幼馴染はどうやら転生しても続くらしい 作:ぶり大根(元・孤高の牛)
「いやはや、リオンが呼ばれるのはまだしもまさか俺まで呼ばれるとは思いませんでしたよ――ディアドリー先輩……いや、もう卒業されていますしディアドリーさんと呼んだ方が良いですかね」
「仕方ないでしょう?陛下から渡された手紙は2通あったんだもの。まさか直接渡さない訳にもいかないし。それと呼び方は自由にしてもらって構わないわ。公の場ではないのだし」
「ま、それもそうですね」
ディアドリー・フォウ・ローズブレイド――書籍版ではリオンの奥さんの1人になる人だ。この人とは修学旅行の公国襲撃の時に直接顔を合わせたが俺としてはそれっきりだった。リオンがどうだったかは知らない。
そんな彼女、ディアドリー先輩……じゃなくてディアドリーさんは今回の共和国での騒乱の調査で派遣されたらしい。ところで優雅にリオンの煎れた紅茶を飲んでいるがそんなに気に入ったのだろうか、まあコイツの紅茶美味いけども。
「取り敢えず手紙は渡したわよ」
「ご丁寧にどうも。さてさて何が書かれているやら」
それはともかくとして陛下から手紙が届いているらしい。
あの人にはネズミを支給してない、傍受の危険性が大き過ぎるから秘匿性の高い手紙でのやり取りにしてもらっているのだ。とは言え俺達に寄越してくる手紙なんてたかが知れているが。
『揃いも揃って良くもまぁ共和国で問題を起こしてくれたな糞ガキ共。ただでさえ人手が足りんというのにこんな事をしてくれたおかげでこっちは見ての通り卒業生を駆り出してまで使わないといけない状況なのだぞ。それと貴様、貴様に限って無いとは思うが現妻を差し置いて浮気などしておらんだろうな?彼奴も共に留学しているとはいえ、貴様は何をやらかすか分かったものでは無いからな。念には念を入れて忠告しておくぞ by親切な王様』
「ほざけアホンダラ」
俺は手紙を丸めてゴミ箱に投げ入れた。魂からの一言である。
誰が浮気なんてするかよ、いくら陛下と言えどアンタにだけは死んでも言われたかねえわ。それに俺の表向きマリーとのラブラブっぷり見て良く浮気疑えたな、表向きとは言っても浮気するつもりは毛頭ないけど、本当は心の底からデレデレしたいのも事実だし。てかそう考えると尚更これムカつくな。
「お前の手紙もふざけた事が書いてあったか」
「まあな。よりにもよって浮気を忠告されたわ、あの女遊び陛下から言われるのだけはねーわ」
「そりゃ笑えるな」
ディアドリーさんは苦笑いしていた。普通陛下にこんな事言えないから仕方ないことではある。
「それで、今日は挨拶だけですか?」
「まさか。貴方達にお土産になる情報を持ってきたわ。――共和国の対応がどうなったか、知りたくないかしら?留学生の貴方達には知りえない情報があるわよ」
「面白い情報でも?」
「王国に喧嘩を売ったジャリエールの引き渡しを要求したのだけれどね。応じる応じない以前に失踪して行方不明と言われてしまってね。身辺調査を行ったけれど証言に間違いもなかったわ」
「なるほど、このまま家にいても殺されるかそれに近い拷問を受けると判断して逃げたって事か」
「つくづく思うが、共和国ってのはとんだクズ共ばかりだな。俺もクズを自負しているがさすがにドン引きだよ」
自他共に認めるクズであるリオンにそう言われては共和国のクズ共度は太鼓判を押されているのも同然だろうな、しかしジャリエールが失踪ねえ。
原作ピエールは次期当主、つまりこっちで言うジャリエールや現当主ランベールに捕まって表向き自害させられたと言われていたがこっちは生存本能だけは1級品だったらしい。
その諦めの悪さやら判断の早さだけは認めても良いかもしれない、そこだけはな。
「はぁ……貴方達、分かってて追い込んだのでしょう?どちらにしろ捕まったら破滅よ、ジャリエールは」
2人して顔を見合わせる、正味ご尤もだった。
「まあ、なるべくしてなっただけとしか言えませんけどね。一応作戦立てて被害を最小限には抑えましたけど、対策練ってなかったら馬鹿殿下も被害にあってたと思いますし」
「そもそもリオンやブラッドと言った現伯爵や次期伯爵に先に手を出したのはあちらですからね。相応の落とし前を付けてもらわないといけない。当たり前でしょう?」
まあ、だからと言って同情する訳が無いが。
リオンは少しだけしてるかもしれないが、そもそも先に手を出して来たのはあっちなんだから相応の末路を辿るのは当たり前だ。ましてや王国そのものに喧嘩を売ってその国の高位貴族子息どころか高位貴族そのものに手を出してしまったというのはもう徹底的に潰されても文句は言えないのだ。
しかも原作ピエールと違って自害したと言われた訳でもなければ現在は失踪中、だったら尚更気に留める必要性を感じられない。
「グッド。そこまで追い詰めるつもりなんて無かった、なんて情けなく嘆いたらぶん殴っていたところよ」
「おお、そりゃ怖い」
ま、俺でもそんな情けない事言うなら正気を疑ったけどな。
だって外道のリオンだぞ?まずニセモノを疑うね。
「後は学院が無事に再開するそうよ。貴方達にはそのまま留学を続けてもらうわ。ただし、色々と気を付けなさいよ。特にディーンハイツさん」
「え?俺なんですか?」
「1年の夏前に何をしたか忘れたとは言わせないわ」
