幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第二十五話『どうしようも無い事だってある』

「よーし、それじゃあリビアとアンジェ、それと殿下は休憩行ってきてくれ」

 

 リオンの号令で三人が気付き休憩に入っていく。

 いやあ繁盛繁盛、殿下達が居ない世界線じゃガラガラもガラガラで閑古鳥が鳴いていた程だがこっちじゃ絶え間なく客が来るから疲れちまって敵わない。

 ただ働けば働いた分儲かってる事を考えると笑いが止まらなくなる。

 しかもアンジェもリビアも仲睦まじそうで平和そのもの、これが胃薬の要らない世界なんだなあ。

 

「……成程、殿下とアンジェの仲直りの意味もあると」

 

「そう言う事。でも殿下から歩み寄れるかどうかは本人次第だけどな、そうなれる様にキッカケと後押しくらいはしてもバチは当たらんだろうさ」

 

 昨日は中々タイミングが合わずに同時に休憩を入れるのが叶わなかったが、今日は強引にでも行ってもらう。

 一応回せる人数とピーク帯でない数少ない時間だからここで行かせないと詰んでしまうのだ。

 金稼ぎと両立させるにも一苦労って訳だがこっちの陣営と繋がりを強めておけばそうそう簡単にアイツらが変な方向に動いたり原作と完全に違う地雷ムーブはしなくなるはずだ。

 

 そう言う意味でも殿下、アンジェ間は是非とも仲直りしてもらいたい。

 

 ……この後多分起きるであろうアンジェとステファニーの乱闘でのアンジェの心のケアもあわよくばしてもらいたいしな。

 

「店もギリギリ動かせるし良いと思うよ」

 

「これで僕達にも多少お金の余裕出来そうだね」

 

「ククク……君達、そのお金増やしまくりたいと思わんかね?」

 

 なんだなんだ、俺がちょっと心労方面の心配をしてる時にリオンお前はお金の話かい。

 まぁ俺だってリオンと同じ事やって同じとこに『全額ずつ賭ける』けどな。

 

「な……これ以上金を増やせるのか!?」

 

「そうそう、最終日の『アレ』でな」

 

「……アレ?」

 

「アレって……まさか……」

 

「ちょっと、口動かすくらいならちゃんと接客しなさい! まだまだお客さん来てるんだからね! あと賭け事は程々にね! アタシはそういうの嫌いだから!」

 

 そう、アレとは皆さんお馴染みの賭博オブ賭博である。

 毎年恒例学園祭の最終日に開催されるバイクレースは大規模なもので、まずブロック毎にレースを行いブロック上位二人が決勝に進出する流れになっている。

 

 それはそうとマリーお前は母さんか?

 

「は、はいぃ!」

 

「い、イエッサー! ……マリエちゃんはしっかり者でアルが羨ましいよ」

 

「全くだ……」

 

「マリー! 俺は勝てる勝負しかしないから安心してくれ!」

 

「そういう問題じゃないんだけど!」

 

 まぁ良いか、俺は本当に勝てる試合しかベットしないし。

 それにリオンに倣って賭けりゃ確実に勝てるからな。

 さーて当日が楽しみだ。

 

 

 

 

 

「へっへー……ぅへへへへへ~」

 

「数名が特定の選手を勝たせる様に動く様です。予想通り6と4で問題ありません」

 

「い~や~ルクシオン様々だァ、正に倍々ゲーム! ぐふっぐふふふふふ」

 

「プロの試合じゃなくてアマチュアの学園祭だからって八百長横行し過ぎだっつーの。ま、そのお陰で俺達は稼ぎまくれてるけどな。ダニエル、レイモンド、どうだ賭博の味は?」

 

「これ、ハマったら抜け出せなくなりそう……」

 

「ど、同感……」

 

「ああ、でもなんにでもやたらめったら賭博するのは止めとけよ。俺達は『勝てる試合しか賭けない』んだからな……ひひひ……」

 

「そういうこった! つー訳でお前らは俺に乗っかってろよ~?」

 

 いやーほんと勝てる賭博って最高だわ。

 レース当日リオンは自分で建てた予想を元に賭ける候補を事前に組み立て、入念に精査する為ルクシオンに情報を探らせていた。

 すると八百長が出るわ出るわ……リオンの予想通りに100%動いてくれてる。

 これだけ分かりやすいんじゃ学園の腑抜け共はさておき俺やリオンなら簡単に稼げちまうな。

 

「随分と入れ込んでる様だが……」

 

「いつか痛い目見ますよっ、皆さんもっ」

 

「ほんと、何やってんだか」

 

 おっと女性三方登場ですか。

 賭博はロマンだぞ女性陣、勝てば勝っただけ金が増えていく夢の様な遊びなんだ実に素晴らしい、そうは思わんかね。

 

「わわ、アンジェリカさんとオリヴィアさんにマリエさん!?」

 

「お、オイオイ大丈夫なのかこの三人に見つかって……」

 

「だ~いじょうぶ、俺達負けないから~」

 

「勝てる賭博に乗らないのは男じゃないんでね、俺もリオンも徹底したデータと入念な調査が出来ない賭博には乗らないし大目に見てくれるって」

 

「なんかもう溜め息しか出ないわ……(ゲスい癖に手堅い事二人でしてるの見ると兄貴とヒロくん思い出しちゃうじゃない)」

 

 おう聞こえてるぞマリー、俺にだけは聞こえてるぞ。

 確かに俺とリオンは前世で悪ガキコンビ組んで色々やらかしたり騒いでたりしてたがゲスでは無い……無いと思いたい。

 

『6番1着、4番2着!』

 

「アーハッ! 笑いが止まらないねえ!! アーハッハッハッハッハッハッハ!!」

 

