幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第四十六話『相棒ってそういうもんらしい』

 その後は難なくゲラット達高官や公国軍兵士達を拘束、リオンには事後処理が終わり次第例の一件を話そうと言う事となった。

 何にせよまだまだ疲れる事が多い事後処理だが、こちらが想定以上の完全勝利を見せられたという事はその分ご褒美も多いという事になる。

 

「鎧も運び出せよ。飛行船は全部問題無いはずだから持ち帰るぞ」

 

「折角接続部を狙って斬ったんだからバラバラになった鎧も丁寧に運んでくれよー、俺達のご褒美なんだからな!! ワーハッハッハッ!!」

 

 ロボットが鎧や飛行船を次々運び出す。

 これ全部俺達で山分け出来るってマジかよ最高過ぎるだろ。

 公国が今回こっちに攻め入ってきた戦力の内損耗率が結局95%、内撃墜したものが85%、回収率は全戦力の80%……つまり撃墜した内の94%以上をこちらの戦力として今後管理可能と言う訳だ。

 

「根こそぎ奪うなんてマスターとアルには人情がありませんね。流石です」

 

「だろ? 俺もこんな自分が嫌いじゃない」

 

「ルクシオンは重々承知してると思うが戦争は勝った者が正義なんだよ。つー訳で勝った俺達は正義だからこれくらいやっても文句を言われる筋合いは無い訳」

 

 そう言いつつ戦果の一つである『捕虜』を見据える……あ、王女二人は捕虜と言っても丁重に扱わないといけないしそう約束もしたからここには勿論だがいないけどな。

 この中で一番位があるのは……ゲラットってとこか。

 

 いやリオンがやった時より大分ボロボロになってませんかね……髭周りだけは永久脱毛でツルツルだけども。

 

「バルトファルト男爵、ディーンハイツ男爵、出来れば浮遊石は返していただけないでしょうか?」

 

「え~、どうしようかな? こっちは豪華客船を襲撃されて破壊されたから、少しでも回収したいんだよね。あ~あ、誰かさんたちが襲ってこなければこんな事にならなかったのに」

 

「そ、それでしたら、公国と王国の間で正式に交渉を――ひっ!」

 

 ドン、と大きくリオンが床を踏みしめる。

 あ、リオンのキレ演技が始まった……いや半分は冗談抜きでキレてるなこれは。

 

「何で勝った俺が譲歩するの?」

 

「いや、しかし――」

 

「戦争は勝った者が正義ってついさっき言ったはずなんだけどなあ?」

 

「そういう訳で……良いよね?」

 

「いやあの――」

 

「良いよな?」

 

「従わないと今すぐここで射殺されると思うよー? どうするー?」

 

「……は、はい従います」

 

 まあどちらにせよ公国の真実が明るみに出れば死罪は免れないと思うけど今言う必要も無いな。

 優しい嘘ってやつだな。

 

「いや~、俺って優しいわ。だってこれだけでみんな許してやるんだもの。俺の優しさって罪だわ~」

 

 うーんこの鬼畜。

 今これを聞いてる高官なんて後々どうせ処刑されるのに許すもクソも無いんだよなあ。

 まあ自業自得だし良いけど。

 

 さて、これで公国軍は今回出てきた分とはいえ殆どの鎧、飛行船、兵士、高官、そして切り札を一度に失った事となる。

 

「情け容赦の無いマスターとアルはそこはかとなく素敵ですね」

 

「これでも有情な方だと思うぜ? アルなんて躊躇無く非戦闘員の王女お付き侍女の足撃ち抜いてたし」

 

「アレは必要経費だ。殺してないだけ優しいと思ってもらわないと困る。少しでもあっちの戦意喪失を狙いたかったし。……リオン、公国はまた攻めてくるよな、絶望的だったとしても」

 

