幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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※開幕はちょっとシリアス

マリエ・フォウ・ラーファン(アヤ)
前世で本来原典に存在しなかった幼馴染による影響で腹黒化が大分マシになり、世話焼きな面が目立つようになった(主にアルフォンソにのみ)
最初こそゲームに登場しないアルフォンソに困惑していたが幼馴染特権で幼少期から素がバレていたのもあり今では唯一素を出せる相手として気を許している
ハーレム要員としてもちゃんと見ている為する事はしている(ここ大事byアルフォンソ)


第三話『本番前の下ごしらえは大事』

「……チッ、マジうぜェ」

 

 ユリウス殿下の部屋の前、そこに俺はいた。

 話せば簡潔だが相変わらずな日々を過ごしていた俺とポンコツ四人共が急に殿下に呼び出されたのだ。

 今こうして部屋の前にいるがその招集自体は既に終わっていて、内容は『マリエのカバンと教科書が何者かにより燃やされていた』という事だった。

 全員酷く憤慨していたが、その全員が全員度合いはさておきアンジェリカを犯人候補として挙げていたのが非常に不快だったのを覚えている。

 

 俺は俺個人で一応マリーの心のケアという名目でこっそり五人衆の目を掻い潜って会ってたりもするが。

 

 まあ何にせよ相変わらず五人衆が不快だった以外は漸くとしてモブせかの原作進行状況に直接触れられたとあり、猫被りモードも残り短い命なのが俺にとっては朗報だった。

 

『マリエの教科書だ。カバンも燃やされていた。本当に心当たりはないのか?』

 

『ありません』

 

『その場にいた女子たちは"アンジェリカ様に命令された"と』

 

『私ではありません。なぜ信じてくださらないのですか?』

 

 話は戻るが、全員が誰がやったのかという事とマリーの心のケアに関して簡易的な会議を開いて終わって今に至る訳だが……案の定原作通りポンコツ殿下と腹黒野郎はアンジェリカをわざわざ呼び出し糾弾という名の擦り付けをしていた。

 

「おーおー胸糞悪ぃ事この上ねーな」

 

 この時間この部屋の周りに人が寄らないのを良い事に堂々と聞き耳を立てているが、やはり原作が進んだ事を確認出来たとはいえ無実の罪を勝手に着せられて勝手にキレられるのは不憫で仕方ない。

 

『マリエに近付くな。俺たちにもだ。お前との婚約は外でのことだ。学園では干渉しないでくれ』

 

「っと、バレない内に退散しておくか」

 

 そろそろ胸糞悪い話も終わるだろうし一旦自分の部屋まで戻ってからアンジェリカに接触してみるとするか。

 あくまでも殿下のイエスマンではなくある程度常識のある人間だと好印象さえ持ってもらえれば決闘後廃嫡騒ぎになった時リオン側からの口添えもあるはず。

 

 俺は貴族だとか権力だとかに興味は無いが、それを度外視して家の連中は全員大切な人達だと思って接して生活をしている。

 俺の考えを分かっていても避けられない廃嫡はあるんだから、その芽くらいちゃんと摘んでおかないとな。

 

 さてさて、しっかりと猫被りモードになっておきますかね。

 

 

 

 

 

「くっ……何故殿下は……」

 

 一度部屋まで戻り再度今度はアンジェリカの辿るルートの中盤辺りに偶然を装って現れてみた。

 ちゃんと当人が現れてくれた事で俺の計画が崩れる事はまず無くなったと心の中で安堵しながらエンカウント。

 

「あれ……アンジェリカ様……?」

 

「なっ……お前は……ディーンハイツ家の……」

 

「ディーンハイツ家嫡男、アルフォンソ・フォウ・ディーンハイツと言います……アンジェリカ様なら嫌でもご存知だとは思いますが……」

 

「ああ、殿下やマリエ達と一緒にいるのを良く見掛けている……」

 

 よし、偶然&控えめRPは一先ず成功だな。

 というかアンジェリカ目真っ赤じゃん……あのポンコツ殿下、自分の気持ちだけ優先させて女泣かせるとかクズ男も良いところだわ。

 まだあの中じゃマシって程度じゃ到底マリーを渡す訳にはいかない、誰にだって渡す気は無いが。

 

「…………もしかして、殿下と何か……?」

 

「あったとして……お前も私を責めるのか?」

 

 よし、話の切り出し方も完璧だろう。

 いつも気が強く泣く姿なんて見せない女性が泣いている事、婚約者なのにいつも殿下に軽くあしらわれてる不憫な存在、そう来たら流石に事情を知らなくても察せられる部分はある。

 後は最悪のタイミングで最悪のマリエハーレムの一員に出会ってしまったと思い込んでるこの人の印象をギャップでちょちょいと180°変えちゃえば料理完成ってね。

 

