幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

18 / 93
第十八話『バルトファルト領でバカンスタイム!Ⅱ』

「お帰りなさいませ、お嬢様」

 

 流石アンジェリカ、公爵令嬢はやる事が一々デカい。

 どうもアルフォンソだ、俺はバルトファルト領に着くまで胃薬を飲む羽目になり青い顔をマリーに心配されたりもしたが、今は何とか強引に例の事は忘れてここで癒されようと思う。

 

「さ、アルフォンソ様とマリエ様もお入りください」

 

「サンキュ、シーシェック」

 

「あ、ありがと……」

 

 因みに俺とマリーにはシーシェックが着いている。

 子爵家と言えど執事の一人くらい連れて行かねば体裁が悪いとシーシェック自らの申し出だった。

 

「お嬢様? 一体どこの小娘かしら……そこの二人も」

 

「私はレッドグレイブ家だ……そして後ろの二人は子爵家だが私の友人だ」

 

「えっ……!?」

 

「申し遅れました、私アルフォンソ・フォウ・ディーンハイツと言います」

 

「ま、マリエ・フォウ・ラーファンです。よろしくお願いします」

 

 よっしゃナイスアンジェリカ。

 後々しっかり報いを受けてくれるから良いがあのババアマジでウザいったらありゃしなかったんだよなあ。

 で、後ろにいる二人がメルセとルトアートか?

 ……メルセ、見た目は良いのになあ。なーんで中身がゾラみたいなのになってしまったんですかねえ。

 エリカの中身で胃痛するくらいならメルセの中身が変わってたら良かったのに。

 

「バルトファルト婦人だな。ご子息のリオン殿には常日頃から世話になっている。リオン殿の言葉に甘えこちらで休暇を過ごさせてもらうことになった。そして共にここに着いて来た者達はみな私の大切な人達故、よろしく頼む」

 

「あ、そ、そうでしたか。ごゆっくりお寛ぎください。私はこれでお暇させていただきますけども。オホッオホホッ」

 

 おう帰れ帰れ、黙ってるメルセならともかく誰が好き好んで性悪婆さんの顔なんか拝むもんかよ。

 しかしこれは、アンジェリカが思う様にリオンはさぞ苦労した事だろうな……典型的な女尊男卑な貧乏貴族とかどんな罰ゲームだよ。

 寧ろ俺の家どうなってんだよ、昔から武力でちょくちょく王国の重要なところで活躍してきた家系とはいえ俺の母さんは聖人か何かか?

 

 泣きながら拍手を送るリオンに一抹の同情を送ると同時に俺の家のある意味での異常性を再確認するのだった。

 

 

 

 

 

「わぁ~! これがリオンさんの島ですか!」

 

「素敵な島じゃないか」

 

「こんだけ自然豊かだと思う存分羽を伸ばせそうだな」

 

「空気が気持ち良いわね!」

 

「まだ開発中ですけどね」

 

「すごいです! こんな綺麗な土地は見たことありません!」

 

「ほんとそれな」

 

 初手から嫌なものを見てしまった俺達一行はその記憶を忘れる為にリオン所有の島を見学に訪れていた。

 広大な緑溢れる自然な土地、美しい花々に広大な土地を有効活用した畑は壮観そのものだ。

 前世や前々世でもこんなに広く美しい土地は見た事が無い。

 それだけリオンがこの島を大切に育んできた事が窺える。

 

 勿論根が優しいタケさんだから、ぞんざいな扱いは無いと思っていたがアニメで見たよりやはり自分の目で見る方が綺麗だった。

 

「ん? この匂いは?」

 

「あぁ。これは自慢の……温泉だ!」

 

 そして何より温泉、温泉だ。

 この世界では風呂は無い事は無いが元日本人としては温泉が恋しくなるのは仕方ない。

 しかしこの世界で温泉ってのは中々に希少で数が少ないから入る機会なんてそうそうは無いのだ、それをこのリオンの島で堪能出来るんだとしたら週一で通っても良い程だ。

 

 俺もだがやはりマリーの目が輝いている、女子に取って風呂は死活問題だし温泉は好きだろうから当然だろうが。

 

 全員温泉に期待が高まり各々早速準備を進め入っていく。

 

 しかし男子にとっては露天温泉と言うのはロマンの塊なのだ。

 俺もそれに続き早速『それ』を堪能する。

 

「……リオンくん、分かるかね」

 

「お前が何を思ってるかくらいはな」

 

「そうだろうそうだろう。男子湯と女子湯は壁一枚で隔てられただけの空間、その一枚向こうにはマリーがいる。そして音が聞こえる、それを音だけで映像を想像する、その素晴らしさを」

 

 そう、露天温泉はこれがあるからやめらんねえんだわ。

 近くに好きな人がいるのに声しか聞こえない、しかし声しか聞こえないからこそ想像力を掻き立てられ人の思考は豊かになるのだ。

 

「お前はアイツの事さえ絡まなきゃまともなんだけどなあ」

 

「まるで俺がマリーが絡むと言動が五人衆と同レベルになるみたいな言い方だな」

 

「そこまで落ちはしないが少なくとも馬鹿六人衆と纏められるくらいには馬鹿だと思うぞ」

 

「う……嘘だろ……?」

 

「じゃなきゃ不敬罪一歩手前を金で揉み消すなんて荒業しないだろ」

 

「……正直何も言い返せません」

 

 リオンに後ろから蹴っ飛ばされたと思ったらぐうの音も出ない正論をぶちまけられた。

 これじゃあ原作リオンなんて比じゃないくらいに「もっと穏便にやれただろ!」って突っ込まれてもおかしくないな。

 そもそもエリカが本来の立ち位置から大きく変わってる可能性がある時点でこの世界が俺の全て想定内で動いてる訳なんて無かったんだし、これが手加減していたリオンじゃなきゃ死んでたと考えると……マリーと幸せになる為にも考えを改めないといけない。

