幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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決闘で色々はっちゃけてやらかした事の清算
それは勿論殿下達にも及ぶ訳で…
これは主人公の精神的な成長の足掛かりと殿下達への心情の変化の話


第十九話『清算と頼みと』

「はい。えー、まあね、殿下達五人衆には集まってもらった訳なんですが」

 

「……今更俺達に何の様だ?」

 

「……この前は悪かったよ。流石にやり過ぎた」

 

 夏休みの最中、廃嫡され暇を持て余していた例の五人衆をわざわざ集め会議を開いていた。

 勿論この前の決闘の件でやり過ぎた事への謝罪だ。

 いくら何でも暴走し過ぎた俺は案の定五人衆の家からは敵視される様になり、流石に有力貴族に睨まれ続けるのは嫌なのも含まれているが大体は普通に謝るだけだ。

 

 全員の視線がこちらを向く。

 

「俺は……廃嫡されてから少しだけ分かった事がある。それは、お前やアンジェリカを無自覚に虐めていた事だ。すまねぇ」

 

 グレッグの謝罪で全員バツの悪そうな顔になる。

 オイオイそんなやられても謝るのは俺の方がメインだろうに……こういうとこは律儀だから嫌いになり切れないところがあるんだよなあ。

 

「あー、いや……俺も最初から猫なんて被らずに行った方が良かったかもな」

 

 お互い謝り謝られ気まずい空気が流れる。

 ……って待て待て、俺の本題その二に入れないだろこれじゃ。

 

「……ゴホン。まあ決闘は俺がやり過ぎたって事にしといて……その詫びと言ってはなんだけど……殿下達、これからもマリーの友達でいてあげてくれないか? 俺みたいな殿下達を裏切ったド外道が頼むのもどうかとは思う、だけどアイツは学園でも味方があまりにも少ないんだ……どうかこれだけは頼む! いや、お願いします!」

 

 この世界に来て初めての土下座だった。

 俺が言うんじゃ道理が通らないが、それでも俺から言わないといけなかった。

 助けようと思えばいつでも助けられたのに、猫被りなんていつでも止められたのに、この世界の平和がマリーの平和に繋がる為と理由付けて。

 俺だってマリーを悲しませた、学園で孤立させた責任は大きくある。

 体裁なんて気にしてはいられなかった。

 

「……それを俺達がはいそうですかと言うってか?」

 

「ブラッド……俺を信じる事はしなくて良い。だがマリーの事情は信じてくれないか? 殿下達を漢と見込んでの頼みなんだ」

 

「ですが我々はマリエとの破局が」

 

「会う事をやめる制約は付けていない。他ならぬ提案した俺が保証する」

 

「……頭を上げてくれ、アルフォンソ」

 

「クリス……」

 

「ここまで必死に土下座しているんだ、私は彼を信じたい。それに、私達がマリエを信じ護らずして何が騎士道だ」

 

 中々信じてもらえないのは分かっている。

 それでもやるしか無かった。

 それにクリスが呼応してくれた、俺に一番酷い言葉を投げ付けられたクリスが、だ。

 

「ま、それもそうか」

 

「貴方の事は兎も角、マリエの事なら信用しましょう」

 

「そうだな。現状マリエが学園内でイジメを受けているのは事実……ならば信じない訳にはいかない」

 

「フン、お前を信じる訳じゃないからな。それにマリエに合法的に近付けるのにやらない訳無いだろ」

 

「みんな……済まない、助かる」

 

 そしてクリスに応える様に他の四人も俺の事はさておきマリエの現状は把握していたからか飲んでくれたみたいだ。

 ホッと胸を撫で下ろし顔を上げる。

 やっぱりこの五人、やる時はやるんだなあ。

 

「だが一つ言うなら……私達はまだマリエを諦めた訳では無いと言う事、重々その胸に刻んでおく事だ。君がマリエを愛する様に、我々もマリエと言う女性を一身に愛したライバルなのだからな」

 

「オイめちゃくちゃ良い奴だと思った矢先にこれかよ! いやそれだけは何がなんでも許されないからな? 俺は断固としてお前らを倒し続ける、マリーは絶対渡さないからな」

 

 うーんこの。

 評価を改めた瞬間これである。

 そうやって恋愛事で五人で団結しようとするから全員纏めて俺に蹴落とされたんじゃないのか……なんて思いつつも、そうやってズレてはいるが努力をしようとする辺りが魅力なんだろうなあ。

