デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
『──これより、第二十五回、天宮市高等学校合同文化祭、天央祭を開催いたします!』
時は進み九月二三日、土曜日。天宮市内の高校生、そして天宮市民の一大イベントでもある天宮市が始まった。正面入り口から近い場所には主に飲食関係の模擬店が並び、奥には研究発表や簡易アトラクションなどが集められている
多くの人で賑わっている中、トーマは入場ゲートの辺りで美九の事を待っていた
「お兄さん、お待たせしました!」
「いや、別に待ってないぞ」
制服姿でやってきた美九に対してトーマはそう答えて一緒に進んでいく
「それで、最初どこに行きます?」
「そうだな……とりあえず士道たちの所に顔出しに行くか」
「来禅高校ですよね、やってるのは……メイド喫茶!?」
「まぁ、ありがちだな」
「行きましょう! 早速行きましょう! すぐに行きましょう!」
急に瞳をキラつかせた美九にてうぃ引っ張られる形で来禅高校が出店している二号館に向かって歩き出した。現在の美九はバレないように眼鏡をかけて髪型をいつものロングからポニーテールに変えている。一見バレそうな変装ではあるが道行く人は案外気付かないようで騒ぎになるような事はなく、来禅高校が出店している場所までやってきた
「そろそろか」
「みたいですね、ワクワクしちゃいます!」
『メイド喫茶☆RAIZEN』
メイド・執事喫茶ではないため男子生徒まで女装をしているのでは……とかなり残酷な想像をしていたのだがそんなことはなくフロアスタッフは女子だけの用だった……と言いたかったのだが目の前で看板を持っている見知った姿が目に入る
それは美九も同じだったようで、賑わっている客を他所にトーマたちと看板を持っている少女の間には何とも言えない空気が流れていた
「……何というか、ズルいって言葉しか出てきませんね」
「ズルいって何が!?」
「……まぁ、女の子には色々あるんだ、お前もそれはわかってるだろしど────シド美?」
「名前は一応士織な……」
「士織か、了解。それととりあえず中に入っても大丈夫か?」
「あ、あぁ、どうぞ」
士道改め士織に案内されたトーマと美九の二人は店の中に入ったのだが……最初に見たのがよりによって女装した士道だったということもあり美九の様子は若干下落気味だがトーマは特に気にした様子もなく席に座ってメニュー表に目を通した
「意外と本格的だな」
「……ですねぇ」
値段もある程度手頃だしかなり手が込んだメニューも記載されている、とりあえずトーマはそのメニューの中でも比較的安いものを注文し、美九はトーマが頼んだものにプラスしてドリンクを注文する
「そう言えば美九、大丈夫そうなのか? 今日のステージ」
「大丈夫です、打ち合わせも練習もしっかりしてきましたから」
少し不安そうな表情な見せながらそう言う美九の姿に、トーマは少しだけ胸騒ぎを覚えながら、注文した料理を食べ始める
「それで、次は何処に行く?」
「そうですねぇ、こことかどうでしょう」
メイド喫茶を後にしたトーマと美九の二人は、天央祭の地図を見ながら歩いていた。最初は地図を見ていたが顔を上げた美九が指をさしたのはクレープの屋台
「食ってばっかりだけど、大丈夫なのか?」
「はい、食べた分はしっかり動きますから。すみませーん」
そそくさとクレープ屋に向かっていった美九の後を追ってトーマが屋台まで向かうと美九は既にクレープを買い終えたらしく、片方を差し出してくる
「はい、どうぞ」
「ありがとな、代金は後で──」
「気にしないでください。いつもお世話になっちゃってますから」
そう言い終わった美九は手に持ったクレープを一口食べると幸せそうな表情を浮かべる。それを見たトーマも苦笑いを浮かべながらクレープを一口食べる
「ん、美味いな」
「おいしいですよね~、このままお店出せるレベルです」
「だなぁ」
二人でクレープを食べていると、ふと何かを思い出したかのように美九がトーマに話しかけてくる
「そういえばお兄さん、私と会うまで天央祭とか来たりしたんですか?」
「おっちゃんの所で暮らしてた時も天央祭に行ったりすることはなかったな」
「へぇー、そうなんですね」
「……あの頃は自分がどこ行きたいとか考えてなかったし。それ以上に自分の生活とか、おっちゃんへの恩返しで一杯一杯だったからなぁ」
