デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

8 / 128
第1-6話, デート、そして…

 士道が十香とのデートを取り付けた翌日の早朝、ようやくマンションに帰宅したトーマは久々の日常を噛み締めながら朝食の支度をしていた

 

「……こうして朝飯作ってるだけで、日常の大切さが身に染みる」

 

 聞く人が聞かない限りわけわんねぇ事を口にしていると、若干寝ぼけた状態の美九が起きてきた

 

「……おはようございまーす」

「おう、朝飯もうすぐ出来るから座って待ってろ」

「…………」

「美九? どうかしたのか?」

「なんでいるんですか」

「……酷くないか?」

「酷くないです、まさか一週間も帰ってこないとは思ってませんでしたから……私、怒ってるんですよ」

「それは……本当にすまないと思ってる」

「それじゃあ、誠意を見せてください」

「誠意?」

「そうです、誠意を見せてください」

「……いくらだ」

 

 一度準備を終えて財布を取り出すと、美九の顔からみるみる膨らんでいく

 

「じょ、冗談だ……それで、俺は何をすればいいんだ?」

「それじゃあ、今日、私とデーt──」

「すまん美九、電話だ……もしもし?」

『とーまくん、今だいじょーぶ?』

 

 美九を後目に電話に出ると、電話の主はどうやら琴里のようだった

 

「今は朝飯作ってる途中だったんだが……まぁ大丈夫だ」

『そっか! それじゃあ今からファミレスこれる?』

「今からファミレスって……俺、朝飯作ってるって伝えた筈なんだけど」

『じつはねー、今おにーちゃんがとーかと一緒にきててねー』

「オーケーわかった、大至急聞くから通信繋げといてくれ」

『わかったー』

 

 トーマが噛み締めていた筈の日常は、起きてからものの数時間で崩れ落ち、昨日までの慌しい日々がカムバックしてきた

 

「……悪い美九、急用だ。埋め合わせはまた今度」

「……むー」

「ホントにすまん! 絶対に外せない用事なんだ、後……朝食の引継ぎは任せた!」

 

 帰ってきたらむくれっぱなしだった美九に謝り倒す事が決定させつつ、最優先事項である士道と十香のデートをサポートするために全速力で走る

 

 

 走る事数十分、若干汗をかきながらファミレスまで辿り着いた……ここまでくる中でインカムから士道たちが移動したという連絡がなかったのでとりあえずファミレスに入る

 

「……いらっしゃいませ」

 

 何故か店員の格好をした令音がいたので士道たちはどこに行ったのか聞いてみる

 

「……士道たちは?」

「……ついさっき出て行った所だよ」

「行き違いか」

「……安心したまえ。何処に行ったかは把握している」

「了解、とりあえずついてってみます」

 

 ファミレスから出て言われた通りの場所に行くと、確かに士道たちはいた

 

「いた」

「誰がいたんですか?」

「誰がって、士道たちに──ッ!?」

「へぇー、お兄さんは私とのデートをすっぽかして男のストーキングですかそうですか、へぇー」

「美九……お前何でここにいるんだよ」

「なんでってついてきたに決まってるじゃないですか」

「お前とりあえず今は──」

『トーマ、聞こえる?』

「あ、あぁ……聞こえてる」

『そう、それで……あなたと一緒にいるのは何処の誰なのかしら?』

 

 案の定と言うか、フラクシナスから見られているらしい

 

「……諸々後で話すから、取り合えずこれからの方針を教えてくれ」

『……そうね、丁度トーマの近くに女の子がいることだし──』

 

 琴里から聞かされた内容はトーマもデートしてる一般人みたいな風を装って監視しろって事らしい

 

「美九」

「なんですか……」

 

 若干不貞腐れ気味の美九に話しかけると、いかにも不機嫌ですと言った感じで返事をしてきた

 

「今からデートするぞ、対人の克服もかねて」

「……今からですか?」

「今から」

「……デートですか?」

「デートだ」

 

 その言葉を聞くとふてくされてた雰囲気は一変、いつもの雰囲気に戻り腕に抱き着いてきた

 

「行きましょう行きましょう! 全力で楽しみましょう!」

「あぁ……オレ達の仕事(デート)を始めよう」

 

 とりあえず士道たちの様子を監視しながら、俺達もデートをする

 

「お兄さんお兄さん! これなんてどうでしょう?」

 

 美九はトーマに春物らしい二着の服を見せてきた

 

「そうだな……右の方が良いんじゃないか、あったかそうで」

「私的には左も捨てがたいなぁって思ってたんですけど……お兄さんが言うなら右にしようかな」

「……仕方ない、二つとも貸せ。買ってくる」

「いいんですか?」

「これでも今までコツコツ貯めてきた分があるからな、服を二着買うくらいは大丈夫だ」

「……結構なお値段しますよ?」

「大丈夫だ、ほれ貸してみろ」

 

