幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第二十三話『そりゃお前、10代の野獣と30代の清楚美人なら後者選ぶだろうよって話』

「は、母上って……つまり王妃様!?」

 

 最初に声を挙げたのは正体を知らない且つ察しの良いリビアだった。

 そもそも正体を知ってる五人衆は驚きこそすれ王妃様なのは知ってるしマリーも大体同じ反応、アンジェは王妃様と一緒に入ってきたしリオンは全く緊張してないし俺と同じ心情なのはダニエルとレイモンドだけか?

 

「も、もうユリウス! 私はお忍びで来たのに……」

 

「あ、それに師匠!」

 

「Mr.リオンお久し振りですね。ここで会ったのも何かの縁、王妃様もMr.リオンとお話したいそうですので私が紅茶を入れましょう。折角の良い茶葉でもあるので……ね」

 

 そしてちゃっかりルーカスさんもいた。

 しかしルーカスさんは一目ちらりと遠目から見ただけで茶葉の産地を当てた様だ、茶葉の話をしながらこちらを見て微笑んでるのがその証拠だろう。

 やはり紅茶の達人は目が良い……

 取り敢えずこの人の紅茶を飲んで心を落ち着かせるとしようか。

 

「うおおおおおお!! 師匠のティータイムだ!!」

 

「……本題は私からのお話ですからね?」

 

「ア、ハイ」

 

「アルフォンソくんもよ?」

 

「デスヨネ……」

 

 まあ、そうなるとは思ってたさ……

 

 

「リオンくん、アルフォンソくん、私は貴方達に怒っています」

 

「いや、本当に例の件は反省しきりでして……」

 

「なっ……ど、どうか家族だけは許してください! 俺はどうなってもかまいませんから!」

 

 二人揃って座って説教タイムである。

 俺の方は間違いなく殿下相手に弾け過ぎた事だが……それはそうと間近で見るリオンのこの迫真土下座芸めちゃくちゃ久しぶりに見たな。

 前世の時からいざと言う時これで謝り倒して下げてる顔ではニヤリと計画通りみたいな顔してるのが定番だったか。

 いやそれでもそれを王妃様相手にやるのかよと幼馴染ながらにドン引きせざるを得ない。

 

「う、うわぁ……謎の既視感を覚えるわね……」

 

 そしてマリーそれは大正解だ、前世でいつもお前の兄貴がお前相手にでも躊躇無くやってた事だからな。

 

「へっ? ち……違う! そういう話じゃないのよ!」

 

 五人衆然りダニエル、レイモンド然りアンジェやリビアもそこはある程度察しは付いてるだろうが……しかし王妃様は純粋なのか盛大に騙されていた。

 何だこの可愛い人妻、そりゃリオンが惚れるのも仕方ないだろ。

 

「アンジェ助けて~!」

 

「ミレーヌ様からかわれていますよ」

 

「てへっ」

 

「最低ねっ!」

 

 だから反応が一々可愛いんだよなあこの人。

 だからと言って俺がからかう様なマネは決して出来ないが。

 そんな事した日には胃に穴が開いたのが死因になって死んでる。

 ただ、微笑ましく見守るくらいは許されるだろうか。

 

「アルフォンソくんもっ! 微笑ましそうに見ないのっ!」

 

「あ、バレてたんですね……」

 

「……アタシ以外の女の人にデレデレしちゃって」

 

 そして待てマリー、それは盛大な誤解だ。

 これは浮気とかではなく将来結ばれる予定の王妃様とリオンの微笑ましい一幕に笑みを浮かべて見ていただけなんだ、だから許してくれと心の中で叫ぶ。

 

「……フッ」

 

 ユリウスはユリウスで何鼻で笑ってんだお前もお前で母親の説教が待ってる事気が付いてるか? ん?

