幼馴染はどうやら転生しても続くらしい 作:ぶり大根(元・孤高の牛)
167cm/60kg
五位下男爵家の末っ子で努力家
リオンやアルフォンソと言った嫌われ者にも偏見を持たず接し、同志としてアルフォンソのエアバイクのメンテナンスを行った
ジルクやダンよりは劣るもののエアバイクの腕に長けており、その界隈では期待の掛かる選手の一人
実はリオンと殿下の決闘にだけお小遣いを賭けていた経緯があり、リオンに稼がせてもらっていたりもする
「ふぅ……お、セミエン」
「よ、3着おめでとう。凄かったぜお前……応援して良かった」
ジルクのいる医務室に戻る途中セミエンを見つけた。
優勝では無かったものの自分の夢を託して走った同じ境遇、同じ学年の俺が表彰台に上がった事で凄く輝いた目をしている。
ここまで喜ばれると俺としても走って良かったと心の底から思う。
……よし、決めた。
「セミエン、受け取れ」
「待て待て!? いや、なんでお前それ……だって……」
「良いんだよ。お前が頑張ってメンテナンスしてくれたから俺はただの訓練機でも3着になれた、ならご褒美があったって誰も文句無いだろ? つーか俺の中ではセミエンこそが実質3着みたいなもんだし」
俺はセミエンに重量のある袋を受け渡す。
そう、この中には今大会で3着に入った賞金全額が詰め込まれている。
1着に比べると大分少ないが、それでも下級貴族からしたら非常に生活が助かるレベルの金額が入っている。
それを、俺は渡したのだ。
「あ、アルフォンソ……」
「俺は最近賭博でじゃんじゃん稼いでるしな、なんてな! ……本当は応援されたのが嬉しかったってのが本音で、それの礼代わりみたいなもんだよ」
野次を聞くのは好きだ、それこそそれを真っ向からぶっ潰す事はもっと大好きだ。
しかし人間の、純粋に応援される事で得られる物の大きさにはいつも驚かされる。
こんなに心強く、頼もしく、嬉しいものかと感じてしまう。
この賞金をセミエンに渡すのは、そんな気持ちへのせめてもの礼代わりだ。
「ありがとな……良かったらこれからも仲良くしてくれ」
「こんな俺で良かったらいくらでも歓迎するぜ」
グータッチを交わす。
これで俺にもリオンサイドの友人を除いてやっと二人目の友人だ。
これも何気に嬉しかったりするのはまた秘密だったりする。
「ハッハッハッハッハ……」
「いやぁ稼いだ稼いだ。マリーこれで借金どれくらい消せる?」
「うーん、半分は何とか……?」
「ラーファン家どうなってるん? 頭おかしくね? まあこれで半分減るなら良いか……」
所変わって医務室。
俺は賭博で全力で稼いだ金を借金返済に当てる算段を立て横でとんでもない顔をしながら笑うリオンを尻目にマリーと相談をしていた……のだが俺の四割……勿論例の決闘で溺れても溺れたりないくらい白金貨を手に入れて……の財産をこのエアバイクレースの全試合に二連単で投じて、そこから決勝も最下位人気―1番人気―ブービー人気の三連単で完璧に稼いでってしたのにも関わらずマリーが肩代わりする羽目になったラーファン家全借金五割の半分ってラーファン家は一体どれだけ借金してんだよ。
「ちょ、流石に負担掛けすぎじゃない……?」
「気にすんな、俺としては多過ぎるくらい手に入れた金だ。婚約者の為に使えるのなら本望だよ」
「……ありがとね」
実際のところは金はいくらでも、それこそ今ある資産でも足りないくらい欲しいがそれ以上にマリーに使えるなら本望と言うのもまた本音だった。
何せマリーが自分でやらかした借金ではなく完全に全て元実家に背負わされた全くもって責任を負う必要の無いものだからな。
……なんか思い出したらまたジワジワ腹立ってきたな、潰せる時になったら絶対フルボッコにしてやる。
「お前も大変そうだなマリエ……まあ多少の援助くらい考えといてやるよ」
「な、何が目的!?」
「いや酷いなお前(一応は前世で妹なんだし……あと幼馴染の婚約者だしな。いやそっちをメインにしとこうそうしよう)」
「はっ……つい本音が」
リオンお前はもう少し素直になれば良いものを。
本当は妹大好きな癖に。
「ったくお前は……あ、それより……ジ~ル~ク~く~ん? 早速借りを返してもらおうか?」
「分かりました、何でも命令してください。可能な限り応えますよ」
「何させるんです? 裸で逆立ちとか?」
「え!?」
話は移り変わって本題のジルクが返す借りの話になっていた。
カイルは性格がこの時点である程度マリーに信頼寄せてるレベルになったのにその提案は変わらないのかよ。
あとマリー? そんなもん想像しなくて良いからな? 目に毒だから。
「それも良いな。女子の前でやらせれば金になりそうだ」
「どこまで守銭奴なのよアンタは……」
「鏡を貸してやるから自分の顔を見てみろ、俺と同等レベルの守銭奴がいるぞ」