改めて、当時の事を振り返ったトーマが思い出せるのは食堂で仕事をして友人とどこかに出かけるなど世間一般的な学生が送る生活とは程遠いものだった。記憶がないから正確な年齢がいくつなのか覚えていないトーマも、青春やらなにやらに興味が無いと言ったらうそになる
「そう考えると、こうして天央祭に来てる辺り世の中わかんないもんだな」
「そうですねぇ、あっ、おにいさんの一口ください」
「いいぞ……っていうか食べたいなら一人で食って良かったんだぞ?」
「こーいうのは二人で食べるからいいんですよぉ……はい、私のも一口どうぞ」
「そう言うもんなんだな、そんじゃありがたく」
それから程なくして、クレープを食べ終えた二人が向かったのは縁日の屋台のような出し物が並んでいるエリア
「あっ、お兄さん。輪投げありますよ!」
「あるな、やってみるか?」
「はい!」
さっきは美九に代金を支払わせてしまったが今回はトーマが代金を支払い輪を三つ受け取った
「ほらよ」
「ありがとうございます、それじゃあ早速……ほいやっ!」
まずは一回目、一番の目玉商品であるくまのぬいぐるみを狙ったらしいが外す、続いて二回目も狙って投げるがそれも外した
「むー、中々に難しいですねぇ。おにいさん! お願いします!」
「オレも得意じゃないぞ?」
「いいんです! お願いします!」
美九から手渡された投げ輪を受け取ったトーマは狙いを定める、美九がさっきまで狙ってたのはくまのぬいぐるみ、それを狙おうと思っていたトーマでだったがとあるものが目に入りそっちに狙いを定め、輪を投げた
そうしてトーマの投げた輪はまっすぐ狙ったものの方に飛んでいき、すぽりと入った
「おめでとうございます!」
接客をしていた生徒から狙っていた景品を受け取ったトーマを見た美九は彼の近くまでよると景品を覗き込む
「これ、ネックレスですか」
「あぁ、それにしても狙ったから無事手に入ってよかった」
「でもこれ女物ですよ? はっ! まさかおにいさん私の為に!?」
「察しが良いな、ほら」
少し演技がかった美九の言葉を肯定したトーマは美九にネックレスを差し出すと少しキョトンとした表情の後、僅かに顔を赤らめる
「今日の、御守り代わりだ」
「あ、ありがとうございます……っと、そろそろ時間ですね。名残惜しいですけどここまでです」
「天央祭はまだ何日かある、時間が作れれば見てまわればいいさ」
「……そうですね! それじゃあ、おにいさん! 行ってきます!」
「あぁ、行ってこい」
美九の事を見送ったトーマは自分も会場に移動しようと思った矢先、視界の端に最近も見た影が映る
「アイツは……イザク」
或美島やピラニアメギドの一件でたびたびトーマや士道、そして精霊たちの前に姿を現す男──イザク。DEMインダストリーに所属していると思わしき男が天央祭の会場にいる
「フラクシナスにも連絡しておいた方がいい……それに、嫌な予感がする」
美九の時に感じたものとはまた別の胸騒ぎ、何かが起こるという嫌な感覚を感じたトーマはフラクシナスに先の事を連絡しながらイザクの事を追う。まるで幽霊のように消えては現れるイザクの後を追ったトーマが辿り着いたのは会場の人気がない場所
「おや、やはり私を見つけてくれましたか」
「お前……今度は一体何の目的で──」
「単にこの祭りを楽しみに来た、では説明は不十分ですか?」
「不十分に決まってる、それにその言葉を信用できるほど俺はお前を信用してない」
「手厳しい言葉だ……ですが正解、私はこの祭りなどどうでもいい」
「なら何でここにいる?」
「ちょっとしたトレーニングですよ。カリュブディスのね」
【カリュブディス】
イザクが本を開いた瞬間、トーマの目の前に現れたのは何度も見た鎧を思わせる姿に巨大な斧を持った怪物──カリュブディス。目の前の怪物は巨大な斧を振り上げるとトーマに向かって振り下ろしてくる
「それでは私はこれで、メインイベントを──見逃すわけにはいきませんからね」
「追いかけたいが──」
【エターナルフェニックス】
『――抜刀』
出現させた無銘剣をベルトから引き抜いたトーマはファルシオンの姿へと変化し、カリュブディスの一撃を受け止める
「──とりあえず、目の前のコイツを何とかする」
腹部に蹴りを入れたファルシオンは後退したカリュブディスに無銘剣の切っ先を向け、戦闘の体勢を取った