幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第四十七話『俺の友情は結構固い絆で結ばれてる』

「なんだクリス、改まって話がしたいなんて」

 

「いや……その、バルトファルトと共に私の家に働きかけて廃嫡の話を考え直す……取り消す様に言ってくれたんだろう?」

 

「あーやっぱバレるよなあそりゃ」

 

 公国襲撃の事後処理が終わり数日、俺達は長く長く思えたあの戦いを乗り越え無事平穏な暮らしを取り戻せていた。

 あまりに静か過ぎて、公国襲撃が夢だったのでは無いかと錯覚してしまうが王宮には秘密裏にヘルトルーデ、ヘルトラウダ両王女が幽閉されている事が俺とリオンにだけ伝えられている。

 何せ捕らえた張本人だから、そこだけはVIP対応だ。

 勿論緘口令は敷かれているから二人以外どこに王女がいるのか知る訳も無いが……その二人の存在が、そこに戦争があった事を示している事に他ならない。

 

 そんな平穏の中に戦争の欠片が見え隠れする日常の中で、俺はクリスに呼び出されていた。

 多分そうだろうと考えていたが、今回の黒騎士撃退や戦果の大半をクリスにあげた事が盛大にバレていたらしい。

 

 まあ、そりゃバレるよな。

 

「……私は、修学旅行の帰りにお前……ディーンハイツに剣術で勝負を挑もうと思っていた。ブラットがリオンに勝負を持ち掛けた様に、な」

 

「いや俺剣術は専門外だし、それにリオンじゃなくて俺なんだ」

 

「ああ。私はディーンハイツに決闘の時見せられた、絶望的でも決して諦めず立ち上がるその姿に感銘を受けた。そして真の騎士道とは何かを考えた。だがまだその答えは見つかっていない。だから、お前と勝負をしてその答えを見つけたかった」

 

 意外だと思ってしまった。

 確かに決闘の時、クリスだけが軽傷で俺の戦いを間近で見ていた、見ていられた。

 だが俺はあの時渾身の罵倒を繰り出してしまったんだ、感銘とかそういう次元以前の問題だと思っていた。

 だから、クリスが特に俺に執着している事に驚いてしまった。

 

 とはいえ剣術で挑まれても俺は勝てないんだけど。

 

「剣はお前が圧倒的に強いだろうに。……で、その感じだと気が変わったってところか?」

 

「そうだな。あの日、修学旅行の帰り道で襲撃された日。私が何も出来ない中ディーンハイツとバルトファルトはみんなを纏め上げ、お前に至っては護衛団に探させ先手を取り、更に二人共最前線で戦い、そして我々の犠牲者は0で乗り越えられた。少し遠くから、鎧で見ていたが操縦技術も覚悟も、私は子どもだったと痛感させられた。だからやめたんだ、今の私が二人とぶつかっても意味が無いと」

 

「そこまで褒められると悪い気がしないよな」

 

「だが私は少しだけ学べた。貴族としてのあるべき姿というものを。騎士道の覚悟というものを。」

 

 何かめちゃくちゃ褒められてるんだが、ここまで言われると少し照れてしまう。

 俺はただ、大切な人達を、殺そうとしてくる連中から守っただけでそこに自慢とかそういったものは存在しないからな。

 

 でも折角だし素直に受け取っといても損はしないだろう。

 

「ありがとな。ま、礼は……将来伯爵になる時にもその学んだ事を忘れず王国の為になる良い貴族になってくれればそれで良い。お前ら全員将来は王国の中核を担う上級貴族なんだからな」

 

「ふぅ……やはり勝てないと思わされるな。ここで学んだ事、必ず王国の為に使わせてもらおう」

 

 五馬鹿だの馬鹿レンジャーだの馬鹿五人衆だの色々言ってきたが、割とこうして接してる内に金銭感覚とかが盛大に狂ってるだけで意外とまともな面もあるのだと気付かされる。

 

 ……ふむ、そうだな。

 

