幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第百四話『幕間 夏だ!デートだ!現実逃避しよう!』

「今日から1ヶ月夏休みか……よし、デート行こうぜマリー」

 

「ふふん、そう言うと思って準備してあるわよ!白ワンピースと麦わら帽子!アルこーいうの好きだったわよね?」

 

「さっすがマリー!俺の事ならなんでもお見通しでいらっしゃる」

 

 激動のジャリエールとの決闘やら何か知らない内に聖樹の守護者になっちゃったやらの事件からしばらく、色んな騒動で学院に通えなかった分を7月丸々いっぱい使って通えていなかった俺達やらピエールみたいな連中は補習をしていた。

 そんでそれが昨日終わって8月丸々は何とか夏休みを貰えた、という事はこれはさすがにデートだろうと言う事と相成った。

 留学してきてからというもの、お家デートはさておき外出してのデートに関しては1回も出来ていなかったからな……1年生の頃はあんなにしていたというのに……よよよ。

 

 前から言っているように俺自身の問題は多く抱えている上にこっちに来てからの問題もまた増えて色々と未解決な事が多くて、こんなイチャイチャしてる場合なのかとか俺がマリーとイチャイチャしてて良いのかとか考え出すと止まらないので一旦現実逃避してデートしよううんそうしようそれが良い。

 

 という訳でちょっと暑いがそんな夏より熱々のラブラブを見せつけに行くのだ。

 

「何年の付き合いだと思ってんのよ」

 

「へへへ、ありがとよ」

 

 今日のマリーの格好は大きめの麦わら帽子にノースリーブの白ワンピとThe男の憧れる女の子の夏の服装である。

 これに関しては俺が前世から猛プッシュしてマリーに着せていたが、今世では久々の登場となった。多分数年ぶりだ。

 前世との合算で約40年の付き合いだからなあ、そりゃマリーには俺の好みは全部お見通しなのも当然なのである。好きな女に好きな格好させたいのは誰だってそう、俺だってそう、完璧な姿にニヤニヤが止まらない。

 

「そういえばユリウス達は夏休みどう過ごすのかしら」

 

「アイツらならリオンが働きにいけって事で仕事が見つかるまで追い出してる。ま、リオンなりの優しさだろ」

 

「兄貴らしいわね」

 

 ちなみに原作では五人衆のお世話で全くもって学生らしい夏休みを過ごせなかったが、その五人衆はリオンが強制的に仕事を探させに出させているので何一つ妨害される要素が無い。ジルク以外は精力的に仕事探しに出掛けていったので驚くくらい成長が見られているのが分かって何となく嬉しくなったのはここだけの秘密。ジルクはまだまだ不満らしい、こっちに来てからコイツだけ俺の作戦への参加によるタコ殴りしか受けてないからまあ仕方ない。頑張って仕事探せ。

 それはさておき、まあ他のメンツも各々思い思いの夏休みを過ごすのだろうカーラやカイルと言った使用人メンツものんびり屋敷で涼んでいる。

 

「さて、最初はどこ行く?ここから近くならショッピングモールがあるけど」

 

「正直言ってどこに何があるかまだ把握しきれてないから、アルの案内してくれるオススメの場所が良いわ」

 

「OK任せとけ。まあ言っても娯楽施設は近くにはそんなに無いから限定的になるだろうけどな」

 

「アタシはアルと出掛けられるならどこだって行きたいから構わないわよ。アルは変なとこ選ばないでしょ?」

 

「当たり前だ。最愛の奥さんとのデートなんだから楽しめるとこしか選ばないよ」

 

「さっすがアル、そういうとこ好き」

 

「ふふふ、褒めてもマリーへの愛しか出てこないぞ」

 

 最初はショッピングモールになった。近場でまだ俺達どっちも行けていない場所、何より涼めるというのが決定打になった。

 王国や共和国の夏は日本と比べると大分過ごしやすい気候だ、蒸し暑くなく温度も高くて30℃を少し上回る程度、平均は体感27〜28℃くらいと言ったところ。

 バカみてえな日本の夏の何倍も過ごしやすい、がそれはそれとして暑いものは暑い。なので涼める場所を追い求めるのはやはり変わらない宿命なのだ。

 

「やっぱこういう大型施設は過ごしやすくて良いな」

 

「服もたくさんあるわね。あ、これ可愛い!」

 

「着てみるか?」

 

「そうする!」

 

 あとやっぱり女性というのは服に興味が尽きない生き物というのもある、全ての欲求を程良く満たせる場所なのでデートとして行くには堅実だった。

 さてと、服を試着するという事で少し時間を持て余したがどうするかな……と周りを見渡していると近くを見知った顔が通り掛かった。

 

「あれ?リオンとルーデじゃん」

 

「お前も来てたのか」

 

「奇遇ね。貴方はこういうところはわざわざ1人で出向いて来ないでしょうから……マリエと一緒というところかしら?」

 

「ご名答、デートしてる。今は試着中だから待ってるとこだ。そういう2人も……雰囲気良いじゃないか」

 

 リオンとルーデだ。

 そう言えば最近2人の様子をあまり落ち着いて観察出来ていなかったが……ルーデがリオンの腕を掴んでいるのとリオンが満更でも無いような雰囲気をしているのを見るに結構進展はあったようだ。

 連れてきて正解だったな、とニンマリ。

 

「あまりにも鈍感だから強引にデートしてもらってるのよ」

 

「……俺には婚約者が3人もいるんだけどな」

 

