幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第三十三話『マリーを守る為なら空賊だって使います』

「さーてウイングシャーク分隊の皆様……取り引きの話をしましょうか。アンタらが強制労働せず、寧ろ厚遇で我がディーンハイツ家の一員になる為の……ね」

 

「て、テメェさっきの鎧の内のどっちかのパイロットだろ!?  俺達をどうする気だ!」

 

 縛られて動けない割には威勢の良い言葉だ。

 格好を見るに大方分隊長ってところか、利己的な連中ではあるがやはりコイツらの目を見れば分かる……歴戦の戦闘者達だと言う事が。

 これなら狙い通り使える……リオンのワンマンじゃない、ちゃんとした戦闘員として負担を減らしてマリーの安全も確保して俺は裏から空賊への指示をチラホラ出してれば良い。

 ま、戦闘もするが。

 

「君達にはオフリー家とどこまで繋がりがあるか話してもらいたいんだよね、ああ皆まで言わなくても良いオフリー家との繋がりはステファニーが自白したからな。ダブルチェックの名目にはなるが素直に話せばアンタら及びこれから撃墜される本隊含めた全員の最低限の身の保証はしてやるよ」

 

「は、話が上手過ぎるな。何が狙いだ?」

 

「言ったろ? 代々ホルファート王家の戦力として仕えてきたディーンハイツ家の一員として我が戦力に加わらないかと言っているんだ。勿論本隊含めたウイングシャーク全勢力をの話だぞ」

 

「お、おかしいだろ!? 何故俺達からしたら最早メリットしか無い取り引きをする!? 俺達を弄んでいるのか!?」

 

「まあ落ち着けって」

 

 そりゃ状況だけ見たらあまりにも不自然だろうさ。

 取り引きと言いつつ自分達にメリットしか無いものを提示されてはいそうですかと受け取るバカはいない。

 しっかり突っ込める辺りこの分隊長は引き入れ次第重宝してやっても良いかな。

 

「落ち着けと言われて落ち着ける状況ではないだろ!」

 

「ちゃんと理由を話してやるから待て。……お前ら、オフリー家がファンオース公国との外交で実績を上げていたのは知ってるな?」

 

「あ、ああ。それがどうしたんだよ?」

 

「気付かないのか? そのオフリー家がこうして王国に仇なす行為を働いていると言う事が何を意味するのか……」

 

「意味……ま、まさか……」

 

 そしてこうして状況とヒントを提示してやれば考える力もあるか。

 これ俺的にポイント高いね、引き入れられたら想像以上の戦果になるぞこれは。

 

「そう……オフリー家が公国を手引きする可能性だ。そうなればホルファートとファンオースとの戦争は避けられない。しかもあっちにゃ黒騎士なんて言うめちゃくちゃ強い鎧もあるし……そんな訳で今王国は戦力を欲してる訳。だから戦闘経験豊富で柔軟な発想がある連中なら空賊でもスカウトしたいんだよね」

 

「だ、だが本当に身の安全の保証はあるのか?」

 

「ああ。公国戦で武功を挙げて今後二度と悪事を働かないと誓えるなら問題無いだろ。あ、因みに一度でも反旗を翻したら死罪だろうからそこは気を付けてな」

 

「…………分かった。ウイングシャークとオフリー家の繋がりを話そう」

 

「た、隊長!?」

 

「良いんですかそんな奴の話を鵜呑みにして!」

 

「断っても我々はどうせ辺境貴族に売られて強制労働が関の山。ならこのボウズに乗るしか無いだろうさ。……俺は、出世にゃ恵まれなかったが人を見る目だけはあるから心配するな」

 

 話していてつくづく思ったがなんでこんな有能な奴が空賊なんてやってるんですかね……こういうのが王国の子爵くらいの立ち位置にでもいればかなり有能な臣下として重宝されたろうに。

 ま、今から俺が重宝するんですけど。

 

「よし、そんじゃ話してくれるな? あ、それと戦争に出すと言っても捨て駒にする訳じゃない、公国戦以降もずっと戦力でいてもらうつもりでスカウトしてるから船員の皆様もご安心を」

 

 一応ダメ押しであくまでも本当に戦力として、仲間に引き入れるのだという主張をもう一度押しておく。

 捕虜なんてどんな扱いされるか分かったもんじゃないから不信感を高めて反乱されたら堪ったもんじゃない、飴と鞭は使い分けて行くのもまた貴族のやり方ってね。

 俺もすっかりこの世界の貴族社会に慣れちまったかもなあ。

 

