幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第四十三話『ダイナミック入店(但し公国軍戦艦)』

「レディック、状況は?」

 

「今はグリシャム艦長を主体としたチームで何とか抑え込めていやす。ですが如何せんモンスターが多過ぎる上に公国の兵士までいるんじゃいつまで持つか……」

 

「分かった。俺も直ぐに出撃する、クロカゲの準備は?」

 

「既に準備万端ですぜ頭領」

 

「サンキュー、行ってくるわ」

 

「ご武運を!」

 

 二番艦に飛び乗った俺はその足でレディックに詳細な状況を改めて聞いた上でクロカゲのある搭乗口まで走る。

 いくらアロガンツに一矢報いれるレベルのグリシャムの鎧と言えどどこまで耐えられるかは分からない。

 

 ならそれこそ俺の対多数に大得意なクロカゲの出番って訳だ。

 

「クロカゲ・アルフォンソ発艦する!」

 

 さて実際の戦場は……見た感じ犠牲0で粘ってるな。

 良かった良かった、これならまだまだ行けそうだ。

 

「グリシャム! みんな! 良く耐えてくれた!」

 

「頭領! 待ってやしたぜ!」

 

「直ぐに生徒組の鎧も四機来るから安心しろ! やるぞ!」

 

「俄然やる気が湧いてきやした!! お前ら!! 頭領の前で良いとこ見せるぞ!!」

 

『うおおおおおおおお!!』

 

 しかも俺が来た事でモチベーションが一気に上がったご様子。

 そんな慕われる様な事スカウト以外に覚えが無いんだけど……まあ、やる気があるに越した事は無いし良いか。

 

 俺もやりますかね。

 

「まずは勿論……ビリビリネット全門斉射!! ファイヤー!!」

 

 対軍団戦最強の多数バインドであるビリビリネットミサイルを躊躇無く撃ちまくる。

 しかも今回ストックは貯蔵してある1/3を積み込んで来たからかなり撃ちまくれる、モンスターにも公国軍にも効果は抜群だ。

 

『な、何だこれは……!? クソ、動かな……』

 

「死に晒せェ!!」

 

 勿論動きが遅くなった公国軍に俺達が躊躇をするはずもなく、主に鎧の四肢と顔を狙って斬り刻む。

 流石にこれなら殺さなくても楽に無力化出来るから良いが……ま、それでも打ち漏らしはあるからそういう連中は申し訳ないが死んでもらっている。

 

「さっすが頭領!! めちゃくちゃ楽になったぜ!」

 

「俺のクロカゲは元よりこういう戦争向きの鎧だからな。殲滅戦は任せとけって話だ」

 

「ディーンハイツ!」

 

「アル! 遅れてごめん!」

 

「そんでもって生徒組の鎧も到着だ」

 

 量産機四機のみだが、それでも今の俺達にとって少しでも手数が増えるのは心強い。

 目に見えてヘルシャーク隊の士気が上がるのが分かる。

 

 ところで残りの二人は誰なのやら……

 

「ところで残りの二人は誰を選出してきたんだ?」

 

「ああ、それだが……ルクル先輩とランスだ」

 

「僕も黙って見てるだけなんて出来ないからね。僕の力が王国を救えるなら使うまでさ」

 

「アンジェリカ様の為に、王国の盾になる覚悟です!」

 

「ランス……あ! アンジェに新しく着いた取り巻きの一人か! それにルクル先輩も……二人ともよろしくな!」

 

 まさかの選出だった。

 ルクル先輩は爽やかな先輩という印象はあったものの鎧に精通しているとは思わなかったし、もう一人に関しては不意打ちが過ぎる。

 旧取り巻きが離れた後、シェリーとノワ以外いなくなったアンジェの周りに一番最初に近付いた真面目な一年生がランスだった。

 

 謎に縁が繋がるな。

 

「さて、僕達にも指示をくれないかな、指揮官?」

 

「前線でも後方でも任せてください」

 

「よし、それじゃクリスとマルは前線、ルクル先輩とランスはその少し後方で打ち漏らしの対処を頼む! 行くぞ!」

 

 何はさておき俺の第一目標は敵戦艦……ヘルトルーデ王女のいるクジラ戦艦だからな。

 そこまで突っ込んでエアバイクに乗り換え突撃、リオンと共に内部制圧を行う算段だ。

 その際クロカゲは近くにいる護衛団の艦に渡しておくから問題も無い。

 

 さてさて、王女様の苦悶の表情が見れるのが楽しみだ。

 

 

 

 

 

「どうしてこんな事になっているのですか!? 王国の腑抜け共にこの我々が遅れを取るなど!!」

 