「だろうな。たとえ守護神が使えなくても、鎧も飛行船もごっそり削られていたとしても。奴らの刷り込まれた洗脳は、憎悪はそう簡単にゃ消えはしない。しかもあっちにはまだ黒騎士がいるからな……いくら一度退けたとしてもなあ……」

 

「だよなあ……」

 

 だが、それでも公国はまた攻めてくるだろう。

 どれだけ絶望的でも、どれだけ勝機が無くとも、奴らは攻めてくる、それが公国の執念であり、蛮行に他ならない。

 

 まあ、束の間の休息はあるがな。

 

「あ、それより俺のアロガンツ……どっかで修理しねえとな」

 

「私が修理しても構いませんが、全てを私が行うと私の能力を疑う方も出てきます。ここは鎧を整備する工場に依頼するべきでしょうね。一番良いのは、マスターがそういった工場を持つことですが」

 

「すぐには無理だけど、それもいいな。今はどこかに依頼するか」

 

「最近は鎧製作のスペシャリストを名乗る詐欺師も多いようです。依頼する場合は気をつけた方が良いでしょうね」

 

「あぁ、そう言えばゲームでもそういう詐欺師がいたな」

 

「んじゃ俺んとこに預けるか? 丁度バラバラになった公国軍鎧の修理もしようと思ってたし、リオンの鎧なら親友&MVP価格で格安になる様に親父に交渉出来るぞ」

 

「そうか、ディーンハイツ家は元から戦闘集団だからそういう施設があっても不思議じゃないのか。だったら信頼出来るし頼むわ」

 

「はいよー」

 

 そう言えばこのイベントもあったか。

 下手なところでやらせるくらいならウチの工房を使った方が余程安全だろう、それに今話題のリオンの鎧を修理したのがウチなんてなったら宣伝面も大きく上がるだろうしな。

 

「これで一旦はゆっくり出来そうだな。……ゆっくりついでに、お前の話、聞かせてもらったりとかって出来る?」

 

「……あの話か。いつか話さないといけないと思ってたし、すぐ話せるなら話しときたいって気持ちもあるからな」

 

事後処理が終わるという事は多少なりともゆっくり出来る時間が増えるという事にも繋がる。

 つまりは、話は昨日の一件に自然とシフトチェンジしていく訳で。

 

「それじゃ帰りがてらパルトナーの中で話すか」

 

「それが良いな」

 

 ……それはそうとそう言えば何か忘れている様な気がするんだが、気のせいだよな?

 

 

 

 

 

「……おいそれは先に言えよ! 覗いちゃったじゃないか! アンジェパパとクラリスパパに殺されちゃうよ!」

 

「そう言いつつ鼻血が出てるぞリオン」

 

「お前も出てんじゃねえか」

 

「仕方ないだろ、マリーのそういう……あれ見ちゃったんだから」

 

 気のせいじゃなかったよバッチリ盛大に気のせいじゃなかったわ。

 そういやリビアとアンジェがリオンの部屋で寝てるんだった……しかもクラリス先輩までいて更に刺激的な世界となっていた。

 だと言う事で俺の部屋に移動したら今度はマリーが同じ感じで寝てて次は俺が刺激を不意打ちで味わう事となった。

 何このコンボ……ただマリーのあられも無い姿は非常に眼福だった事を報告しておきたかった。

 

「き、気を取り直して空き部屋で話すか」

 

「お、おう」

 

 今から真面目な話をするってのになんか変な空気になってしまう。

 まあ悪くは無かったし眼福だったのも事実だった訳だが……切り替えないとな。

 

「それで……昨日の話、聞かせてくれるんだろ?」

 

「おう。だがその話をする前に前世の話……タケさんが死んでからの話をするんだが、誰も入ってこないよな?」

 

「だろうと思ってちゃんと警備ロボットは配置しといた」

 

「サンキュ。……話は、タケさんが死んでからちょっと後まで遡る」

 

 ふぅと息を吐き出し一旦言葉を区切る。

 これを話すのは相当堪えるからな……覚悟をしとかないとな。

 

