幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

36 / 83
第三十六話『ウイングシャークスカウト大作戦Ⅱ』

「畜生! 何なんだあの黒い鎧二機は!」

 

「油断するなよ! どっちも明らかにバケモン級だ!」

 

 油断してもしなくても同じなんですけどね、とクロカゲに乗る俺は一人呟き一機を無力化しパルトナーに落とす。

 開戦してから約五分、数自体は確かに多いしこれが前線に出れる人数が一人なら苦戦を強いられていた可能性もあるだろうが俺がリオンの横にいる時点でその理論は崩壊する。

 

 そもそも俺のクロカゲは銃火器等と言った遠距離向きな武器が多く搭載されている為、アロガンツより遥かに殲滅戦においては優位に立てる。

 それに加え現在はマルケス製ビリビリネットミサイル発射装置が両肩に乗ってるので更に殲滅戦の優位性が上昇、俺がビリビリネットミサイルで相手の動きを封じてリオンが打ち落とす完璧な息のあったコンビネーションで楽々だ。

 

「更に言えば、この世界線ではリビアが運悪く外に出てくる事も無いだろうし」

 

 原作、アニメでは不安定な精神だったリビアもリオンと既に仲直りしていて精神は安定している上にリオンと若干イチャつき始めたし、いざとなってもレディックがいるから何とかなるだろ。

 

「このォ!」

 

「なんで当たらねえんだ!」

 

「あー効かない効かない。ヨイショ、ほらよ!」

 

 敵も太刀筋が良かったり判断力が良かったりとやはり歴戦の強者だけあり洗練されているが如何せん機体性能が違う。

 避けて避けて敵を引き付けてミサイルで硬直させ落とす。

 鎧もほぼ無傷回収、パイロットもほぼ無傷で拘束出来て正に不殺の鑑だ。

 リオンもこれにはご満悦だし、マルケス様様だな。

 

「リオン~、どうだ?」

 

「問題無い! それより何か力が湧いてきて仕方ないわ! ダーハッハッハッ!」

 

「リビアと仲良くなれてご満悦なのね……」

 

「通常時比で二割程の操作性上昇を確認しています。大方アルの予想は当たりでしょう」

 

「おいそこの一人と一機、正直に言い過ぎだろ」

 

 これもう絶対リビアの事好きだろリオン……呆れるくらい絶好調でかっ飛ばしてるじゃねえか。

 話しながらでも片手間に無力化してるし、これのどこをどう見たら絶好調以外のものに見えるのだろうか。

 

 ……因みに船の方も、防衛隊二人がシールドで防いだり近付いてきた取りこぼした敵を無力化したりと地味に活躍中だ。

 これを機にウチの量産機の性能を存分に宣伝してほしいものである、特に伯爵家レベル二人の力ならすぐにでも噂が出回れるだろうしな。

 

 さてと、後は頭領機がいつ出てくるかだが……

 

「お、リオン……頭領機のお出ましだぜ」

 

「ここからがメインだな。手を緩めずに行くぞ」

 

「クッソ、何だってんだコイツら!!」

 

 慌てて出てきたのか相当焦った声を上げながらこちらに急接近してくる一際デカい機体……見た目も正統派なカッコ良さを持ちながらモブ鎧の中では最上位クラスのポテンシャルを持つハイレベルな鎧。

 実は俺はモブせかの中ではアロガンツの次にこの鎧が好きだったりしていた。

 

「お前がリーダーだな」

 

「つーか一人だけ違う機体乗ってるんだしそりゃそうでしょ」

 

「ぐぐぐ……俺様を愚弄しやがって……」

 

「いやぁ愚弄してる訳じゃないんだけどなあ。俺達は君達ウイングシャークをスカウトしに来たんだけど」

 

 と言う訳で早速スカウトタイム入っちゃいますか。

 あんまりこの頭領機鎧傷付けたくないから戦いにしたくはないしな。

 

「う、ウイングシャークをスカウト? 一体どういう事だ?」

 

「その話はウチの船でしたいんだけど、どう?」

 

「……それを鵜呑みにしろってか」

 

「ま、ただで信用してもらおうとは思ってないさ。リオン、例の信号弾を」

 

「了解。一旦停戦するぞ」

 

 リオンが信号弾を放つ。

 これは知っての通りレディックに合図を送る為の信号弾だが、ここで停戦は実は非常に賭けになる。

 だから一度本人を屈服させてからの方が色々諦めて話を聞いてくれる確率が上がるのだが、何度も言う様にそもそも鎧ごと戦力にしたいのだから戦闘があまりにも非効率的過ぎるのが枷になってしまっている。

 なのでこうして穏便且つ強引に話を聞いてもらおう大作戦を実施してる訳だが、これはこれで抵抗されると前者よりも悲惨な状態にさせないと行けなくなる可能性も孕んでいる。

 

「そんな手に誰が乗るか!」

 

「っと、危ねぇな! まあ待てって! お前ら空賊なんかしなくても俺の私兵団として雇ってやるって言ってんだよ!」

 

「ふざけんな! どこの誰とも分からねえ連中の提案に乗る程馬鹿じゃねえんだよ!!」

 

「こっちからしてみたらそれはこっちのセリフなんだけどね!? 俺は王宮に代々直接仕える子爵家の嫡男だ! つまりお前らはここで話を飲むと将来少なくともそんな家に従属するって事で安泰出来るんだよ!」

 

 俺としてはあんまり身分をひけらかすのは好きではないが戦力を手に入れる為だ、なりふり構ってなんていられるかってんだ。

 権力と権利は使える時に使わないと、何の為に貴族なんてやってるのか分かんねえっつーの。

 

「なっ!? 王宮にだと!?」

 

「そういう事だ、あとアンタのお仲間さん……先行させてた分隊もスカウトしたから安心しな。ほら、甲板に分隊長いるっしょ?」

 

「アレは……レディック!? ……仕方あるまい、アイツが従ったと言うなら信ぴょう性も高い。この俺様が貴族に従うのは不服だがこれ以上やり合っても勝てねえのは明白だ、白旗を上げさせてもらう」

 

 凄いなレディック、お前どんだけ信用されてたんだよ。

 アイツの姿を見ただけで頭領まで観念するのは正直そこまで期待値は高くは無かったが……あっさり過ぎる。

 絵に描いた餅が棚から牡丹餅になった気分だ。

 

 頭領をパルトナーまで誘導する間も素直に着いて来てるし、リビアも無闇矢鱈に出てこなかったし、良い事尽くめって感じ?

