幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第三十七話『権力や権利って使える時に使うもんだよね』

「なに? この俺に接見したいと申し出てる奴がいる?」

 

「ええ、それも代々仕えてきたディーンハイツ子爵家の嫡男が先の空賊討伐に付いて話があるので是非と。ディーンハイツ子爵自らからの口添えもございまして……」

 

「はぁ……あのガキと一緒にいる奴か。どうせ会わないと面倒な事が起きるだけだ、通せ。あとアイツらの話となるとどんなとんでもない話を持ってくるか予想が付かん、人払いもしておけ、良いな?」

 

「はっ!」

 

 ローランドのいる玉座の間の扉の向こうで聞いてるが、やはりローランドは無能ではなく能力があるのに使わないただの面倒臭がり屋のちゃらんぽらんな女好きなだけだと分かる。

 通さなかった時のデメリットと話の大まかな予想をこの一瞬で付けられるとは、性格さえまともなら歴代でも上位の聡明な王になってたろうに……まあそんなローランド見たくはないから良いが。

 

「許可が降りた、決して粗相の無い様に」

 

「心得ました」

 

 扉が開かれる。

 そこには大層な玉座に、肘を突き立て肩頬を乗せながらふてぶてしい顔で俺を待ち受けるローランド王の姿が見える。

 やはり王としてのオーラは感じられないが、今は国を揺るがすレベルの事態だ、真面目に行こう。

 

「ローランド王、此度は接見のお許し誠に有り難く存じます」

 

「あー良い良い固いのは要らん。それより半ば強引に接見を求めたという事はそれなりの事があるのだろう? それをさっさと話せ。俺は面倒は嫌いなのだよ」

 

 ローランド相手に真面目に行こうとした俺が馬鹿だったよ。

 だが口調がある程度崩れても許されると暗に言われたのでさっさと要件を片付けるか。

 

「まずは空賊を動かしていた主犯格ですが、オフリー伯爵家嫡男、ロイズ・フォウ・オフリーである可能性が浮上しました」

 

「やはりあの家か……して、どこでその情報を得た?」

 

「まず最初にその情報を吐いたのは同じくオフリー伯爵家令嬢のステファニーです」

 

「どうやって吐かせた?」

 

「そもそもステファニーは実行犯として兄に命令されていたらしく、俺の親友をそれに巻き込もうとしたところを捕縛して尋問しました。ただ実行前に捕縛されたので空賊の一件には実質何も絡んではいません」

 

「…………ステファニーは今どこにいる?」

 

「公にバレるとまずいので俺の親友……マルケス・フォウ・サンドゥバルの部屋で捕縛中です」

 

 あ、ローランドが腹を抑え始めた。

 この後何かしら面倒が起きると分かって胃痛が起きてるなこれは。

 申し訳ないがまだあるから胃には耐えてもらおう。

 

「そ、それでその事を聞いたのはそれ以外にもあるのだろう?」

 

「はい。オフリー伯爵家の寄子であるフェイン家のカーラと空賊からも同様の事を聞きました。カーラはロイズに家族の命を盾に脅されていたと話していました」

 

「……そうか。はぁ……明日、査問会の調査班をオフリー伯爵家に飛ばそう。そしてステファニー・フォウ・オフリーは事実の裏付けが取れるまで秘密裏に投獄を行う。いつまでも一個人の部屋で捕縛するのも限度があるだろう」

 

「それが宜しいかと」

 

 話は聞いたと言っても証言のみだ。

 事実確認がしっかり分かるまで投獄されるのは仕方の無い話だろう。

 寧ろ有無を言わさず処刑されなかっただけ有情というべきだ。

 

「……話は他にもあるのだろう?」

 

「ええ、後二つございます。一つは……公国が王国に近々攻め入る可能性のお話です」

 

「心底……心底、人払いをしていて良かったと思うぞ……なんでそんなとんでもない話を持ってくるんだお前は……」

 

 これに関しては俺も胃痛がする話題なので同情はする、だがしないと行けない話でもあるから許してほしい。

 

「申し訳ございません。しかし、オフリー家と言えば公国とも貿易上繋がりのある伯爵家、そんな家がこうして王国内で空賊を暴れさせたとなればそこに注目をさせて裏で別の動きを行っている可能性を考えるのが妥当かと。

そこで思い至ったのが、オフリー家が公国と何らかの契約を結び手引きを行い王国を滅亡に追い込もうと言う算段です。あの家は元より王国に不利益な悪事を働いていた疑惑が絶え間無く上がり王妃候補でもあったアンジェリカ様の家、レッドグレイブ家とも敵対関係。可能性はあるかと」

 

「……言ってる事は確かに妥当か。全くあの家はどこまでも面倒事を……!! チッ、そこに関しても査問会の調査班に調査させておく。まだもう一つあるんだろうさっさと話せ」

 

 かなり苛立ってるみたいだなあローランド。

 そりゃそうか、実質王家と対立してる様な迷惑な家が今度は国際問題どころか戦争を手引きしてる疑惑が持ち上がっているんだ、こうなるのも無理は無いだろう。

 

「最後になりますが、何れにせよ公国との膠着状態がいつまでも続くとは限りません。そして王国の戦力では公国には劣勢です……なので空賊、俺の傘下に寝返らせちゃったんですよね実は」

 

「………………本当に、お前らどれだけ俺の胃壊せば気が済むんだよ」

 

「それに関しては申し訳ないと思っていますが、最近我等ディーンハイツ家の財力は上昇の一方。金銭面の心配はございません」

 

