幼馴染はどうやら転生しても続くらしい 作:ぶり大根(元・孤高の牛)
「ま、そりゃ逃げられませんよねー……」
次の日、俺は大人しくリオンの目の前で正座をさせられていた。
そりゃそうだろう、俺はリオンの為とは言え騙していた訳だしお節介と言われたらそれまでだ。
でもやりたかったんだから仕方ない。
「ア~ル~? 昨日は良くもやってくれたな……」
「いやースマン、でもアレくらいしないとドンドン拗れてくと思ったからさ。リビアが俺に対して不信感持つのは耐えられてもリビアがリオンに不信感持ってリオンがそれでこの機会にと『立場を弁えて~』とか何とか言ってリビアとアンジェから離れて行くんじゃないかって考えるとそれはやっぱ耐えられなかったし」
「アルさんを責めたらダメですよリオンさん、お礼を言わないといけないくらいなのに」
「何か良く分からないけど僕達とオリヴィアさんがお似合いは無いよね」
「オリヴィアもアンジェリカも毎度毎度バルトファルトにくっ付いてるしな」
あー空気が良い。
ギクシャクした雰囲気なんてクソ喰らえだ、これから開幕するのはリオン周りを中心にしたラブコメで良いんだよ全く。
公国との戦争は避けられないにしても終始イチャついてくれれば俺は満足、俺は俺でイチャつくしな。
「ったく……ま、アルがいなきゃ俺達仲直り出来てなかったのは確定だっただろうし助かったのは事実だよ。色々とありがとな」
「気にすんなよ、俺じゃなきゃ出来ない事をしたまでだ。こっちこそ強引な事して悪かった。リビアも、あんな不安定な時に押し掛けてゴメンな」
「な、何言ってるんですか! アルさんは寧ろ私を助けてくれたのに……それに私決めたんです。身分で人を見る事はもうしないって。私を助けてくれたリオンさんやアンジェ、マリーや事情を知ってても気さくに友人として接してくれようとしたアルさんの事を信じたいから……!」
リビアの方も精神的にグッと成長出来たみたいだな。
俺に戦闘的チートは無いから、こうして周りに成長を促す事が、リオンの隣に立ってる事が最大の貢献として機能するならそれで良い。
だからって俺がモブとは言わないけどね、マリーの夫になる以上はね。
「リビア……改めて、こんな俺で良かったらこれからも仲良くしてくれ」
「ふふ、勿論です! アルさんもですからね!」
「有難い限りだよ」
これで直近の仕事はウイングシャーク本隊のスカウトと最低限ロイズの当面の無力化くらいか。
その後は修学旅行を挟んで戦争だが多少の時間はあるはずだ、クロカゲのメンテナンスやら何やら色々やる事はあれどゆっくり出来る時にしておかないとな。
その為にもまずはウイングシャーク全勢力の掌握から行くとしますか。
「はぁ! とりゃ!」
「よっ、ほいっと!」
予定ではまだ空賊団が攻めてくるまで時間がある。
そんな中、ブラッドとグレッグが気持ちを新たに今度こそ邪魔をしない、助太刀をしたいと俺とリオンに申し出てきた。
リオンは勝手にしろと言ったが……まあ、それが間違いだったんだろうな。
グレッグに関しては筋トレをしに部屋に籠ったからまだしも、ブラッドはまだ自分は他の四人に比べると弱いからとリオンに剣術で勝負してほしいと懇願してきたのだ。
リビアに関しては解消されたもののここまでの精神的ストレスで疲労が溜まってるからと休ませているからここで見ているのは俺とルクシオンだけだが。
「貴方もマスターに似てお節介やきですね、アル」
「知ってるだろ、俺はリオンと前世で幼馴染なんだ。んでアイツの心の負担を軽減させられるのはお互い前世の正体を知ってる関係性でしか成立出来ない、つまりリオンにお節介かけられるのは俺にしか出来ない事なんだよ」
「マスターの成長を阻害する、とは思わないのですか?」