 

「ブラッドとグレッグもおつかれー」

 

「君から借りた鎧のお陰で無傷で乗り越えられた、ありがとう」

 

「ああ、コイツはすげえな。礼と言っちゃアレだが今後宣伝させてもらうぜ」

 

「そりゃ有り難い」

 

 二人からのディーンハイツ家鎧の評価も上々、これで家の財力も上がるだろうし万々歳だな。

 

「いてて……」

 

「済まねえな嬢ちゃん……敵だったってのに」

 

「目の前で助けられる人が、助けを求める人がいるなら、助けたいですから。敵味方関係無く」

 

「リビアは優しいなあ……」

 

「そ、そうですか? 私は……その、私の力で誰かを助けられるなら、助けたいだけですから」

 

 そしてリビアだが、今は軽く撃墜されたウイングシャークのパイロット達の治療を行っている。

 純粋にリビアが申し出て来たのもあるが、頭領へのアピールにもなるという打算があるのは内緒だ。

 助けてるのは事実だし秘密でも……ま、大丈夫だろ。

 

「……流石に中に入る程警戒心は解いてないだろ? ここで話をしようか」

 

「ああ、部下達の治療もしてくれてる様で。敵対関係にも関わらずその処置を施してくれた事に感謝する」

 

「元々スカウトしに来たんだ、この程度やって当然だって俺は思うがな。……さて、アンタが聞きたいのはスカウト理由だろ?」

 

「そうだな、そんな上手い話があるとはとてもじゃないが思えないんでな」

 

「その為に呼んだんだよ……レディック」

 

「へい」

 

 呼ぶとレディックが近付いてくる。

 これもアピールの一つ、昨日の今日で既にレディックが俺に従属したという事を見せ付け警戒心を一気に取り除いて話もさせちゃえば、あれだけ信用してる感じも出てたしすぐ落ちるんじゃなかろうか。

 

「俺が話しても完全には信用出来ないと思う、直接交渉してもらっても良いか?」

 

「お任せくだせえ! リーダー共々身の安全が保証されるならやらない理由が無い!」

 

 うーん意気揚々。

 これが昨日まで俺と敵対していた人間の姿なのか盛大に怪しくなってくるが、安全と分かってるからここまでしてくれているのも分かっている。

 いやはや俺が王宮に戦況やら何やら直接進言出来る家の嫡男で本当に良かった、下級貴族でそれが許されてるのなんて王国建国当時から従属してる家くらいなもんだしな。

 

 あとローランドはちゃらんぽらんだけど能力は低くない、寧ろ全体的にバランス良く70点台から80点台のバランスの取れた能力値の、王としてのスペックだけ見れば理想的な国王だ、あくまでもスペックだけ見ればの話だが。

 だからいざとなった時……今みたいな敵対勢力のスカウトやステファニーの事に付いての進言を俺自身が、親父の口添えを通してだが出来て尚且つスペックだけは高い、つまりは実は理解力のある国王に聞いてもらえるってのは中々に俺の唯一無二のチート能力なんじゃないだろうか。

 

 え? ローランドの胃痛が増える?

 これからもっとリオンで胃痛が増えるんだし一つくらい胃薬案件が増えても問題無いでしょ、多分。

 

「……つー訳っす、頭領。こんな強い貴族に仕えられてすぐにでも手柄を挙げられる事案があるってなら乗らない理由が無いです。断ってもどうやったって勝てないのにここまでしてもらった以上……」

 

「……だな。分かった、ウイングシャーク全勢力は今からディーンハイツ家に下ろう。そして今まで貯め込んだ財宝は王宮への口添えには充分だろうし持っていくと良い」

 

「スカウト受諾、感謝する。では家には今から連絡を入れておくから財宝の受け渡しが済み次第ディーンハイツ家から来た船に着いてってくれ」

 

 本当にスカウト大成功で終わっちゃったよ。

 あの鎧を無傷で回収出来るのは私情としても戦力としても最高と言わざるを得ない、心の中でテンション爆上げしつつも将来的には俺が子爵となるのだからとこれからの部下の前ではギリギリ威厳を保つ。

 

 あとオフリー家がイレギュラーな存在となった以上、公国にどんなイレギュラーがあるか分からないからな。

 アイツらのせいでこれからの展望がめちゃくちゃになり掛けてるが、そのお陰でこうしてウイングシャークのスカウトをしてると思うと本来の展開から外れてイレギュラーにイレギュラーを重ねてるのはこちらも同じか。

 

 取り敢えず、これからの事は後で考えるとしてローランドへの報告だけはさっさと済ませておくか。




レディック
ウイングシャーク分隊長
原作やアニメではチョイ役の名無しモブ悪役だったが本作ではアルにスカウトされ名有りサブキャラに昇格
比較的頭が良く人を見る目はある
本隊への説得役にもなり、スカウトとウイングシャーク完全無力化の最後の〆として大いに役立った

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。