幼馴染はどうやら転生しても続くらしい 作:ぶり大根(元・孤高の牛)
「お帰りなさいませ、坊っちゃま。そしていらっしゃいませマリエ様」
久々の実家帰り……ディーンハイツ家への帰省は殿下達との談合の数日後の話だった。
善は急げと言うのが俺の流儀でもあった為、それと早くマリーを両親に改めて婚約者(仮)として紹介して婚約者(真)にしてもらう必要も大いにあるからな。
ウチはそこまで大きな家では無いが、家で働いている者総出で待っていてくれたみたいだ。
まあシーシェックは先導で門やドアを開ける為に俺達が入る時と同時だったが。
「ああ、ただいまみんな」
「久しぶりみんな!」
俺にとっては正真正銘実家だが、マリーにとってもこの家は実家みたいな居心地で過ごせる場所になっていた。
何せ実家が実家じゃないみたいな地獄の頭おかしいクズ集団だし、一週間帰らなくてもそれを心配する連中も居ないくらいだった。
だから恐らくマリーはラーファン家でより俺達ディーンハイツ家で過ごした時間の方が長い可能性が高い。
最早悲惨過ぎて笑えない。
「元気だったか? 病気とかしてない?」
「皆息災でございますよ坊っちゃま」
「そりゃ良かったよ、特に爺やは心配だったから」
「ホッホッホッ、私も執事長を退いてからまだ数年です。孫に譲ったとはいえそう易々とくたばる事などありますまい」
それはさておき、今会話してるのは先代執事長のオルソン。
シーシェックのお爺さんに当る人物だ。
尚、シーシェックの親父さんは執事業務適性が全く無く、代わりに腕っ節が凄かった為ウチの兵団の団長である。
「お爺ちゃんが元気そうでアタシも嬉しいわ!」
「マリエ様もまたお綺麗になられましたな。……そして坊っちゃま、マリエ様。婚約おめでとうございます」
「へへ、嬉しいっちゃ嬉しいけどまだ仮なんだからな? 気が早いって」
「うぇ!? そ、そう急に言われるとなんて返して良いか分からなくなるというか……恥ずかしいわね……」
「いやしかし、幼い頃からずっと見てきた御二方が婚約となると感慨深いものがありますな。シーシェックもそう思わんか?」
「ええ。この家の者は全員、坊っちゃまとマリエ様が早く婚約しないかとずっと陰ながら応援してきたのです。感激も一入でございます」
オルソンとシーシェックを皮切りにワイワイと祝福の言葉が投げかけられるこの感じ、非常に良い。
前も言ったがウチは貴族らしさが少なく、こうして働いてる執事やメイド等と話せる機会は昔から多かった。
そんなだから恋バナも多々あり、ウチの連中にはずっと応援されて来た恩がある。
だから俺としても嬉しさは一入なんだ。
「ありがとな、さーて俺は親父と母さんに挨拶に行くとしますか!」
「早速行くのね……」
「そりゃな。色々迷惑も掛けたし、報告も早くしたいしでやる事が山積みって訳だからな」
今だ興奮冷めやらぬ家の使用人達に感謝の言葉を残し手を振り両親の居るだろう部屋へ直行する。
但し利き手は仰々しい固定具は外れたもののまだ小さめの固定具がしてあるので上げられなかった訳だが。
「親父、母さん、アルフォンソだけど入って良いか?」
「おう帰ったか、良いぞ入りなさい」
少し奥に行くと両親の共用スペースになってる少し大きめの部屋がある。
そこを叩けば数ヶ月ぶりだが妙に懐かしく聞こえてしまう親父の声が聞こえてきた。
入って良いらしいので遠慮無く入らせてもらうか。
「親父、母さんただいまー」
「お、お邪魔します!」
あー、マリーこれはすっかり緊張しちゃってるな。
小さい頃から通い慣れてるだろうにほんとウブな奴だこと。
まあ俺が前世の頃から幼馴染だった影響で男経験が今世での逆ハーレムの時だけだし仕方ないところは大いにあるかも知れんが。
「おかえりアル、学園ではマリエちゃんの為にはっちゃけてたそうじゃないか」
「ははは、まあな」
「本当は説教でもしたいところではあるけど……おかえりなさい。説教は後でみっちりしてあげるから今はその学園で勝ち取ったもの、報告しなさいな」
「は、はは……」
「もう、本当にアルってば……」
そんで予想通り結局母さんの説教フルコースは確定か。
死にかけた+不敬罪一歩手前やらかしたんだから廃嫡されずそれだけで済むだけ有り難い事この上無いが。
「ごほん……き、気を取り直して本題だけど……マリーと正式にお付き合いさせていただく事になりました!!」
「えっと、アルから聞いての通り色々あったけどアルと付き合う事になりました。その……よろしくお願いします!」
「おお、聞いてはいたがやっとか」
「これで正式な婚約者としての取り決めも出来そうね」
「母さん、それ本当か!?」
「ええ。二人が両想いなのは知ってたからいつでも出来る様にって準備はずーっと前からしていたのよ、ねルイスさん」
「ラーファン家は良くも悪くも無関心だったからディーンハイツ家で全て手続きの下準備をしておいたんだ。現に……書類に我々両家の名前はしっかり記されているからな」
