デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
EX3-1, Prologue
いつもと変わらない日常が続くと思っていたある日、突如として街中にノイズが走り、黒が広がっていく。街の一角を塗り潰そうに広がった黒の中から這い出てくるのは怪物”シミー”
その怪物が出現した瞬間、平和は崩れ人々の悲鳴が街中から溢れ出る。シミーから逃げる人の中、一人の少女はその場で躓いてしまう
「いたっ……ひっ」
倒れた少女へ向かい亡者のような動きで近づいたシミーが手に持った短剣を振り上げる
少女が助けの声を上げようとした瞬間、炎の斬撃によってシミーは上半身と下半身を切り離され、その場に崩れ落ちる
「大丈夫か?」
「は、はい……」
「良かった、それなら早く逃げろ」
少女を助けた剣士──トーマは彼女の事を立たせるとその場から逃げるように言うと目の前にいるシミーに剣を向け、駆け出した
「はぁッ!」
剣を振るいシミーを切り伏せていくと、倒れたシミーは塵となって消滅していく
「一匹は雑魚だが、キリがないな」
【エターナルフェニックス】
「変身」
剣をベルトへ納刀し、引き抜くが今までとは違いトーマの身体に炎が纏わる事がなかった
「やっぱダメか……くっ!」
ファルシオンへと変身するための僅かな隙にシミーが攻撃を仕掛けてきた、その一撃を間一髪の所で防ぎ距離を取り刀身にワンダーライドブックを押し当てる
『永遠の不死鳥 無限一突!』
トーマはオレンジの炎を纏わせた刀身をシミー達の方に振るい、シミー達へ向けて斬撃を放った。その一撃を受け引き裂かれたシミー達は塵となって消え消滅する
それを見届けたトーマは剣を地面に突き刺し一息つく
「やっぱり変身は出来ないか……ん?」
ひとまずこの場から去ろうとしたトーマは少し離れた所でこちらを見つめる一人の少女がいることに気付く。シスターのような服装の彼女へトーマが近づこうとした瞬間、ノイズと共にその姿は消えた
少女の事が気がかりだったトーマだったがひとまずその場を立ち去った
その直後、ボロボロだった街並みは一瞬のうちに元の形を取り戻し、逃げ惑っていた人々は何事もなかったかのようにいつも通りの生活を始める。まるで時間が巻き戻ったかのように、破損したデータを修復するかのように、戦闘の痕跡はこの世界から消え去った
戦いを終えたトーマがバイクに乗って自分と美九の住んでいるマンションへ続く道を走っていると、目の前に見知った少年がいることに気付く
「ん? 士道か」
「! トーマッ、良かった、無事だったのか」
「無事って、一体何のこと言ってんだお前」
いつもと変わらない筈なのに、やたら安心した様子の士道を見てトーマは違和感を覚える。まるで自分が異常事態に巻き込まれているような感覚、そんなトーマの方を士道は心配そうに見ながら声をかけてくる
「もしかして、お前覚えてないのか?」
「覚えてないって、士道さっきから何を──」
「だから、ここはゲームの中でお前は──」
「士道ッ!?」
士道の放った言葉の一部にノイズがかかった直後、士道の姿そのものにノイズが走りトーマの前から消滅した。一体何が起こっているのか、理解の出来ていないトーマが無銘剣を顕現させた直後、背後に誰かの気配を感じ取る
「誰だッ!」
「…………」
そこに立っていたのは、トーマが先ほど目撃した少女。しかし先ほどとは違い黒の装いは白に変わり肩にかかる程の長さだった髪も背中を隠すほどに伸びている
「君は、さっきの……」
「記録を見ました」
「記録?」
「はい、貴方の戦いの記録、そして貴方の日常の記録を」
記録を見た、その言葉を聞いた瞬間トーマの中に彼女が敵である可能性が浮上する。悟られないように無銘剣の柄を握りいつでも攻撃が出来るようにしながらトーマは彼女と会話を続ける
「私には、知りたいことがあります」
「知りたいこと?」
「はい……トーマ、貴方に問います────愛とは、なんですか?」
「……愛?」
「はい、愛です」
「えーっと、たであいの茎とか葉っぱから取れる青色染料」
「それは藍です」
何を言われてるのか理解できなかったトーマはひとまず警戒を解きつつボケてみると極めて冷静に返事が投げ返されてきた
「愛ってあれか? 恋愛とか親愛とかそう言う感じのやつか?」
「はい、そう言う感じのやつです」
「……はぁ、変に肩ひじ張って損した、というか愛なんてオレも教えられないぞ?」
「大丈夫です、これまであなたと五河士道の記録を閲覧し、愛を理解する材料は揃っています。特に貴方と美九のデータは参考になりました」
「そりゃ何より……ってちょっと待て、オレと美九のって一体何を参考にした」
「…………目を逸らすな、やましいことをした覚えはないが参考に何てならないだろ」
「そうでしょうか、貴方と美九が互いを大切だと想いあってる様子は──」
「あー! あー! もういい! わかったから!」
一切照れた様子もなく参考になった箇所を口にしようとする少女の言葉をトーマは無理矢理遮ると、改めて彼女に問いかける
「それで、記録と判断材料が十分ならもう十分なんじゃないか? オレに協力できることなんて──」
「あります」
目の前の少女はトーマの言葉を遮ると、手を差し出してくる
「記録だけでは不十分です、私に必要なのは経験……なのでトーマ、わたしに愛を教えてください」
「……もし断ったらどうする?」
「何度でもお願いをするだけです」
「……はぁ、わかった。どこまで出来るかわからないけど、最善を尽くすよ」
「ありがとうございます」
無銘剣を閉まったトーマは、少女の差し出した手を取った
長らくお待たせしました、或守編開幕です