幼馴染はどうやら転生しても続くらしい 作:ぶり大根(元・孤高の牛)
「ふわぁ……あーあ良く寝……」
「アルうううううううううう!!」
「どわっしゃーー!?」
いやあ良く寝た良く寝たと起きかけた瞬間思いっきりドアが開かれたかと思ったら号泣しきりのマリーが飛び付いてきた件。
いやめちゃくちゃ嬉しいんだけど取り敢えず腕、折れてる腕に頭突きするのはやめてくれ……全治が長引く……!
「……生きててくれて本当に良かった……アルぅ……」
「……悪ぃ、心配掛けたな」
だがそんな事度外視出来るくらいには、マリーに心配掛けてしまったんだと実感させられてしまう。
これだけ本気で泣いているマリーを見るのは初めてだった。
どれだけラーファン家で不遇でもギャグに昇華して生きてきた女で、強い子だと思ってきたが良い意味で価値観がディーンハイツ家に染まっていたのかもしれない。
「全くよ……! アタシがどれだけ心配したと思ってんのよ!」
「ぅぐ……はい、返す言葉もございません……」
「アタシと付き合う云々の前にアンタが死んだら元も子も無いって分からなかった訳!?」
「い、いやだが俺は死ぬつもりは毛頭無かったし付き合う為には引き分けが絶対条件で現に俺は生きて……」
「全て結果論でしょうが!! それに頭は包帯グルグルだし腕は骨折してるし目も眼帯付けるくらいには怪我してんでしょ!」
「ま、待て待てこれでも医者からは軽傷な方だって……」
「これで軽傷ってアンタほんとに馬鹿でしょ!?」
良い意味でディーンハイツ家に染まってきたと言ったが今すぐ訂正したい気持ちに駆られる。
コイツいつの間にか母さん並の説教魔に成り果ててないか?
原作の狡猾さどこ行った? あ、それ俺が前世でほぼ改変したんでしたねはい……いや良いんだけども説教魔なところまでそっくりにならなくても良くないか。
「マリー……お前母さんに似てきたな……」
「メイアさんの心労が最近良く分かる様になってきたわ……主にアンタのせいでね」
「そ、そんな馬鹿な……俺はただマリーと一緒に幸せになりたいからやった事だと言うのに……」
「ち……血塗れで鎧から引きずり出されたアンタ見た時のアタシの心情も考えなさいよ……」
はいもうそれ言われたら何も言い返せません、やっぱり好きな女には逆らえないよなあ。
俺は鎧から引きずり出される前に既に意識は失っていたが意識を失う直前にマリーが俺にめちゃくちゃ叫んでたのは聞こえていたものでね、はい。
しかも泣き止んだのにまた涙目でそんな事言われたら流石に罪悪感の一つや二つくらい湧くに決まってる。
特に頭からの出血は意識が朦朧としてた時ですらしっかり感じ取れる程にダラダラ流れていた訳だから、つまり引きずり出された時の絵面としては顔面血で真っ赤に染まった俺が初手で見える訳で。
「いや、まあうん……それはその……ほんとスマンかった……」
自分自身そんなの見たら流石にショックだよなと感じてしまう。
と言うかそんな絵面見せられた観客の何割かは俺が死んだと思ってる奴もいるんじゃなかろうか。
だとしたらめちゃくちゃ面倒な事この上無いがそれは無かったと今は思っておきたい。
「……でも、お馬鹿だけどかっこよかったわよ。昨日のアルは」
「惚れたか?」
「そ、それはもう少し考えさせて……」
「ジョーダンだよ、二人でゆっくり育んでいけば良いって言ったろ? それよりかっこいいなんて言ってくれてありがとよ」
それも時間の問題だろうけどな。
一応これまで殿下達みたくいちゃラブ出来るくらいには俺に対する好感度があって、殿下達は全員失望された上で脱落、残ったのは俺だけ。
やっぱり日頃の積み重ねが大事だと実感させられるねえ、ワガママでポンコツな連中とは訳が違うのだよ。
「……アンタ、ほんと照れないわよね」
「今まではそれがマリー争奪戦の遅れになると思って全部素直に出してたし何なら俺の方が照れさせる事多かったからなあ」
「アルのメンタルは鋼か何か?」
「マリーが関わる事なら俺のメンタルは最強だぞ」
実際どうしても原作通りリオンの下に五人衆を放り込む為に一旦マリーに懐柔されとく必要性があった為に、学園内では五人衆に遅れを取らざるを得なかったのはあるから『引く』と言う事に否定的だったというか、大きなコンプレックスを抱いていたのは本当だ。
アイツらがあのまま成長も良いところも無いんだったら初手からマリーに正体明かして独り占めしてたっつーの。
難しい話にはなるが、逆に五人衆をこのままマリーに懐柔されない若しくは再起不能にでもした場合そもそもの戦力が足りなくて少なくともラストの帝国戦で詰む。
更に言えば細かいリオンへのアドバイスや主要人物の救出や要所要所の敵の撃退においてちょくちょく無くてはならない程度に活躍をするから、リオンにぶちのめされて仲間になるフラグを折る訳には行かず初手独占は涙を飲んで諦めた。
話は戻るがそんなハチャメチャに面倒な制約の中最終的にマリーの愛を射止めるには殿下達馬鹿五人衆がマリーにキスとかボディタッチとか愛を囁くとか言った事を耐え抜く必要性があったので自然と鋼メンタルになるしか無かったのだ。
