デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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第7-9話,現代Ⅸ 開幕Ⅱ

 真那に抱えられ低空飛行をする士道が眼下に広がる景色を見る。士道の瞳に映るのはDEM所属のウィザードにバンダースナッチ、それと戦う狂三の分身体。どれだけ攻撃されようと影の中から無尽蔵に現れ、弾丸の雨を降らせるその景色に、嫌な想像をしてしまった自分の頭を軽く小突くと、インカムから琴里の声が聞こえてきた

 

『──士道、そろそろ目的地よ』

 

 その言葉を聞いた士道が視線を前に向けるとそこにあったのは巨大なビル、少なくとも20階以上存在するのだが、空間震警報が発令された影響か頑丈なシャッターが下ろされている

 

「これ、入れるのか?」

「……ここは真那に任せてください」

 

 そう言った真那が士道とファルシオンの前に立つと、手のひらをシャッターの前にかざし手をぐっと握る。そうすると同時にかなりの厚みがあるシャッターがぐにゃりとひしゃげ人一人が通れるくらいの穴が開いた

 

「よし。さ、行きましょう」

「……随分と力技だが、まぁいいか」

「それ、ホントにいいのか……にして、デカいな。十香が何階にいるのかわかればいいんだが……」

 

 士道が難しげに言うと、インカムから令音の声が聞こえてくる

 

『……十香が幽閉されているとなれば、精霊の隔離施設がある筈だ。フラクシナスの隔離エリアを覚えているかい? あれに似た設備を探してみてくれ』

「なるほどな……」

 

 令音の言葉に士道が納得した直後、身体が謎の浮遊感に包まれる。この感覚は真那に抱えらえていた時に感じたものと同じ、それはつまり真那が随意領域(テリトリー)を展開したことを意味していた

 

「真那? なんで随意領域なんて……」

 

 瞬間、士道の身体が突き飛ばされると同時に第一社屋の正面入口が歪み、眩い閃光と共に大爆発が起こった

 

「な……ッ!?」

「っ、無事か?」

「あ、あぁ……けど、真那が──ッ!?」

「私なら大丈夫でいやがりますよ」

 

 ファルシオンにキャッチされた士道は真那の方を心配したが、煙の中から飛び出し士道たちの近くまで降り立った

 

「……随分と大所帯でお出ましみたいだな」

「えぇ……それに、見知った顔もいやがります」

「奇遇だな、こっちも同じだ」

 

 煙が少しずつ晴れていくのと同時に見えたのは、巨大な金属の塊と隙間から流れ込むようにして現れた怪物の群れ。その両方は士道にとって身に覚えのあるものだ

 

「あれは、修学旅行の時の怪物に……ホワイト・リコリス!?」

「……よくご存じでいやがりますね、ですが少しちげーです。あれはスカーレット・リコリス、実験用に作られたホワイト・リコリスの姉妹機です」

 

 真那は目の前にいる鉄の塊とそれを動かす一人の女を忌々し気に顔を歪めていた。ファルシオンはそれを横目で見ると真那に問いかける

 

「随分と因縁があるみたいだが、知り合いか」

「昔の知り合いです……バカなことを」

 

 真那はそう呟くと、一歩踏み出す

 

「──ジェシカ! 今すぐリコリスを停止させやがりなさい! わかっていやがるでしょう!? それはあなたに扱えるような代物じゃねーです!」

「あははははははハ! 何を言ってるノ? 今はとてもいい気分ヨ。だって──」

 

 そこまで言った女──ジェシカ・ベイリーは、リコリスの砲門を真那に向ける

 

「ようやく……あなたを殺せるんですものォ」

 

 直後、真那はノーモーションでジェシカに肉薄し、ファルシオンは士道の首根っこを掴むと同時に炎の翼を広げて後方に飛び退く。直後、場所を地上から空中に移した真那とジェシカは戦闘を始め、近くに居た怪物──シミー達は士道とファルシオンに向かって襲いかかる

 

「悪いが、こっちも相手をしてる暇はないんだ」

 

 ファルシオンは無銘剣の刀身に炎を纏わせると迫りくるシミー達に向けて斬撃を放つ。放たれた一撃は斬撃から炎の鳥に姿を変えてシミー達を焼き尽くした

 

「行くぞ」

「わ、わかった」

 

 

 

 

 

 新たな追手がやってこないうちに士道とファルシオンは階段を駆け上がっていく、階を上がっていくにつれて少しずつ体力を消耗していく。しかし士道はそれに構うことなく進んでいく

 

「大丈夫か?」

「あぁ、この先に十香がいるんだ……止まってなんか、いられるか!」

「そうか……っと、止まれ」

「どうした?」

「見張りだ」

 

 ファルシオンが指さした方を見るとそこにいたのは見た事のないワイヤリングスーツを身に纏った男女。見たところ武装はハンドガンにレイザーブレイドとかなり軽装備だが間違いなくウィザードだ

 

