デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー   作:SoDate

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EX2-9, 決着

「はぁッ!」

「ッ!」

 

 セイバーの放つ一撃をアスモデウスはカラドボルグで弾くと、すかさず斬り返す。しかしセイバーはその一撃を避けることなく身体で受け止め。腹部に拳を叩き込んだ

 

「ぐっ──先ほどとは動きが違う、貴様……手を抜いていたな?」

「手なんて抜く余裕はねぇよ。ただこの本を使ってる以上負けられないだけだ」

「成る程、ならばその力も俺が奪い、より強い存在へと昇華させてもらおう」

「させるわけ、ねぇだろッ!!」

 

 アスモデウスに対し、セイバーは思い切り頭突きを放つとヘルメットは砕け、そこから血に濡れた顔の一部が露出した

 そして、その姿を見たアスモデウスの中に生まれたのは、恐怖でも敬意でもなく──純粋な疑問

 

「なぜそこまでその本に固執する」

 

 目の前にいる剣士は、どうして一冊の本にそこまで固執しているのか、アスモデウスから見れば周りに散らばっている本も、目の前の剣士が使っている本も、そして他ならぬ自分自身が使っている本も所詮は只の道具に過ぎない。失われた全知全能の書の欠片を宿した只の道具、にもかかわらず──

 

「──何故貴様は、たかが道具にそこまで拘る」

「道具じゃねぇからだよ。この本は……いや、この本だけじゃねぇ、周りに散らばってる本も全部……オレとアイツらが紡いできた物語だ。道具なんかじゃねぇ──」

 

 セイバーはそこで言葉を止めると血濡れた瞳でアスモデウスを真っすぐ睨みつける

 

「それに、この本は、他でもないオレとオレの相棒の想いが詰まった本なんだよ。だからこの本を使ってる以上……オレは絶対に負けないッ」

「……口で何と言おうとも、実力が伴っていなければ意味はないッ!」

 

 自身の持っていたカラドボルグの剣底をセイバーの纏っている鎧、その隙間に叩き込み目の前の剣士を大きく後退させたアスモデウスは、漆黒の斬撃をセイバーへ向けて放つ

 迫りくる斬撃に対し回避行動をとろうとしたセイバーだったが身体から力が抜け、その場に膝をつく

 

「クソっ……ここで、身体が言うこと、聞かなく……なるのかよ……」

 

 目の前まで迫った斬撃になすすべのないセイバーがその場で瞳を閉じた瞬間────周囲のワンダーラードブックが輝き、それに呼応するかのようにドラゴニックナイトの中からドラゴンが出現する

 

GAaaaaaaaaaaaa────!! 

 

 ドラゴンは眼前の斬撃を四散させると咆哮を上げ、セイバーの周囲を回り始める

 

「……これ、は?」

「本が輝いている、まさか……新しい物語が生まれようとしているのかッ!?」

 

 困惑するアスモデウスを他所に、本は輝きを強めていく。最高潮まで本は輝きを放つとその姿を紙片へと変え、セイバーの周囲を旋回していたドラゴンと共に万由里たちの居る方へと向かっていく

 

「たかが精霊と守護者が物語を……認めんッ!」

 

 背中に巨大な羽根を出現させたアスモデウスは、三人の方へ向かおうとするが身体に残った力を振り絞ったセイバーが振るった火炎剣によってそれは阻まれる

 

「退けッ!」

「退くわけ、ねぇだろ……」

 

 少しの鍔迫り合いの末、眼前の敵を地に伏せたアスモデウスだったが、今度は足を掴まれ体勢を崩す

 

「しつこいッ!」

「……それが、人間の先輩特許なんだよ」

 

 既に変身は解かれ、生身の身体に戻っているトーマは自分の身体に負う傷を顧みずアスモデウスの進行を妨害する。その行動に対しこれまで冷静だったアスモデウスも苛立ちを覚え始めトーマへ向けて剣を振り上げる

 

「ならば……まずは貴様を葬り去ってから──」

 

 その言葉を放った瞬間。眩い光と共に衝撃がアスモデウスに襲い掛かる

 

「ぐ──あぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 吹き飛ばされたアスモデウスはそのまま地面へと倒れ伏し、彼の居た場所にはトーマに肩を貸す耶倶矢と夕弦、そしてアスモデウスへ向けて雷球を構え、片手に新たな本を持つ万由里の姿があった

 

「大丈夫……って聞く必要もないか」

「あぁ、ボロボロだが生きてる……なら大丈夫だ」

「まったく、無茶しすぎだし」

「苦笑。いつもの事ながら、少しは自分を気遣ってください」

 