因みに本番はどうしても俺の理性が許さなかったので止めようと思ったがそう言えば前世でも俺がいたせいというかお陰で俺としか男の関わりがほぼ無かった影響かそういう思考には至っていなかったらしい、良かった。
「アル、アタシ思ったんだけど」
「なんだよ」
「アンタ……ユリウス達とは別方向でしっかり馬鹿よね」
「……は? 俺の事……俺の事ォ!?」
いやはや俺のモブせか知識のお陰で未然に『マリエルート』擬きが開拓されずにあくまでも一旦俺を犠牲にする事によるファインプレーが炸裂されたと自画自賛していたらこの有り様である。
俺がいつあのポンコツ達と同列になったんだ。
「そうでしょ。だってアルよりよっぽど格上の伯爵や殿下を躊躇無く自分の罠に嵌めてくし、自分は自分で死にかけるし、何よりこんなアタシの事ずっと諦めないなんて……お馬鹿としか言い様が無いじゃない」
成程……確かに俺はマリーの事になるとちょっぴりお茶目な行動を取るし身分なんて関係無く邪魔になれば必要最低限内で蹴落とし、現状こうなってるのを省みるとちょっと馬鹿なところはあるのかもしれない。
だがマリー……お前自分の事卑下しちゃダメだろうが。
「なんだよマリー、お前は良い女じゃないか。少なくとも俺にしてみれば世界一可愛くて良い女だぞ」
「でもアタシの家は貧乏だし」
「それはお前の家が悪いだけでお前は悪くない」
「で、でもアタシ節操無しにユリウス達と付き合っちゃったし……」
「殿下達が惚れるくらいお前は魅力的だって話だろ」
「……あ、アンタに無責任に信じてるなんて言っちゃったのよ?」
「それのお陰で俺がどれだけ頑張れたと思う?」
「ひ……貧乳でちんちくりんよ?」
「奇遇だな、俺は貧乳で小さい女が好みだ」
「もう!! 今のアタシじゃアンタに愛してるって言えないのよ!!」
「俺が言うから問題ねえ!!」
「……何もかも悩んでたアタシが馬鹿みたいじゃない」
そりゃそうだ、俺はマリーなら何があっても愛せると心に誓ってるんだ覚悟が違うんだよ。
マリーが悩むなら俺が解決するし、マリーを泣かせる人間がいるなら躊躇無く地獄に突き落とす、全肯定bot? 『マリエ』なら兎も角『俺のマリー』が真に間違った事する人間になる事は有り得ないからそれで良いんだってーの。
「あと悩み次いでに言っとくが恐らくマリーが悩んでるであろうアンジェリカ、オリヴィアとの仲直りみたいなのは既に夏休み中に実行出来る様に計画済みだ」
「え」
「んでそれが終わったら今度はディーンハイツ家に交際の挨拶に行くからよろしくー」
「は、ちょ、勝手に……」
「こうでもしないと一生仲直り? 出来なさそうだし挨拶に関してはそう固くならなくてもいつも通りしてれば良いだけだから。ウチの連中とか両親みんなマリーに優しいだろ?」
「それは……そうだけど……」
面倒だがマリーの処遇に関しちゃレッドグレイブ家にリオンと同じ様に賄賂でも渡しとけば情状酌量の余地もあるし問題無いはずだ。
その後リオンと話してバルトファルト領に俺達も行くって事にすれば楽々仲直りするだろうし、その間に俺はリオンにネタばらしという名の素性明かしして今後上手くやれる様にすれば良い。
マリーへの正体明かしに付いては……ここが微妙なところだがリオンと同時だけは無い、明かせば前世じゃ両片想いだったんだし簡単に俺の事を愛してくれるだろうけどそれじゃあ今まで『アルとマリー』として育んできた絆はどうすれば良いのかって話になってしまうので実家への挨拶が終わり次第決断出来れば話そうと思う。
「何にせよ全て俺に任せてマリーはちょっとしたバカンス気分で夏休み過ごしてくれよ。あんな家に帰らせるなんて死んでもしたくない」
「……アタシとしてもそれは嫌だし……うーん、分かったわ。どうせ断っても問題の先延ばしになるだけだしね」
「そう来なくっちゃ」
そうして俺の激動の一年生一学期は幕を閉じた。
その後マルケスに労われたり、馬鹿五人衆が廃嫡されて俺にあーだこーだ言うものの観念してダンジョンで金稼ぎしたり、下級男貴族から慕われ始めたりするのはまた別のお話だったりする。
モブせかってマリエが初手五人衆吸収してしっちゃかめっちゃかにしないとEXハードモードになるらしいっすね(マリエルートを見ながら)
そんなんだからアルが割を食う羽目になったんですが、それが無いとこの全十五話丸々無くなるので作者的には良かったと思ってたりもする
【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?
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大丈夫だ、問題無い
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無理
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アルマリでイチャイチャしろ