幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第三十一話『いざ、空賊退治へ!Ⅰ』

 秋の連休初日、大体の生徒は休暇を満喫するのだろうが俺やリオンにとってこの日は小競り合いとはいえ初めて本当の意味で『殺しに掛かってくる敵』を相手に戦わないといけない初日だ。

 

「それじゃマリー、行ってくる」

 

「怪我とかしないでよ?」

 

「心配すんなって。リオン相手なら流石に死を覚悟するけど今回はただの空賊退治、しかも味方にリオンがいるんだから寧ろ俺の出番とか少ないと思うし。でもありがとな」

 

「本当に心配なんだからね……」

 

「分かってるよ。帰ってきたら久々にゆっくりもしたいし、耳かき頼むって事で。怪我したらそんな暇当分無くなるからこれが怪我しない約束、な?」

 

「絶対よ、絶対に怪我しないでよ?」

 

「おう。それじゃ……」

 

「んっ……ぷはっ。頑張ってね」

 

 うん、マリーとのキスはいつしても幸せだ。

 初めて本格的な戦闘になると分かっていても緊張するものはするが、愛するマリーのエールとキスさえあれば俺はいくらでも戦える気がする。

 

「んじゃ改めて、行ってきます!」

 

「行ってらっしゃい!」

 

 俺がどれだけ戦闘するかはさておき、これは負ける気がしないな。

 

 

 

 

 

「これがパルトナーか……」

 

 待ち合わせ場所の港、先に着いていたリオンと軽く話をしながらリビアとカーラ……あと着いてくるオマケを待つ。

 アニメや原作でも見たがやはり実際に見るとルクシオンが作っただけあって頑丈で高性能そうなのが見た目から伝わってくる。

 

「この時代にあっても不思議じゃない外装、内装で性能は一級品。これで動きやすくなるってもんよ」

 

「こんな短期間で建造するとかルクシオン化け物過ぎるだろ」

 

 物作りの性能が高いとは知っていたがそれを知ってて尚そう言いたくなるのは仕方ないかも知れない。

 

「男爵~、ディーンハイツ様~、おはようございま~す」

 

 うわ出たカーラ。

 もう少しのんびり話をさせてほしかったんだけど……しかも原作通りリビアへの態度がバレバレだっての、朝から気分悪いなあ。

 

「リビア……」

 

「……」

 

 んでこの二人もこの二人で流石に一夜でどうこうは出来ないよな。

 取り敢えず今は仕方ないとしておこう。

 

「あ、じ、実は男爵達の他にも空賊退治を手伝ってくれる方々がいるんですよっ!」

 

「は?」

 

「あ、いらっしゃいました!」

 

 うわ出たその二。

 ブラッドとグレッグの二人が手伝うという名のお邪魔しに来やがった、既定路線だからこっちも仕方ないが……いや三人とも露骨に嫌そうな顔してるし……ん? なんでお前らは俺を見ても同じ顔をしてるんだ?

 

 まあ良いか、三人は無視して乗り込むとして……カーラにすれ違いざまにボソリと呟く。

 

「お前……自分のしてる事が気付かれてないとでも思ってんのかよ……覚えとけよ、俺の友人に手を出したらどうなるか」

 

「ッ……」

 

 俺は身内には甘いが……身内を傷付ける人間に対しては容赦しない、それこそ復讐だって厭わない。

 

 そう……いざとなれば殺すくらい余裕で出来るくらいには、な。

 

 

「最悪だな~なんで俺のパルトナーにチンピラを乗せないといけないんだよ」

 

「コイツらの事は嫌いじゃないが気持ちは分からんでもない」

 

「誰がチンピラだ!」

 

「オイディーンハイツ! 君は僕達と同盟を組んだんじゃなかったのか!?」

 

「いつ組んだ!?」

 

 出港して最初の会話がこれである。

 俺だって新品の航空船に馬鹿レンジャーを乗せろと言われたら中々に躊躇してしまうだろう。

 だから許せナルシストと筋肉。

 

「ご、ごめんなさい。私がブラッド様達にも声を掛けていて……」

 

