デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
EX2-1, 本の扉
天央祭が終わり、美九が芸能活動を再開してから既に数週間の時が流れた。前々から注目されていた人物の復帰ということもあり、美九は現在進行形で芸能活動の真っ最中だ……そんな中、同居人のトーマは何をしているのかと言うと──
「おっ、今日は駅前のスーパーが特売の日か……とりあえず卵は値上がるらしいから今のうちに買っておかないとなぁ」
いつもの日課の家事を終え、ソファに座りながらスーパーのチラシとにらめっこをしていた
「……にしても、本も中々に増えてきたな」
チラシから目線を上げた先にあったのは机の家に並べられたワンダーライドブック。最初はエターナルフェニックス一冊だった本も精霊たちと出会い、士道たちと出会いで何だかんだ言って十冊は越えていた
そうなってくると必然的に戦闘の幅も広がるのだが……全部持っていくとポケットが嵩張るのに加えて、使った事のない本はぶっつけ本番で使うのもリスクが高すぎることから自然と能力を心得ている本を使いがちになってしまうのもトーマの悩みだったりする、と──
──ピンポーン
「ん?」
唐突にインターホンが鳴る、この時間に来るという事は基本的に宅配なのだが……生憎と最近は駅前の宅配ボックスやコンビニ受け取りを使うことが多くマンションに直接来ることはないはずなのだが
「美九のやつ、注文の時にミスったのか? というか最近なんか頼んだって言ってたっけな」
何か頼んだとか美九が言っていたのか思い出しながらトーマは備え付けのカメラモニターを確認するのだが、玄関前には誰もいなかった
「……いたずらか?」
そう言葉にしたトーマはカメラモニターを消すとその場で息を殺して次のチャイムが鳴るのを待つ……仮にいたずらであれば犯人は現場に戻ってくる。そう考えたからだ
──ピンポーン
「今だッ」
すかさずカメラモニターをオン、普段は出さない全力を出して動いたことによりコンマ数秒の動作であった筈だったが……カメラモニターには何も映っていない
「……どういうことだ」
もしかしたら心霊現象か? そんな考えが一瞬頭をよぎったが、念のため外を確認しておこうと思い玄関の扉を開く。ビックリするほど人の気配がないことにさらに警戒心を強めていると玄関横に小さな小包が置いてあった
「……オレ宛て?」
美九宛てなら厄介なファンかそこら辺だと考えていたのだが、トーマ宛てとなると話は別だ。元々知人が少ないこともあり、住んでいる場所を知っている人間は本当に最近会ったフラクシナスの面々や士道や精霊たちのみ
目の前の荷物に不信感を覚えたトーマはポケットからインカムを取り出すと神無月に連絡を入れる
「神無月さん、今時間大丈夫ですか?」
『えぇ、現在は待機ですから問題ないですよ。それより、どうかしたんですか』
「突然で悪いんですけど、ここ数十分の部屋の前の映像とか見ることって出来ます?」
『何かあったんですか?』
「実は怪しげな荷物が部屋の前に置かれてまして。誰が置いたか確認して欲しいんですけど」
『そう言う事でしたら、トーマ君の使ってる部屋の端末を使っても大丈夫ですよ、荷物の中身もスキャンできると思いますし』
「……助かります」
『気にしないでください。転移用顕現装置を起動するので準備が出来たらまたご連絡を』
その言葉を最後に神無月との通信が切れる、トーマは部屋の前に置かれた小包をそのままに一度部屋の中に入ると適当に本を四冊取って部屋を出て、インカムで連絡をしながら小包を手に取った
フラクシナスにやってきたトーマは、一人近未来的な通路を通り司令室まで向かうと、神無月が声をかけてくる
「あぁ、トーマ君。いらっしゃい」
「ども……それで、誰か映ってました?」
「それが、誰も映ってなかったんですよ。確かに荷物は置かれている……なのに誰の姿も映っていない、ちょっとしたミステリーですね」
「気が付いたら置かれていたって感じですか?」
「えぇ、そんな感じです」
神無月がそう言うと、トーマは少しだけ考えこんだ後、頷く
「分かりました。とりあえず小包調べてみます」
「結果が出たら私たちにも回してくださいね」
「了解です」
そこからトーマは自分が普段から使わせてもらっている部屋の端末の電源を付け、小包をスキャンにかける
「見た感じ普通の小包と変わらない……変な反応もないしマジで普通の小包か?」
今だ疑惑の念が抜けきっていないトーマだったが、結局の所開けてみないと中身を確認しない事には始まらない。そう結論づけたトーマはガムテープを外して小包の中身を確認すると、中にはブラウンのワンダーライドブックが一冊だけ入っていた
「なんだ、この本……ブックゲート?」
とりあえず本全体を見回してみるトーマだったが、作り自体は普段からトーマの使っているものと変わりはなさそうだ
「罠かもしれないが……とりあえず開いてみるか」
【Open The Gate!】
部屋の中にその音声が鳴り響くと同時に、入口があった筈の場所に不思議なゲートが現れる。そのゲートは本が捲れるようにパラパラとページを進ませるともの凄い勢いでトーマのことを吸収しようとする
「えっ、ちょ……やっぱり罠かよ……ッ!」
焦りの表情を見せたトーマだったが、無銘剣を出現させるよりも早くゲートの中に吸い込まれていった
「うわっ!?」
扉から放り出されるように弾きだされたトーマは少し転がった後、止まる
「いっつつ、ここは……一体」
起き上がったトーマが辺りを見回すと、日本建築とはかけ離れた西洋風の作りをした廊下だった。しかしその場所は長らく使われていなかったようで所々埃を被り、一部の柱にはヒビが入っていた
無銘剣を召喚したトーマは周囲を最大限警戒しながらこの西洋風の建造物を進んでいく、外の通路から中に入り、階段を上がると一つだけ、隙間から光の漏れる扉があった。いつでも無銘剣を振るう準備して中に入ると、そこに広がっていたのは大量の本が仕舞われている壁と剣のエンブレムが刻まれた円卓
「なんだここ……」
「やっと来た、随分遅かったね」
突如として背後から聞こえてきた声の方を振り返ると、そこに立っていたのは時折トーマたちの前に現れていた少女。だが今まで彼女と異なっているのは来ている服装が白いセーラー服ではなくワンピースであること
彼女は呆然としたトーマを横を通り過ぎると席に座る
「座ったら?」
「あ、あぁ」
トーマが円卓の前に座り、改めて口を開く
「それで、座ったわけだが……質問しても大丈夫か?」
「えぇ」
「それじゃあ一つ目、オレにあの本を送りつけたのはお前か?」
「そうよ、私がアンタに本を送った……それと私の名前はお前じゃない」
少女はそう言うとトーマの方に目を向けて言う
「私の名前は万由里。多分これからアンタとも長い付き合いになりそうだし、よろしくね」
「……なんか知らんが、よろしく頼む」
こうしてトーマは、未知の場所で、一人の少女と出会い、新しい物語の幕が開く