「そこまで言われちゃ部下の為にも話さない訳には行かねえな。今回俺達が暴れてたのは完全にオフリー家単体での契約で雇われてたからだ。つまり他の家がバックにいるとかは無い」

 

「フェイン家のカーラも共犯って話だがそこんとこはどうなんだ?」

 

「カーラか……そもそもだがフェイン家がオフリー家嫡男のロイズとか言う奴の支配下に置かれてて、命令に従わないと家族の命が無いって言われてたみてえだな、それも家族に言えばどうなるか分からないらしかったしな。良くこっちに愚痴を零してたぜあの子」

 

「うわぁ……そんな裏事情があったのか」

 

 成程ねえ……結構な話を聞かされた気がする。

 カーラはカーラで正史と比べても相当追い込まれていたらしい……しかも家族の命を盾に言われてたなら不憫通り越して現段階でも認識を改めて可哀想だし助けてやらないといけないと思い始める程だ。

 しかしこの展開なら家からの離縁はギリギリ免れるんじゃないだろうか、怪我の功名ってやつ?

 

 あ、つーか脅した事は後で謝っとかないとな。

 

「端的に言うと俺達とカーラは立場が同レベルの一番尻尾切りしやすい立ち位置にいるって事だ」

 

「下手しなくても俺達が囲わなきゃこのままフェイン家は滅ぼされる、と……ロイズがどんな奴か又聞きでしか知らないがとんでもない奴に支配されてるな」

 

「俺達は仕事を選ばないが……契約時でも出来れば今後関わり合いになりたくないと目線だけで感じたぜ。そのカンが当たってるとはな」

 

 空賊からもドン引きされるロイズ……一体何者なんだよほんとに。

 今後公国との戦争がメインで行われるだろうがここは並行してしっかりロイズの完全逮捕若しくは抹殺を行うべきだな。

 それも並の兵士じゃ危ない匂いがするし国の精鋭部隊を動かす事を進言すべきか。

 

 本当に面倒な事になりやがって……

 

「でもそんなオフリー家ともおさらばだ。そう、この俺の私兵団になればな」

 

「喜んでディーンハイツの軍門に下ろう」

 

 よーしこれでそこそこの大戦力を補強出来るぞ、さっさとロイズなんか潰して俺は平和にマリーとイチャイチャしてやる。

 

「一応怪しまれない様にお前らはフェイン家に着くまでは捕虜の体だけ取らせてもらうからそこだけは済まないが我慢してくれ。道中で家に連絡を取るから、フェイン家に着いて事情を粗方説明し終わり次第超高速でウチの船が来るからそれまで隠れて待機していてくれ。来たら赤く発光する発煙筒が上がるからそれを目印にしてくれれば良いし」

 

「通信って……そんな早く出来る連絡手段があるのか?」

 

「ああ、俺の友人にはメカ作りの天才がいるもんでね」

 

 ここまで言っておいて、すぐ連絡手段が取れる事を不思議に思うかも知れないが実は家にも親父とマスター契約しているネズミくんがいるのだ。

 そもそもサンドゥバル家とディーンハイツ家は親交が深い為、開発して日常生活に使える物はドンドンウチにも送り込まれるのだ。

 

 因みにマスターの違うネズミくん同士では通信には相互登録が必要だが鼻を擦り合わせれば完了という超簡単でお手軽な設計になっている。

 

「……こりゃとことん捕まったのがボウズ……いや、アルフォンソ様で良かったと思うぜ。これからは気持ちを一新しディーンハイツ家の為、貴方の為に働かせてもらう。宜しく頼む」

 

「こちらこそ、取り引きに応じてくれてありがとう。宜しくな」

 

 吹っ切れた様な顔で了承する分隊長に深く安堵する。

 王国の戦力じゃウイングシャーク未満なんて数多く存在する中でこうして見せられて裏切らない様に繋ぎ止められるカードを多く切り信用に値すると思わせられたのは一番の好展開と見て間違いない。

 

 うーん最高の一日として終えられそうだな……何か忘れてる気がするけど。

 

 

 

 

 

「はぁ~……日が落ちるのも早くなったなあ」

 

「全くだ、夕陽が僕を美しく染め上げている様だ」

 

「…………」

 

「ああ皆さん、ご歓談中のところ申し訳ないんですがね……そろそろこの状態どうにかしませんか、うん?」

 