 キレそうになるがやはり説教中の為反応はしない。

 

「ごほん、リオンくん、アルフォンソくん、私はあなたに文句を言いに来ました。処分云々ではなく個人的な話です」

 

「お伺いします」

 

「俺も同じく」

 

「まずはリオンくん。ユリウスのことは詫びます。ただし決闘内容は納得できません。戦いぶりがひどすぎました」

 

「そしてアルフォンソくん、貴方にも色々あった事は聞きました。ですがヴィンスの口添えが無ければどうなっていたか分からなかったのですよ。もう少しやり方を考えなさい……二人揃って、ですがもう少し貴方達なら穏便に事を収められたのではなくて?」

 

「ははは……ご最もです……ええ返す言葉も無いです……」

 

「全くもう……リオンくんもアルフォンソくんもはしゃぎ過ぎなのよ……」

 

 

 

 はぁ、と溜め息を零しながらも紅茶を優雅に飲む姿は正に清楚そのものである、流石王妃様だ。

 ……問題はリオンだけど。

 

(あっ……凄い事に気付いてしまった。この人めっちゃ美人だ、とても30代には見えない)

 

 いや聞こえてんのよそれ。

 俺にしか聞こえてないけど俺にだけはバッチリ聞こえてんだよそれ、反応に困るんだけど。

 確かにリオンは前世女性経験も無く生きてきたが、別に年上萌えだった訳では無い。

 だがこの世界に来て王妃様を見て一気に変わってしまったらしい、それもこれもこの世界の歪な男女格差が原因だが。

 

 俺としてもお近付きになるならジェナみたいな典型的な王国に染まった10代の猿共よりそれに染まらず清楚、お淑やかでほんわかしていてコミカルな面もある30代のお姉様の方が良いに決まっている。

 何なら王妃様は顔だけ見ても最上位だから全て学園の猿共の一億倍勝ってるんだがな。

 

 まあそんな事言ってるが俺の嫁はマリーだけなのは当然だ。

 

「王宮にも貴方達の敵は多いわよ。この先のことしっかり考えているの?」

 

「もちろんです」

 

 俺が答える前にリオンが食い気味で答える、そうなるとは思ったよ。

 妙にキラキラした顔で立ち上がる様は最早一種の怪しさまで覚えるくらいだ。

 

「うっ……何だか思い出しちゃいけないものを思い出しそうな気が……」

 

 哀れマリー、それは前世でタケさんにその顔で言いくるめられ盛大に騙され七並べで六をタケさんに止められまくって負けて俺とタケさんのプリンを買う羽目になった高校時代の事だ、思い出さなくて良いと思うぞ。

 

「そう。そこまで言い切るならこれ以上言うことはないわ。リオンくんには別件を手伝ってもらいましょう」

 

「というと?」

 

「私、他国から嫁いできたから学園に通ったことがないのよ……だから学園での思い出が欲しいな~って」

 

 あ、その横でリオンが真っ白に燃え尽きてる。

 今そんな可愛い言葉リオンに掛けたらそりゃそうなるだろと。

 大体の男でもそうなるだろうが……うん、ダニエルとレイモンドは泣くなそして夢を見るなその人はイレギュラー中のイレギュラーだ。

 

「いいでしょう。共に学園での思い出を作りましょう。ミレーヌさん俺と結婚してください」

 

「ええっ!?」

 

「リオンさん何を言ってるんですか!?」

 

「相手は王妃様だぞ!?」

 

「は?」

 

 外野はこのプロポーズに騒いでる……一名ガチギレしてる殿下を除いて……だが、まあ半分は『この世界における学園』という事を念頭に置いた場合の発言だろう、もう半分はどう考えても婚活に疲れて錯乱してるんだが。

 しかしまあ、この王国を見てきた男子なら突飛押しもない話だと思うと同時に納得もしてしまうのではないだろうか。

 そりゃお前、10代の野獣と30代の清楚美人なら後者選ぶだろうよって話ですよ。

 

 ただ俺には10代でツンデレ、家事万能、美少女で俺にゾッコンな幼馴染婚約者がいるからそうはなってないがな。

 羨ましかろう諸君、俺はこれを微笑ましく見守れる余裕があるのだ。……代わりに胃薬案件が増えてる気がするのはきっと気のせいだと思いたい。

 

