幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

34 / 83
ここから本筋も原作と大きく変わる展開がちょくちょく出てきます



第三十四話『貴族だの平民だのって、俺そういうの面倒なんだよね』

 日もどっぷり暮れ既に夜、最早肉体的よりも精神的疲労の方が何倍もあったせいで軽く戦闘しただけなのに凄く疲れた様な気がしている。

 だが収穫も多く、空賊ウイングシャークのスカウトとカーラの未来を変える二つを行えたのは非常に大きな意味をこれから持つのではないかと踏んでいる。

 

 それにしても疲れは生理現象、抑えてても欠伸が出てしまう。

 

「ふあぁ~、あーあ疲れた」

 

「まさか本当に空賊をスカウトするなんてな」

 

「俺は使えるもんは敵だったとしても寝返らせて使うタイプなんでね。全てはこの国をマリーにとって安心して暮らせる国にする為、その為ならどんな事だってする。ま、空賊に関しちゃなんでそんな事しないと生きられなかったのか分からないくらい賢い連中だったけどな」

 

「なるほどな。俺としても流石にこのままずっとワンマンで出世街道乗るのは嫌だし活躍出来る勢力がいるに越した事は無いな」

 

「因みにウイングシャークから本隊捕縛時の説得役として分隊長だったレディックは搭乗させてるけど別に良いよな?」

 

「俺としちゃ気まずい事この上無いんだけど」

 

 この話の流れで分かる通り、一旦全員をディーンハイツ家に送り届ける手筈としていたが本隊への降伏と引き入れが上手く行くとは限らないと思いレディックにだけはこの船に搭乗してもらった。

 アイツは話していて非常に利口な選択を取れる人間というのが分かっていたし地位もそれなりにありそうという事で選出した。

 部屋は一応カーラのいた部屋に泊まってもらっている。

 

「トラブルは避けたいしあまり外に出ない様には言ってあるから問題無いだろ。それに何か身内に害を与えようとした瞬間パルトナーの防衛装置でお陀仏だろうし……レディックに限ってしないとは思うが保険に保険を掛けて万が一にも備えられるから俺は乗せたって事で信用してくれないか?」

 

「……アルの言葉を信用しない訳にもいかないか。それに不殺が継続出来るならそれに乗らない理由が無い」

 

「ありがとよ」

 

 普通なら元敵をその日の内に搭乗なんて言語道断だろうが、事前の身体チェックで武器になる物が無いのを確認している。

 ま、安全にそれなり以上の社会的地位と金が手に入るんだから金品財宝に目が無い空賊団がそうそう裏切る訳無いと思うがな。

 

「……しっかしアレだな、まさかカーラもロイズの被害者だったとは」

 

「それも家族を盾にだから八方塞がり……それを解消すれば後は簡単だったけどな」

 

「結局問題が無くなれば全て話してしまいましたね」

 

「思った以上に呆気なかったな。アルが優しく諭したと思ったらペラペラと」

 

「事実を言ったまでだ」

 

 カーラに関しても、結局あの後ルクシオンの言う通り正直に全て話してくれた。

 最初は優しく近付いて来たロイズに騙され信頼を寄せたところで脅されてこうなってしまったと。

 奴にとっては動かす人間は全て捨て駒……いや、使い捨て感覚としか思えないなこれじゃ。

 

『これでやっと、家族に顔向け出来ます。……ありがとうございました、ディーンハイツ様』

 

 既に役目なんて無くなり、家族との久々の団欒を楽しませる為カーラをフェイン家に置いて去る直前に言われた感謝の言葉だ。

 あんなに暴言を吐いたってのに笑顔で礼なんて言いやがって……やっぱり美人は笑顔が一番というが、それ以上にその言葉を聞いて少し罪悪感が残ってしまうのと、ロイズのやった事の重さと残酷さを再確認する。

 

 ……やっぱりあの外道俺達の方から出向いて抹殺した方が良いんじゃないだろうか。

 

「とはいえ、まだ空賊の本体は残ってる。リビアに必要な聖女のアイテムも手に入れてないし」

 

