デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
戦闘態勢を取るファルシオンに対し、カリュブディスも戦闘態勢を取るとブーメランのように斧を投げる。ファルシオンはその一撃を無銘剣で弾きカリュブディスに向けて真っ直ぐ突っ込む
「はぁッ!」
下から薙ぎ払うように振るわれた無銘剣に対してカリュブディスはバックステップでその一撃をかわすと蹴りをファルシオンに向けて放った。少し体勢を崩していたファルシオンだが咄嗟に無銘剣を逆手に持ち替えて地面に突き刺してそれを避ける
「コイツ、前よりも戦い方が……」
僅かな攻防でファルシオンが感じたのは前回戦った時に比べて戦い方が進化しているという事だ。或美島に戦った時にもカリュブディスは知性を感じる戦い方をしていた気もするが明確に回避行動をとるというのは今回が初めてな気がする
「……それに、さっきの一撃。間違いなくカウンターだよな」
ファルシオンは薄々ではあるが考えうる限り最悪の可能性、カリュブディスが前回の戦いから進化している可能性が現実味を帯びはじめたことに戦慄するファルシオンが考えたのは、戦いを長期化させるほどこちら側が不利になっていくこと
「なら、速攻で──決めるッ!」
【ワンダーワールド物語-火炎剣烈火-】
無銘剣にライドブックをリードしたファルシオンは聖剣を火炎剣烈火に変化させると三冊のライドブックを装填、抜刀する
『烈火抜刀! ────クリムゾンドラゴン! 』
ファルシオンの周囲を回るようにブレイブドラゴンが現れるとともに激しい炎が逆巻きその姿をセイバークリムゾンドラゴンへと変化するともう一度聖剣を納刀し、火炎剣のトリガーを二回引く
『必殺読破!』
右足を中心に炎が集まっていく、炎が完全に集まりきったと同時に翼が展開されると、一気にカリュブディスへと距離を詰め飛び回し蹴りを放った。火の粉が飛び散ると同時にカリュブディスの身体は焼き尽くされ、消滅した
「よしっ、これで──ッ!」
カリュブディスを倒した直後、変身を解こうとした瞬間──ファルシオンを感じたのは力が外に流れ出ていく感覚。何が起こっているのかを確認するために流れ出ていく力の出発点となっているものを取り出そうとした刹那、ステージの方向から禍々しい光が溢れ出した
「皆さん、お待たせしました……って、あれ?」
美九がステージまでやって来るとスタッフたちの姿はあったのだが、女装した士道にメイド服姿の十香は困ったような表情を浮かべている。何よりも本来であればあと三人いる筈なのだが残りの三名の姿が見えない
「何かあったんですか?」
「ん? あぁ、美九……それなんだが──」
二人に声をかけた美九に対して、士道が事情を説明すると。本来であれば一緒にステージをする筈だった亜衣、麻衣、美衣の三名が体調を崩したのに加え鳶一折紙も連絡がつかないとのことでメンバーが足りなくなってしまったらしい
「それじゃあ、ステージは──」
「今のままじゃあ……」
「────わかりました、私に任せてください!」
「任せてって……一体どうする気だ?」
「ステージの予定を変えて私が先に歌います、なのでお二人はピンチヒッター探しをお願いします!」
美九はそこまで言うとステージ裏のスタッフの元に駆け寄ってセットリストの乗っているプリントとペンを借りると変更点を書き込んでいく。それを見た士道もここで突っ立っている訳にはいかないと自分を鼓舞すると耳に付けたインカムに話しかける
「琴里」
『──士道? 今はステージ中じゃなかった?』
「あぁ、ホントはその予定だったんだが──」
士道は琴里にステージに上がる予定だったが三人が体調を崩して出られなくなったことや、それに伴い美九がステージの流れを変更している事などを話す
『なるほど、そう言うことだったのね』
「あぁ、美九が先に歌ってくれるとは言え出番までは二時間もない。ボーカルとか色々問題はあるんだが一体どうしたもんか」
『とりあえず、ボーカルは口パクで乗り切りましょう』
「大丈夫なのか、それ……」
『ぶっつけ本番でミス連発するよりマシでしょう? 万が一が起こった時の為に機関員も送り込んでるから、音源の問題はしなくて大丈夫よ』
「……助かる」
インカム越しに聞こえてくる音が少々騒がしい気もするがひとまずそれを横に置いておいた士道は、義妹の手際の良さに感謝しつつまだ解決してない問題を聞く
「そっちは解決してもまだ人数が足りてないぞ? 十香に他の楽器が出来るとは思えねぇし……」
『そうね……全部は無理だとしても、二つは都合がつくかも知れないわ。補充要員を向かわせるから少し待っててちょうだい』
「補充要員って……いくら上手い人が来ても来禅の生徒じゃないってバレたらどうすんだ?」
『私が何とかするって言ってるんだから、心配しないで待ってなさい』
相変わらずの自信ありげな物言いでそう言う琴里に対して、士道は何か言ってやろうかとも考えたがとりあえず黙っておく
『とりあえず、補充要員が合流するまで美九のステージでも見ておきなさい。休んでいたと言ってもアイドルのライブを生で見れる機会なんてそうそうないからね』
「……そうだな」
とりあえず琴里の言っていた補充要員が来るまでの間に折角だから美九のステージを見に向かった。二人がステージの結構いい位置に陣取ってから程なくして、スポットライトがステージを照らし、美九の姿が現れた。