「は? じゃあアンタ実家がクソ貧乏でしかも実家から使用人未満の扱い受けて学園入学前の主食が森で採ったリスと熊になり掛けたアタシの気持ちが分かる訳? まあギリギリアルの家でお世話になれたから主食にならずには済んだけど」
「スマン俺が悪かった、許せ」
「そ、想像以上にラーファン家は酷かったんですね……それで私は何をすれば?」
「おー悪いな、それはだな……」
再び所変わって今度はクラリス派閥の飛行船ラウンジ、そこにリオン、ジルク、クラリス先輩、ダン先輩、それを筆頭にしたクラリス派閥の取り巻き連中、片腕を骨折していたジルクに肩を貸す名目で俺の計十人程度が対峙していた。
俺はダン先輩だけだと思ってたのに原作版の殺伐とした雰囲気はNG。
「この度のことは本当に申し訳ありませんでした。すみませんクラリス。あなたには悪いことをしたと心から思っています」
「今更遅いのよ! 私は……私は……婚約破棄されても、それでもずっと、ずっと待っていたのに……それをこの期に及んでたった手紙一枚で全部無かったことにできるとでも思う訳!?」
「あなたの前で嘘をつくのが嫌でした。私は他の女性を愛してしまいましたから」
刹那、ジルクの頬にビンタが飛んでくる。
クラリス先輩の怒りはご最もが過ぎる、ずっと待っていた婚約者が手紙一枚寄越して婚約破棄なんて、俺からしたら自殺ものだ。
最悪この人は、自分が愛した人間が他の人間を愛しても誠実に諦められる人間だろう、今回も本題がそこでは無いのがマリーに言った言葉から分かっていた。
本題は、自分に何も話さず勝手に婚約破棄されたという『裏切り行為』に他ならなかった。
そして当のジルクはこの有り様だ、なんでコイツは一々人の癪に障る事ばかりセレクトして言葉にしてしまうのか理解に苦しむ。
「あはは! そうやってまた誤魔化すの? ジルク、貴方はいつもそうよね、そうやって体良く言い繕って自分とユリウスの評価ばかり気にしてッ!! 婚約者の私にだって本音を語ったことなんかただの一度もないじゃない!! ああそう、だからそうして今もそうやって謝るふりをして逃げるのね……こんなのに恋してた私が馬鹿みたいじゃない……!!」
「自分でも分かりません。けれどマリエさんを愛してしまったんです。その気持ちに嘘を付きたく無かったんです」
「うーんこのクズ」
「お前がイケメンだから綺麗に聞こえる気もするが、要は面倒だから会いたくなかっただけじゃねぇか」
「……」
オイ何か言い返せやジルク、お前これに言い返せなかったら自分の命が危ないの分かってんのか? 分かってないんだろうな。
俺達のツッコミに言い返さないと分かるや否やクラリス派閥の取り巻きの殺気立ちが頂点になった。
「調子の良い事を抜かすんじゃねえよ!!」
「お前は……お前だけはァ!!」
「ジルク貴様ァァァ!! 俺達のお嬢様を裏切ってタダで済むと……!!」
「待ってみんな!!」
しかしそれを制したのもまたクラリス先輩だった。
慌てて止める様は少し前まで立派な清純可憐なお嬢様だった片鱗が見えて更に悲しくなってしまう。
ジルクお前……殺されなかった事を神に感謝しろよ本当に……
「お、お嬢様……しかしッ……」
「もう……もう、良いのよ……貴方達が手を汚す価値も無いわ。私はこんな男とは金輪際関わらない。これからは他人よ。二度と私の前に姿を見せないで……関わらないで」
「申し訳……ありませんでした。そしてありがとう……クラリス」
「呼び捨てにしないでくれる? もう顔も見たくないのよ、アンタなんて」
そして取り巻き達に強制的に退室させられるジルク。
あ、俺とリオンは追い出されないのね……やっぱりこの人達ちゃんと常識あって本質的にはきっと優しい人達なんだろうな。
「……悪かったな、色々と迷惑を掛けた」
「そ、それ程の事はしてませんって……」
「悪いのは全部アイツなんですから、ダン先輩が謝る事じゃないでしょ」
「と、取り敢えず俺帰りますね?この場には相応しくない」
「いや、少し待ってくれ」
「せ、先輩……」
リオン……面倒だからって俺を置いて逃げようとするのは止めような、俺は別に置いてかれても本題があるから別段どうも思わないけど他の人間ならキレてるぞ。
「俺達が呼び出してもアイツは来なかった。お前らには――男爵とディーンハイツ殿には感謝しています。数々のご無礼、申し訳ありませんでした!」
「申し訳ありませんでした!」
「俺達に至らぬところがあったのならば殴ってもらっても構わない、だがお嬢様は今回の件とは無関係だと言う事にして見逃してはもらえないか?」
どこまで誠実なんだよこの人達……しかも何とかしてクラリス先輩だけは全力で逃がそうと言う団結力もある。
殿下や馬鹿レンジャーの取り巻き達もこれくらい見習ってほしいんだよ。
さてと、リオンにばかりこの話を背負わせるのも少し気が引けるし、ここは俺が一芝居打って悪者になっとくかな。
「ウチのマリーにした事を無視しろと?」