「それよりも先に解決すべき問題があると思うのですが」

 

「あぁ。そうだな」

 

「ルクシオンにも背中押されたらさっさと解決しないとな! 俺も着いてってやるし!」

 

「スマン、頼りになる」

 

「気にすんな。……それと一つ良いか?」

 

「? なんだ」

 

 さて、それはそうと優先事項は早めに片付けないとな。

 ここで正史以上の進展を見せて良いのかどうか……リスクはあるが、二人の友人で、タケさんの幼馴染である以上これを見過ごす訳にはいかない。

 やるしか無い。

 

「正直なところ、リビアの事『異性として』どう思ってる?」

 

「……それ聞くかぁ」

 

「悪いけどこれは聞いときたかった。モブとか地位とかそういうの関係無く、リオンの本音を聞きたい。あともし今リビアに告白されたら付き合えるのかどうかも聞かせてくれると嬉しい」

 

「その聞き方は……卑怯だろ……」

 

 リオンが言葉を詰まらせる。

 でもね、俺嫌なんですよ二人が一時的でも疎遠になるのなんて。

 原作でもアニメでも観ちゃって、それがあるから云々とか言われても俺は実際にここに生きてる人間なんだ、『読者』でも『視聴者』でも無い。

 じゃあやれる事があるなら、知ってて尚且つ今この世界に生きてる俺はやらないといけない。

 

「だってさ、貴族だの平民だのって、俺そういうの面倒なんだよね。貴族も平民も人間じゃん、そこには何の違いも無いのに大抵の貴族連中は平民を人間として見ないし、平民だって貴族の事は平民を身体目当てで買うとか何で近付いたとかそういうのばっかで

……確かにそんな貴族は多いが、まともな俺達みたいな貴族までこうやって見られる訳だろ? 何故同じ人間としてどっちも見れないのか不思議で仕方ないんだ。だから俺にくらい話してくれても良いんじゃないか、そういう重りを取った上での話をさ」

 

「……質問は、どっちから先に答えた方が良いとかあるのか?」

 

「どっちからでも構わない。言ってくれるか?」

 

「ああ、言うよ。そこまで言われたらな……告白からの方にする」

 

 リオンは大きく息を吸い込むと、ゆっくりと吐き出す。

 しかしその目は本気だ、本気で言う目をしている。

 俺しか『居ない』からだろう、心の奥底で感じる想いの丈……それをぶつけてこい。

 

「俺は……今告白されたら間違いなく断る」

 

 俺の顔は、平常だ。

 しかし心の奥深くではこう思っていた……『計画通り』と。

 

「ほう、そりゃまたどうして? リビアの事可愛いって言ってたじゃん?」

 

「だってそうだろ、俺は一度リビアに否定されてる。なのに仲直り前のそんな時に告白されてもおかしいと思うじゃねえか」

 

「そうかそうか、良く分かった」

 

 ったくあーだこーだ言いながらちゃんと大切にしてんじゃねえかよ。

 しかも良く分かり過ぎてヤバい、勿論コイツどんだけリビアの事好きなんだよって事がね。

 いやはや楽しくなってきたな。

 

「次が……異性としてどう思ってるか、だな」

 

「今の質問回答で大体分かったけどな」

 

「わ、分かるもんなのか?」

 

「ああそりゃ分かりやす過ぎるくらいにね。……そんで、そっちの回答はどうなのさ」

 

「異性として……好きかどうかは分からない。まだリビアの事、知らない事が多いと思うしな。でも俺は……友達として一緒にいたい……打算的な事考えて近付いたのは確かだ、グレッグやブラッド達との方がお似合いだとも思う。俺なんて距離を取るべきだとも思ってる……そんなひねくれた事言いつつもやっぱりさ……ショックだったわ、ペットとしか見てないのかって言われたのは。どんな言葉で取り繕っても……やっぱ、辛い」

 

「ほんと、ひねくれ過ぎだって……でも言ってくれてサンキューな」

 