 一方クジラ戦艦内、そこは阿鼻叫喚に包まれていた。

 本来ならば公国に向けた発煙筒を捨て駒として利用する王国の人間に投げさせて場所を把握するはずだったのだが、それはアルフォンソにより阻まれ逆にアンジェリカの乗った船を襲う前に襲われモンスター軍は半壊、公国軍にも甚大な死傷者が既に出ているのだから焦るのも無理は無いだろう。

 

 中でも特に焦りを隠せないのが立派な髭を蓄えた公国伯爵、ゲラット。

 狡猾で意地の悪い性格の彼は、全ての計画が破綻したと知るや否や物に当たり散らし錯乱していた。

 

 そして次に焦りを隠せないのが、この軍を率いる王女、ヘルトルーデだった。

 

「有り得ない……何故公国が王国に……このままでは……ヘルトラウダが……」

 

 王女には焦る理由が他にあった。

 それは保身でも、軍の心配でもなく、『この船に共に乗っている妹』だった。

 だがそれを、リオンも、アルフォンソも知る由は無かった。

 それはアルトリーベだけではなく『モブせか』でも無かった展開がここで起きているからに他ならなかったからである。

 

「……いざとなれば私が犠牲になれば良い。あの子だけは何があっても守る。王国にだけは殺らせはしない」

 

 本来、途中までは優勢に事を進められるはずだった公国軍。

 だが戦況は大きく変わり捕虜になるなずのアンジェリカもいなければ王国学生の士気は最上、更に護衛団による奇襲を受けほぼ戦意喪失と言われてもおかしくない程公国軍の士気が落ちていた。

 

 だからこそ、ヘルトルーデは最悪の事態を鑑みる。

 

 運命の矛先がどこに向いているのか、それはまだ誰も知らない。

 

 

 

 

 

「悪いが死なない事を神に祈っとけよクソ共」

 

 マシンガンを掃射し公国軍を一気に落とす。

 正直生きてるとか死んでるとか言う余裕は無いからとにかく落とす事だけを重点的に考えて撃ちまくる。

 

「このグリシャム様が公国軍みたいなへっぽこに負けるかよ!」

 

 グリシャム率いるヘルシャーク隊やクリス、マルケスも全員ピンピンしてやがる。

 敵の数も大幅に減ってきたし……なら、そろそろ乗り込めるか。

 

『レディック、悪いがエアバイクを四番艦に向けて射出してくれ。そろそろ本陣に乗り込む』

 

『了解!』

 

「グリシャム! 俺はもう一度ビリビリネットミサイルを撃ち込んだら四番艦に鎧を預けてエアバイクで敵本陣に乗り込む! 後は悪いが任せるぞ!」

 

「分かりやした! ご無事で!」

 

「おう! 全門斉射!!」

 

 ミサイルを撃ち込み、全弾が敵軍に当たり動きを止めたのを確認すると俺は近くの四番艦目掛けて連絡を入れる。

 

『リンスカム! 四番艦のハッチを開けろ! 俺のクロカゲを一旦そこに入れてエアバイクで本陣に突っ込む!』

 

『こちら四番艦艦長リンスカム! 了解ッス頭領!』

 

 公国の鎧を何機か撃墜した四番艦のハッチが開く。

 こういうのは速さが命、直ぐに乗り込みクロカゲから飛び降りる。

 

「悪いなみんな、クロカゲの事頼むぜ!」

 

「任せてください!」

 

「この間にメンテナンスもしときますんで!」

 

「頼りになる! んじゃま、行ってくる!」

 

 そして開いたままのハッチのすぐ外に俺のエアバイクが到着する。

 すっかり頼もしい部下と化したヘルシャークの整備員に礼を言いまたもすぐ様エアバイクに乗り込む。

 スーツは無いがヘルメットはちゃんと着いてるとかレディックも気が利くじゃねえか。

 

「っしゃあ!! ぶっ飛ばして行くぜ!!」

 

 俺はアクセル全開で戦場を駆け抜ける。

 途中モンスターやら鎧やらと接敵する事もあったがスイスイ避けてそれに気取られた隙に部下達やクリス達が倒してってくれてた。

 何だかんだ言ってもクリスは接近戦に強いから助かる。

 

「お、リオン! お前も今から突入するのか?」

 

「アル! タイミングが良いな! その通りって事だ! あのクジラ戦艦に風穴を開けてやろうぜ!」

 

「そりゃ良い!」

 

 そんなんで突っ切ってるとリオンと合流。

 どうやらあっちもあっちで今からようやく突入らしい、全く気が合うったらありゃしないね。

 