「な、言っただろ? コツさえ分かればいくらでも金は増やせるってな……ん? ダニエル、レイモンド、どうして二人とも冷や汗なんてかいてるんだ?」

 

「リオンはせめて人間の顔を保て……」

 

「アンタが破滅型のギャンブラーじゃなくて本当に良かったと思うわよ……うっ破滅型って聞くと頭が……」

 

 そりゃそうだ、お前は本来その破滅型ギャンブラーにばかり好かれて金に苦労する地獄の未来が待ってたんだからな。

 ま、俺は賢いからそんな事しないけど。

 

『現在トップはジルク選手! 流石優勝候補の一人です!』

 

「ジルク……精々俺を儲けさせてくれよォ?」

 

『おっと! 優勝候補のジルク選手どうやら標的にされています! 激しい激突が続いています!』

 

「なに……!?」

 

「マークがきついな」

 

「どうしてあんなことを!」

 

「いや、てか流石にヤバくない?」

 

「標的にされてるってレベルじゃないよこれは!」

 

「た、確かに心配ね……」

 

 そして舞台はジルクの試合へと移り変わったんだが……正直こんなのレースって呼べないレベルの妨害が続いている。

 アニメや原作で見たより間違いなく激しく、怪我なんてレベルでは済ませないと言う憎悪を感じる程だ。

 

「あの邪魔をしているヤツら……クラリスの取り巻きか」

 

「クラリス? それって……」

 

「ジルクの『元』婚約者……ま、自業自得か。それにしてもやり過ぎだっての……」

 

 そう、これをやってるのは変わらず元婚約者クラリス先輩の取り巻き達であり自業自得と言えば自業自得だ。

 だが、俺としてはやるせない気持ちになってしまうのだ。

 

 ……これが改変した未来の代償、悪い方のバタフライエフェクトという事だ。

 そりゃリオン周りをこんな序盤から整えたらクラリス先輩は道化として踊ってたと言われても過言では無いレベルだ、憎悪が高まってもおかしくない。

 そしてそれをやったのは紛れも無く俺だ。

 誰かを助ける事で誰かの未来が狂う事がある、そんなのは分かっていた。

 しかし分かっていたとしてもこれを見るのは少し辛いな。

 

『ベンジャミン選手1着! ジルク選手踏ん張りましたがなんと2着でのゴールインです……おおっとここでベンジャミン選手失格、失格です! 度重なるラフプレーが響いたのでしょうか、これでジルク選手繰り上げ1着! 辛抱強く粘り、勝ちを拾いました!』

 

「……流石にヤバいな」

 

「だ、大丈夫でしょうか……」

 

「激しくぶつかられるプレーが多かったからな……軽傷なら良いが……」

 

 それでも天性の腕前があったのか、ジルクは繰り上げとはいえ1着で決勝進出を決めた……が、あの感じでは決勝レースの出場は無理だろうな。

 ただでさえ原作が欠場になったのに、それと比べても遥かに酷いラフプレーが目立ってのゴール。

 ジルクはヘルメットを外す事すら叶わずその場でうずくまって動けないのがここからでも分かってしまった。

 

 どうしようも無い事だってある、そんな事分かっている。

 それでも今は少し、この場から離れたかった。

 

「……悪ぃ、ちょっとトイレ行ってくる」

 

「お、おう」

 

「一々言わなくて良いのよアンタは……」

 

 マリーの呆れた様なコミカルな返しに笑える余裕は、無かった。

 

 

 

 

 

「……分かっていた事ではあるんだがな」

 

 喧騒に紛れ俺の呟きは掻き消される。

 それが良いのか悪いのかは分からないが、深く思い詰め過ぎる事が無いこの五月蝿さは丁度良いのかも知れない。

 

「あれ……アル?」

 

「ん? ……なんだマル……か……って」

 

 ジルクの様子を見に行く前に何か気晴らしにしたいと思っていたところでマルケスに遭遇した。

 これで何とか気晴らし出来るかと思っていたのだが……俺はとある事を忘れていた。

 

「マルケスさん? もしかしてこの方が貴方の言っていたアルフォンソさん?」

 

「う、うん! そうなんだ! 僕の大切な親友さ!」

 

 しまった、マルケスは今日もステファニーと回るのだ。

 クラリス先輩の事は一旦頭の片隅に置いていけるがそれはそれとして関わり合いになりたくなかった事が舞い降りてきて憂鬱になる。

 しかし怪しまれるのも面倒だし、ここは普通に挨拶しとくか。

 

「オフリー嬢、お話はマルケスから伺っております。我が親友と仲良くして下さり光栄に思います。私アルフォンソ・フォウ・ディーンハイツと申します。実家は子爵家と位はそこまでありませんが以後お見知り置きを」

 

「あらご丁寧に。ま、そこらのカス共よりはマシな感じね……良いわ、このアタシに名を覚えられる事、名誉に思いなさい!」

 

 取り敢えず一旦媚びを売っとけば敵視はされないだろう、俺はするがな。

 ご機嫌な時のステファニーは中々に美少女だしずっと何も起こさず馬鹿な高笑いでもしてれば良いのに……どうしてこう、最高に頭の悪いクズなんだろうなコイツは。

 

「オフリー嬢、挨拶だけで申し訳ございませんが私これから予定がございます故、これにて失礼させていただきたく思います」

 

「ま、別に話す事無いし良いわ」

 

「ありがとうございます、それでは失礼致します」

 

 はい高速離脱成功、マルケスにはアイコンタクトで『万が一には何としてでも止めろよ』とだけ伝えてその場を去る。

 あんなところそう長々いて堪るかってんだ。

 

 しかしクラリス先輩にカーラ+ステファニーに公国戦……はぁ……憂鬱になるなあ……暇を見つけて久々にマリーに耳かきでもしてもらうか……

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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