「好きです、愛しています」

 

「こ、困ります……私には夫も子どもも…それにおばさんだし……」

 

「関係ありません。あなたは美しい。たとえ家族がいたとしても俺は……」

 

 そんな感情ジェットコースターの俺を差し置いてリオンはもう自分の世界を作り出してしまった。

 あの人学生時代から妙に演技が上手くてこう、見るからに胡散臭い役柄においては群を抜いて誰も太刀打ち出来なかったのを思い出す。

 それにしっかりガチで照れ始める王妃様の純粋っぷりは学園の女性諸君は是非見習ってほしいものである。

 

「ぐおっ!? ……とと、いってぇな。誰だこの……」

 

 しかしそんなリオンの蛮行を許せない人間は確実に一人いる訳で。

 

「あ、殿下」

 

「バルトファルト、人の母上を、しかも目の前で口説くとはいい度胸だなァ……」

 

 そりゃそうなるよ。

 息子の目の前で母親が口説かれてるとかどういう気持ちでそれを見ろって言うんだよ俺がその立場になったとしても流石に思わず手が出るって。

 

 その後? そりゃ知っての通りリオンが吹っ飛ばされただけだから割愛しても良いだろ。

 ただ一点……リオンと殿下達が同じ店で働いてたお陰で王妃様のマリーへの心象はそこまで悪くならなかったらしい。

 

「……マリエちゃん」

 

「ひゃ、ひゃいっ!」

 

「これからは好きな男は一人に絞るのよ? さもないと……ふふ、ローランドみたいに痴情のもつれで刺されちゃうから……」

 

「ひえっ」

 

 ただ去り際にめちゃくちゃな爆弾を投下していったが。

 おいそれ話して良かったのかよ……まあ国王とは言ってもあのローランドだし多分いっか……

 

「それとユリウス」

 

「なんでしょう母上」

 

「お説教するので着いてきなさい」

 

「……はい」

 

 あとオマケに殿下は回収されていった。

 

 

 

 

「さーて、今日はまだまだ客が来るぞ! アル、行けるな?」

 

「おうよ。つーか殿下様々だな、あの五人衆さえマリーの護衛に着いてればセクハラもガードしてくれるしどさくさ紛れに嫌がらせして来ようとする奴らにも圧を掛けてくれる。マリーの事に関してはマジで頼もしいし顔も良いから客引きも完璧だ!」

 

「お前マリエの事になると本来敵みたいな連中でも躊躇無く使うよな」

 

「何せ利害が一致してるんで」

 

 本来ここでリオンが自称閉店宣言をするくらいガラガラになるはずだったがそこは流石イケメンパワー、学生用だからと原価率を高めに設定し儲けはそこまで出ない、あくまでも宣伝用の学園祭になると思っていたがバンバン稼ぎが出ている。

 

 ああ、平和って良いなあ……

 

「あの、まだやってますか?」

 

「いらっしゃいませ、お嬢様」

 

 うん? なんだか殿下の声の前に聞き覚えのある声が聞こえた気がしたんだが……

 

「あ、オリヴィアさん! 前に頼んだ件お願いできる?」

 

「はい。リオンさーん、アルさーん、今良いですか?」

 

「はいよ。悪いけどダニエル、レイモンド厨房少し頼む」

 

「オイオイ俺もか? まあ良いけど……」

 

 ダニエルとレイモンドに厨房を引き継ぎ出て行く。

 また嫌な予感しかしないのは気のせいであってほしい……いや出て行った今となっては『あってほしかった』が正解だろう。

 

「こちらカーラさんです。リオンさんに紹介してほしいと言われて」

 

「カーラ・フォウ・ウェインです。男爵、アルフォンソ様、どうぞお見知りおきを」

 

 ……胃薬、足りるかなあ。




二話連続胃薬オチという禁じ手を使った作者の明日はどっちだ

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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