「んじゃ二人一緒に……ん?」

 

「うおっ、眩しっ……なるほど、こりゃ壮観だな」

 

 ふと、眩しい光が辺りを包む。

 光源は……客船の方から。

 白い光が見えた……どうやらリビアが覚醒したらしい。

 ほんと凄い子だよ、リビアは。

 

「リビア……すげーな」

 

「だが長時間もは保てないだろうな、俺達は俺達でさっさと突っ込もう」

 

「そうだな。何ならお姫様を誘拐しても良いしな」

 

「ヘルトルーデ王女か……ま、死なせるには勿体ない女ではあるか」

 

 しかしうかうかとしてもいられない。

 俺達はエンジンを吹かせ全速力でクジラの腹に突っ込む。

 

「おんどりゃああああああああぁぁぁ!!!」

 

「ヒャッハーーーーーー!!!」

 

 うーん流石アトリー家の技術を突っ込んだ最新鋭のエアバイク、クジラ如き問題無いと言わんばかりに貫いてってるな。

 いやあハイテクで助かるわ……っと、そろそろかな。

 

「よっと」

 

「いえーい公国軍の皆さんお元気ー?」

 

「ぐわぁ!?」

 

「な、何故貴様らが……!?」

 

 貫いた次いでに周りにいた兵士も吹っ飛ばして登場。

 あーコイツがゲラットか、髭を蓄えた如何にもな奴がアホ面を晒している。

 そんで王女は……いるな。

 

「よし、ゲラットは……こうしてっ!」

 

「ぎゃあ!?」

 

 リオンよ原作より躊躇が無さ過ぎる。

 ゲラットの脳天に思いっきりショットガンの取っ手を叩き付け昏倒させる……うわぁ血が出てるよ……このクソ野郎は自業自得だけど。

 

 俺はその間ヘルトルーデに銃口を向けている。

 

「あー王女様? 今なら人質になるだけで済ませますけどどうしますー? それともコイツみたいに半殺されるのがご所望ですかー?」

 

「お、王国の悪逆非道共め……我々がそんな事で屈するとで――」

 

 バァン、と王女の隣を銃弾が掠める。

 やったのは俺だ。

 隣の魔笛を持ってこようとした侍女の足を実弾で撃ち抜く。

 侍女は倒れ込み悶絶しているが知った事では無い。

 

「オイオイ王女様……そんな下劣な手に俺が掛かるとでも思ったか? 魔笛を渡せ、さもなくば今度はお前の眉間を撃ち抜く」

 

「ぐっ……分かった、これで良いんだろう?」

 

「アル、この魔笛は偽物です。本物は机の下にあります」

 

 ナイスだルクシオン。

 

「だとさリオン」

 

「王女様がマヌケで助かったよ」

 

 俺とルクシオンの声を聞いたリオンが素早くショットガンで魔笛を撃ち抜き粉砕する。

 これでヘルトルーデの笛は完全に封じ込めた。

 

「何っ……く、クソ……!!」

 

 しかし……この王女様、次は自分の眉間が撃ち抜かれるって分かってても偽装するのかよ……どんだけ自分の命に執着無いんだよ……

 ヘルトルーデの狂気的なまでの覚悟を前にドン引きしてしまう。

 

「はぁ……言ったはずなんだがな、次はお前を撃ち抜くと」

 

「や、やめろ……王女様だけは……」

 

 倒れ伏す兵士が何とか止めようと手を伸ばす……が、何も出来ない。

 まあ殺すつもりは無いから安心してほしい。

 

「それじゃあ人質に王女様を――」

 

 リオンが条件を口にしかけたその時だった。

 

「お姉様に手を出すな!!」

 

「……ん? え、あれ? ヘルトルーデが二人?」

 

「……お、オイオイ嘘だろ」

 

 それは俺にとって、全くもっての予想外の出来事だった。

 

『ヘルトラウダ』。そう、ヘルトルーデ王女の妹であり、この後『モブせか』では守護神二体を召喚してクソ面倒な事態を引き起こしながら自分は死んでいく、そしてアルトリーベシリーズ『第三作』のラスボスが、全くの想定外としてそこにいたのだった――




グリシャム
ウイングシャーク元頭領のスキンヘッド
鎧操縦、フィジカル共にモブ内では上位のものを持つ
実は公国軍や共和国軍のモブには余裕で勝てる
現ヘルシャーク隊一番艦艦長

リンスカム
元ウイングシャーク船操縦者
現ヘルシャーク隊四番艦艦長
艦長内最年少で『ッス』が口癖

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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