デート・ア・ライブ feat.仮面ライダーセイバー 作:SoDate
意識を失ったトーマが見たのは、自分の目の前で誰かが話をしている姿。それが誰なのかはわからない、ただ朧気な意識の中にあったのはたった一つの純粋な感情
『──寂しい』
その感情が心の中に宿った瞬間、未知のナニカとの繋がりを感じ意識は途絶えた
「……ん、ここは」
意識を失っていたトーマが目を覚まし周りを確認すると、目に入ったのは自分にもたれかかるようにして寝ている或守と美九の姿。二人を起こさないようにソファから立ち上がる
「ここ……士道の家か、それにオレは今まで」
感じていた喉の渇きを解消する為に心の中で士道たちに謝りつつミネラルウォーターを拝借したところで背後に気配を感じてトーマは振り返る
「……なんだ?」
そこに誰かいる訳でもない、しかし誰かが自分の事を呼んでいるような不可思議な状態になる。どうしてそんな状態になっているのか自分でも理解することの出来ないトーマだだ、その声の持ち主が一体誰なのかを確かめるため、移動を始める
「場所は……こっちか?」
士道の家から出て、声に導かれるようにして歩き続けていると、辿り着いたのは件の公園。自分を呼んだ声の主が一体誰なのか、それを探していると目の前に人影が現れた
「こんばんは、良い夜ね」
「……或守?」
夜の闇で隠されていた姿が月の光で照らしだされる。士道の家にいる筈の或守と瓜二つの彼女はネガとポジを反転させた色彩を纏い、トーマへ向けて不敵で、蠱惑的な笑みを浮かべていた
「お前、家にいた筈じゃ……」
「そんな些細なことはどうでもいいでしょ。それよりも、私からのプレゼントはどうだった?」
「プレゼントって……まさかあの本はお前が?」
「ふふっ」
目の前にいる或守の様子が自分の知っている彼女と異なっている事、そして自分の元にあの本が現れた時の或守の様子を思い出し。トーマは今の彼女と自分たちの知っている彼女に齟齬がある事に気付く
「お前は、或守なのか?」
「私は或守だよ、それは唯一の確定事項……だからそれは間違いじゃないし、絶対のアイデンティティなの」
「まるで、それ以外は何もないみたいな言い方だな」
「さぁ、どうなんだろうね……っと、今日はここまでかな」
「ここまで?」
「うん……ねぇトーマ、私は貴方が欲しいの」
目の前にいる或守が何を言っているのか理解できていないトーマが怪訝な表情を彼女に見せると、彼女はトーマへ一歩近づいて胸を指で叩く
「だから、大切にしてね。あの本を……あんまり邪険に扱っちゃうとあの子も私も、寂しくて泣いちゃうから」
「……わかった」
「それなら良かった、じゃあ私はまだやることがあるから……またね」
その言葉の後、或守の身体にノイズが走り光と共にその場から消失した、残されたトーマは一人その場でプリミティブドラゴンのワンダーライドブックを取り出す
「私もあの子も……か、帰ろう」
来た道を引き返し、士道の家まで戻ると、丁度家の外に出てきた或守の姿があった
「! トーマ、大丈夫ですか」
「あぁ、大丈夫だよ……もしかして心配かけたか?」
「はい、心配しました。何処に行っていたのですか」
「……少し気になる事があってな、何はともあれ心配かけたな。すまん」
「いえ……大丈夫です」
目の前にいる或守の姿にさっきまで話していた或守の姿を重ねてみるが、見た目は瓜二つでもやはり二人は違う人物なのだと理解する
「そうだ或守、聞きたいことがあるんだがいいか?」
「? はい、大丈夫ですよ」
「或守って、兄弟とか姉妹っていたりするのか」
「兄弟や姉妹……そのような記憶はありません」
「そうか、それなら良いんだ。けど……そう言えばオレたちって或守の名前知らないよな」
「名前……私の名前、ですか……名前があったのか、なかったのか。けど……あってもいいかも知れないです」
「それって、自分の名前を憶えてないって事か?」
「覚えてない……というより、わからないんです」
いつものようにあまり感情を読み取ることの出来ない瞳をトーマの方に向ける、しかし今までとは異なりその瞳は揺れ、感情を読み取りやすくなっていた。そこから読み取れた感情は不安
「わからない……か、それなら思い出すまで新しい名前を付けようか」
「それなら、トーマが付けてください」
「オレが?」
「はい」
「そうだなぁ……」
いざ名前を付けろとなるとどういう名前を付けるのか悩んだトーマは、彼女の服装を見てシスターを連想する
「そうだなぁ……
「鞠亜、ですか」
「あぁ、或守の服装はシスターみたいだからな。そう言う教会っぽい名前でパッと思いつくのは聖母マリアだったから、安直か?」
「鞠亜……鞠亜、いいえ。安直とは思いません、或守鞠亜……それが私の名前です」
「それじゃあ、改めてよろしくな。鞠亜」
「はい、改めてよろしくお願いします、トーマ」
「……よし、そんじゃ家の中戻るか」
自分の付けた名前が採用されること、それに妙な気恥ずかしさを感じながら二人そろって家の中に戻る。共有しなければならない事、そしてこれから調べなければならない事を考えながら家の中に戻っていった