 

 死んだら本当に何も残らないんだから。

 

「ったく反省しろよ? 折角幼馴染と再会出来たのに死んでたら世話無いからな、てかその俺が殺しかけたとか笑い事じゃねえし……あとアイツの為にもな」

 

「わ、分かってるって反省してるから……って、そう言えばマリーとは和解したのか? 後々全てが分かる時に変な蟠りは残したくないだろ」

 

 そう言えば次いでで気を取り直して、現状のマリーとリオンの関係性も聞いておきたかったので軽めに聞いてみる。

 俺目線だと話は一応付いてるみたいな雰囲気はあったが……

 

「流石に俺だって良心が無い訳じゃないからな。アルフォンソ……アルで良いか、アルが気絶してる内にしっかり話付けといた。大体は俺の土下座と医者の容態は安定してるから心配するなってフォローで許してもらったくらいだが」

 

「そ、そうか……いや、なんか色々ごめん……」

 

 これ、本当に俺から医者に『下手したら即死だった』って事口止めしてもらって良かった……これもうあの五人衆の事馬鹿に出来る人間じゃねえな俺も。

 ……ちょっとくらい今後の事で色々出るだろう勲章とか昇進はある程度アイツらに押し付け……譲ってやるか。

 

 うん、そうしよう。

 

「心配すんなって。マリエも許してくれたからさ」

 

「よ、良かったぁ……これで二人に埋まらない溝とか出来たら俺は思わず切腹してたかも知んねえよ……」

 

「オイオイそんな怖い事言うなよ。それよりほら、女子の方から声聞こえてるけど聞かなくて良いのか? 俺は聞かないけど」

 

「なにィ!?」

 

「いやほんと切り替えはえーな」

 

 許せリオン、俺はマリーの事においては現金な男なんだ。

 そーっと壁際まで息を潜めて近付き耳を当てる。

 

 

『……だからね、アルは決闘でもあんな事仕出かして……本当にお馬鹿ったらありゃしないわよ』

 

『……ふふ、マリエさんは本当にアルフォンソさんの事が好きなんですね』

 

『そうだな、聞いてるこちらが妬けてしまうくらいだ』

 

『うぇ!? い、いや、その、な、なんでそうなるのよ!』

 

『だってマリエさん、アルフォンソさんの話をしている時、とっても嬉しそうな顔をしていますから』

 

『所謂『乙女の表情』ってものだろうな』

 

『う……まあ……その……好きじゃなきゃ……あんなに泣かないもん……』

 

 

「…………」

 

「……俺は何も聞いてないけど、まあ良かったんじゃないか? 愛されてて」

 

「リオン、俺生きてて良かったよ。心の底からそう思う」

 

「ガチで九死に一生を得た人間が言うとシャレにならんからやめろ」

 

 まあ、それはそうとマリーが入ったお陰で花のある話題を話しててくれて良かったとも同時に思うのだった。

 

 

 

 

 

「スベスベだなオリヴィア」

 

「アンジェリカさんこそ髪も肌もツルツルじゃないですか。あ、マリエさんはぷるぷるしてる」

 

「わひゃあ! く、くすぐったいわよぉ!」

 

「なんだこの幸せ空間」

 

「美少女とわちゃわちゃしてるマリーが尊過ぎる件」

 

 出て早々桃源郷を見た。

 オリヴィア、アンジェリカ、マリーの三人で頬を突っつき合っていたのだ、しかも至近距離で。

 マリーみたいな超絶美少女が湯上りの火照った顔で美少女達とこうわちゃわちゃしていると、この世界に生まれられた事に死ぬ程感謝したくなってくる。

 

「ん? どうしたのオリヴィアさん?」

 

 そんな中オリヴィアがジッとこちらを見てくる。

 変質者を見るみたいな目……じゃなくて、これは確かリオンと二人のフラグ進行だったか。

 

「えっと…リビアです。リビアと呼んでください。ダメですか?実家だとみんなリビアって呼んでくれてて……」

 

「なら私のことはアンジェと呼べ。親しい者はそう呼ぶからな」

 

「いいんですか?」

 

「まぁこんな嫌な女とは親しくなりたくないだろうが」

 

「自分をそんな風に言ったらダメです! アンジェリカさ…アンジェは素敵な女性です!」

 

「そ、そうよ! アンジェはアタシなんかよりずっと芯が通っててカッコイイじゃない! そうだわ! ならアタシの事もマリーと呼んでほしいわ! まだ親族とアルにしか呼ばせてないけど、これでおあいこ!」

 

「んじゃ次いでだし俺の事もアルって呼んでよ。アルフォンソだと長いっしょ」

 

「俺は……略す程の名前でも無いか。ま、適当に呼んでくれ」

 

 本来はまだ敵同士の流れにあったはずのマリーとアンジェリカ&オリヴィアが、ここで絆を深めるとはなんと尊い事だろう。

 素晴らしい友情だ、拍手を送りたくなるくらいだ。

 

「みんな……すまな……いや、ありがとう」

 

(主人公とライバル、そして本来はそれを妨害する新たな敵だった人間。その三人が団結するとか……これから敵になる連中は全員気の毒ったらありゃしないな)

 

 これで少しはマリーにも同性の仲間が出来たかな。

 ……でもこれで終わりじゃない。

 俺のやらかした清算も含めて、まだやり残した事がある。

 

 アンジェもリビアもマリーもリオンも、一歩進んだんだ。

 なら俺も前に進まないとな。

 

 今だイチャイチャする三人をリオンと拝みながら、決心するのだった。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。