「それ思い出させるのは卑怯でしょ。あの時から比べて俺は心身共に成長してるんですから、今更そんな大それた事はしませんよ。やる時は徹底的に自分が有利になるようにしてから叩き潰すだけです、あの頃みたいなヘマはしません」
「そういう事を言ってるのではないのだけれど……まあいいわ。もちろん、リオンさんもですからね?」
「……わ、分かってますよ。やる時は俺が被害者になるように仕組むんで」
「全く揃いも揃って……それと、私は情報を王国に持ち帰るからすぐに戻るけれど、本格的な交渉には他の人が派遣されてくるはずだから頼むわよ。良い?」
なんか俺達問題児だと思われてない?それに俺に至ってはもう1年も前の事引っ張り出されるのはさすがにちょっと無いじゃないかと言いたくなってくる。
あの頃は若かったんだ、若気の至りでしか無かった、もう二度とあんな失態は犯さないと誓っているんだから問題無いね。そう、この後から徹底的に自分を有利にしてから潰すようになったのだ。だからもう何も問題ない。
取り敢えずジャリエールは変な事起こすなよと心の中で念じておいた。
更に重い腰を上げて俺は応接室にいた、理由はレリアが客人としてやってきていたからだった。
奴の話を聞く限りではやはりレリアはアルトリーベの1作目、2作目共にハッピーエンドしかやってないような話しぶりだった。
マリーレベルにでもやっていればおいそれと主人公ノエルと攻略キャラをくっつけるなんて出来る訳が無いのだが、平気でノエルと誰かをくっつけようと画策していた。
俺は面倒だから半ばうたた寝していたのだが……
「ちょっとアンタ、ふざけてるワケ?」
「ふざけてる?ふざけてんのはどっちだよ。今ここに生きているノエルはゲームのキャラじゃない、生身の人間として生きている1人の意志ある人間でしかない。その意志を無視して勝手に人生歪めようとしてる奴の話のどこを聞けと言うんだ?」
「そーよ!アンタに指図される筋合いは無いのよ!」
マリーもこうして援護射撃してくれている。
ちなみに今この場にいるのは俺、リオン、マリー、レリアの転生者組のみだ。レリアは転生者の癖に姉のノエルも苗木も全部寄越せとか言って来てて完全に共和国に染まってやがる、勘弁してくれよ。
そもそも俺は何度も言ってるようにレリアの事が心底嫌いだ、コイツが共和国編全ての元凶と言って差し支えないレベルでやらかしているからだ。中途半端なハッピーエンドしか持ち得ていない知識を完全な知識として扱っているその能天気さも然ることながら、自分の前世での不憫の八つ当たりを今の家族に押し付けているのが何よりも受け付けない。
せめて知識は沢山の人がハッピーエンドに向かうように使うべきなのに、そんな独善的な使い方認められる訳が無い。
「聖樹の苗木は巫女の適性を持っている姉貴が持ってないと枯れるのよ!アンタらそんな事も知らないワケ?聖樹の苗木が枯れると、今後の展開が狂うじゃない!」
ちなみにここで明かされるのは『レリアは巫女の適性を持っていない』という事である。ほら2人とも絶句してる、俺も不自然さを失わないように顔芸しておくか。
しかしコイツは本当に外道だ、リオン以上に外道だ。
それも頭の良いリオンとは違って完全に頭の悪い方の外道、だから俺はお前の事が嫌いなんだよ。
「ちょっと待て。もしかしてお前がロイクをノエルにけしかけたのか?」
「そうよ、2作目のトゥルーエンドもロイクが中心だし、姉貴はロイクと結ばれる運命なのよ」
「だから俺はお前の事が嫌いなんだよ。人の人生をおもちゃみたいに扱いやがって」
「はぁ?世界を救う為にはこれしか無いんだから良いでしょ?」
話にならんな。フッと鼻で笑うと激高したレリアが掴み掛かりに来る、取っ組み合いならやってやらん事も無いが……と思った瞬間だった、何か右手の甲に違和感を覚えた。
「兄貴、アル!右手の甲が!」
「なにこれ!?ねえ、なにこれ!?」
「いやいやいやいや待て待て待て待て!!」
「な、なんで!?なんで守護者の紋章がコイツらの右手に現れてるのよ!?」
『おや、見る目がありますね。どうやら聖樹の苗木は、私のマスターとアルを、守護者に相応しいと選んだようです』
いやいやいやいやおかしいだろ!!リオンに浮かぶのは原作通りだから分かる、だが俺に浮かぶのはどういう事なんだよ!!
そもそも苗木が2本ある事からしておかしいと思ってたのに!?なんで、なんでこんな事に……あ、胃薬……胃薬……どこだ胃薬……
「俺ぇぇぇぇ!?」
「どーーーいう事だよおおおおおおおお!!」
俺達の魂の叫びが木霊したのは、言うまでもないだろう。
どうなっちまうんだ、この先。
あまりにもとんでもない事態に、頭を抱えながら一旦この決闘関連については幕を閉じるのだった。
五章からは共和国後半戦!聖樹の暴走は未然に食い止められるのか!?お楽しみに!
【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?
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大丈夫だ、問題無い
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無理
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アルマリでイチャイチャしろ