「カーラは僕の元婚約者ステファニーの家、オフリー家の寄子でね。元婚約者とはいえ助けを求められては放ってはおけないだろう。更に賞金首の空賊を退治すれば褒賞と報酬も出て、マリエの借金返済の一助も嫡男としての復帰もどちらも行えてディーンハイツのライバルとして正式に復帰出来るからね」

 

「テメェら人の婚約者奪おうとすんなって言ってるだろうが」

 

 まだ諦めてないのかコイツら……と妙にキラキラする二人に溜め息を吐き出しながら言葉を出す。

 しかもマリーだってもう俺しか見えないんだから勝負なんてするまでも無いのに。

 

「それを聞いて、俺も参加を決めたって訳だ」

 

「たった槍一本で?」

 

「仕方ないだろ! 俺の鎧は没収されて、これしか無かったんだよ! 鎧は現地調達で良いだろ!」

 

 筋肉は筋肉で槍一本でどないすんねんって話。

 いくらなんでも苦し紛れが過ぎるだろ……はぁ、その為に俺が色々用意して来たんだけどな。

 ったく、世話の掛かる野郎共だよ……

 

「ところで青と水色と緑はどこだよ? アイツらなら来るなって言っても来そうなもんだが」

 

「色で僕達を呼ぶのはやめろ!」

 

「そうだよナルシストが可哀想だろ」

 

「違うそうじゃない」

 

「ダハハ! ナルシストは傑作だな!」

 

「お前は脳筋野郎だけどな」

 

「え?」

 

「はぁ……三人は実家に呼び出されたよ」

 

「お陰で俺はナルシストの付き添いだ、コイツは頼りないからな」

 

「うるさいな脳筋が! どうせならクリスに着いてきてほしかったよ!」

 

「なんだとお!?」

 

 おーおー賑やかになったなあ全く。

 このうるささは嫌いじゃないから何となく心地良い。

 ま、そんなのもあと数十分もしたら無くなるんだけどね。

 嫌だねえ戦争なんて……

 

「と、とにかく! みんなで力を合わせて頑張りましょ! ほら……」

 

「あ?」

 

 そんな心地良い騒がしさにノイズが加わってくる、カーラだ。

 この後因果応報でしっかりみっちり悪い事してたのがバレて猛省するとはいえ今はまだ胡散臭い上に陰険なだけだ。

 しかもリビアに対するあの発言……本来ステファニーがするはずだったそれを若干マイルド+自虐含めて言ったにせよ到底簡単に許せる事ではない。

 流石に当たりが強くなってしまう。

 

「あ……そ、その、ディーンハイツ様もそう思いますよね!?」

 

「……ま、空賊退治程度騒ぐ程の事でも無いっしょ。なーリオン」

 

「折角連休潰して出てきてるんだ、派手に暴れ散らかしても構わねーよな?」

 

 あーあ、リオンもフラストレーション溜まってるよこりゃ。

 主にリビア関係で何とかしないといけないと思ってる中で特にカーラのリビアに対する態度を見たらそうなるのも頷けるか。

 

 それにしても……アンジェやマルケスは大丈夫なんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

「これでリビアが喜んでくれるだろうか……リオンが居れば好みを聞けたんだが……」

 

 さてそんな訳で俺は一人部屋に戻って学園に残してきたマスター契約済みのネズミくんをモニタリングしている。

 勿論だが中継を流しているのもマスター契約済みのネズミくんその二である。

 ステファニーを拘束している以上良くも悪くもそいつとアンジェの乱闘その二は起こらない訳だが、それによって何が行われるか予測不可能になっている。

 だとすればこうして離れている時でも学園サイドで何が起きているか確認出来る術があるならそれを使うのは当たり前の事だろう。

 

 本当は離れていてもマリーの姿を確認したいのが本音だが今は致し方あるまい……どちらにせよマルケスには感謝しないとな。

 

「なんだこれは……リビアッ私だ、アンジェリカだ! リビア居ないのか!?」

 