「ほら、アヤってイケメン好きだっただろ? そんな訳で色んなイケメン男と友達だったのも知ってただろ?」

 

「それが今やアル一本だもんな、変わったよアイツも」

 

「そりゃどうも。でさ、俺もそういう趣味否定はしたくなかったからある程度自由にさせてたんだけど……それが間違ってたんだよ」

 

「……何があった?」

 

「その友人の中の一人にさ、所謂『勘違い』されちまったみたいで。アイツとしては軽い友人関係でいたかったらしいんだけど、しつこくストーカーされたんだ」

 

 俺だってストーカーしてきた新道寺を追い返したり、出来る限り二人で行動する様にしていた。

 アヤの家族にだって説明して、ガードを強くしてもらったし絶対に守るって思ってた。

 

「俺だって必死で守ろうとした。近くにいられる人達には沢山頼んで出来る限り近くにいてほしいって言ったし、俺も出来る限り一緒にいた。でも……アイツは殺されたんだ。ほんの一瞬の隙を突かれて、攫われて、惨たらしく殺された。俺が着いていながら……守り切れなかったんだ……!!」

 

「ヒロ……そうか、お前が話せなかったのってそういう事か。そりゃ……話せねえわな」

 

 あの時点で話せる訳が無かった。

 大事な妹を託されたのに、守り切れずおめおめと殺されたなんて。

 信頼してもらっていたからこそ、深い絆があったからこそ、言えなかった。

 

「すまねぇ……託されたのに……守り切れなくって……」

 

「バーカ、お前やアヤは悪くねえだろ。殺した奴が……100%悪いんだよ。んで、そいつと昨日の件との話の因果関係も聞かせて貰おうか。時と場合によっちゃ俺もそいつを何が何でも殺さないといけなくなる」

 

 リオンの目付きが鋭くなる。

 ほぼほぼ因果関係は分かっているだろうが、確信が欲しいんだろう。

 

「……昨日、最後に戦ったその公国騎士が……いや、公国騎士に化けていた『ロイズ』が、そのアヤを殺した男だったんだよ。しかも自分から明かしてきて……それで、我慢出来なくて……」

 

「…………ロイズが、ねえ。化けてたってのがどういう事かはイマイチ分からんが、今は昨日見た姿以外にはほぼなれない……違うか?」

 

「そのはずだと思う。成り代わりたい対象を殺さないとその姿を手に入れられないってほざいてたし」

 

「よし分かった。次公国が攻めてくる時に殺すの手伝うわ」

 

「ず、随分アッサリ言い切ったな」

 

 てっきりもっと重くなると思っていた。

 もっと恨み節や憎悪を垂れ流してもおかしくないんじゃないかとも予想していた。

 だがリオンは違っていた。

 

「激情は戦争には不都合だからな。俺の妹が殺されたのは非常に……ひっじょーーに怒りが湧いてくるし今すぐ殺してやりたいが、それが動きを悪くする。だったら殺すまでは我慢するだけだ」

 

「やっぱタケさんは、俺なんかより余っ程大人だな」

 

「その分お前が怒ってくれたんだからな。相棒ってのはこうやってバランス取るもんだろ」

 

「……ありがとう」

 

「それはアイツを殺してから聞かせてくれたら良い」

 

「分かった、そうするよ」

 

 頭を下げる俺を、リオンはガシガシと撫で回す。

 兄貴分として慕ってきた分、こうして弟扱いされる事も多かったっけ。

 やっぱりこの人は、いざと言う時に頼りになるなあ。

 

「あーあ、しかし色々と疲れたな。これからの英気を養う為にも俺達も寝るか」

 

「そうだな……何ならここで寝ちまうか?」

 

「たまには男同士気兼ねなくってのも悪くねーか」

 

 雑談をしながら、パルトナーは帰路に着いていくのだった。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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