美九の体調が少し悪そうだったんです」
「体調が少し悪そう……ですか」
「えぇ、今日の朝には元気になってたんですけど少し気になってて」
やはり昨日の夜の美九の様子はトーマとしても少しだけ不審に思っていた。だからこそ本来ならフラクシナスで検査をしてもらうのがいいんだろうが彼女が元気そうだからと見過ごしていた
「……もしかしたら何かしらが原因で誘宵さんの身に不調が起こってるのかもしれませんね。一応検査を受けて貰った方がいいかと」
「そうですね、今日帰りにでも言っておきます」
「お願いします」
そう言い終わった神無月が部屋から出ていくのを確認したトーマは、再びPCの画面と向き合った
調べものを終えた夜、学校から帰ってきた美九を出迎えたトーマは。夕食の準備を始める、美九の方は文化祭実行委員で色々と確認しなければいけない項目があるらしくソファに座ってプリントに目を通していた
「……あっ、そう言えばお兄さん。噂の出所わかりました?」
「今日は一日ネット漬けで情報収集したけど核心に迫る情報はなかったな」
「ですよねぇ……私の方も少し聞いてみたんですけど何処から聞いたのかは分かりませんでしたし」
やっぱり広がりきった噂の元を探すのは骨が折れる
「噂の出所がわからないなら、これが時期なのかもしれませんねぇ」
「時期?」
「えぇ、この際だからもう活動再開しちゃおうかなって」
「……本当に、それでいいのか?」
「まぁこのまま放置してもって気持ちもありますけど……それ以上に、私がやってもいいかなぁとは考えてるんで」
「そうか……それなら、オレにも手伝わせてくれ」
「お兄さん、言いましたね?」
トーマの言葉を聞いた美九は悪戯っぽい笑顔を浮かべると夕食の支度をしていたトーマの近くまでやってきた
「それならお兄さん、早速お願い……聞いてくれますか?」
美九の言葉に頷いたトーマは、その後に放たれた彼女の言葉を聞き──琴里にメッセージを送った
翌日、琴里に連絡を取り来禅高校に入れるよう取り計らって貰ったトーマは活気あふれる学校の中を歩いていた
「あれ? トーマ?」
「驚愕。珍しいところで会いましたね、トーマ」
「耶倶矢に夕弦か、数日ぶりだな……それと、突然で悪いんだけど士道見なかったか?」
「士道? 見てないけど……」
「質問。士道に何か用事があったのですか?」
「あぁ、実は────」
ここであったのも何かの縁……ということで二人に美九からのお願いの内容を話すと、納得したような表情を見せた後に揃って胸を張る
「成る程な、しかと理解した!」
「納得。そう言うことなら士道探しはこの八舞姉妹にお任せください」
「えっ? いや、これはオレの頼まれたことだから……」
「気にするなッ!」
「安心してお任せください」
そう言うと耶倶矢と夕弦の二人は風のような勢いでトーマの前から去って行った
「流石、颶風の巫女……」
とりあえずこっちはこっちで士道の事を探すか……と言ったところで先ほど去って行った二人がトーマの前に戻ってきた
「見つけてきたぞ!」
「発見。士道は十香、マスター折紙と共に音楽室にいました」
「早いな……って、音楽室?」
「首肯。何やら頼まれごとをしたようです」
「頼まれごと……か、それなら丁度良いな、早速行ってくる」
「制止。トーマ、少々お待ちを」
「どうした?」
「音楽室の場所、わかるの?」
「…………そういえば、わからない」
「でしょ? 私たちが案内するから、着いてきて」
それが一番いいか、と言うこともあり二人に案内してもらったトーマは音楽室に向けて歩き始めた