「良くも悪くもリオンを何から何まで知ってるからその辺は大丈夫だ。どうしてもアイツ一人じゃ拗れそうになった時にお節介して、後は好きな時に頼ってくれればそれで良い。何だかんだ自分絡みじゃなきゃ頭良いんだしさ」
「そうですか。確かに『前世』や『この世界を知っている』という事柄は一人で抱えるには大き過ぎるモノではあります。なので私としてもアルの様な、マスターの隣に真の意味で立てる存在がいるなら安心して新人類の抹殺計画を建てられるというものです」
「ルクシオンも素直じゃないなあ」
ルクシオンと二人……いや、一人と一機として喋るのは初めてだった。
俺の評価を聞くのも初めてだったが……中々高い評価をいただけてる様で何より。
そもそもルクシオンだってこうして冗談……冗談だと良いな……みたいな事話してるが、気に入った人間じゃなきゃマスターと言えどこんなにも個人の事を話すのは無いだろう。
「いつか必ず、僕はバルトファルトに勝ってみせる!」
「へーへー、楽しみにせず待ってやるよ」
お、どうやら二人の方も満足したらしい。
ブラッドは無駄にキラキラオーラを出してるが、リオンも満足気な顔してやがる。
何だかんだ相性悪くないのかもな、コイツら。
「何だかんだ仲良いな」
「冗談言うなよ、面倒なだけだって」
「ま、そういう事にしといてやるよ」
楽しそうで何よりである。
面倒と言いつつ相手してやってる時点でそこそこ好感度あるの知ってるんだぞ俺は、ツンデレがよ。
さて、俺も戻って空賊が来るまでのんびりしとくか。
「リビア、大丈夫そうか?」
「身体の方は問題無いから大丈夫です。ちょっと疲れちゃっただけなので……」
「なら良かった」
そしてリオンは告白されてからというものの露骨に過保護なのを隠さなくなったな?
これでお似合いじゃなきゃ何なんだよほんと。
「うーしそれじゃ最終確認だ」
だが色ボケしてるだけじゃ先に進まないし足元を掬われる。
最後の作戦会議と行こうか。
「そうだな。俺とアルが前線に出るとして……ブラッドとグレッグはまあ防衛に回ってくれたら良い」
「良いのか!?」
「あそこまで言われたから、仕方ないから出してやるって事だ。感謝しろよ」
「恩に着る」
「因みに鎧はこれを見越してディーンハイツ家の量産機を持ってきてやったからそっちも感謝しろよな」
「マジでか!」
「ディーンハイツ家と言えば王国でも非常に優秀な守備の扇の要、今の僕達のポジションなら最適解か……本当に有難いよ、これで僕達も戦える」
そう、俺はこれを見越して事前に実家に話を通して二機量産機の鎧を融通してもらっていた。
大型で機動性は低いがその分大きめで重量のある強固な盾とリーチの長い槍、頑丈なボディでただの量産機鎧では負ける事はそうは無い優れ物だ。
ウイングシャークの量産機の攻撃なんてあんま効かないレベルだしコイツらが怪我する事もそこまで無いだろうと思ってこれを選出してきたが気に入ってもらえそうで良かった。
「取り敢えず戦闘要員はこんな感じか」
「ああ。んでリビアはこの船のお留守番頼む。誰かいないと心配だから、リビアにしか頼めない」
「わ、分かりました! 頑張りますね!」
「レディックは俺が合図するまでリビアの護衛な。万が一にもリビアに手出ししたら首が吹っ飛ぶから気を付けろよー」
「はは、分かってますよ! アルフォンソ様やバルトファルト男爵に仇なしたらどうなるかは昨日散々体験しましたからね……」
唯一少し懸念点だったレディックも流石にあんな力を見せられたら完全に従順になったか。
こっちとしちゃ契約時から元々信用してるがこれなら安心だな。
「取り敢えず俺とアルはあっちからお出迎えがあればすぐ前線に出撃する。ブラッドとグレッグは船の近くで俺達が取りこぼした敵の露払いになるが……」
「マスター、どうやらあちらから盛大にお迎えに上がられたみたいですよ」