 たまにはコイツらと組むのも悪くないな。

 

 去ろうとするクリスを引き止める。

 

「クリス、今度はこっちから話があるんだが良いか?」

 

「お前から話とは珍しいな。どうした?」

 

「これは殿下含めた五人に掛け合いたい話なんだが……ふふ、リオンともう一度戦いたいと……いや、多少なりとも一矢報いたいと思わないか?」

 

 ニヤリと口を三日月の様に俺は上げるのだった。

 

 

 

 

 

「リオン、アル、本当に飛行船を手に入れたの?」

 

「羨ましいな。公国製の軍艦だろ?」

 

「飛行船があるだけで羨ましいよ。俺の家にはないし」

 

「ぼ、僕の家も数は少ないね……」

 

 クリスに呼び出された一件から数時間後、とある酒場にて。

 ここには準男爵~五位下辺りのダニエルやレイモンドみたいな家柄の田舎貴族の跡取り連中が集まっていた。

 そこにプラスして俺みたいな、下級貴族とはいえ王宮直属の貴族がいるのは場違いな気もするが……俺もこの件には一枚噛みたいと思っていたからわざわざ乗っかってきたのだ。

 

「あぁ、手に入れて整備をしているよ。けど、数が多くて困っているんだ。俺とアルと親父の家で飛行船を抱えてもまだまだ余るからね」

 

 ダニエル、レイモンド、セミエン、マルケスに他の連中もこの言葉の意味が分からない訳がなかった。

 つまりは『欲しいか』そう聞いているのだ、だから俺もこの商売に加わりたかったって事だ。

 

「あ、因みにマルとセミエン呼んだのは俺の友人だからって事があるからな。別に今いる連中が損する訳でもあるまいし、そこは許容してくれると嬉しい」

 

 と言うか俺がメインとして商売を仕掛けるのはこの二人だ。

 俺と仲良くしてくれてる友人の家を戦力に加えられるのであれば非常に心強い事この上無い。

 更にこの二人は機械整備が非常に上手い家柄でもあるので効率が良い。

 

「……お前ら、飛行船欲しいか?」

 

 ビクッと、俺とリオン以外が反応する。

 あってオンボロ中古品、無い家すら存在する飛行船を『くれる』と言うのだ、喉から手が出る程欲しい性能の飛行船を、だ。

 だがマルケスとセミエン以外はリオンとの商売とあって全員が警戒してしまっている……まあ普段が普段だから仕方ないね。

 

「な、何が望みなんだい?」

 

 さてさてリオンの交渉術が始まったか……んじゃ俺も俺で始めるとしますかね。

 

「そんじゃマルとセミエンはこっちに来てくれ。二人は俺との交渉になるから」

 

「う、うん」

 

「おう」

 

「さて話をしようか。大体リオンの話と同じになるが、メンテナンスや修繕をウチに任せてくれるなら俺がリオンと山分けで貰った飛行船を二人の家に無料で提供したいと思っている」

 

「こ、公国の船だよね? って無料は流石にアル相手でも……」

 

「そうだぞ、いくら友人って言っても無料はやり過ぎじゃね? いくらか金は払うぞ?」

 

 俺はどうやらかなり信用されているらしい、寧ろ心配してきてくれるとは持つべきは心の友だよなあ。

 心配する二人を見て感激する気持ちを抑えながら続ける。

 

「いやな、これもまたリオンと同じになると思うが俺の家って普通の子爵家だから優秀な整備工場と工員を持ってても客がいないんだ。だから友人に公国から奪ってきた戦利品の船を無料提供しつつメンテナンス、修繕を行えばディーンハイツ家の評価と話題はうなぎ登りって訳だ。だから俺側から見ても信頼出来る友人に託したかったんだよ」

 

「俺とかマルとか、跡取りでも無いのに本当に良いのか?」

 

「で、でもそれで家を助けられるなら……欲しい……」

 

