幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第三十二話『いざ、空賊退治へ!Ⅱ』

「む、むむむ……」

 

「ぐぬぬ……」

 

「はぁい、俺の勝ち~!」

 

「んで俺が二番と」

 

「嘘だろインチキだ!」

 

「こんなの有り得ない!」

 

「ハッ、負け犬はいつもそう言うんだよォ!」

 

「折角チーム対抗戦で総合ポイントの高い方が金を貰う変則システムにしたんだからもう少し張合いが無いとなあ」

 

「そーそっ」

 

 自室から戻ってきた俺は早速と言わんばかりにポーカーで遊んで……と言うか賭け事でしっかり儲けさせてもらっていた。

 ルクシオンお手製自在に絵柄が変わるトランプのお陰でリオンは連戦連勝圧勝、俺は持ち前の引き運だけで連戦連二着とナルシストと脳筋を制圧しきっていた。

 

 うーんこの賭博最高や!

 

「コイツらに真っ当な勝負を挑んだ方が間違いだった……」

 

「全くだ……あ、そうだブラッド」

 

「ん?」

 

 呆れた様にトランプを置き天を見上げる二人……と、グレッグが何か思い出したのかブラッドに話し掛ける。

 大方ステファニーの事だろうが……そう言えばコイツはオフリー家の実態を知っているのだろうか。

 

「お前の元婚約者、オフリー家のステファニーってどんな女子だ?」

 

「うーん……婚約が決まる前に数回顔を合わせた程度だし、学園でも数えるくらいしか話した事無いからね……あんまり記憶には……いや、一個だけ印象に残ってる事がある」

 

「印象に……?」

 

 思わず声に出てしまうが別段突っ込まれないので大丈夫だろう。

 しかし本来は印象に残る事なんて一つも無いと言う流れのはずで、その言葉が出てしまったのなら聞かずにはいられないのも仕方ないと自分ながらに思う。

 

「ああ。オフリー家で彼女と話している時限定なんだけど、いつも何かに怯えていた様な気がするんだ。目線は常時泳いでるし手や足も頻繁に組み替えたり貧乏揺すりしたり……他の場所じゃそんな事無かったのに。と言うか普通逆だよね?」

 

「そうだな、不自然っちゃ不自然か……」

 

(……リオン、やっぱ言ってた事は当たりみたいだな)

 

(ドンピシャだな……)

 

「他には無い感じか?」

 

「そうだね、特に記憶に残ってる事は無いかな。典型的な政略結婚だしね」

 

「ま、正直そういうの抜きにしても評判は悪いよな、レッドグレイブ家とは敵対関係だし。ただ派手に遊んでる、なんて噂は聞かないのが逆に疑問だがな」

 

 やはりここでも派手に遊んでるなんて噂は立ってないか。

 本人も奴隷や取り巻きなんて毛嫌いしてたし他のどの世界線とも違ってそもそも人を近寄らせなかったのかも知れないな。

 

 ……そう思うと、わざわざマルケスに近付いたり喫茶店に来た時も素直に評価したりと、ここのステファニーは人を見る目が割とあるのかも知れない。

 そして、あんだけ人間を毛嫌いして心を閉ざしてた様な奴に、どんな理由があるとはいえその当人から近付こうと思わせたマルケスも相当に凄いな。

 

「何にせよオフリー家はファンオース公国との外交で功績を挙げてるからね。そのお陰で黒騎士に怯えずに済むんだ」

 

 俺が内心で我が親友に高評価を付けていると今度は公国の話へと移っていた。

 黒騎士ねえ……確かに強いのかも知れないしリオンより弱い俺は見くびられるだろうが……俺の最大の強味は射程範囲だ、帝国軍相手だと現状の俺なら死ぬと思うが公国の黒騎士相手に遅れを取る俺じゃ無いね。

 

「僕のフィールド家は、公国との国境警備を任されている。オフリー家の功績がある以上、彼女との婚約を断れなかったのさ」

 

「それで良く婚約破棄出来たな」

 

「ま、かなり揉めたけど……カーラさんもその件を匂わせて協力を要請してきたんだ」

 

「弱味に漬け込むとかやっぱ陰湿だなあの女」

 

「そもそもリビアをいびってるの気付かないとでも思ってんのかよ」

 

「え、そうなの!?」

 