俺はこの二人の元に生まれてこられた事をこの世界の人生で二番目に幸福に思う。
こんなに準備万端で息子の事信じて待っててくれるなんてあまりに素晴らし過ぎる両親としか言い様が無い。
え、一番? そりゃお前マリーと幼馴染になれた事だろうがよ。
「ありがとう!! マリー、やったな! 俺達正式に婚約者になれるんだってよ!!」
「わわわ、アルの喜ぶ気持ちは良く分かるけど肩揺らさないで~」
「っと、悪い悪い。つい嬉しくてな……世界一大切で世界一大好きな幼馴染のマリーと一緒になれるんだって思ったら……な」
「わざわざ噛み締める様に言わなくて宜しい」
だって仕方ないだろ、前世から含め二十数年とこの丸十五年と少し、四十年弱叶わなかった恋がやっと実ったんだぞ。
これを喜ばない人間なんているか? いないだろ。
「あらあら、ラブラブね」
「俺達の若い頃を思い出すな」
「そうねぇ、私達も珍しく恋愛婚だーなんて言われていたわね」
「俺がまともに育てたのは間違いなくその感性のお陰だわ、ほんとサンキュー」
「アタシも価値観はこっちの方に引っ張られてるのかも」
いや本当にこの世界来てから思うけど価値観のまともな家族に恵まれて良かったと心の底から思う。
バルトファルト家だったら主にゾラとルトアートのせいで精神的ライフが削られまくっていたかも知れない。
マリーはそれに加え実家があんな酷いところだから比較対象になってて深く理解しているのが窺える。
「同世代の女性からはいつも『価値観が古い』なんて言われましたけどね。古くたってこうやって感謝されたり幸せなんだから良いわよね」
「そうともさ、お陰で子宝にも恵まれた訳で……そうそう、アリシアとヴェンも予定だとそろそろ帰ってくるらしいぞ」
「お、アイツらと帰省時期被ってたんだ。それなら直接報告出来るな」
「賑やかになりそうね」
補足しておくとアリシアとヴェンは俺の妹と弟だ。
ヴェンが一個下、アリシアが三個下で前世で言う中学生の年齢だが二人とも勤勉で今は勉学に励む為夏合宿中と聞いていた。
俺はその辺そこそこでやってただけなのに真面目で自慢の弟と妹だ。
「マリーは二人に懐かれてるもんな」
そして二人はマリーの事をヴェンが『姉様』、アリシアが『お姉様』と呼んで非常に良く慕ってくれているのだ。
それもこれも面倒見が良くて昔から二人と遊んでくれていた事が起因するのだが……やはりマリーは家事万能で嫁パワーもあり母親気質もありと素晴らしい女性としか言えない。
「二人とも本当の弟と妹みたいなもんだしね」
「姉様が居ると聞いて」
「お姉様!!」
と、噂をすれば二人のご登場だ。
いつもはノックをしてから入る二人もマリーの事となるとそういう事を度外視して来るスタイルで不意打ちをかまされるのだけは勘弁願いたいがその気持ちは良く分かるのであまり強くは言えない。
「こらこら、マリエちゃんが居るとはいえ礼儀はしっかり弁えなさいな」
「はは、元気があって何より!」
「もう、貴方は甘いんだから」
「よっ、帰ったかヴェン、アリシア」
「おかえりなさい」
「兄貴、姉様と婚約したのは本当か?」
「正式な婚約はこれからだが決定した感じだ、いえーい」
「すげーじゃん兄貴!」
「お姉様、おめでとうございます!!」
「ありがとう、アリシア」
おうおうさっきまで四人だったのにすっかり賑やかになったもんだ。
この喧騒も前聞いたのが入学前まで遡るのだと思うと妙に懐かしく、心地好く感じてしまう。
「いやー学園だと楽しい事もあるけど基本疲れるから家が一番ゆっくり出来るわ」
「苦労してるんだな兄貴は」
「分かるかヴェン……何せ俺は上級生や女子からは目の敵にされて……」
「あらアル、その原因を作ったのは決闘で要らぬ言葉を吐きまくった貴方にあるって聞いたのだけど?」
「前言撤回しよう、やっぱり母さんの説教は学園より疲れるわ」
どっと笑いが起こる。
まあ母さんの説教は確かに長いし怖いがそれも愛あってこそのもの。
だから本気で嫌な訳じゃないしやっぱりこの家は最高だ。
帰省もこのまま平和に終われば次は文化祭だ、気合い入れて金稼がないとな……
なんて思ってた俺は次の日そんな油断をしていた自分を殴りたくなる様な出来事が待ってるとはこの時思いもしなかったのだった。
「は? 父さん……い、今なんて言った……?」
「……ラーファン家から、『マリエと離縁する』と連絡が……あった」
……俺、こんな展開知らないんですけど?
【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?
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大丈夫だ、問題無い
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無理
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アルマリでイチャイチャしろ