幼馴染はどうやら転生しても続くらしい 作:ぶり大根(元・孤高の牛)
「うーん……? ここどこだ……?」
目を覚ますとそこは知らない……いやまあある程度予想は付く程度には知ってそうな天井があった。
いやはやめちゃくちゃ良く寝た気がする、一体どれくらい寝てたのやら……
「ああ、落ち着いて聞いてください」
快眠快眠と目を開けるとそこには何故か壮年のハゲメガネの医者っぽい奴がいた、なんかこの展開見た事あるんだよなあ。
嫌な予感を想起させるそれにギギギ……と顔を向ける。
「焦る事はありません」
いやお前の一言一句と容姿が既に焦る要因なんですが。
最早何十年前という話になるが前々世のネットミームなんて良くもここで出てきたなオイ。
というかこの流れだと俺とんでもない事になってるんだけど大丈夫だよな?
「貴方にお話があります、良いですか?」
良くねえよハゲメガネお前の存在自体が既にフラグなんだよ。
「どうか……落ち着いて」
落ち着いてほしいなら頼むからこれ以上口を開けるなハゲ。
キレそうになるも身体の圧倒的ダルさから何も喋れない。
待て……俺本当にそんな眠ってたのか?
「貴方はずっと昏睡状態だった……ええ、ええ、分かってます。どのくらいの長さか?」
「貴方が眠っていたのは……」
オイオイこれで年単位出されたら俺は今度こそ舌を噛んで死ぬ事になるぞ良いのか。
俺の努力の結晶もクソも無くなるんだぞ。
「…………9時間です」
「いやすっくなただの快眠かよ」
いや昏睡状態ってなに。
9時間の昏睡状態ってなに。
もう一度寝て良いか?
「あれだけの一撃を喰らいながら片腕の骨折と頭に30針縫う怪我と瞼を深く切った程度で済んだのは奇跡としか言い様がありませんね」
昼間に行われた決闘一戦目から凡そ十時間程度、空はすっかり真っ暗で恐らく時刻は消灯時間のギリギリ前と言ったところか。
俺は身体を壁に預け医者の話を聞いていた。
「奇跡じゃなかったらまるで死んでたみたいな言い方しますね」
「まあ実際のところ即死でもおかしくないという見解で我々学園の医者は一致していましたが」
「……それ、絶対外に漏らさないでくださいよ。マリーに聞かれたら大変な事になるんで絶対」
このハゲメガネには起きて早々また卒倒してもおかしくない様な話を聞かされる俺の身にもなってほしいものである。
あれ普通死んでたってアロガンツのスコップどんだけ強いの……
いやしかしこれでマリーとリオンの間に遺恨を残しては大変宜しくないのでこの情報は封印させてもらう。
「ええ分かっています。何せ貴方が鎧から救出される前も後も、ラーファンさんはずっと泣き叫んでいて落ち着かせるのにかなり苦労しましたから」
「……こりゃ明日は説教コースかな」
中々に責任を感じてしまう事実を聞いてしまった。
傍から見たら少なくとも頭血塗れの俺が鎧から引きずり出されてるんだもんなあ……一応決闘だから万が一には死ぬ可能性が考慮されている。
マリーもそこはある程度分かった上での話だからこうして俺が生きている以上リオンに恨みを持つ可能性は低いだろう。
「ふふ、説教くらい命と比べるなら何万倍も安いものです。しっかり聞いてあげてください」
「分かってますよ。あの子の笑顔が見られるなら説教程度いくらでも」
「では私も休ませてもらいます。くれぐれも怪我人なので脱走なんて真似はしないでくださいね」
「しませんよ、したら鬼より怖い未来の嫁がいますので」
はは、と笑い医者は部屋を後にする。
しかし9時間……9時間か、想像以上にクロカゲの耐久性の高さを実感する。
あんなの、殿下の機体とかで受けてたら全身複雑骨折でも安い方だろ。
……ディーンハイツ家は前から言っている通り、旧時代から受け継がれた知識や鎧がある、しかしそれは周りにはバレていない。
あくまでも周りの認識としては『少し時代遅れの鎧』という認識にすぎないはず。
即ち、だ。
何が言いたいかと言うと、ディーンハイツ家はロストアイテムとまでは行かずとも滅んだはずの旧人類の知識や発明が細々と受け継がれたイレギュラーな存在という事だ。
勿論旧人類の知識が揃っているならそれが生み出したルクシオン及びアロガンツみたいな旧時代戦艦や鎧への有効な攻撃手段もある訳で。
そんな訳で俺の切り札中の切り札、スナイパーライフルと特性魔力弾はリオンの言ってた通り『当たったらただじゃ済まなかった』と言わしめる程には対抗手段になり得た。
だがそれに関しても、結局はアロガンツに対して命中率30%且つ多少有効なダメージがギリギリ通るかどうか。
かなり頑張ったが結局は0ダメージだった。
「……ま、悔しいか悔しくないかって言われたらそりゃ悔しいけどさ」
実際に突き付けられると、やはり思うところが出てしまう。
好きな女の為に戦って無様に死にかけたのもそうだが、今回の決闘はディーンハイツ家の看板を背負って、その英知の結晶を披露したのだ。
せめて一矢報いて、家を自慢出来ていたらと思わずにはいられない。
「……アルフォンソ様」
「シーシェック……悪ぃ、クロカゲボロボロにしちまったや」
少しすると、どこから俺の復活を嗅ぎつけたのかシーシェックが来た。