 トーマに声をかける二人とは打って変わり、万由里はアスモデウスの方を見つめたまま動かない

 

「貴様等……ッ!」

「……アスモデウス。貴方は────」

「黙れ、守護者。貴様は何もしゃべるな……記録でしか知り得ぬ貴様が、俺に言葉を投げかけるなッ!」

「……そっか、そうだよね……私は貴方を知らない、だから──」

 

 万由里はそう言うと、トーマの方を振り返り手に持った本を差し出す

 

「──トーマ、お願い」

「何のことだかわからねぇが、任された」

 

 二人の肩を借りながら、トーマは万由里から本を受け取るとアスモデウスの前に立った

 

「紛い物の生み出した力すら使うか、剣士」

「紛い物でも、三人が託してくれた物には変わりない」

 

 その言葉を紡ぎながら、トーマは本を開く

 

『勇気! 愛! 誇り! 3つの力を持つ神獣が、今ここに!』

 

 託された本を開いた瞬間、三匹の龍が現れトーマの周囲を回り始めた。それを一度視界に収め、瞳を閉じ、本を装填する

 

「変身……ッ!」

 

 残りの力を全て込めながら柄を握り、剣を引き抜く

 

『烈火抜刀!』

 

『愛情のドラゴン! 勇気のドラゴン! 誇り高きドラゴン!』

 

『エモーショナルドラゴン!』

 

 トーマの姿はセイバーの姿へと変化し、周囲を旋回していた三匹の龍が装甲となって装着される勇気の龍は深紅の鎧に、愛情の龍は純白の鎧に、誇り高き龍は漆黒の鎧になり、マントと共に滅壊の盾が左腕に装着される

 

『神獣合併! 感情が溢れ出す……』

 

 トーマは閉じていた瞳を開けると、仮面越しにアスモデウスを見据える。身体はボロボロで万全の状態で戦うのは困難。けれど不思議と心の底から暖かな感情が溢れ出す。大丈夫だと言う想いになる

 

「……行くぞ──」

「来い──」

 

「アスモデウスッ!!」

「炎の剣士ッ!!」

 

 互いの剣がぶつかり合い、火花が散る

 

「せりゃぁッ!」

「ふぅんッ!」

 

 ただ眼前の敵を倒す為ではなく、全霊を持って眼前の剣士と相対する為に剣を振るい続ける

 アスモデウスの振るうカラドボルグをセイバーは盾で受け止め、自身の剣を振るう。対するアスモデウスはダメージを顧みず自身の腕でその一撃を防ぐ、武器を防がれた二人はすかさず剣を手放し同時に拳を叩き込む

 

「ぐっ──まだまだぁッ!」

「がぁ──この程度ッ!」

 

 叩き込まれた拳で僅かに怯むが、すかさずアスモデウスは火炎剣を、セイバーはカラドボルグを手に取り斬撃を放つ。互いの一撃を喰らった二人は武器を手放し大きく後退する

 

「……がはッ」

「……ぐぁ──」

 

 後退し、両者は膝をつく

 セイバーの眼前は自身から流れ出た血液で赤く染まり、少しずつ意識が朦朧になり始める。全力を振り絞って放てるのはあと一撃……それはアスモデウスも変わらないだろう、そう考えたセイバーは近くに刺さっていた火炎剣を掴み、ベルトに納刀する

 それを見たアスモデウスも転がっていたカラドボルグを掴むとスタータ―を剣底で二度押し込む

 

『烈火抜刀! エモーショナル必殺撃!』

【ジャオウ必殺撃 You are over】

 

 エネルギーが刀身に集まりきった刹那、二人の剣士は大地を踏み締め眼前の敵に向かい、接敵した瞬間、己の剣を全力で振るう。僅かな時間、世界が静止したように感じた後、アスモデウスよりも先にセイバーが膝をつき、変身が解除される

 

「……俺の負け、か」

 

 何も言わないトーマに対し、膝をつくことのなかったアスモデウスは自身のドゥームズドライバーバックルを見る。バックルそのものにヒビが入り、砕け、消滅する

 装填されていたジャオウドラゴンはバックル消滅と共に地面に落ち、カランという立てた。それを見たアスモデウスは怪物の姿から神社に現れた時と同様人間の姿に戻ると、離れた場所にいた万由里たち三人に視線を向ける

 

「貴様等、名はなんだ」

「八舞……耶倶矢だ」

「警戒。八舞、夕弦です」

「万由里……私は、万由里」

 

「八舞耶倶矢、八舞夕弦、万由里……最後に炎の剣士、貴様の名は」

「トーマ」

「トーマ……貴様等の名前、覚えたぞ」

 

 その言葉を最後に、アスモデウスの身体は塵となり完全に消滅した

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