 ……全く。

 俺には言える癖にリビアには言えないとか、どんだけひねくれてんだよアンタは。

 俺みたいなのがいないと拗れて仕方ないんだから……感謝してくれよ。

 

「ん? いやなんでアルが礼なんて言ってんだよ」

 

「……さてね。それより俺はもう寝るわ、そんだけ話せるなら一人でもリビアと仲直り出来るだろ」

 

「え!? あ、おい!」

 

 俺は何事も無かった様に『少しだけ開いた扉』を見つめる。

 リオンは気付いてないんだろうが……

 

 

 

 

 

『リオンさん! 何で私にその本音言ってくれなかったんですか!?』

 

『り、リビア!? なんでここに……あと何でそれを……』

 

『答えてください!』

 

『え、いや……やっぱ俺何かよりグレッグやブラッド達と一緒の方が幸せなのかなと……』

 

『そんな訳ありません! 私は! リオンさんだから! 好きになったんですよ!』

 

『え!? お、俺の事好きって……』

 

 

「ふぅ、上手く行ったな」

 

 自室で呟く俺。

 そう、実はあの本音を言わせる前……『あーあ疲れた』のところから既にネズミくんを一体侵入させもう一体をリビアに強引に押し付けてきたのだ。

 

「リオンの本音、聞きたくない?」

 

「聞きたい……です……でも……」

 

「怖い? リオンが信用出来ない?」

 

「そ、そんな事……」

 

「んじゃ持っててよそれ。俺の事を信用してるかどうかはまだ交流も他と比べて少ないしリビアに委ねるから良いけど、リオンの事は信用してやってほしいし」

 

 大体こんな会話をして適当に渡して来ただけだからどう転ぶか分からなかったが……

 

 

『……リオンさん、ごめんなさい。私思わずあんな事……で、でもあんなの本音じゃ無かったんです! 本当は……本当は……!』

 

『俺の方こそゴメン……リビアがそんな事思っててくれたなんて知らなくて……』

 

『私達……あっさり仲直り出来ちゃいましたね』

 

『はは、全くだ』

 

『……私、絶対リオンさんを振り向かせてみせますからね。覚悟してください』

 

『そ、その、俺ももっとリビアの事知れる様に善処する……』

 

 

 大成功みたいで何より。

 こんなの、前世からリオン……タケさん知ってる俺じゃなきゃやれなかったよなあ。

 今日くらいは自画自賛しても許されるだろ、あの人傲慢でその癖頭は良くて抜け目無くて優しくて、そんななのに自分の評価は死ぬ程低くて、柔軟な発想力もあるのにいざ自分絡みの話になると固定観念に囚われて人の好意に気付かなかったりするからな。

 前世でも何度女の子がそれに泣かされてきた事か……罪な男よ。

 

 でもそれもここでおさらば、さっさとイチャついてくっ付けよ。

 リビアともアンジェとも、な。

 

 

 

 

 

『そういや何でリビアが俺の言った事知ってるんだ?』

 

『それは……その、アルさんに……ネズミくんを渡されて……可愛いですよねこれ』

 

『……まさか全部聞いてたのか』

 

『そもそも聞いてなければ来れませんよ?』

 

『あ、アルアイツ……嵌めやがったな……』

 

 

「やっべ明日どうやってリオンから逃げ切るか考えてなかったわ」




リオンとアル
正史のリオンはマリエが妹と分かるまでずっと一人で抱え込む事が多くてそれが結果的に拗れる原因を作ったり自己評価の更なる低下を生んでたと思うんですよね

だからこの世界線での
『前世のリオンと幼馴染だった人間が正体をお互い知った状態で隣にいる』
という前提は大きくリオンの周りが変わるキッカケになると考えました
他のどの作品とも違う
・『モブせか』がある世界
・リオンの前世と同じ世界に生きていた
という自己目線で二つの前世を持つ特異な経緯を辿ってるアルだからこそ出来る(やってしまった?)事を書ければとこのルートに辿り着きました
後悔とこの後のギスギスは死にました
まあ、戦争はするんですけどね

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。