幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第十七話『バルトファルト領でバカンスタイム!Ⅰ』

「笑える話だ。私の気持ちは何一つ通じなかった。私のワガママでリオンが学園を追われるだけだ」

 

「アンジェリカさんは何も悪くありません。リオンさん言ってました。最初から自分だけが悪者になって退学するつもりだったって」

 

「なのに私はリオンにろくに礼も言わず殿下の所へ……やはりダメな女だ……」

 

「アンジェリカさん……」

 

 空挺に乗りバルトファルト領に向かう中、やはり少し重い空気になってしまったのはリオンに対して負い目を感じているアンジェリカだった。

 責任感が強く優しくて美人とか、なんでこの人原作の原作であるアルトリーベで悪役令嬢してたのか分かんねえな。

 そして俺とリオン、マリーはそれを遠くの物陰で聞いていた。

 

『心が痛みますね。お二人に声を掛けないのですか?』

 

「俺に気の利いたセリフなんて期待されても困る。口出ししても何も解決しないから関わりたくない」

 

『清々しいほどのダメ人間ですね』

 

「あぁ自覚してるよ」

 

「でも正論っちゃ正論だよな。時間が解決するって言葉も割かし役に立つ時がある訳で」

 

「……と言うかこれ、なに?」

 

「これとは失礼ですね。私は……」

 

「っと、悪い悪い。コイツは俺の使い魔みたいなもんでルクシオンって言うんだ。二人共仲良くしてくれよな」

 

「おう、よろしくー」

 

「え、えっと、よろしく?」

 

 それは良いがここでルクシオンをマリーに見せて良かったのかリオン……多分ミスだろうけど、そういうところは前世から抜けてないなあ。

 いや抜けてるんだけども。

 

 あと二人だが、俺がピンピンしていた事で遺恨は残ってないもののまだ若干二人きりにするのは危ないと感じているのでこうして俺が挟まってるという面もあったりする。

 

 ……それよりマリーを行かせるなら今かな。

 

「ところでマリー……行くなら今だぞ」

 

「う……い、行っても大丈夫なの? その……アタシの責任みたいなところあるし……」

 

「あの二人はお前の事そんな悪く見てないし大丈夫だって、なリオン?」

 

「ま、面倒な事してくれたとは思うがあのポンコツに巻き込まれた側でもあるしな。反省もしてるし情状酌量の余地はあるだろ。んで二人としても現状友人は極僅かだし友人になってくれるなら万々歳ってところだ」

 

「だ、そうだが?」

 

「そ……そこまで言うなら……その、行ってくる……」

 

「ん、分かった」

 

 アンジェリカにやった事での引け目があるのかまあまあ渋っていたが他ならぬアンジェリカサイドの数少ない助っ人であったリオンの後押しもあり、まだ不安な気持ちはあれど踏み出して行った。

 仲良くなってくれたら良いが……

 

「そ……その、アンジェリカさん……」

 

「……マリエ?」

 

「えっと……本当にごめんなさい! アタシまさか殿下がアンジェリカさんとの時間を全て削ってるなんて知らなくて……」

 

「……それは決闘前にも聞いたが、お前の反応からわざとでないのは知っていた。だから……もう許している」

 

「あ……アンジェリカさん……」

 

「そ、そうですよ。もう解決したんですから、マリエさんもお友達になりましょう?」

 

「オリヴィアちゃん……うん、これからよろしくね!」

 

 ……あの感じなら大丈夫そう、かな。

 ホッとしながらリオンに振り返る。

 

「上手く行きそうで良かったよ。ありがとなリオン」

 

「良いって事よ。……それよりアルフォンソ、お前俺に話があるんじゃないのか?」

 

「あ、分かっちゃう?」

 

「わざわざ重い空気でも無くなったのに出ていかないなんて、何かあると思うだろ」

 

「……ここじゃ都合が悪い。三人は暫く話し込んでるだろうし一回部屋に戻って話そう」

 

「OK」

 

 本題その一としてはこれで解決だろう。

 となれば即座にその二もさっさと解決するに限る。

 俺は真面目な顔をしながら、三人をチラりと見やりリオンと二人部屋に戻る。

 そう、ここで俺はリオンに自分が前世の幼馴染であった事を明かす。

 正直こういう事喋るのは緊張するが、明かせるなら早めに明かしておいた方が後々動く時に都合が良くなる。

 さてリオンはどんな反応をするやら……

 

 

 

 

 

「んで、話ってなんだ?」

 

「あぁ……一応鍵閉めたよな?」

 

「大丈夫だ、何なら周りに人がいるかどうかはルクシオンに見張らせてるから問題無い」

 

「よし、なら話せるか」

 

 念には念を押して、と言う言葉がある。

 マリーに聞かれるならどうせ夏休み中に言うからそれの前倒しになってしまうだけだが万が一にもアンジェリカやオリヴィアに聞かれるとめちゃくちゃ面倒な事になる予感しかしない。

 なので誰にも聞かれず話せる……そのタイミングと場所を作って話したかったのだ。

 

 一つ、息を整える。

 

「……リオンなら知っていると思うが、俺は『アルトリーベ』を知っている転生者だ」

 

「お前……自分からそれ明かすのか?」

 

「リオンの使い魔、と言うか航空戦艦のルクシオンに俺の秘密が大方バレてるのは予想済みだ」

 

「ルクシオンを見ても疑問や動揺一つせずに受け答えしてた理由は正体を既に知ってたからって事か……こっちとしても予想はしていたが把握していたのには驚いたよ」

 