 トーマは美九から二着の服を貰ってレジに渡す

 

「お願いします」

「はい、彼女さんへのプレゼントですか?」

「……まぁ、そんなところです」

 

 笑顔の店員さんに対して否定するのもなんか気まずいのでとりあえずトーマは曖昧に返した。それから服の入った袋を美九に渡した

 

「お兄さん……ありがとうございます」

「気にしないで良い、それよりオレ達も移動するか」

「移動って、もしかしてあの男たちの尾行ですか?」

「頼む、終わったら絶対に話をするから」

「……わかりました、でも絶対に嘘はなしですよ?」

「わかった」

 

 それから時は流れ夕暮れ、夕陽に染まった高台の公園に士道たちを追ってくる

 

「うわぁ! 綺麗な景色ですね!」

「そうだな」

 

 トーマは美九に相槌を打ちながらインカム越しの会話を聞く

 

『シドー! あれはどう変形するのだ!?』

『残念ながら電車は変形しない』

『何、合体タイプか?』

『まぁ、連結くらいはするな』

『おぉ』

 

 どうやら中々に愉快な会話をしていたらしい

 

「それであの男と精霊さんはどんな話をしてるんですか?」

「電車は変形するのかしないのか」

「中々に面白い会話をしてるんですね」

「そうだな……少し羨ましいよ」

「羨ましい?」

 

 トーマの言葉に対して、美九は頭に? を浮かべていた

 

「オレは、天宮市に来るまでの記憶がない……それでも、初めて見た景色も、匂いも全部がそこにある風景としか見えなかった」

「……でも、お兄さんは毎日楽しそうですよね」

「そうだな……確かに毎日が楽しいけど、やっぱり最初に得られるモノは、そいつの特権だと実感したよ」

 

 トーマの言葉に美九は何も言わず、振り返って夕陽に視線を向ける

 

「それでも、私はお兄さんに出会えてよかったです。偶然だとしても……何万分の一の確率だとしても、あの時逃げたから、お兄さんと出会えたから、私は……そこまで人に絶望しなくて済んだんだと思いますから」

「そうか、それなら……良かったよ」

 

 自分の顔を見ることは出来ないが、きっと自分の顔にも笑顔が浮かんでいるのだろうと思う

 

「っと、どうやらあっちもラストスパートみたいだな」

「どんな感じなんですか」

「中々にいい雰囲気だよ」

「ふふっ、お兄さん楽しそうですねぇ」

 

 トーマは美九の言葉を聞きながらインカム越しの会話に集中する

 

『……本当に、私は生きていてもいいのか?』

『あぁ!』

『この世界にいてもいいのか?』

『そうだ!』

『……そんなことを言ってくれるのは、きっとシドーだけだぞ。ASTはもちろん、他の人間たちだって、こんな危険な存在が、自分たちの生活空間にいたらいやに決まってる』

『知った事かよそんなもん……ッ!! ASTだぁ!? 他の人間だぁ!? そいつらが十香! おまえを否定するってんなら! それを越えるくらい俺が! おまえを肯定するッ! 

 

「……ははっ」

「何か面白いことでも言ったんですか?」

「いや、ビックリするくらい真っすぐな奴だと思ってよ……他の奴等が否定するなら、それを越えるくらいお前を肯定する……か」

 

 尚も続く言葉に耳を傾ける

 

『握れ! 今──はそれだけでいい……ッ!』

『シド──―』

 

 恐らく十香が士道に手を伸ばそうとしたところで何かが起こったのだろう。少し遠くから霊力の奔流が伝わってくる

 

「何が起こった!?」

『士道が撃たれたわ、それに、十香が──』

「……いや、言わなくてもわかった」

 

 霊力の奔流を感じてからすぐ、今までとは違う巨大な剣を持った十香が空中にいた、そしてその巨大な剣を振るった瞬間──ものすごい爆風がトーマたちの元までくる

 

「美九ッ!」

「きゃっ」

『トーマ、あなたの仕事よ……十香を止めて』

「言われなくても……そのつもりだ」

 

 爆風から美九の事を守ったトーマが立ち上がると、腰に炎が纏わりつき”覇剣ブレードライバー”が出現する

 

【エターナルフェニックス】

 

「美九、少し行ってくる」

「……待ってください、私も手伝います」

「良いのか?」

「はい……だって、せっかく手を差し伸べてくれる人がいたのにその人がいなくなって女の子が絶望するなんて……嫌ですから」

「そうか……琴里」

『なに?』

「倒すじゃなくて、十香を止める……って事は、秘策はあるんだな」

『えぇ、とっておきの秘策が……ね?』

「信じるぞ」

 

 そう言ったトーマは美九に一冊のワンダーライドブックを渡す

 