「バカ言え、その3人は最初から察してるっつーの。じゃなきゃ俺んとこに抗議しに来てるわ」

 

「うぐっ、いやまあそうなんだがな。3人に『幸せにする』と言った手前どうしたもんか」

 

「リオンが本気でルーデを愛するってなら3人も受け入れてくれると思うけどな。まあまだその段階には無いみたいだが。しかしルーデは積極的になったもんだな」

 

「当たり前でしょ?共和国で仲の良い女性を作られたら足踏みしてる場合じゃないって焦るのは」

 

「ご尤もで」

 

 実のところ俺個人にリビア、アンジェ、クラリスさんからたまに連絡が来ているのは内緒である。2人の様子や他に女の匂いが無いかという話しが殆どだからだ。

 ルーデの事は話してある、前回の連絡では多少進展している事も伝えているが次回の連絡ではさてどう伝えたもんか。

 ちなみにノエルやルイーゼについてはまだ話していない、仲良くなった女が何人かいるとだけは言ってある。どちらにせよあと数日で3人がこっちに来るらしいのでその時に尋問されるだろう、リオンが。

 

 俺は連絡してるだけだから何も怖くないね。

 ただ確かこのタイミングで一時帰国があるんだったか。マリーとのデートとのんびりするのとで大半を使いたいんだがそこは爵位持ちという事で仕方ない。

 

「どう?似合う?……ってリオンとルーデじゃない」

 

「淡いピンクのギンガムチェックシャツとスカートが良く似合っているぞ!それになんと言ってもカンカン帽がめちゃくちゃ良い!!最高だ!!あ、リオンとルーデもデート中らしい」

 

「アンタのその切り替え見慣れてるとはいえどういう情緒してんのよほんと……まあ似合ってると言われて悪く思うことは無いけどね。ありがと」

 

「まあ否定することも無いから言うとデートよ。最近この人がノエルちゃんやらルイーゼさんと仲が良いから、追い抜かされたら堪ったもんじゃないわって事で出し抜かれる前にアピールすると決めた訳」

 

「コイツなら不幸にはしないと思うし悪くない物件だとは思うわよ。他の3人の婚約者見てれば分かるでしょうけど」

 

 試着室から出てきたマリーはあまりにも眩しかった。

 動きやすい淡いピンクのギンガムチェックシャツに、少しロングめな白いスカート、更に俺のドツボにストレートにストライクを入れてくるカンカン帽の組み合わせ。

 間違いない理想の服装に俺は歓喜のあまり早口で褒め讃えていた。

 

 ルーデと話し込むマリーを少し遠くから見守りながら「やっぱ俺の嫁可愛過ぎるな」と呟きながら深くしみじみと見つめ満足気に頷く。

 しかしなんか視線を感じる……いやこれはリオンのジトっとした目線だ、おい何が言いたいのかは分かるが勘弁してくれ俺は現実逃避の為にこのデートしてんだぞ。

 

「お前さぁ……やっぱ話した方が良いぞ、アイツなら絶対大丈夫だから」

 

「い、今その話するのかよ。俺は現実逃避の為にテンションぶち上げてんのに……そうだよ、俺はクズで弱い人間なんだ、だからあの時だってリオンに当たり散らかしたし未だにマリーに話せてもいない。俺が悪いのは分かってんだよ」

 

「……ったく。じゃあせめて俺には話せよ、俺は絶対にお前を軽蔑しないし真正面から全部受け止めてやるから。俺が悩んでる時にあんだけ激励されたんだ、今度は俺の番、だろ?」

 

 リオン……タケさんは強いよ。

 あれだけ俺に拒絶されてても全く変わらず、それどころか俺の為に手を差し伸べてくれるとは。ほんとどこがクズなんだと言いたくなるくらい身内には優しいんだからこの人は。勝てないよ。

 

「リオン……すまん、ありがとう。でもまだ決心が付かないからもう少しだけ待ってくれ」

 

「ああ。まあ、話はあの時にちょっと聞いた限りだけど中々重たそうだしな。急かさないから暇な時にでも気が変わったらいつでも話聞くわ」

 

「さあリオン、デートは始まったばかりよ。まだまだ楽しむんだから!」

 

「さて、そんじゃ俺はルーデにまだまだ連れていかれるところがあるらしいから。……へいへい、今度はどこに行くんで?」

 

 ルーデに連れられ共に遠くなっていく背中に、苦笑いを浮かべる。だから俺は前世からずっとあの人には弱いんだよ。

 ずっとどこか子どもが抜けていない俺に比べて、人として人格が出来上がっていると感じてしまう。

 

「アル?どうしたの?」

 

「ん?いや、なんでもない。次はどこ行こっか」

 

 もしも、リオンにもマリーにも本当のことを全部話せたのだとしたら……その先に受け入れられる未来があるのだとしたら、きっと俺は全ての憂いを無くしてこの先のイデアルにも、聖樹の暴走にも、ずっと先の未来にも笑顔で歩んでいける、笑顔で立ち向かっていけるんだろうな。

 

「この近くに色んな出店があるらしいわよ。行ってみましょ」

 

「お、良いね。共和国にも焼き鳥あるかな〜」

 

「たこ焼きはあるらしいしあるんじゃないかしら」

 

「……タコ食べる文化あったんだな共和国」

 

 ほんの少しだけ、前を向く事が出来ただろうか。

 本格的に前を向くにはもう少しだけ時間が必要になるだろうけど……いつか、きっと。マリーの手をしっかりと握り締めながらそう決意するのだった。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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