幼馴染はどうやら転生しても続くらしい 作:ぶり大根(元・孤高の牛)
「それで……わざわざリビアに紹介を頼んだ理由は?」
隣の空き教室、そこにいるのはアンジェ、リビア、俺、リオン、カーラの五人。
流石に男客を引く為のメイド一人は必要だろうと泣く泣くマリーを回したがあの馬鹿五人衆に口説かれてないか心配だ。
え、他の客に対しては良いのか? 他の有象無象は俺が何もしなくても五人衆が虫除けになるから大丈夫なんだよなこれが。
「男爵、アルフォンソ様……どうかウェイン家を、私たちをお救いください」
それと君の胡散臭さはリオンよりあからさまに出てるからもう少し隠そうね。
はぁ……しかし空賊編か、その前にマルケスをステファニーから引き剥がさないと我が親友が首チョンパだ。
胡散臭い美人を尻目に、憂鬱過ぎて仕方ない今後に頭を悩ませるのだった。
「はい、マルさん。なんで君が呼ばれたか分かるかな?」
「え……えっと、なんで?」
「ステファニー嬢関連の話だよこのニブチン」
その日の夜、このままでは親友がステファニーに協力しかねないと言う重大な危機を迎えている現状を打破する為マルケスを呼び出していた。
当の本人は何の為に呼ばれてるかすら検討が付いてないニブチン振りで更に頭を抱えたがコイツはそもそも頭は悪くない、ただ純粋過ぎるだけなんだ。
だからどうにかなると信じて説得してる訳なんだが。
「え、ステファニーさんの話? ど、どうしたの?」
「どうしたもこうしたもねえよ。何がどうしたら今まで男爵家の男か俺しか付き合いの無かったお前が伯爵家の、それも令嬢と一緒にいたんだよビックリし過ぎて胃に穴が空くとこだったわ」
ただ最初から何もかも否定し出すと人間意固地になるし、一応は親友が心を開いた女なんだほんの僅かな可能性に懸けてどこでどう知り合ったか話を聞いてみるのも悪くないだろう。
願わくばステファニーが実はこの世界線では悪い子じゃありませんでした展開を期待したいところだが……
「そ、そうだよね! 突然あんな感じで現れちゃったらビックリするのも仕方ないよね……じゃ、じゃあステファニーさんとどうやって出会ったのか聞いてよ。僕が初めて本当の他人から僕のメカを褒められた時の話を……」
あ、もう開幕前からダメな予感しかしないわ。
アレは文化祭の前の日、僕が部屋に戻ろうとした時の話なんだけど、その通路に偶然ステファニーさんがいたんだ。
流石に伯爵家の人だから下手にすれ違えないと思って何とか壁になろうと思ったんだけど……
「……あら、貴方変なの連れてるわね」
「……え、あ、僕の事!?」
「そうに決まってるじゃない。チッこれだから……」
その時は結構怖かったんだけど、本当は良い人だと思うからここは気にしなくても良いかな……僕が気付けば良かったんだし。
で、多分僕の肩に乗せてるネズミくんの事聞いてるんだなと思ったから、馬鹿にされるだろうと思ったけど言ってみたんだ。
「ご、ごめんなさいごめんなさい! え、えと、この肩に乗ってるのは僕が作ったメカなんだ」
「ふーん、メカね。で? 何か面白い仕掛けとかある訳?」
「こ、これはね! 録画、録音、撮影、それに複数体を用いた通信機能でそれ等を送受信したりするんだ。しかも自立行動もするから凄いんだよ!」
「録画録音撮影……今貴方それに自立行動と通信機能が付いてるって言った?」
「う、うん!」
「す……」
「す、ステファニーさん?」
「凄いじゃない! 貴方そんなに凄い物作れるなんて感心するわ~、どこの田舎貴族かと思ってたけど話してみるもんね……ふふ」
そしたら物凄く褒めてくれたんだ。
今まで機嫌悪いのかなって思ってた顔も凄く笑顔になって、間近で見たのもあるかも知れないんだけど綺麗だから少しドキッとしちゃったな。
「あ、ありがとう。僕……自分のメカ、仲良い人達とか身内以外に評価された事無かったから……僕凄く嬉しいんだ」
「あら可哀想。そんなに良い腕があるのに評価が低いなんて……まあ良いわ、貴方名前は?」
「え!?」
「名前よ、な・ま・え。これから宜しくするんだから名前くらい知っといて良いでしょ」
「そ、そうだね。ぼ、僕はマルケス・フォウ・サンドゥバルって言うんだ。男爵家の次男なんだ」
「アタシの名前は知ってると思うけどステファニー・フォウ・オフリー。貴方気に入ったわ、明日の文化祭はアタシと回りなさい」
勢いで名前言って知り合っちゃったけどまさかここまで誘われるとは思わなかったよね。
だって僕の家は五位下の最底辺男爵家、ステファニーさんは伯爵家のお嬢様だから住んでる世界が違うって思ったし。
「ぼ、ぼぼぼ僕と!? でも僕みたいな男爵家の次男と伯爵家のお嬢様じゃ釣り合わないんじゃ……」
「は? アタシが回れって言ってるんだけど、それともマルケスさんはアタシじゃ不服なのかしら?」
「い、いやいやそんな! そ、その体裁的に僕なんかで良いのかなってつい……」
「ふーん、ならアタシと回りなさいな。このアタシが気に入ったって言ってるんだから文句は言わせないわ」