 うへ、こりゃまた派手に嫌がらせされたもんだな。

 リビアの部屋のドアは案の定だが落書きだらけだった……が、これはステファニー一派の仕業では無い、何せアイツ自身拘束されているからやれるはずが無い。

 恐らく元々リビアを嫌ってた下級か中級貴族の家の奴がやったんだろう……リビアに嫌がらせとは……見つけ次第殺しても良いだろうか。

 

 ゴホン、それは後で考えるとして、ステファニーが来ないから盤面変化も起きないこの状況アンジェはどうするのか……

 

「くっ、仕方ない。誰かに事情を聞くしか……レイモンドかダニエル……は、出掛けているのだったな。そうなると……そうだ、確かアルの友人にサンドゥバル家の次男がいたはず……リビアとの関係性は薄いがアル経由で何か知ってる可能性はあるか……」

 

 あ、これ非常にまずいですね。

 って実況してる場合じゃねえだろこれ、このまま部屋行かれたらあの光景見る羽目になるだろどうすんだよ。

 せめてシーシェックの存在を思い出してほしかった……あ、シーシェックも同じ部屋にいるんだったわ……

 

「済まない。アルフォンソの友人のアンジェリカだがマルケス・フォウ・サンドゥバルはいるだろうか?」

 

「あ、アンジェリカさん!? ど、どうしたの?」

 

「いや、実はリビア……オリヴィアが部屋に居ないので何処にいるか知っているか聞けたらと思ったのだが……」

 

「え、えーっと……あ、そっか……ごめんね、頼むよ……うん。アンジェリカさんに立ち話をさせるのも失礼だし、ロビーで話しても良いかな?」

 

「私はマルケスの部屋でも構わないが……」

 

「ぼ、僕の部屋は散らかってるし……女性を上げるには向いてないんだ……」

 

「そうか、ではその気遣いに乗らせてもらうとしよう」

 

 よーしマルケス、大ファインプレーだ。

 こんなところ見つかりでもしたらどうなるか分かったもんじゃないからな。

 ホッと一息をつき、改めて二人の後を追う。

 マルケスは一瞬こちらを向いたが……ま、気付いてるか。

 俺の意図は知ってるだろうし貰った日から走らせてるから何度か遭遇もしてるし問題無いか。

 

「ここで良いかな……?」

 

「ああ、それでリビアの居場所を知っているのか?」

 

「うん。アルとリオンが空賊退治に同行させたんだ」

 

「そ、それは本当か!?」

 

「確かカーラさんが、オリヴィアさんにも空賊退治への同行を頼んだから渋々って感じだったけど……」

 

 そう、今回リビアの件はコイツにも話してあった。

 と言うかステファニーと情報の擦り合わせをしないといけなかったので早朝に最終確認という形で聞いていた。

 そこでマルケスとシーシェックも聞いていたという構図だった訳だが……ここでそれが活きてくるとは。

 

「……カーラ、か。ステファニーの寄子だったな」

 

「そ、そうだったね」

 

「そう言えばお前はステファニーと仲が良い様だが……いや、アルの友人であるお前がそれは無いか」

 

「……」

 

 つーか危ないってそれは、下手したら誤魔化すのに失敗してて口滑らせてたぞ。

 アンジェがすんでのところで止まってくれて良かった。

 

「わざわざ済まなかったな、何か礼をしたいのだが……」

 

「そ、そんな悪いですよ! お、お礼と言うならアルとこれからも仲良くしてくれたらそれで……」

 

「そうか、アルとは今後も勿論仲良くするつもりだが……お前がそれで良いと言うならそうしよう。ありがとう」

 

「ううん、大丈夫だよ」

 

 よし、これで乗り切ったか。

 アンジェが何を選択するかは知らないがステファニーと会わなかっただけ良いルートに進めたのではないだろうか。

 

 さてと、俺は戻ってアイツらから金を巻き上げに行くか。

 

「ご主人様は休日でも元気ですね」

 

「そりゃそうでしょ! 折角の休日だもの! さ、カイル! お買い物行くわよ!」

 

「はいはい」

 

 ……マリーも元気そうだし、な。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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