 うんめちゃくちゃ忘れてたよ、そう言えばフェイン家には何も連絡が行ってないから俺達ただの不審者として銃向けられまくってんだよね……不幸だ……

 

「そうだなアル、俺も困っている」

 

「銃を下ろせ……おお、やはり! ブラッド様ですね!」

 

「え!? あ、あーフェイン殿!」

 

「そうです覚えていて下さいましたか!」

 

「そ、それは勿論!」

 

 嘘を言うな嘘を……俺が教えといてやったんだろ。

 流石に寄子の当主を忘れているとか失礼過ぎるしここに来る前しっかり教えといてやったのだ、これでもコイツは辺境伯の跡取りだしこれくらい出来なきゃダメだからな。

 

「ところで僕達はなんで囲まれているんだい? そちらの娘さんに空賊が暴れてるからって助けを求められたから駆け付けたって言うのに……」

 

「助けを……カーラがですか?」

 

「ち、ちが……」

 

 ……空賊達の話を聞くまで、カーラなんて離縁されようがなんだろうがどうでも良いと思ってた、リビアへ言った事が許せなかったからだ。

 だが、彼女もまた原作以上に苦しみ、救える存在ならば、そして俺自身謝らないと行けない事もあるからこそここで口を挟んで彼女の未来を変える。

 変えなくて良い未来なのは百も承知だ、それでも俺は進む。

 

「ちょっと待ってくださいフェイン殿」

 

「ん? 君と、もう一人は誰だね?」

 

「フェイン殿に話し掛けて来た方がアルフォンソ・フォウ・ディーンハイツ、もう一人がリオン・フォウ・バルトファルト……後者の噂は聞いてるだろうし前者に関しても長きに渡って王家に仕えてきた家故聞き覚えくらいはあるだろ」

 

「な……ディーンハイツ家の嫡男様に男爵様!? こ、これは失礼を……しかし我が領地は空賊などで困ってはいませんが……」

 

「……どういう事?」

 

 ここまでは順調だ。

 話に割り込んでカーラの発言を物理的に消し失言をこれ以上させない。

 心象が悪くなれば離縁の話は持ち上がるだろうし何としてでも俺が守ってやらないとならない。

 心変わりが早過ぎる? 何とでも言え。

 

「そこのカーラが、俺の友人のリビア……オリヴィアに俺とアルフォンソの紹介を頼んできたんだよ。言っとくがリビアは何もしてないからな」

 

「あとこれは俺しか知らない情報……捕まえた空賊から聞いた話だが、カーラ……お前オフリー家に脅されてたらしいな。『従わねば家族の命は無い』と。そんで口外しても家族がオフリー家に殺される手筈にあったと……」

 

「……は? な、なんでそんな事空賊が喋るのよ? おかしいじゃない、だって話したところでアイツらにメリットなんて何も……」

 

 狼狽えるカーラと困惑し切りのフェイン殿……そして若干驚愕の顔色に染まるリオン。

 済まないな、この話はレディック……分隊長との取り引きとして手に入れた情報だったからいくらリオンにも話す訳にはいかなかったんだよ。

 

「レディックは心配してたぞ。いつも切羽詰まった様な顔色でオフリー家からの重圧に、家族にも話せず耐えてたお前の姿が悲痛過ぎてってな」

 

「あ……あっ……」

 

「カーラ……お前……」

 

 目に涙を溜めるその少女は、今までの胡散臭さも、陰険さも微塵も無く、ただただ苦しみから解放されて、家族を守り切れたのだという安堵感の顔をしていた。

 

「辛かったな、苦しかったな……そして悪かった、朝はあんな事言って……もう我慢しなくて良い。存分に泣いて良い、フェイン家も今後は俺達の庇護下に入れるから心配要らない……もう……何もかも終わったんだよ、カーラ」

 

「カーラ!! 済まない、お前がそんなに苦しんでいたと知らなくて……!! 済まない、本当に……!! そしてありがとう……!!」

 

「お父様……お父様、お父様お父様うわあああああああん!!」

 

 

「アル……全部知ってたのか?」

 

「空賊との契約上言えなかっただけだ……ま、救えるもん救えたなら良いだろ。次は……お前の番だぞリオン」

 

「……そうだな」

 

 カーラの件はこれで一件落着だろう。

 後は……リオンとリビアの仲直り、だな。

 

 頑張れよ、リオン。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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