瞬間、会場のボルテージが一気に上昇する。現在の会場の様子を見て美九の人気を改めて実感していた士道たちだったが、上がっていた会場のボルテージは一曲目が始まった瞬間さらに上がる
「……すげぇ」
誘宵美九というアイドルがどれだけ人気であったのかを実感し、美九のステージに引き込まれていく。それは士道だけでなく士道の隣でステージを見ていた十香──そして会場にいる観客全員が、誘宵美九というアイドルに魅了されていた
そして、ステージに魅了されているが故に──会場の中で起こっている異変に気付くことが出来なかった。事が起こったのは一曲目のライブが終わった直後、二曲目に入ろうとしたタイミングで、会場の一部分から悲鳴が上がる
「な、何だッ!?」
「何事だ!」
「……あれって」
急に上がった悲鳴の方向を見た士道、十香、美九の三人だったが悲鳴の理由を把握出来たのはステージの上にいた美九だけ……美九の視線の先にいたのは空中を泳ぐピラニア、一般的な個体に比べても巨大なそのピラニアは一匹だった筈が急激に数を増やし観客たちを襲い始める
「神威霊装・九番! 破軍歌姫──銃奏!」
状況にいち早く対応することの出来た美九は、すぐさま霊装を展開し、天使を顕現させると、観客に襲い掛かっているピラニアに向けて音の銃撃を放つ
『皆さん、早急かつ安全に避難してください!』
声に多少の霊力を込めて美九が会場にいる全員に向かってそう言うと観客たちは早足ではあるがパニックになったりすることはなく避難を始める、そして会場の中に残ったのはステージの上にいた美九と霊力を宿しているが故に影響を受けなかった士道と十香だけ
「士道、下がっていろ」
「あ、あぁ……」
「まったく、何なんですかアレ? せっかくのステージを滅茶苦茶にして。私怒ってますよ」
観客が避難しても尚会場内に留まり続けるピラニアたちと対峙していた美九の隣に霊装を限定展開した十香が並び立つのを確認した瞬間、ピラニアたちは一斉に動きを止めた
「おや、それは申し訳ないことを。ステージを盛り上げるのに一役買えればと思ったのですが」
そう言いながら二人の前に現れたのは先ほどトーマと対峙していた男──イザク、唐突に現れたイザクに付き従うようにピラニアたちは移動を始める
「貴様、一体何者だ」
「おや。彼から聞いていませんか……ならばあなた方にもご挨拶を。私はイザク・L・クラーク」
「イザク……?」
「えぇ、或美島の一件以来ですね。五河士道君、それにプリンセス」
「……まさか、お前があの時のッ!」
「あの襲撃には私も一枚噛ませていただきました──最も、失敗しては元も子もありませんが」
笑顔を顔に張り付けてそう言うイザクだったが、穏やかな口調とは裏腹に発せられる言葉には何の感情も籠っていなかった。まるで自分の目的がある事柄意外には一切の興味が無いように
「御託は良いです、せっかくのステージを台無しにして……一体どういうつもりなんですか?」
「私の目的ですか? そうですね……強いて言うなら貴女ですよ。ディーバ」
「私? どういう意味ですか?」
「正確には貴女ではなく貴女の力……ですけどね」
そこまで言うとイザクは二冊の本を取り出すと、右手に持っていた本を開く。すると大量のページが溢れ出し、シミーが召喚された
「こいつら──」
「これだけ、ではありませんよ?」
左手に持ったもう一冊を開いた
【ピラニアのランチ】
禍々しいその音声が会場に響いた瞬間、イザクの後ろにいたピラニアたちは一転に集まり怪物の姿へと変化していった
「ディーバ、大人しくご同行願いますか? 貴方に同行して頂ければ私は貴方たちに危害を加えるつもりはありません」
少し考えたのち、口を開こうとした瞬間、十香がそれを制す
「聞くな美九! 奴からは何故かわからないが嫌な感じがする」
「──っ、そうですね。十香さんにそう言われるなら、あの人の言葉を聞くわけにはいきませんね」
「交渉は決裂……ですか。ならば仕方ない、やってしまいなさい」
「鏖殺公ッ!」
「破軍歌姫──剣盤!」
向かってくる怪物たちに対して、十香は鏖殺公を召喚、美九は破軍歌姫の鍵盤に現れた刃を振るい応戦している
「十香! 美九! 俺も──」
「士道は下がっていろッ!」
「足手まといは隠れててくださいッ!」
或美島で鏖殺公を召喚することの出来た士道も戦おうとするが十香と美九に一蹴される。二人で相手をするには敵の量が多すぎたのか、二人は次第に押され始める。このままでは──と思ったところで上空から炎の斬撃と竜巻が降りそそぎ、地面から現れた氷塊は三人の眼前にいた怪物たちを吹き飛ばした
「……増援ですか」
「然り! 我ら颶風の巫女ッ! 助太刀に参ったッ!」
「質問。大丈夫ですか? 三人とも」
「あ、あぁ……助かった。ありがとう、耶倶矢、夕弦」
「だ、大丈夫……ですか?」
「四糸乃も、ありがとうな」
耶倶矢、夕弦、四糸乃が士道たちの方に向かったが残りの一人、セイバーは士道たちの少し前に降り立ちイザクと対峙する
「お前の目的はこっちだったって事か……イザク」
「えぇ、ここまでしていて隠し立てをするのも違いますからね……その通りです」
「それなら、お前が何を狙ってるのか知らないが、止めさせてもらう」
セイバーはそう言うと怪物たちの後ろにいるイザクに向けて聖剣の切っ先を向けた