「俺の場合、託す人選は完全に私情だからな。俺友達少ないから、こうして還元しときたいんだよ」

 

 そう、リオンと俺はここだけがハッキリと分かれていた。

 同じ友人関係の人間に譲渡するまでは同じだが、リオンは『打算』、俺は『私情』。

 どっちが商売的に良いとか悪いとかは無いが、やってる事は同じでも感情だけが真逆になるのは中々に面白いのではないだろうか。

 

「アル……へへ、そう言われたら尚更断れねえな」

 

「これで僕も少しは父さんに親孝行、出来るかな」

 

「よし、二人とも了承って事で良いな? あ、因みに最終確認したいが、これを手に入れた場合戦争への参加も戦力がある以上断りにくくなると思うからそこだけは念頭に入れといてくれ」

 

「あたぼーよ。王国の為に尽くせる戦力があるってなら使うまで!」

 

「……覚悟は、出来てるよ」

 

 どっちも同じ船に乗り、同じ戦場で戦っただけあり覚悟が違うな。

 これなら文句無しで飛行船を渡せる。

 

「なら契約成立だな。証拠としてこの紙に記入して、実家に送ってほしい。流石に俺達子どもの独断だけじゃまずいからな。あとオマケで鎧も付けとくから実家に何機欲しいか聞いといてくれ」

 

「公国の高性能船に鎧が貰えるなんて……夢見てえだな、なマル?」

 

「そうだね……アルは凄い人だとは思ってたけどこんなに凄いなんて……」

 

 ここまで大盤振る舞いしておいてアレだが、これでもしっかり実家に送った飛行船と鎧もあるからどれだけの戦力を手に入れられたか考えるだけで想像を絶する。

 しかも有難い事にオンボロではなく質は良いから即戦力確定。

 

 守護神も封じたし公国との戦争パート2はある程度イージーモードでやれそうだ。

 

 ただ、甘く見る事だけは絶対にしない。

 窮地に追い込まれた連中程捨て身特攻で来る、つまりそれをやられるとこちらとしても公国としても無駄な犠牲が増えてしまう。

 折角最小限に抑えた犠牲者を増やすなんてあってはならない。

 王宮は二つの魔笛を抑えた事で完全に胡座をかいているだろうが、それが命取りとなる。

 

 勝つだけなら今の王宮の体制でも可能だろう、何せ三守護神は完全に封じ俺のいない世界線比三守護神を抜いた戦力ですら五割減程、モンスターもゲラットの使い切った切り札以外ではそこまで集められないから問題無い。

 

 だがそれではダメだ、俺が気に入らないんだ。

 俺はこの国の行く末を知ってるからこそ、それをさせちゃならないんだ。

 

「二人とも……いざって時は頼んだ」

 

「任せとけ! それにエアバイクならこっちも提供出来るしな!」

 

「が、頑張るよ!」

 

 思考を切り替え飛行船譲渡が決まった友人達の顔を見る。

 そう言えばこの二人の家が後に俺と関わってくるとなると、この二人にも早かれ遅かれ爵位が付きそうだなとふと思う……いや、マルケスはほぼほぼ騎士爵はもう決定か、アレだけ前線で戦ってればクリスの方から俺達と一緒に打診してくるだろうし。

 

 後はアンジェのすぐ近くで、必死にアンジェを守りながら戦ってたシェリーとノワ、前線に出ていたルクル先輩とランスにも爵位が付く可能性はあるか。

 友人だから守っただけとはいえ公爵家令嬢、次期王妃を守った功績は大きいからな。

 

 俺もこれで五位上かな、リオンは子爵で発狂する訳だけど。

 

 ……ま、その前にやる事があるんだがな。

 

 

 

 ヒント?

 そうだな……俺と馬鹿レンジャーの数少ない共通点と思惑が合致した事の作戦ってところだな。

 

 いやあ楽しくなってきたな。




長い長い一年秋が終了
22話からずっと秋を過ごしてたらしい

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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