幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

50 / 84
第五十話『査問会からの報告書』

 冬休み初日は式典という激動に見舞われたが次の日からはようやくホッと一息付く時間が出来た。

 結局あの船に乗っていた裏切り者数人と本物の勲章付与に該当する俺やリオン等を除く男子全員が七位下騎士爵を貰い、女子もシェリーとノワが騎士爵を得ていた。

 そしてランス、ルクル先輩は前線に出ていた事で一気に七位上準男爵位となり、更にマルケスは俺に提供したビリビリネットミサイルやネズミくんの事も評価され王国でも正式に採用される可能性があるとされなんと六位下男爵位を得ていた。

 

 本来爵位を得られる未来が無かったはずだと話すマルケスは、恐縮しながらも自分の能力が認められ凄く喜んでいたのが印象的だった。

 

 能力が認められたと言えば、最初身内以外でマルケスの事をどんな経緯があったとはいえ認めていたステファニー、そして引いてはロイズの一件に付いて査問会から報告書がようやくこちらに届いた。

 本来は修学旅行の終わった秋頃に届く予定が、何やら色々あったらしく調査が長引いたらしい。

 

「明後日にはマリーの新しい実家にご挨拶しに行かなきゃならないからな。今日中に読んどくか……中身があのクソボケ新道寺だからロクな事が起きてないんだろうがな」

 

 ロイズの中身が新道寺と分かってからというものの、報告書が上がらない事で色々とこちら側でも察してしまう部分があった。

 何せ二重転生者と自覚し、この世界の人間達を舞台装置と言いながらもマリーに愛を語る脳みそのネジが一万本くらいイカれたクソ野郎の話なのだ、何があっても驚く気が起きない。

 

 ただただ気が滅入りそうになるのを抑えながら、報告書を開ける。

 

《報告書

 

1.オフリー家へ査問会が調査に赴いた際の状況

 当主ジドー・フォウ・オフリー伯爵及び使用人・護衛の惨殺遺体を屋敷内にて発見。尚嫡男ロイズの遺体は屋敷内及び庭園、周辺等には無く血の着いたロイズの私服を発見、殺害後逃走と推定

 

2.オフリー家の今後の待遇

 ロイズ及びジドーは国家反逆罪と看做しロイズは捕らえ次第即刻処刑、オフリー家は爵位剥奪・取り壊しとする

 

3.ステファニー・フォウ・オフリーの罪状及び今後の待遇

 状況証拠・証言等を精査した結果今回の空賊騒ぎ及び公国手引きには直接的な関わりが無いとし罪状は無しとし本日付で釈放とする

 が、オフリー家の連帯責任として貴族令嬢としての地位の剥奪と学園からの除名を行う

 尚学園生の使用人として雇われた際学園に留まる事は良しとする

 

4.元空賊の罪状及び待遇

 本来は罪に問うべき罪人であったが、ディーンハイツ男爵の雇い入れ、直訴及び先の公国襲撃での身を呈して学園生を守り抜き犠牲者0で抑えた最大の要因となった活躍を顧み、今後生涯ディーンハイツ男爵の元で王国の為に働くと誓うのであれば過去の罪は不問とする

 但し今後何かしらの罪を犯した場合全員を即刻処刑処分とする

 

5.ウェイン家及びカーラ・フォウ・ウェインの罪状及び待遇

 事情聴取を数度行い、オフリー家を家宅捜索した際カーラ・ロイズ間に置ける契約書を発見

 事情聴取の内容と合致した為双方無罪放免とする

 

以上を此度の報告としここに記す》

 

「いやね、3番から5番までは良いんだよ。俺やマルの努力が実った感じがしてホッとしたさ。でもな……1番……1番さあ……!! 混沌とし過ぎだろうが……!!」

 

 まず1番はあまりにもあまりにも過ぎて一旦飛ばす。

 2番もそりゃそうだろ以上の事が言えないので飛ばす。

 

 取り敢えずまずは3番からだ。

 しっかり裏取りが取れた様で何よりだ、この後すぐマルケスのとこ行ってステファニーのとこ一緒に行く様に言うかね。

 俺としても関係者だからこのままただ終わりと言うには何だか素っ気無さすぎると思うし。

 しかしどこからどこまでもしっかりした処分で良かった、ちゃんと誰かに雇われる分にはここにいても良いと慈悲も与えてくれてるし。

 

 次が4番……俺関係の話だな。

 元ウイングシャークメンバーは事前にローランドに話を通していたのと襲撃からみんなを守れたお陰で寛大な処置を得る事が出来た。

 ちゃんとした契約や収入も俺や実家が確保するし、今回の事で大量の褒賞も出た。

 それにアイツらの様子からして裏切るなんて考えは持ってる様には見えないしな。

 環境良し金良しモチベーション良しで俺がコントロールしてるから当然っちゃ当然だがこれで正式に俺の私兵団としてウイングシャーク改めヘルシャーク隊を動かせる様になったので朗報だ。

 

 そして5番、カーラの話。

 ここは妥当だろう、状況からして家族の命を盾に脅されていたカーラに責任が及ぶ可能性は無いはずだったからな。

 こちらには俺も口添えをしたので、それが影響してるのもありそうだが。

 

 いやあここまで見れば悠々と冬休みを過ごせるはずだったんだが……

 

「1番ヤバすぎだろ……アイツはやっぱり家族の事すら家族と思ってないサイコパスだったって事かよ……」

 