「美九も、全開じゃないけど大丈夫だよな」

「全然大丈夫です!」

「そうか、それじゃ……行くぞ」

「はい!」

 

 トーマと美九の二人はそれぞれ手に持ったワンダーライドブックを開く

 

【かつてから伝わる不死鳥の伝説が今、現実となる……!】

【かつてから伝わる美しい歌声が今こだまする!】

 

「ふぅー…………はぁッ!」

――抜刀』

 

 トーマは聖剣を抜刀してその姿をファルシオンへ変化させ、ブックを開いた美九は中からあふれ出る霊力を身にまとい、限定的な霊装を形成する

 

「美九……支援任せた」

「はい! 破軍歌姫(ガブリエル)! 【行進曲】(マーチ)!」

 

 美九の歌声によってファルシオンが強化される、それを感じると炎の翼を出現させて一気に十香の元まで向かい。再び振り下ろそうとした剣を受け止める

 

「貴様ッ!」

「やめろ、それ以上はダメだ」

「黙れッ! 貴様に何が分かるッ!」

「あぁ……なんもわかんないさ、だがな……これだけは分かる」

「何を──」

「これを振り下ろしちまったら、お前が一生消えない十字架を背負うって事だよ!」

「──ッ!」

「そんな事させねぇぞ……秘密兵器が到着するまでオレが……ここから先の一線を踏み込ませ──ッ!」

 

 美九によって強化されていると言っても精霊の放つ最強の一撃を受け止め続けるファルシオンにかかっている負担は想像を絶するものである

 

破軍歌姫(ガブリエル)! 【鎮魂歌】(レクイエム)!」

 

 新たに聞こえてきた歌声のお陰で痛みも和らいだファルシオンは少しだけ体勢を整える

 

「お前……」

「一応……言っとくが、オレはお前を殺しに来たんじゃない……ただ、止めに来ただけだ、お前を救う──最終兵器が来るまでのな」

「私を、救うだと……無理だ、私は……もう」

「無理なんかじゃねぇ! どんなに絶望してても、ただ手を伸ばすだけで良い……そして、差し出された手を、今度はしっかり握り返してやれ」

『待たせたわね、トーマ……最終兵器(おうじさま)の到着よ』

 

 空高くから、聞きなれた声が聞こえてきた

 

「十ぉぉぉぉ香あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ──ッ!!」

 

「────」

「早く行ってやれ、このままだと空から落ちて地面に真っ赤な花が咲くことになりそうだ」

 

 空から落ちてきた士道の元に行った十香を見送ると……ファルシオンは力尽きたように地面に落下する

 

「おっとと、だいじょーぶですか? お兄さん」

「あぁ、お前の歌のお陰で痛みはないけど……流石にスタミナ切れだ」

「ほんとうに、お疲れ様でした」

 

 その言葉を聞いてすぐ、ファルシオンへの姿からトーマの姿に戻る、美九の方も限定礼装を形成していた霊力が手のひらに集まりブックの形に戻った

 そして、立ち上がる気力も残っていないトーマを介抱する為に、彼の頭を自分の膝に乗せる

 

「それにしても、夕陽が綺麗な空でキスとか、ちょっとうらやましいですぅ」

「……俺は、夕陽よりも青空の方が好きだから、別に羨ましいともおもわねぇな」

「なんか、今日のお兄さんはやけに素直ですね」

「……そうか? でもまぁ、今日くらいは悪くないだろ」

 

 霊装が粒子となって消えていく光を見ていると、散らばった光が集まり、新しい四冊の本が形成された

 

【ワンダーワールド物語 土豪剣激土】

【ジャアクドラゴン】

【玄武神話】

【キング・オブ・アーサー】

 

「四冊……か、中々に豊作だなぁ」

「良かったですねぇ」

「そうだな……よしっ、もう大丈夫だ。ありがとな」

「もう少しゆっくりしてくれても全然良かったんですよぉ?」

「良いんだよ、スタミナは回復したからな……行くぞ?」

「あぁー、待ってくださぁーい」

 

 顔に笑みを浮かべながら、トーマは士道たちと合流する為に動き始めた




前回の反動かやたら出番の少なかった士道!
そして予告詐欺になってしまった士道と十香のデート!
ついでに書いててヒロイン感の出まくった美九!

ノリと勢いで書いてる作品なんでこういう事あります!
予告詐欺に関しては、本当にすみません!
次回!十香デッドエンド後日談!


【count the Wonder Ride Book】
・エターナルフェニックス
・アメイジングセイレーン
・ブレーメンのロックバンド

・玄武神話[NEW]
・ジャアクドラゴン[NEW]
・キング・オブ・アーサー[NEW]

【count the Wonder World Story】
・WW物語 音銃剣錫音

・WW物語 土豪剣激土[NEW]
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。