「き、気付かなかった……」

 

「お前ら……」

 

 婚約破棄自体は理由がどうあれ遺恨を残す事が多いとはいえ、早速恫喝紛いとはあの女も手段を選んでる暇が無かったって事か。

 まあ失敗すればロイズによって文字通りこの世から消されるんだし必死にもなるわな。

 

「と、とにかくアレだ……結婚も大変だよな、俺も元婚約者と会ったのは数回だったしな」

 

「殿下と関係性深いし、特別視されてるけどお前らも大変なんだな」

 

「だな……こっちは婚活で必死だから真逆だけど」

 

 俺には可愛い嫁がいるから現状この中で唯一の勝ち組だな。

 あーあ早くマリーに会いに帰りてえな。

 

(マスター、アル、お迎えが来た様です。空賊の飛行船が二隻接近してきています)

 

「お前ら、仕事の時間だ! しっかり働けよ!」

 

「……ん?」

 

「はぇ?」

 

「はぁ……ナルシストに脳筋、敵襲って事だよ。まあその反応速度じゃ戦場には出られないだろうから落ちてきた……リオンが撃墜した鎧の中にいる奴らでも拘束しとけ」

 

「そ、そんな……」

 

「お、俺達にも戦わせ……」

 

「あのな、敵襲にも気付かない奴を戦場に引っ張り出して死なれても俺の寝覚めが悪いの。だから取り敢えず見て学べ!」

 

 おっとリオンはコイツらに少しだけ甘くなったな。

 戦うなと全否定するんじゃなくて学べと言うなんて……それも一応はマリーの借金を返そうと一念発起したのが評価点に入ったんだろうけど。

 リオンもシスコンだなあ……俺もマリーを助けてくれるなら評価上げるけどな。

 

「お前らはスペックは高いが如何せん戦いを知らないからな。しかもまだ敵も本隊じゃないから、本隊戦の時に少しでも活躍したいと思うなら大人しく見とけ」

 

「……分かった」

 

「ぐっ……クソ、わーったよ」

 

 大人しく引き下がるのか、コイツらも少しは成長してるな。

 廃嫡に加え愛する人を取られて相当頭が冷えたみたいだ。

 悪い事したと思ったが良い方向に作用した様で何より。

 

「……それで? リオン、俺は出るのか?」

 

「敵をただ殺すだけなら俺だけで片手間程度にやれるが、生かして撃墜ってなると面倒だから手伝ってくれると助かる。繊細な攻撃ならお前のが得意だろうし」

 

「OK、久々のクロカゲ出撃と行くか!」

 

 正直分隊戦での出番は無いと思っていたが出られるなら出られるで久し振りに暴れたい気分だったからいっちょやってやりますかね。

 学園入学後はリオンとの決闘以後乗ってすらいなかったし。

 腕が鈍る前に肩慣らし出来るのは有難いねえ。

 

 と言う訳で甲板に置いてあるアロガンツとクロカゲにそれぞれ乗り込む、うーんそうそうこの感じだよこの感じ。

 お相手さんも出撃前間近ってとこかね。

 

「この空賊……ウイングシャークだったかな。アルの言う通り本隊は別っぼいな」

 

「つってもコイツら捕らえられたら良い戦力になりそうだな、飴を与えておけばそこそこは使えそうだし」

 

「お前マジでやんのかそれ……」

 

 実は朝リオンと話していた事がある、空賊の処置の話だ。

 サイコパスのロイズがどこまで抹殺しに出向いてくるか分からない以上下手なモブ貴族のとこには送れない。

 とするならそもそも俺の私兵団にしてしまえという事だ。

 何連王国がロイズを抹殺しに行く以上俺達にその役目が降り掛からないとも言えないから一番安全な立ち位置なのでは無いかと提案していたのだ。

 不殺を貫きたいリオンと、とにかく公国戦前までに実戦経験豊富な使える戦力を増やしたい俺の思惑が一致した形だ。

 

 王宮への通達は……よし、偽装して修学旅行の護衛団としてディーンハイツ家から送り込むって事にしとくか。

 家には後でオフリー家が王国を裏切ったのが公国との戦争の前触れの可能性ありなので戦力増強の為に引き入れたって連絡しとこ。

 

 これなら公国戦で正体がバレてもしっかり働けば奴らも減刑されて割かし何とかなるはず。

 

