幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第四十九話『なんか俺の昇進早くね?』

「本当は負けてやるつもりだったのに……」

 

 決闘再戦の翌日、リオンの自室にて。

 相変わらず手加減という言葉を知ってても使いこなせないリオンは負けるはずだったあの決闘にしっかり勝ってしまい複雑な面持ちをしていた。

 まあリオンはこう見えて青春やら努力の結晶やら共闘というものに滅法弱く、そういう少年漫画的展開が大好きらしく本気で見せ場を作って負けに行く計画を立てていたらしい。

 

「それになんでお前が参戦してるんだアル……」

 

「え? だって金儲けになるし。……ちょっとだけお前へのリベンジマッチの事もあったけど」

 

「あったんかい……」

 

「そりゃそうだろ、だってほぼ何も出来なかったんだし」

 

「今回はどうだったよ」

 

「まあクロカゲよりは大分落ちるがグリシャムの機体に次ぐくらいの性能にはなったんじゃないかって思ってるわ」

 

 ところで決闘だが、リオンが手を抜いていたとはいえまだまだ学生レベルから抜けられないレベルのグレッグの操縦技術でも満足の行く動きを確認出来ていて尚且つ全壊する事無くちょっとした修理で直る程度の故障で済んだのであのヘンテコ鎧は再利用可能だったりする。

 

「……それよりリオン」

 

「なんだ?」

 

「その部屋の隅でずっと泣いてるジェナさんは……」

 

「文化祭の時の話覚えてるだろ? フラれたらしい」

 

「残当」

 

 実はこの部屋にはリオンの次兄と両親、そんで次いでに姉のジェナがいた。

 バルトファルト家揃っての式典出席であり兄のニックスさんはこういう場に慣れてないせいか結構緊張気味だったりもする。

 

 俺はなんでいるかって?

 俺も俺でその他大勢とではなく、リオン、クリスと共に大きな功績を挙げたとして式典に出席するからだ。

 因みにマルケス等最前線にいた学生達と片時もアンジェの傍を離れず文字通り盾として身を呈して守っていたシェリーとノワにも正式な勲章が与えられる式典が行われる。

 

「リオン、もう少しシャキッとしろ。今日は特別な日なんだぞ」

 

「そ、そうよ。勲章を貰うんですから。今日の主役じゃない」

 

「お義母様の言う通りリオン君は今日の主役なんだから、カッコよくしてくれないとね」

 

「り、リオンさん似合ってますよ!」

 

「……何の話か分からないと言う顔をしているな。昨日私が話したと言うのに」

 

 あ、クラリス先輩やらリオンハーレムの面々もやってきた。

 賑やかになってきたな。

 というかリオンはショックが少なくなってもこれに関しては記憶から消去するのか……

 

「ま、待ってくれ! 一体何の話か……」

 

「ほう……昨日、アレだけ説明してやったというのに、全て聞いていなかったと?」

 

「待ってください。リオンさんだって傷ついているんです。本当は負けてあげるはずだった決闘で、殿下たちに勝ってしまって。それであの……許してあげてください!」

 

 うーんこのナチュラルどストレート鬼畜発言リビア。

 一応目の前にこっそり参加した当事者いるんですけど気にしてないんですかね……ま、俺の場合金儲けメインだったし良いけど。

 

「今回、一番の功績はリオンにある」

 

「え? クリスかアルでしょ?」

 

「クリスは確かに黒騎士を退けた功績を譲られている、アルも事前に公国の船団を察知して護衛団で食い止め時間を作った、だがヘルトルーデ、ヘルトラウダ両殿下を捕らえたのはリオンだからな。敵国の新型飛行船と鎧を鹵獲、それにヘルトルーデ殿下の魔笛は破壊、ヘルトラウダ殿下の魔笛も回収。それらを献上した功績も大きい」

 

 リオンが若干青ざめ始める。

 そりゃそうだ、MVP候補が二人いるから大丈夫だろうとタカをくくっていたのだろうが一気に自分と言われたからな。

 

「学生や船員たちを助けた功績もある。総合的に判断して、お前とクリス、アルは別枠の中でも最上位。本物の勲章を授与される流れになった。それに準ずる形にはなるがサンドゥバル等鎧に搭乗し前線に立った学生、それとシェリー、ノワもその次枠で本物の勲章授与式が行われる」

 

「アンジェやみんなを守るためにアルさんと二人、あの空を駆けていましたからね! 公爵家の人たちが、二人ともまさに騎士の中の騎士って褒めていましたよ!」

 

「ま、マジか……」

 

「そりゃ光栄な事で」

 

 目立ちたくなかったリオンにとってはやるしか無かったこれで昇進とか玉突き事故みたいな不運の連続だろうが俺は違う。

 何せ今日で五位上が確定、計算上共和国の騒動で四位下、帝国との戦争は起こさせないとしても帝国との良好な関係性は築きたいからそれで恐らく四位上といったところか。

 リオンはどうせどんな未来を辿ってもローランドが次期国王に絶対してくるからご愁傷さまとしか言い様が無い。

 

 俺は伯爵になんてならずそこそこの地位で金儲けに励めば最高だ。

 その為に昇進の計算もしてる訳だしな。

 

「アトリー家で前に昇進を推薦していたんだけれど、それもこれを機会に認めることになったんだよ。それに、クリス君の実家も推薦してくれたの。フィールド家とセバーグ家もリオン君のために推薦状を書いてくれたから助かっちゃった」

 

 ナイスだクラリス先輩。

 この国を守る為にはリオンには国王になってもらわなきゃならないから昇進を加速させるのは必然なのだ。

 清楚になってもやる事は変わらないクラリス先輩にうんうんと頷く。

 

「凄いですよ、リオンさん! リオンさん、なんと今日から四位下で、子爵様ですよ。王都ではリオンさんとアルさんの噂が広がって、英雄扱いです! それにアルさんも今日から五位上で、更に学園卒業後にはリオンさんと同じく四位下になれるらしいですよ!」

 

「お、俺が子爵……そんな馬鹿な……」

 

「……あれ? 俺の昇進は五位上までって聞いたけど」

 

 ちょっと待ってほしい。

 俺が昨日聞いた話では予定通り五位上男爵最上位止まりだったはずだ、卒業後だの子爵だのの単語は出てこなかったはずだ。

 聞き間違いか?