「そ……それなら……お、お願いします……!」
「それじゃ決定って事で」
でもステファニーさんはちょっと強引かなって思うくらい僕を文化祭一緒に回るのを誘ってくれたんだ。
今まで女の人に興味が出なかった僕も、何だか僕の大切なメカを評価してくれたのを見てからそれで浮かれちゃって……
そして、自分の体裁なんて気にしないそんなあの人の心にもう少し触れてみたい、もっと知りたいと思っちゃって……
「……これが僕とステファニーさんの出会いかな。ど、どうだった?」
「い、意外とガッツリ褒められてんな」
「えへへ」
取り敢えずコイツがしっかり騙されてる事は良く分かった。
何せメカの性能を聞いてから急に態度が変わってるじゃねえか、どう考えても空賊関連でネズミくん悪用して出し抜こうとしてるのバレバレだっつーの。
せめてもう少しコイツが自己評価高いか他人から褒められてればこんな明け透けな詐欺師に騙される事も無かっただろうに……ただ、それでも褒められて嬉しくならない人間なんていないからなあ。
素性さえ知らなきゃこうなるのは当たり前か。
……強引に引き剥がす事も考えたが、最悪の時にだけちゃんと切れるくらいの忠告で済ませとくか。
だってこんなに嬉しそうに笑うマルケスとかそうそう見た事無いんだからさ……甘いと思うなら思ってくれ、俺は身内にはどうしても弱いんだ。
「……だが一応言っておく事がある」
「な、なに?」
「ステファニー嬢だが、俺が入学してから今まで悪い噂を絶え間なく聞いている。勿論、お前の言葉を全く信用しない訳じゃない。俺の親友の言葉だから信用したいところだってある……だがな、そういう背景がある以上警戒はしていてほしい」
「す、ステファニーさんはそんな事する様な人じゃ……」
「あくまでも心に留めておくくらいで良い。万が一お前が騙されていて、悪事に加担させられかけた時これを覚えていればステファニーが本当は良い奴でも、その事以外の時にだって応用出来るだろ? 身構えといたって損は無いはずだ」
「そ……そっか。そうだね、うん……ありがとうアル、心配してくれて」
「俺とお前の仲だ、気にする事は無い」
悪いなマルケス……お前の事は大抵信用してるが今回ばかりはステファニーの釣り針がデカすぎるんだ許してくれ。
でもお前がいなかったらこの時点から既にリビアのアンジェに対する不信が始まってギクシャクしてただろうし救われたと言えば救わたところもあるからそこは感謝してるんだぞ。
「えっと……多分明日も来ると思うけどよろしくね」
「ま、まあ荒らしとかせず今日と同じみたいにしててくれれば俺としては心労が減るからそうしてくれると助かるが……」
「だ、大丈夫だよ。ディーンハイツ領の紅茶気に入ってくれたみたいだし、お菓子とか料理も気に入ってくれてるから。多分そういう荒らすみたいな事はしないと思う……うん」
「なら良いが……っと、そろそろ消灯時間か。悪いな長々と」
「ううん、僕も緩いところあるから。教えてくれるのアルくらいだし平気さ。それじゃあまた明日。おやすみ」
「おう、おやすみ」
マルケスが居なくなりふぅ、と一つ息を長く吐く。
出来る事なら明日来るとかはお断りしたいがマルケスの頼みとあったら断れない。
アイツがステファニーと関係を持った事で起きたバタフライエフェクトで現状悪くないと言えたのはアンジェ、リビア間の仲がまだ何とも無いところとアンジェ、ステファニー間の均衡がギリギリ破られてないところか。
お陰で店の評判は落ちなかったし、それどころか殿下チームを吸収出来たお陰で効率が良くなって学園祭で出すクオリティを遥かに超えるティーセットと茶葉、菓子や料理も質の良い物を提供出来て原価率爆高の癖に荒稼ぎの嵐だ。
流石に効率は賭博と比べたら段違いに落ちるがこのまま行けば全員で売り上げを山分けしたとしても一人頭……ふ、ふふふ……これは殿下に土下座してでも協力を要請した甲斐はあるな。
「しかし学園祭が終われば俺達は空賊退治に駆り出される訳か……いくら安牌と言えど少し緊張するな」
しかし笑みを零した後には緊張が走る、何せこれが終われば空賊編だ。
訓練や決闘ならまだしも空賊編からは一気に公国との戦争にもなるんだし下手をすれば命に関わる戦いに巻き込まれていく事になる。
そしてその公国戦編では文字通り国同士の戦争になる。
「……どこで俺がヒロって明かすかは、中々難しいだろうな」
後悔しない選択を、決断をしないといけない。
気を引き締めていかないとな、うん。
【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?
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大丈夫だ、問題無い
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無理
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アルマリでイチャイチャしろ