「……どうやらあちらからお出ましみたいだ。お前ら気合い入れてけよ、今度のは頭領の鎧もあるだろうからな」
っと、早速登場か。
俺としてはあの規模の艦隊と鎧を一気に仲間に取り込めると思うと高揚が止まらないな。
「リオン、頭領機は俺がビリビリネットミサイルで動き止めるからあんま傷付けるなよ。俺の貴重な部下になる連中の、最大戦力なんだから」
「了解、お前の補助があれば何とかなりそうだな」
特に頭領機、スキンヘッドのウイングシャークボスが使用しているアレはアロガンツを、リオンが気取られていたとはいえ吹っ飛ばす程のポテンシャルがある。
その後あっさり壊されたが、あの能力は馬鹿に出来ない。
味方としてこっちにいてくれればやれる事も増えるだろうし、その分家としても護衛任務の量が増やせたり、ウチの鎧の宣伝にもなって生産での稼ぎが一気に増加したり、俺の身分も上がって取り引きも増えウイングシャーク全勢力分の給金もしっかり賄えるだろう。
ウイングシャーク取り込んだだけで良い事尽くしだし、ここは本気で制圧しに行かないとな。
「さてお前ら! 行くぞ!」
このまま行けば全てが順調に進む……最高じゃないか……!!
「ご、ご主人様……本当に元気ですよね……」
「当たり前じゃない、このくらいで根を上げてたら熊が主食リーチになんてなって無かったわ! 逆に食われてたわよ!」
一方その頃、王都の地下ダンジョンにはマリエとカイルがいた。
ドン引きする様な顔付きのカイルの目線の先では、中型の熊らしき物体が目を回しながらマリエの手によって引き摺られていた。
そして当のマリエは笑顔である、学園でも非常に小柄でか弱い女子という印象のあった当人からは想像の付かない怪力振りであった。
勿論ではあるが、この熊を倒したのもマリエである。
「さあ熊! このダンジョンで一番お宝や宝石のある場所を教えなさい!」
暫く引き摺ると彼女はおもむろに回復魔法を発動させ熊を回復させる、それは『いつでもお前を倒せる』と言っているのも同然であり並大抵の冒険者では返り討ちに遭う様な熊型モンスターの彼もこれには戦慄し投降し従うより他無いと感じざるを得なかった。
「ぐ……ぐまぁ……」
「話が分かる子は殺さないから安心しなさいな」
「どう考えてもその発言が一番怖いと思うんですがね?」
モンスターであるにも関わらず最早冷や汗をダラダラ流しながら誘導する熊に、既に歴戦の強者の面影は無かった。
そして熊は、器用に指を指す。
それは『あそこが一番価値の高い場所だ』と言わんばかりであった。
「こ、これは確かに金銀財宝が沢山……!! これでアルに掛ける負担も減るはず……!!」
「あ、やっぱり本題はそっちだったんですね」
「だって学園に入る前も、入ってからも、ずっとアタシはアルに助けられっぱなしだったんだもの……自分でやれる事はやらなきゃ」
「そうですか。ラブラブで何よりですよ」
主人である少女を見つめる少年、カイル。
この少年は買われてからずっとこの主人と『アル』の恋を応援してきた。
そんな想いがあるからか、無意識に目線が優しいものになる。
「……ん?」
「どうしたんです、ご主人様?」
「あ……ちょっと……ね、この腕輪……?」
本来なら、そんなハートフルギャグコメディで終わるはずだったこの一幕。
しかしこの少女、マリエが見つけたものが新たなアルの胃薬案件になる事を、まだ誰も知らなかった。
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分隊長に至っては名前も着いてサブキャラ入りとぶっ飛んだ作品ですがこれからもぶっ飛びます(テロ予告)
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