 

「今回はアル君の昇進も推薦したんだよ!」

 

「……そ、そうですかそれはどうも」

 

 聞き間違いじゃなかったし犯人はアンタかクラリス先輩ーーー!?

 ああしまったそう言えば恋愛感情持ってるのはリオンにだけど俺に関しては大恩を感じてるとかどうとか言ってたよなあ……

 まずい、このままだと学園卒業と共に伯爵になる未来が薄ら見え始めている……こんなはずでは……

 

「何よ。結婚してあげるって言ったのに、私も親友も拒否して。“いや、ちょっとないです”なんて酷いじゃない」

 

 ちょっと混乱してる時にアンタの声は聞きたくないんだよ悪いけど。

 それにジェナの結婚相手(自称)の子爵には既に真っ当な性格をした婚約者がいたんだよ諦めろよ。

 因みに何故俺がそれを知ってるかと言うと、公国の真っ当な性格をした、若しくは矯正可能そうな高官と兵士を残して他の一部クズな連中をリオンと共にその貴族に奴隷として売り払ってきたからだ、こんな奴に付き纏われた迷惑を掛けたとしてかなりの安値で。

 しかもその子爵曰くジェナも、ジェナと取り合いしてた親友の事も一切知らなかったらしいし。

 

 何なんだそのオチは。

 

「これは夢だ。起きたら俺は学園生活が始まる新学期で、ダニエルやレイモンドと一緒に婚活が大変だと愚痴りあうんだ。お茶の道を極めるために師匠の指導を受けて、新しいティーセットを買うためにダンジョンに挑んで、性格も超ド級に良くて可愛い嫁達と共に地元に帰るんだ。三年間、無難に過ごして地元に帰るんだ。温泉に浸かって、和食に舌鼓をうって幸せに暮らすんだ。子爵? 人違いです」

 

「可愛い嫁達って言ってる時点でほぼほぼ特定可能じゃねーかよ」

 

「…………今の聞かなかった事にするってのは」

 

「リオンさん……その、今のって……」

 

「今の発言を聞かなかった事にするというのは聞き捨てならないな?」

 

「リオン君、私は今からでもご両親への挨拶をしたいと思ってるんだよ」

 

「お、何か始まりそうだし俺は一旦外に出てようかね」

 

「あ、オイ待てアル!」

 

 リオンにヒラヒラと手を振り俺は部屋を後にする。

 こりゃ公国との戦争完全終結前に嫁が三人出来そうだな。

 まあ……早かれ遅かれ娶ってただろうし良いだろ、多分。

 

 部屋を出ると、すぐそこにはミオルの姿が見えた。

 

「……フン、たかが学生如きが」

 

「あ? テメェリオンやらバルトファルト家嘗めてるみてえだが……裏切ると痛い目見るからそのつもりでいろよ。……死にたくなきゃ何もしねえこった」

 

「まるで予言者気取りだな。全知全能にでもなった気でいるのか?」

 

「お生憎様、予言者にはなれずともお前ら獣人共がやろうとしてる事は全てお見通しだからな。だから言ってんだよ……死にたくなきゃ何もすんなってな。一応はバルトファルト家の奴隷だから最後通告だけはしといてやる。……それを活かすも殺すもお前次第だ」

 

 俺はそこはかとなく馬鹿なのかも知れない。

 どうせ獣人奴隷なんて何を言ってもこっちを見下してくるのなんて分かりきってるのにな。

 なのにどうしてもこうして『バルトファルト家』としていられるとほんの少しだけチャンスを与えたくなる。

 気が触れてるのかもな。

 

「活かすも殺すも、ねえ。お前に俺の何が分かるんだか」

 

「お前がリオンを相当嫌ってる以外は何も知らねえよ」

 

「ああ、気に入らねえな。何をしても上手く行くアイツが気に入らねえ。昇進してる癖に嫌がる気持ちも分かんねえな。そういうの、鼻に付くんだよ」

 

「……ふーん?」

 

 と、思ったが……何か雰囲気がおかしい。

 ただの思考停止馬鹿では無い感じがする、何せ昇進のところはある程度納得が行ってしまう言葉だからだ。

 

 コイツ……まさか……?

 

「何か文句あっか?」

 

「いーや、だが割と話が通じるのが意外だと思ったんだよ」

 

「俺はただムカつく奴をムカつくと言っただけだ。話が通じるも通じないも無い。それと人間は全員嫌いなだけだ」

 

「……やっぱお前、このままヘマして死ぬのは勿体ないから下手な事に参加するのはやめとけ」

 

「は?」

 

「それだけの価値観があるなら大人しくしといた方が得だって話だよ。んじゃあな」

 

 俺はミオルの言葉を聞かずに去っていく。

 どういう風の吹き回しかは知らないが、ミオルがまともだった事に何かが引っ掛かる思いがした。

 

(ただの獣人奴隷とあれだけ対話が出来る時点でそこそこ不自然だとは思ったんだよ。アイツ……恐らくだが転生者だ。どういう経由でやってきたか知らないがこれは好機と見るか……? 取り敢えずアイツにも監視のネズミくんを付けて見張らせるとするか)

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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