 眩し過ぎて直視出来ねーわ。

 これからも慎重に体裁は気にしつつ蹴落とすが。

 

「……アルフォンソ。話は終わりか?」

 

「ああ、出来れば待ってほしい。文化祭の出し物で計画してる事があるんだがそれを殿下達にも協力してもらえないかと思ってるんだ」

 

 確かに〆みたいな事を言って綺麗に纏まったが実はまだ話は終わっていなかったりする。

 夏休みが明けると余り時間を置かずに文化祭が始まる。

 正規ルートだとここはリオン・オリヴィア・アンジェリカ・ダニエル・レイモンドとマリエ+五人衆で分かれて喫茶店を開くのだが俺には計画している事があった。

 

「俺達に何をしろと?」

 

 ブラッドがジッと見つめてくる。

 そりゃ突然言われたらそうもなるわな。

 

「文化祭では喫茶店をやろうと思ってるんだが、殿下達にウェイターを頼みたい」

 

「オイオイ俺達にメリットあんのかそれ?」

 

 グレッグが呆れた様に言い返してくる。

 そうだろう、普通はそう返してくるよな。

 だが俺はそういう返しを待っていたのだ。

 ニヤリと不敵に笑いながら、それでいてポツリとこう零す。

 

「マリーにはウェイトレスとしてメイド服を着てもらおうと思っててな」

 

「分かった乗ろう」

 

「いや殿下の食い付きよ」

 

 ほぼ言い切るのと同時に殿下が神速の了承を突き出す。

 確かにマリーの事好きなのは良く分かるが殿下の食い付きがとんでもない事になってる件に付いて。

 俺が殿下の立場なら殿下より早く反応するくらいには見たいとは思うが想像以上にマリーの事好きなのね……

 

「それなら断る理由がねえな」

 

「そうですね、乗る以外の選択肢は見当たりません」

 

「無論だが私も乗らせてもらおう」

 

「俺も断る事はしないが別にマリエのメイド服姿を見たい訳では……いや見たいが……」

 

 そして全員ガッツリ乗ってくるのねそこ。

 お前ら俺が言うのもブーメランだけどマリーの事好き過ぎない?

 んでブラッドはツンデレなのか何なのかハッキリしてくれ、その中性的な見た目のお陰で事故にはなってないが。

 

 しかしこうして乗ってきてくれるなら僥倖、あの文化祭には空賊戦フラグことオフリー伯爵家令嬢ステファニーが乗り込んでくるからな。

 格下のリオンにあんだけ好き放題したんだ、マリーに何か仕出かす可能性も無いとは言い切れないから、廃嫡されたとはいえオフリー伯爵家より格上の家柄の護衛が居るに越した事は無い。

 あとこの人達が居れば間違いなく儲けは全員で山分け出来るくらいにはなるだろうし。

 

「んじゃ全員了承って事だな……殿下達はさっき言った通りウェイターをやってもらうがこの学園においてマリーは敵だらけだから……いざと言う時は護ってあげてくれ」

 

「つーかそっちがメインって事だろ? まどろっこしい事抜きに言うと」

 

「端的に言えばそうなるな。業務内容が接客とマリーの護衛、報酬が喫茶店の売り上げ山分け分とマリーのメイド服姿って事で契約完了だな」

 

「良いだろう」

 

 ぐわし、と殿下と握手を交わす。

 何だかんだこういう……裏切ったけど結局また殿下達と組む事になるとは少し複雑な気持ちになるがこれはこれで悪くない。

 この学園でもマリーの良さを分かってる唯一と言って良い連中な訳でもあるし。

 

「一つ良いですか?」

 

「どうしたんだジルク」

 

「他には誰が喫茶店の従業員になるのでしょうか」

 

 そんな事気にしないと思ったが意外と気になるもんなのかね。

 まあ良いけど。

 

「アンジェリカ、オリヴィア、俺、リオンとリオンの友人の男爵家が二人ってところだな」

 

「……我々では場違いな気もしますが」

 

「そんな気にする事じゃねーよ、ほらアンジェだって公爵家な訳だし、公にまだお前らがマリーの味方って宣伝する為でもある」

 