「駄目なら俺が責任を取るまでさ……俺の命を持ってしてな」
「だ、ダンさんにだけ責任は取らせませんよ! 俺だって死罪になる覚悟くらいは!」
「俺達だってお嬢様の為ならなんだってしてやる!!」
全く……本当に良い人達に恵まれたなあこの人は。
それと同時にジルクのやらかしっぷりが盛大に露呈してくるな、アレが最後に根性見せる馬鹿レンジャーじゃなかったら今すぐ半殺しにしてたところだ。
「ま、待ってよ! 私はそんな事絶対許さないから! ……全ての責任は私にあるの。貴方たちは私の命令に従った。それだけよ」
「ですがお嬢様!」
「あーはいはい面倒な小芝居は止めて貰えますか、アルお前もな。それに責任を追及しても面倒になるからそんな事しませんよ」
「と、言う訳です。クラリス先輩……ダン先輩達、良い人達っすね」
「お、お前ら……許してくれるのか」
「つーか最初から全部アルの演技ですよ……」
「……ありがとうみんな」
やっと泣き止んだと思ったクラリス先輩の目にまた涙が込み上げる。
しかし今度は、ダン先輩達大切な人々が全力で自分を守ってくれたからという感謝から来るものだった。
「まあそんな訳なんでそれじゃ俺はこれで……アルは残るのか?」
「あーまあ、ちょっとだけな。今出来た」
「分かった……先輩も、男なんて星の数くらいいるんですから早く立ち直ってくださいよ」
「……貴方は、捻くれてるけど優しいんだね……でも、私もう……汚れちゃった……アハハ……」
そんな悲しそうに笑わないでほしいんだけどな。
ほら、リオンも心苦しそうな顔になっちゃったし。
「安心してください。俺は嘘を付くのすら面倒なタチなんで素直に言いますが良い女のその程度の汚れなんて男は気になりません。まぁ、専属奴隷の数はどうにかするべきですが」
「……ふふ、ありがとう」
「そんじゃ俺は失礼しますね……ここに来る途中で、アンジェの友人から俺の友達が色々ピンチらしいって聞いたんでね」
「うん、行ってあげて」
リオンは口説き文句だけ言い放ち去っていった、お前もお前で罪作りな男だよ……こんなんで良くモブが名乗れるな。
っと、んじゃ俺の用事も済ませとくか。
「……先輩、リオンに惚れました?」
「……へ!? い、いや、その……」
「お、俺達リオン男爵なら応援しますよ!」
「で、でもほらリオン君にはアンジェリカも……あと平民の子……オリヴィアちゃんだっけ……も、いるし身分も……」
おやおやクラリス先輩焦っちゃって可愛いな。
本質的にはこっちが素なんだろう、微笑ましくて良いな。
「アイツ、リオンはこれからもっと功績を上げますよ。それこそ男爵や子爵に収まらないくらいにね……しかもリオンはああ見えて責任感のある男なんで、ハーレムでも全員しっかり愛してくれますよ……それこそ今度こそ裏切りなんてしないと確約出来る程に」
「アルフォンソくん……」
そう、俺の目的はこれだった。
結局結ばれる事無く卒業後も独り身だったクラリス先輩、せめてこの人の幸せをちょっと後押ししたって問題無いだろう。
最後に決めるのはリオンで良いんだし。
「因みに俺の用事はこれを後押ししたかっただけなんで失礼しますね……あ、そうだ」
俺はわざと思い出した様に呟く。
これが俺の、クラリス先輩に送る最後の一押しだ。
取り巻き含め全員が『?』となってるところにそっとそれを投下する。
「これはただの独り言なんですがね? リオンはどうやらお淑やかな女性が好みらしいですよ。……それじゃあこれで」
先輩が無理してこんな格好してる事も、無理してあんな不良みたいな言葉遣いしてたのも分かってたからな。
これで苦しみから解放されてくださいね。
……そして幸せになってください、応援してますから。
少しくらいは、罪滅ぼしになったと信じて。
クラリス・フィア・アトリー(原作・アニメとの相違)
ジルクに裏切られた事で不良化し派手な格好や粗暴な言動が目立っていたが実はずっと無理をしており今でも清純可憐な優等生側の方が素
余裕が無くなると話し方が素に近くなる
二十八話時点で既に明確にリオンへの恋心を持っている
ダン・フィア・エルガー
恐らく騎士家の人間(嫡男以外)
本作では原作版の『いざとなれば死罪でも受け入れる』覚悟が決まり過ぎているダンでアルフォンソをドン引きさせていた
クラリス派閥取り巻きのまとめ役
【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?
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大丈夫だ、問題無い
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無理
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アルマリでイチャイチャしろ