 悪どく基本的には計算して動く打算的なタイプのリオンには珍しく本当に驚いている表情をしている。

 そりゃ転生者だと分かっていてもこっちが知る術があるとは思うまい。

 しかし真のネタばらしはここからなんだよなあ。

 

「ゲームじゃ見ない名前に課金専用アイテムのルクシオン及びアロガンツが本編一年時に出てくる時点で大体の予想は付くってもんよ」

 

「それもそうか。なら俺達、前世のどっかで会った事もあるかもな」

 

 しかしここまで来てもまだリオンは察しが付いてないのか。

 うーん、俺としてはタケさんに早く気付いてもらえるならそれに超した事は無いと思ったんだがなあ。

 

 仕方ない、それじゃあ本番行きますかねえ。

 

「どっかで……どころじゃないんだよねえそれが」

 

「……まさかガッツリ知り合いか?」

 

「ガッツリ知り合いってか、その妙に計算高い思考とストレートな物言い、ルクシオンを即座に手に入れてるところからしてリオン……アンタタケさんでしょ、古塚武康」

 

「な、もしかしてお前ヒロ!?」

 

「そういう事。やっと気付いたかータケさん」

 

「ええーマジかよ!? お前もこっちに来てたのか!」

 

 リオン……タケさんが純粋な笑顔になる。

 多分だがここまでの笑顔になったのってリオンになってからはそうそう無いんじゃなかろうか、と思うくらいには明るい顔だ。

 前世の幼馴染に再会出来たんだからそりゃあ嬉しいのは俺もそうだけど。

 

「ま、そういう事」

 

「ん? ちょっと待てよ、じゃあまさかお前がベッタリくっ付いてるマリエは……」

 

「そ、アヤだよ」

 

「やっぱり……まさかアヤまでこっちに来てるとはな」

 

「ただアイツは俺の正体もリオンの正体も知らないけどな」

 

 マリーのネタばらしで少し嫌そうにしていたがこれは照れ隠しだ。

 タケさんはマリー、つまりアヤの事はシスコンと呼べるくらいには溺愛していたから良く分かる。

 そしてアヤの方も根っからのブラコンで大きくなってからは直接的な好意はそこまで伝えてなかったみたいだが俺相手にはタケさんの話を良くしてくれていたのでこちらも呆れるくらい知っている。

 

「話してないのか?」

 

「……タケさんは先に死んじまったから知らないと思うけど、俺達あっちで結ばれる事無く終わっちまったからさ。こっちで、前世の幼馴染ってアドバンテージで恋人になるの嫌だったんだよね。俺の変な意地なんだけど」

 

「お前らアレであの後付き合いすらしてないとか信じらんねえんだけど」

 

 なんと言うか、これ……アヤの死因をタケさんに話すのはかなり悩んだ。

 何せ大切な妹の死因があんなものだと知ったら……だから、言いたかったがここは抑える、時期が来たら話したいが心の準備も整理も今は付かない。

 

「俺の心の整理が付いたら全部話したいと思ってるから、今はあんま追求しないでくれると助かる」

 

「ヒロがそこまで言うなら相当の事があったんだろ、それこそ今こうしてアイツがお前のお陰で比較的気楽に生きられてるのに思い出させる必要ねーよ」

 

「はは、ありがとうタケさん助かるよ」

 

「他の連中の話ならどうだったか知らないがヒロの話で、それがアヤの事だって言うなら信じる以外有り得ねえわ」

 

 だから、本当にタケさんの察しの良さには助けられる。

 原作から死に方を改悪してしまったのも罪悪感に苛まれたが、やっぱり純粋に救い切れなかった事、死んだタケさんに顔向け出来ないと悔やんでいた事の心の傷は完全に塞がってはいないから。

 

「つーかさ、ヒロやアヤが居るなら他にもこの世界に転生者って潜伏してる可能性、あるよな?」

 

 ちょっとブルーな気分だったのを察してかどうか、タケさんが黙る俺に対してそう切り出してきた。

 そう言えば俺達のカテゴリー以外にも転生者は記憶通りならほぼほぼラスボス国家になるヴォルデノワ神聖魔法帝国皇帝バルトルト、同国でリオンやルクシオンと対を成す様な存在であるフィン・ルタ・ヘリング、共和国にいる俺やリオンみたいなイレギュラーな存在のレリア、んでこの国ホルファート王国の王女……殿下の妹エリカが転生者のはずだ。

 

「そうだな……可能性は高いかもな……ん?」

 

 いや、待てよ。

 俺は今気付いてはならない事に気付いてしまった可能性がある。

 出来る事なら今過ぎった事は心の中に閉まっておきたいくらい、そう思うくらいには重大な矛盾が起きてる状況下に今いるかも知れないとんでもない事だ。

 

「どうしたんだよヒロ、変な汗かいてるぞ?」

 

「い、いや大丈夫! 取り敢えず話は終わりだから少しトイレ行ってくるな!?」

 

「お、おう……そんなに腹痛いのかね?」

 

 

(まずい……まずいまずいまずい!! 本来の『マリエ』は前世でダメ男に引っかかってそいつと子どもを作る、それは知っていたのになんで思い出せなかったんだよ!!)

 

(そう……俺達以外の確定している転生者、エリカ王女は……)

 

(『前世のマリエの子ども』なんだぞ……!! どうすんだ、てかどういう状況になってんだこれーー!?)




起きる矛盾
この世界のエリカの器は一体何者なのか
そしてアルの胃痛はこれ以外にも増える事に…!?

次回
『バルトファルト領でバカンスタイム!Ⅱ』

取り敢えず今は胃痛を頭から消し去ろうアル…

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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