 なんだそんな事か。

 妙に冷静になりやがって、特にジルクは原作でどうしてそう言う冷静さを骨董品の目利きに活用出来なかったのか甚だ疑問過ぎる。

 

「それなら……大丈夫ですね、分かりました。貴方との契約を飲みましょう」

 

「ありがとな」

 

「それを言うならこちらこそ、ですよ。あの決闘は貴方が文字通り命懸けで勝ち取ったものなのに」

 

「だったら最初から『マリーに近付かない』を賭けに入れなかった俺の責任になるな? はい、だから問題無いんだよ」

 

 そう、俺は確かに五人衆にはマリーと別れてもらったが接触禁止は賭けに盛り込んではいなかった。

 それは何度も言っている通りマリーの現状を省みた時、子爵家の俺では守り切れない事態になった時に俺……引いてはマリーの周りに有力な貴族を護衛として置く為である。

 

 こちらとしても今まで色々やられていた事もあり少し癪なところはあるが、俺もやり過ぎたし何よりマリーの助けに進んでなってくれる有力貴族な殿下達は理由が理由とはいえマリーには優しい存在なのは事実だからな。

 

「……アルフォンソ」

 

「今度は殿下? どうしたんです?」

 

「その……アンジェリカとはどう接するべきかと……俺も謝るべきであるんだろうが……」

 

 今度は殿下かよ。

 しかもアンジェリカの事って……そりゃ自分が一番分かってるでしょうにどうしてこう、君達は一々が面倒なんだね。

 

「面と向かって謝れば良いでしょ。知ってます? あの人、小さい頃から殿下の為だけに厳しい教育を受け続けてきたって事。それこそ年端も行かない年齢の時から寝る間も惜しんで人生削って殿下に全てを捧げてきた女だぜ? そこんとこくらいは理解してあげてくれ」

 

「……そうか……アンジェリカはそんな事を……俺は何も知らなかったのか……」

 

 殿下は廃嫡されたが、それまでは所謂次期国王だった訳で。

 だから次期王妃のアンジェリカは徹底された王妃教育を身の毛もよだつスパルタを通り越した頻度で行われていたのだ。

 そりゃ、殿下から歩み寄らなきゃ趣味趣向なんて知る機会も与えられないくらいに。

 

「まぁその辺どうやって謝るとかは俺の領分じゃないから悪いけど自分で考えてくれよな。よし、俺からの話は以上だが……最後にまだ何か言いたい事ある人みたいなのいたりする?」

 

「……最後に、我々を代表して俺からアルフォンソに伝えたい言葉がある。良いだろうか」

 

「クリスか……良いけどなんだ?」

 

 話や契約も済んで一応確認だけしとこうと思った事で手を挙げられるとやっぱり少し動揺するのは人間仕方ないと思う。

 立ち上がり、息を整えるクリス。

 こんな時に何を話したいのやら。

 

「……正直、アルフォンソから吐かれた暴言も、マリエを取られた事も、廃嫡された事も、凄く悔しく思ったしまだ思うところが無い訳ではない。だが、君の戦いぶりを見て、マリエが居なくなり廃嫡された事で一人になる時間が出来た事で騎士道とは何か少しばかり見つめ直す事が出来た。そして君やアンジェリカにしていた行為は騎士道に反していたと深く反省する事が出来た。そこは本当に感謝している……それを伝えたかったんだ」

 

「おう……礼言われる様な事した覚えは無いけど、有り難く受け取っとくよ」

 

 そう言うと五人は立ち上がりそれぞれ部屋を後にしていく。

 

 あーもう。

 コイツらの評価のジェットコースター振りは何なんだよ。

 原作のこの段階でこんなカッコイイとこ見せないでしょ、本当に同一人物か?

 

 ま……悪い気持ちにはならないから良いけどさ。

 

 

 

 

 

「アル、知ってる?」

 

「なんだマル、藪から棒に」

 

「昨日殿下達と六人集まった事で、特に上級生から『馬鹿六人衆』って一纏めにされてるらしくて……」

 

「よし、言った奴は見つけ次第殺す」

 

 ただ、やはり一纏めにされるのは何か不服なんだ。

 一抹の殺意を胸に夏休みは続いていく。




【?報】アルフォンソ、無事馬鹿レンジャー入りへ
あまりにも心情変化が大き過ぎた末路がこんな事になっているとはリオンも思うまい…
読者も思ってなさそうだけどまあええか…

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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