 さてそんな事考えてるけど相手がジワジワ近付いてるんだよね。

 絵に描いた餅にならぬ様にしっかり手加減して撃墜しますかね。

 

「ほんじゃ行くわ」

 

「はいよ、じゃあ俺も特製のミサイルを両肩にセットして……」

 

 リオンが先に飛び立ち俺はその場に鎮座。

 今回はリオンが囮役になり俺が一網打尽にする戦法だ。

 マルケスに発明してもらった捕縛用追尾式ビリビリネット内包ミサイルで鎧をほぼ傷付けずに捕縛する事が可能な超優れ物。

 因みに発射装置に付いてるカメラに機体を登録しておけば敵味方の判別が可能だ、現地でもシャッターボタン一つで即登録完了、正に旧時代の進化系と呼べる。

 

「ヒャッハー! 逃げ回ってちゃ何も出来ないぜ!」

 

「って思うじゃん?」

 

「え?」

 

「ミサイル全門斉射って事で」

 

 上手い事ヘイトを稼いで全機を俺の方へ誘き寄せてくれたリオンのアロガンツだけを綺麗にすり抜けミサイルは全てウイングシャークの鎧に接触、瞬時に内包されていたビリビリネットが展開し全ての鎧の動きを90%以上封じる。

 んで後はちょっと小突いて落とすと。

 やっぱマルケス天才過ぎるだろ。

 

「ほらよ、これで後は船だけだな」

 

「一人一隻相手するか?」

 

「暴れ足りないしそうするかー 」

 

 流石にこれではブラッドとグレッグも見足りないだろうしな。

 敵船は撤退の様相だし正直これでもあんまり戦った気分にはならないんだけどな。

 

「お、マジックシールド展開するのか……んじゃ、俺はスコップで」

 

「じゃあ俺は決闘の時使った長距離ライフルで」

 

 全速力で逃げる敵目掛けてリオンはスコップを放り投げ俺は長距離ライフルを撃ち込む。

 ……お、ちゃんとマジックシールドも貫通して軽微なダメージで白旗上げさせる事に成功したな、しめしめ。

 こんな感じで俺達からしたら相手にならないのだがこれが一般的な空賊退治を生業としている団体やゲーム本筋だと苦戦するレベルだからしっかり戦力にはなるんだよなあ、不思議なもんだ。

 

 あー全部上手く行って最高最高、さーて戻ってまずは軽巡洋艦級二隻分仲間に引き入れたり空賊達の船や鎧に手を加える手筈を整えないとな。

 その為に家に連絡する訳だし。

 

 

 

 

 

「畜生! 何なんだお前ら!」

 

「オイ、お前も手伝え脳筋!」

 

 縛られてる空賊の様子を見に来たが、縛ってるブラッドと立ちながら呆然としてるグレッグ二人とも顔付きが少し変わったな。

 やっぱさっきの戦いで何か心境に変化があったかな。

 

「うぃーす二人とも、ちゃんと見てたか?」

 

「ディ、ディーンハイツ……ああ、君の正確無比な狙撃はジルクすら超えていた……それにバルトファルトもやはり規格外だった……」

 

「正直、圧倒されちまったよ……これが戦いなんだな……俺は何も分かっちゃいなかったんだ……」

 

「ま、リオンはそれを学んでほしかったんだと思うぜ。戦いとは何なのか知って、真に覚悟を決めたら戦場に来いって事でね」

 

 ちゃんと戦況を見極められてるじゃないか二人とも。

 これなら原作比でも大幅なパワーアップになる可能性もあるな。

 活躍してくれるならそれに越した事は無いしな。

 

「俺は……覚悟を決めたい。悪いが部屋に戻らせてもらう」

 

「あ、オイ! 僕を置いていくなよ!」

 

「良いよ、後は俺がやっとく……話もしたいしな」

 

「……悪いね」

 

「良いって事よ」

 

 お前らはじっくり決断をしてくれよ、代わりに空賊達の処理はこっちでしとくからな……ふっふっふ。

 

「さーてウイングシャーク分隊の皆様……取り引きの話をしましょうか。アンタらが強制労働せず、寧ろ厚遇で我がディーンハイツ家の一員になる為の……ね」

 

 見てろよ公国共、俺は使えるもん全て使ってお前らに圧勝してやるからな。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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