 決闘が本番だとすればこの接触は下ごしらえかな。

 

「いいえ……僭越ながら無礼を承知で申し上げますが、私は貴方の恋心を理解しています。アンジェリカ様の、殿下への恋心は……私がマリエに抱く気持ちと同じ様に、純粋なものだと知っています。だから……そんな純粋で気高い心を持つ貴方の事を無条件に責め立てるなど有り得ないのです」

 

「……! お前は、ディーンハイツは……私の話を聞いてくれるのか?」

 

「勿論ですとも。寧ろ私の様なたかが子爵家嫡男がアンジェリカ様のお役に少しでも立てるなら恐悦至極です」

 

 そこからはまあ聞き耳を立てていた通りの展開だったが、それ以外でも届かない想いを吐露したりマリエに嫉妬してしまう自分が許せないと語ったり。

 マリーには及ばないがこんな良い婚約者を見向きもせず捨てるとかポンコツ殿下に人の心は無いのだろうか。

 

「……やはり、私はアンジェリカ様が犯人だとは思えません。貴方程の身分があればマリエと二人きりの時に面と向かって言えば少なからず影響を与えられるでしょう。それに騎士道を美徳としている人間がその道に反した外道を行うのも考えにくい」

 

「信じて……くれるのか?」

 

「ええ……それに、殿下にはアンジェリカ様との時間も大切にすべきではと何度か申し上げたのですが……現状が現状とあり、自分の力不足でアンジェリカ様を、女性を泣かせてしまったのがあまりにも情けなくてッ……」

 

「ディーンハイツ……」

 

 そして迫真の演技をひとつまみ。

 アンジェリカとの時間を大切にしろ云々はそれとなく何回か言ったのは事実だ。

 言ってどうにかなるとは鼻から思ってすらいなかったが間近で不憫なアンジェリカを見せ付けられるのはそれはそれで堪えるんだよ。

 案の定そんな事知らんと言わんばかりに無視し続けた末路がこれなんだが。

 

「それに私も今知りましたし、マリーだって、貴方との時間を全て潰して殿下がマリーの元に来ているとは知らないはずです」

 

「……そうなのか?」

 

「あの子は……悪い子じゃないですから。その、幼馴染ですし」

 

「幼馴染……そうか、だからマリエ呼びでは無かったんだな」

 

「あ……」

 

 そう、原作のマリエは全て知ってて邪険にしつつ動いていたがこの世界の『マリエ』は、前世である程度常識を俺の背中を見て知って覚えてきた。

 だから腹黒外道にはならなかったし知ってたら多少なりとも殿下に言及するだろうしな。

 

 さて引き続き演技の方だが、マリー呼びの失言も勿論計算の内だ。

『マリエ』と近しい存在である事をアピールして、次いでにマリーの印象改善もやってしまおうって魂胆。

 俺だけ大丈夫でもマリーの印象がダメなままじゃ意味無いからな。

 

「そ、その……マリー呼びは人前、それこそ殿下達の前でもしないので……で、出来れば秘密にしてもらっても宜しいでしょうか……?」

 

「……ふ、ふふ」

 

「え? ど、どうかなさいましたか?」

 

「いやなに、どうやら私は君とマリエに対して大きな誤解をしていた様だな。分かった、今日ここで私と話した事も秘密にしてくれるのであれば、秘密にしておこう」

 

「……! ええ、勿論。この話は私とアンジェリカ様だけの心の内に」

 

「そうしてもらえると助かる」

 

 いや笑いたいのは実はこっちの方なんだよアンジェリカ。

 だってここまでマリー含む印象操作のパーフェクトコミュニケーションが出来るなんてあまりにも理想的過ぎて今すぐ高笑いを上げたいくらいだ。

 やっぱこの人めちゃくちゃ良い女だわ、話せばすぐ理解してくれるし過ちを過ちとして素直に認められるし好きな人に対して一直線に努力する姿も同じ一人の人間を一途に愛する俺としては拍手を送りたいレベルだ。

 

「……では私はこれで失礼させていただきます。長居をすると有らぬ疑いをアンジェリカ様が受けかねませんので」

 

「そうか。礼に紅茶の一杯でもと思ったが……」

 

「いえいえ、私はただ通りすがっただけですので。ではこれにて……」

 

「……ありがとう。お前のお陰で少しだけ心が安らいだかも知れないな」

 

 ふぅ、いやはや礼を言われる事は俺はしてないんだがね。

 最後の一言はボソッと呟いたくらいだろうが無人の廊下の声は案外通りやすい事をどうやら知らないらしい。

 

 しかし猫被りはどうにも真面目君過ぎて肩肘が凝って仕方ない。

 もう夜だがちょっとマリーで癒されるとするかね……

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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