デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
電子の世界、料理を作り終えたトーマは二人分の盛り付けを終わらせ或守の元まで持っていく
「お待たせ、少し待たせちまったな」
「問題ありません」
「それならいいが……それじゃあ冷めないうちに────」
トーマが言葉を続けようとしたタイミングで廊下から何かが落下する物音が聞こえ、程なくして美九と万由里が姿を見せる
「美九、それに万由里も──「お兄さん!」って、うわっ……っとと」
「琴里? えぇ、成功したわ。そっちと問題なく会話も出来てる」
「琴里って、急すぎて飲み込めてるような飲み込めてないような感じなんだが」
「話をするのは少し待って……本棚の雑誌、一冊借りるわよ」
「あ、あぁ」
抱き着いている美九を受け止めつつトーマは万由里との話を続けていると、彼女は本棚から雑誌を取り出すとなにやら作業を始めた
「それと、美九? そろそろ離れてくれると助かるんだが……「いやです」ですよねー」
「トーマ、これはもう食べても大丈夫でしょうか?」
「あ、あぁ……大丈夫だ」
抱き着いたまま離れなくなった美九をなだめつつ或守からの質問に答えたトーマは万由里の元まで近づいていくと、万由里の方も丁度作業を終えたらしく息を吐いた
「準備が終わったわ」
「結構早いんだな……というか雑誌が雑誌じゃなくなってるし」
「これも本来なら別の用途で使うものなんだけど今回はあっちの世界と話をするために再現したの」
白い表紙へと変化した本を開くと中に書かれていた文字が輝き、空中に映像が表示され、向こう側にいる琴里や令音たちの姿が見えた
『万由里、これ本当に見えてるの?』
「えぇ、こっちからはバッチリね」
「うわ、どうなってんだこれ……」
「本来はメギドの動きを察知するために使うんだけど──『いま、こっちでもそっちの姿を確認したわ。トーマの姿もしっかりね』問題なさそうで良かった」
画面の向こうにいる琴里たちもトーマたちの姿を確認したようで微かだが安堵の表情を覗かせている
『それで、そっちには見慣れない子がいるみたいだけど?』
「ん? あぁ、この子は──「言われてみれば! お兄さん! 誰なんですか?」それを今から説明するんでしょうが……とりあえず離れて」
「むぅー」
「はいはいむくれない……それで、彼女の事なんだけど──」
美九が離れたのを確認したトーマは、或守と出会う少し前から現在に至るまでの出来事を琴里たちに話す
『士道から聞いた通り、本当に自分がゲームの中にいるって覚えてなかったのね?』
「あぁ、今の今までこの世界が現実だと思って生活してた……お前らの事も齟齬が無いように改変されてたみたいだ」
『それじゃあ、本当にそっちの世界は敵の手の中って訳ね』
「敵って……単純なシステムの不具合じゃなかったのか?」
『詳しいことは私たちもそっちに行ってから話すわ、けど大雑把には万由里に聞いてちょうだい』
「わかった」
『それと、彼女──或守には警戒しておきなさい』
「警戒って……もしかしてあの子が敵だと思ってるのか?」
『あくまでも可能性の話よ、或守なんてNPCは実装していないイレギュラー……敵である可能性の方が高いわ』
「……わかった、心に留めておく」
本を閉じて琴里との話を終えたトーマは、息を吐くと或守の方に目を向けた。そこにいたのは普通の人間と変わらないように食事をとっている少女の姿
「オレには、あの子がこんな事をしてるとは思えないけどな」
「飛羽真、琴里が言ってたこと……話したいからついてきて」
或守が敵だと思えないトーマに声をかけた万由里は彼の事を連れてマンションの外に出る
「今回の事件について話すなら、別に部屋の中でも良かったんじゃないか?」
「さっき琴里も言ってたでしょ。あの或守って子が今回の敵かも知れないって……不確定要素は排除しておいた方がいい」
「……そうか」
「納得いってないみたいね?」
「当たり前だろ、まだ彼女とは会って少しだけど悪い子には見えない」
「……なら、信じる信じないは好きにすればいい。ひとまず今何が起こってるのかだけは教えておく」
少し諦めたような表情の万由里は、トーマに視線を合わせ話を始めた
「いま、貴方の精神は禁書の力でこの世界に縛り付けられている」
「禁書の力?」
「えぇ、悲哀の書……悲しみと、破壊の記憶が封じられた本。ソードオブロゴスの禁書子から持ち去られたその本が悪用され、今は貴方の精神を縛り付けてる」
「じゃあ、オレはその本の所在を探せばいいのか?」
「その通り、この世界に存在する禁書を見つけて、封印か破壊をすれば貴方の精神はこの世界から解放されるはずよ」
万由里から禁書の存在と、自分がここに居る理由を訊いたトーマはその禁書が何処にあるのかを考えはじめ、一つの結論に至る
「もしかして、お前らはイレギュラー=禁書だと思ってるのか? だから或守を警戒しろって」
「……可能性の一つ、でしょうね。それは琴里たちもそうだと思うし私も彼女を見てその可能性が高いって感じた」
「けど、或守には哀しみも破壊感も感じないが……」
「哀しみ感とか破壊感って何?」
「……まぁ、なんかそう言うのを求めてる感がないって事だ。でなきゃ哀しみとか破壊の化身なら愛を教えろなんて言ってこないだろうし」
「このまま話してても平行線ね……とりあえず様子見って事で良い?」
「あぁ、それで問題ない」
このまま話をしても疑いきることの出来ないトーマと警戒をすべきという意見が平行線になると思った万由里は様子見ということで話を切り上げてマンションの中に戻っていく。トーマもそれに続いて部屋の中に入ろうとした瞬間──何かが身体に巻き付いてきたような感覚に襲われる
「!? 何だ……」
「どうかした?」
「い、いや……何でもない」
その感覚に襲われたのも一瞬、気のせいだと思ったトーマは軽く頭を振るとマンションの部屋に戻っていく