 そこに記されていたのは、実質的な、こちらで拘束していたステファニーと公国で成り代わってたロイズを除くオフリー家の全滅の報告だった。

 まさかこっちにオフリー家関係者や伯爵自体を連れ帰る前に全員死んでいたとか思う訳無いじゃん。

 しかも状況証拠からしてどう考えてもロイズに殺されてるし。

 ステファニーの言ってた通りロイズは家族でも容赦無しに殺して、公国でも人殺しをして、どこまで罪を重ねるつもりなんだ。

 

「アイツは……やはり生かしてちゃならねえ。俺の私情を無視しても、奴は罪を重ね過ぎた。王国の為にも殺さないとならない」

 

 次、奴と会うのは恐らく公国襲撃パート2、つまりはフランプトン侯爵等反レッドグレイブ家の連中が動く時だ、奴もそう言ってたしな。

 因みにフランプトン派の連中の動向を探る為にしっかりネズミくんを潜入させてたりするのは秘密だ。

 これを突きつければ即処刑だろうから後々楽する為にも今面倒な事をするのは我慢しよう。

 

「うし……一応は読み切ったな。取り敢えずステファニーの事はあるしマルのとこ行くかな」

 

 何はともあれ、マルケスに朗報を届けに行くかね。

 

 

 

 

 

「うぃーす、マルいる?」

 

「アル? どうしたの?」

 

 冬休みも相変わらずメカ作りに励むマルだが、部屋には多少なりとも女子からのお誘いであろう手紙が何通か置いてあるのが見えた。

 確かに急に六位下男爵になったとはいえ今まで何一つ興味を持たれなかったマルケスにお誘いとは、ここまで爵位に執着がある連中だと逆に清々しいとしか言えない。

 

「ようやく査問会からの報告書が上がってきたから、マルにステファニーの今後の処遇の話をしとこうと思ってな」

 

「ほ、ほんと!? どうだったの!?」

 

「おうおう落ち着け、ちゃんと裏取りが取れたから本人の罪状は無しとして今日付けで釈放。但し実家の連帯責任、取り壊しとして貴族令嬢としての地位剥奪と学園除名だってさ」

 

「……そ、そっか。良かった……」

 

「で、こっからがメインだが『学園生の使用人として学園に留まるのは可能』って事も追記されてたぞ。……良かったな」

 

「良かった……本当に……本当に……」

 

 俺は確かに今でもステファニーの事は好きでは無いし嫌いな方の女である事は確かだ。

 だが、こうして親友が想っていた人として救われたという事実には素直に嬉しい気持ちが湧き上がってくる。

 たまにはこういう事があっても良いだろう。

 

「さ、ステファニーを迎えに行くぞ」

 

「アルも来るの?」

 

「俺も一応はあの場にいた当事者だ。あと……シーシェック」

 

「は、こちらに」

 

「無茶な事言ったのに遂行してくれてありがとな」

 

「いえ、それにアルフォンソ様のご活躍の為に働けるのでしたらそれに勝る光栄はございません」

 

「シーシェックさん、僕からも……その、ありがとう」

 

「マルケス様のあの働きあってこそ、助けられた命でございます。私はそれに少しの力添えをしただけですので」

 

 シーシェックも結構な期間付き合わせちゃったからな。

 本当に助けられっぱなしだ。

 

 礼を伝えたところで、俺達の足は釈放されるステファニーのいる地下牢へと向かっていくのであった。

 

 

 

 

 

「ステファニー、お前は無罪が証明された為本日を持って釈放とする」

 

「……はい」

 

「だが、オフリー家は取り壊しが決まった上爵位剥奪、更にお前とロイズ・フォウ・オフリーを除く全員の死亡が確認された為連帯責任として学園からの除名を行う」

 

「……分かり、ました……」

 

「ただ、お前を使用人として受け入れる学園生がいる場合のみ、学園への滞在継続を可能とする」

 

「…………ふっ、アタシを受け入れる? そんなの、今までの言動を知ってればしようと思う奴なんている訳無いでしょ」

 

 地下に降りてみるとそこには警備責任者と思しき人物とステファニーがいた、丁度釈放されるところだったらしい。

 しかしかなり大人しくなっちまったもんだな……生きられるだけで儲けものと思ってるのか、はたまた恐怖から逃れられただけ良かったと生きる気持ちを失っているのか……

 

 だが甘いな、受け入れる人間なら……ここにいる。

 

「果たしてそうだろうかね。私には、この御二方は……サンドゥバル男爵とディーンハイツ男爵はお前を迎えに来た様に見えるがね」

 

「…………ぁ……マル……ケス」

 

「……ステファニーさん。迎えに来たよ」

 

「……はんっ、バカじゃないの? アタシはアンタを騙したのよ? それも国家反逆罪に相当する罪をアンタに被せようと企んでたのよ?」

 

 にしてはコイツはマルケスが来てからかなり饒舌になってる様に見えるんだが気のせいだろうか。

 二人とも自覚してないだけで……うん、まあそういう事なんだろう。

 

「悪事にだけど……でも、それでも何の関わりも無い人で僕のメカを初めて評価してくれた人を見捨てるなんて、僕には出来ないよ……! だから、僕は君を迎えに来たんだ!」

 

「アタシといたら陰口ばかり叩かれるわよ」

 

「構わない。家族と、友達と、君がいてくれたら」

 

「バカね……本当に……バカよ……」

 

 マルケスお前それプロポーズ紛いな事言ってるの気付いてるか?

 聞いてるこっちが胸焼けしそうだわ。

 

「ディーンハイツ男爵、良いのですか? 貴方も迎えに来られたのでは?」

 

「……今は、二人だけにしとくのが一番ですよ。あんなに良い雰囲気してるんですから」

 

「……それもそうですな」

 

 警備責任者と二人、暫くあの二人を眺めているのだった。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。