今いるディーンハイツ家の人間と言えばシーシェックだけだ、しかもコイツは小さい頃からずっと傍で俺の事を見てきてくれた存在。
家を背負う人間としての弱いところを見せられるのは、今はシーシェック以外にいない。
「何を言っているのですか、全てを差し置いてでもアルフォンソ様の命あってこそなのですよ。鎧は直せます、ですが貴方が死んでしまっては何も残らないのですよ……!」
「……心配掛けたな」
「全くです」
久々にコイツの怒ってるところ見たな。
いつも物腰柔らかい雰囲気で冷静な佇まいをしていて、指摘も大体怒るよりかは的確で落ち着いたものだから数年に一度見るか見ないか、本当にその頻度のものを今見た。
俺はそんだけ心配を掛けてしまったんだなとしみじみ感じてしまっていた。
「でも、引き分けには持ち込んでやったぜ」
「めちゃくちゃな方法でしたけどね、ですがアルフォンソ様にしか引き分けに持ち込むのは無理でした」
「んでマリーとの交際も勝ち取ってやったぜ……!」
「マリエ様は今はそれどころでは無いでしょうけどね。明日しっかり怒られてください」
「はは、それさっき医者にも言われたって。マリーめっちゃ泣いてたらしいな」
「何ならアルフォンソ様が起きる少し前までずっとベッドから離れないって言って聞かずに抱き着いていたくらいですよ。愛されてますね」
何気に初耳な事をサラッと言わないでくれないかね。
てか俺が起きる直前までマリーが抱き着いてた、成程そうかそうか。
つまりあれか、俺はそんな激レアで尊く可愛いマリーを目前にして意識不明でいたと言う事かね。
「お、俺はなんという事をしでかしてしまったんだ……! そんな可愛いマリーを見逃すなんて……!」
「そんな呑気な事を言っているとマリエ様に殴られますよ」
「だ、だがなあ……俺にとってマリーは命と同じくらい大切なもので……」
決定的なマリーのデレ場面を見れなかったショックに不謹慎ながらも頭を抱えてしまう、片手は使えないが。
号泣しながら俺に抱き着いて離れなかったとか最高だろどうなってんだ、なんで俺だけがその状況見れなかったんだよ。
「はい、そう言うと思いましたのでこちらを」
「そ、それはマルケス製のネズミくん!?」
「今回のお礼にとマルケス様がアルフォンソ様にお渡しする様言われまして。これでいつでもどこでもマリエ様との思い出を録画録音保存出来ますよ」
「ありがとうマル、お前はやっぱり最高だよ」
やはり相棒は相棒だった件。
これで俺が今回みたいに死にかけてたりタイミング的に無理と言う時でもコイツを泳がせておけば全て保存出来る。
どうしてこの世の中は録画録音が遅れた発明になってしまっているのか俺には到底理解出来ないくらい素晴らしいものだ。
「すっかり元気そうで何よりです」
「元気になっとかないとダメだろ? 何せ夏休みにはディーンハイツ家に交際の報告とかしとかないとだし」
そろそろ一学期も終わる。
取り敢えずまずは色々……アンジェリカ、マリー間だったりリオン、マリー間だったりの仲直りや俺とリオン……タケさんとの親睦や前世のネタばらしも兼ねてバルトファルト領に旅行しに行くが、その後は正式に交際する事になった旨を実家に報告するのが最優先。
後押ししてもらったし、前々から応援されてたからちゃんと報告しときたい。
ラーファン家? あそこはマリーの事を道具としか思ってないから適当に手紙を送り付けときゃ良いだろ、どうせマリーが何処に嫁ごうが気にしない連中だろうし。
「その前にまずお説教が待ってると思いますがね」
「現実を見せるのはやめろ」
まぁまずは初手正座お説教なのは間違いない。
特にウチの母上は怪我に対して敏感で、怒るとそれはそれは長い。
あの人にゃ一生頭上がんない。
「おっと、そろそろ消灯時間ですね。それでは私はアルフォンソ様の部屋に戻っていますね……殿下達の取り巻きが何をしでかすかも分かりませんから」
「そりゃ有難いよ。おやすみ」
「おやすみなさい」
起きてからまだそんなに時間も経ってないと思っていたが予想外に経っていたらしい。
ふと一人になった静けさに、一応俺の中でのモブせか最大の山場は超えられたと言う実感を噛み締める。
「……これからも頑張ってマリーと幸せ掴んでやるぜ。待ってろ世界、立ち塞がるもの全てぶっ壊してやる」
帝国相手だって構わねえ、俺は立ち向かってみせる。
そう決意を胸に、俺は英気を養うべく再び眠りに就くのだった。
これで一旦話としてはひと段落と言ったところ
勿論まだまだ続きますが
【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?
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大丈夫だ、問題無い
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無理
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アルマリでイチャイチャしろ