「ど、どうするんだ?」

「……仕方ない、手荒になるが昏倒させて先に進む」

 

 

 ファルシオンがそう言って飛びだそうとした瞬間、士道たちがいる場所の天井が崩れ、頭上から新たな怪物が姿を現した。歌姫を思わせる装飾に魚の鱗が生えているその怪物はファルシオンの探しているマーメイドメギドだった

 

「ッ! こいつって──」

「あぁ、間違いない……悪いな士道、オレも…………ここまでだッ!」

 

 その言葉と共に、ファルシオンは紅蓮の斬撃を放ち、その場で爆発を起こす

 

「トーマ!? 何を──」

「煙で視界を遮ってる隙にお前は行けッ!」

「……すまんッ」

 

 ファルシオンは、その言葉を聞いた後、士道が隙をついて階段を駆け上がったのを確認すると改めて目の前にいるマーメイドメギドに視線と切っ先を向ける

 

「随分と待たせたな……そんじゃ早速、お前が奪ったもんを返してもらうぞ」

 

 その言葉を放つと同時に、マーメイドメギドは叫びを上げて衝撃波をファルシオンに向け放った

 

 

 

 

 

 

 

「動くな!」

 

 真那やファルシオンと別れた士道は、単身十香の居る場所を目指して階段を駆け上がっていた。少しでも早く辿り着くために一心不乱に進んでいたところでそう声をかけられた士道は一度その場で立ち止まる

 

「貴様、一体何者だ! どうやってここに──」

 

 警備を担当しているらしいウィザードが士道に向けて質問を投げかけてくるが、正直に答えている暇はない。士道は深く息を吐くと目の前に続く廊下を駆けだした

 

「待て!」

 

 士道が駆け出してすぐ、警備担当のウィザードも随意領域を展開し士道の事を追い始める。背後から聞こえる警告を無視して走り続けていると、背後から銃声が響き、近くの壁に銃創を作る

 

「警告だ! 止まらねば撃つ!」

「もう売ってるだろうが!」

 

 こちらに向けて放たれる銃弾を必死に避けながら廊下を走る、途中で銃弾が掠ることもあったが傷は炎が回復させてくれている。何とか逃げ切れるかと考えていた士道だったが急に見えない力で拘束されるかのように壁に叩きつけられる

 

「ぐぁ……っ!?」

「たくっ、手間をかけさせやがって。それで、この少年が襲撃者か?」

「まさか、襲撃者は今あの化け物と対峙してる頃だろうよ……だが、襲撃者じゃないからと言って見逃すわけにはいかないな」

 

 見張り役だったウィザードの一人が銃口を士道へと向ける。士道は必死に拘束から逃れようと身をよじらせるが抜け出すことが出来ない

 

「……仕方ない、一旦気絶させよう」

 

 その様子を見ていたもう一人のウィザードが手を掲げ、士道に近づいてくる

 

 ──くそっ! こんな所で立ち止まっちゃられないのに……! 何か、何か手はないのかッ! 

 

 固く拳を握り、必死に壁に叩きつけながら、頭を巡らせる。ここで士道が捕まればただでさえ少ない十香を救う手だてを減らすことになる

 

「十香……!」

 

 救えなければ十香がどうなるのか、士道は薄々であるが理解している。そしてそれと同時に頭の中を過っていくのは出会った時から今に至るまでの記憶。一緒に笑いあい、時に励まし、励まされる。道に迷った時は背中を押され、彼女の笑顔に士道は幾度となく勇気づけられてきた

 そんな彼女から笑顔が奪われるかもしれない、そう考えた瞬間────

 

「そんなこと……させるかぁぁぁぁッ!」

 

 ──―士道の心の奥に、何かが灯り。視界が眩い光で包まれる

 

 士道の事を拘束していた感覚は光に包まれるのと共に薄れ、彼の耳に聞こえてきたのはウィザードたちの狼狽。一体何が起こったのかを確認するため、目を開いた士道の視界に映ったのは

 

 金色に輝く、一振りの巨大な剣だった

 

「これ、は────鏖殺公(サンダルフォン)?」

 

 十香の天使、絶大な力を持つそのひと振りが、士道の元に顕現した

 

「なんだと!?」

「なぜ精霊でもない普通の人間が天使を!?」

 

 ウィザードの驚愕に満ちた声が聞こえてくるのとは裏腹に、士道は冷静だった。どうして鏖殺公がこの場所に、自分の元に顕現したのか、その理由は何となく理解出来たから

 

「あぁ、そうだな。おまえのご主人を……助けに行こう」

 

 その言うと同時に、士道は鏖殺公の柄を手に取り

 

 ──自分が何をしたいのか、今自分のするべきことが何なのか。その想いを持って剣を振れ。──そうすれば、天使はきっと応えてくれる

 

 かつて十香が言ってくれたその言葉を胸に、強い思いを、願いを込めて

 

「はぁぁぁぁぁぁッ!」

 

 鏖殺公を全力で振り抜いた

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