「そうでは無いだろどう考えても……」

 

「冗談です。裏切るかどうかですが、直接戦闘して叩きのめした上で力の差を分からせて洗いざらい話せば引き入れるという契約の元行ったので裏切っても奴らに戻る場所は無く逆に我等に今度こそ抹殺されるでしょう。そのハイリスクノーリターンを行う馬鹿であるなら引き入れは行っておりませんのでご安心を」

 

「何なのお前ら、公国との戦争の為に敵を傘下に入れるとか……」

 

「申し訳ありません。この二件があるので人払いをしてもらったのは非常に感謝しております」

 

 実際こんなの大臣達や側近に聞かれていたら大問題だ。

 このローランド一人だけだから話せるのだ。

 全て話せば良い方向に向くとはいえ良くも悪くもピシッとした連中に話しても到底信用してもらえるとは思わないし。

 

「……分かっているのだろうな、敵を傘下に加える覚悟が」

 

「はい。有事の際には俺自らが指揮を取り最前線で共に戦います。その事も含めて契約を結びましたから」

 

「ディーンハイツ家のガキで無ければ今すぐ追い出してたところだぞ本当に。そこまでの覚悟があるなら一応はずっと仕えていた家故に信じてやらんでもないがな」

 

 いやあ本当にディーンハイツ家が王家に仕える戦闘集団及び暗殺屋で良かった。

 こんなの相当信用されてる家からの進言でなければ聞き入れられるのなんて不可能だからな。

 権力や権利って使える時に使うもんだよね、乱用じゃなくてここぞで使う事にこそ意味がある。

 

「有り難く存じます」

 

「お前からの話は終わりで良いんだな?」

 

「はい、お時間ありがとうございました」

 

「あー待て、一応俺からの話もある。今日話す事になるとは思わなかったが次いでだ」

 

「なんでしょうか」

 

 よーしこれで終わり、と思った矢先にローランドに呼び止められた。

 あれ、そっちからも話なんてあったんだ……と思いつつも向き直る、何の話かは知らんがそこまで不利益な話では無いだろう。

 

「実はブラッドとグレッグから、此度の件での功績を譲られ更に嫡男復帰を打診された礼にとあの馬鹿には五位下、お前には六位下の男爵位付与の推薦が来たので承認した。

そしてアトリー家より更に、馬鹿とお前双方にブラッドとグレッグの推薦と重ねての昇進推薦が来た。馬鹿に関してはすぐの五位上昇進は嫌がらせでやってやりたかったが出来ないがお前は空賊という艦隊を傘下に収め公国との戦争時にはその艦隊を動かすと宣言した故、艦隊指揮の権限を持っていてもおかしくない五位下への昇進を今決めた。

これで有事の際に艦隊指揮を行っても文句は出ぬだろう。俺様に感謝しろアルフォンソ」

 

「成程……俺にも昇進の打診が来ていたとは。六位下、そして五位下男爵位を授かる事光栄に存じます」

 

「……チ、もう少しあの馬鹿の様に狼狽えれば良かろうに」

 

「生憎と俺は既に未来の妻がいます故、今から身分を貰っても損は何一つ無いので。高過ぎる身分なら恐縮してしまいますがね」

 

 飄々と答えるものの内心は結構ビックリしていたりする。

 今回の件で六位下までの昇進は想定内、六位上の昇進もワンチャンあるかと思っていたがまさか一気にリオンと同じ五位下まで上がるとは。

 リオンは実質五位上だが、五位下でも学生としては相当破格な位であるのは知っている。

 まさか空賊スカウトが昇進に絡んでくるとはなあ。

 

「まあ良い。お前ら二人はいつか絶対国の重鎮として放り込んでやるから覚悟しておけ」

 

「期待せずに待っていますよ」

 

 とは言え流石にいってもリオンの隣でちょっとサポート続けるポジションは変わらないし上がっても四位上までだろう。

 それでも家の格式を超える身分だが将来的には王にまでなるリオンの隣にいるんだからそれくらいの覚悟はあるさ。

 

 伯爵とかには流石にはならんだろうし、それなりの地位でそれなりの事やって幸せに悠々自適に生きてやるんだからな。

 

 

 

 

 

「な、何故だ!? 何故私を殺す!? 私はロイズ、お前の為に……ごぁ!?」

 

「生きてられると不都合なんだ、ごめんね父さん」

 

 血塗れの部屋の壁に、新しい血が飛び散り塗りたくられる。

 目を見開いた壮年の男がその場にばたりと倒れこの場に生きている人間は、若く一見優しそうな風貌を思わせる、それでいてこの凄惨な現場を作った青年一人だけになる。

 

「さてと……ステファニーもカーラも空賊も全員失敗か。消そうと思ったけどそれも難しそうだし、となればこの家に居座る必要も無いからね。僕は公国に渡らせてもらうとするかね」

 

 返り血で汚れた服を脱ぎ捨て、ラフな服装になった青年は見向きもせずその場を立ち去る。

 後には死に絶えた人間十名程が取り残されていた。

 

「僕は、僕にはやる事があるんだ……だからこんなところで終わる訳にはいかない」

 

「ふ、ふふ……他の誰も持てる訳が無い僕だけのチートのお陰で全てを見通せるんだ。『モブせか』の知識のお陰で、僕は排除すべき人間も手に入れるべき人間も何もかも知る事が出来た」

 

「そう、僕は神だ。選ばれし者だ。今度こそあのクソを殺して愛しの僕だけの君に会いに行くよ……待っていてくれよ……」

 

 

 

 

 

「アヤ……」

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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