幼馴染はどうやら転生しても続くらしい 作:ぶり大根(元・孤高の牛)
「ここがノース家か。マリーは確か週末たまに帰ってたんだっけ?」
「うん。新しい家族でもあるし、少しでも仲良くなれたら良いなって思って。あと……ちょっとした事情もあったし」
「ふーん」
冬休み四日目、激動の三日を過ごしきって少し疲労もあったが新しいマリーの実家とあり挨拶は早めにしときたいのもあって予定通り来ていた。
実はノース家は修学旅行で行った日本文化の残った浮島の隣にあり、着いた時はまさかという感想しか出なかった。
そして何の因果かあの神社とノース領にある神社はまさかの神主が兄弟であり、バッチリ関連性しか無い場所だった。
領主同士も仲が良好とあり交流も深いらしい。
「あ、着いた着いた。ここよ」
「ここがノース男爵家か。ふむ、婚約の挨拶と思うと少し緊張するな」
「そんな緊張する事無いわよ、みんな優しいし」
「分かってても自然と気が引き締まるもんなんだよ」
それはさておき、ノース男爵領は南にある事からある程度温暖な地域にある為か意外にも観光地としてそこそこ人の出入りがある。
整備や宣伝もしっかりしてる様に見受けられるし、人の様子も良い感じに賑わってるしそれだけで人の良さが窺える。
そう思うと尚更少し緊張してしまう。
「お帰りなさいませ、お嬢様。それとようこそいらっしゃいましたディーンハイツ男爵様」
「リンデン、ただいま。こちら……えへへ、アタシの婚約者のアルフォンソよ」
「アルフォンソ・フォウ・ディーンハイツと申します。この度は俺の婚約者を養子として受け入れてくださった事、仲良くしてくれている事心から感謝申し上げます」
迎えに来てくれたのは壮年の男性……成程、この家の執事長ってところだろう、聡明そうな雰囲気をしている。
マリーもまだ養子になってから数ヶ月でここまで心を開いてるのを見る限り俺の見立ては間違ってなかったってところか。
「いえいえ、こちらこそディーンハイツ子爵様には良くしてもらっておりますので。それにマリエ様はとても皆様に優しくして下さっておりますので我々としてはお礼しか……」
「ふふ、ウチの嫁はどうやら絶賛されてるみたいですね」
「ええそれはもう」
「ちょ、ちょっとアル恥ずかしいんだけど……」
「良いだろ? 嫁自慢なんだから」
「もう……」
そう言えばノース男爵家はウチの実家とは協力関係にあったんだったな。
まあウチが子爵家だから寄子って訳じゃ無いが、実質似た様なものだと言えばそうだと言えるレベルだろう。
「ささ、中へどうぞ。当主もお坊ちゃまもお待ちでいらっしゃいます」
中へ入る、内装は親父から事前に聞いていた為ある程度把握はしていたがやはり男爵家の中でも飛び抜けて裕福では無いものの観光地として名を挙げているだけあり実用的な高級品が所々に並んでいた。
更にメイドや執事も良い働きぶりを見せているので懐事情も悪くは無いのだと察せられる。
「おお、マリエか。それに君は……」
「お初にお目に掛かります。ディーンハイツ子爵家嫡男、アルフォンソ・フォウ・ディーンハイツでございます。ノース男爵、この度は私の大切な婚約者を養子に迎えていただき誠に光栄に存じます」
恰幅で朗らかそうな見た目をした中年の男性……成程、この人がノース男爵か。
こういう感じの人にならマリーを任せられそうだな。
「私はケンプ・フォウ・ノース。知っての通り我がノース家の当主だ。しかしそうかそうか君がアルフォンソ男爵か。いやそんなに畏まらないでくれたまえ。私の方が格下な上にこれからアルフォンソ君は義理の息子になるのだからね」
「ありがとうございます。ウチの婚約者はどうですか? 上手くやれているでしょうか」
「ははは、マリエはとても良い子だよ。しっかり者で気遣いも良く出来る。それに息子の事を気に掛けてくれて……こんな良い子を捨てた家があるなんて信じられないくらいだよ」
「それは良かった。ところで……その、もしかして息子さんは……」
「……察しが良いね。そう、ウチの一人息子は生まれつき身体が弱くてね……マリエを引き取らないかってディーンハイツ子爵に言われた時は望外の想いだったよ。彼とは良く話すから、前々からマリエが回復魔法の使い手なのは知っていたからね……でも、無理強いはさせないとも決めていたんだ。これから僕達の娘になる子にそこまでしてやらせるなんて出来ないからね」
「……マリーが回復魔法の鍛錬頑張ってるのって、そういうところもあったのか」
成程、親父からは確かに子宝に恵まれなかった男爵家とは聞いたが、一人息子で尚且つ病弱となればそもそも家督が継げないという可能性すら出てくる訳か。
しかも言及はされていないが夫人は他界していると言う情報もある。
そしてマリーが回復魔法の練習に必死になってた最大の理由も分かった。
新しく出来た、血の繋がりは無いが本当の兄弟と思える兄弟を手に入れられたんだなマリーは。
そしてそんな兄弟が苦しんでるから助けたい一心で必死だったと。
うーんやはり俺の嫁は最高の女だな。
「アタシの力で救える人が、救いたい人が出来たんだもん。だったらそれを使わない手は無いわ。それも家族の為に使えるんだから」
「本当にありがとうな、マリエ」
「やれる事をやってるまでよ。それにアタシの力じゃまだまだ……」
御守りの力も合わさって今でもかなりの威力を発揮するだろうが、それでまだまだ完治しないとなると相当根深い病弱体質なのだろう。
聖女になったとして、その力を十全に使いこなせる様になったら何とかなるレベルである可能性もある。
「姉貴……帰ってきてたのか」
「リック! 大丈夫なの!?」
「今日はまだ……体調が良い方だ。……姉貴の婚約者、一目見ておきたくてな」
お、噂をすれば息子さんの登場か。
年齢的にはマリーを姉貴と呼んでいた事から俺やマリーと一つ下程度か、少しあどけなさが残りつつも端正な顔立ちと、痩せこけた姿、それに車椅子に乗る姿は何とも言えない複雑な心境を漂わせる。
「アルフォンソ君、紹介しよう。ウチの息子のリックだ」
「リック・フォウ・ノースだ。……アンタが姉貴の婚約者のアルフォンソ男爵か」
「初めまして。その通りさ」
「んじゃあ……今日から義理の兄貴だな。よろしくな」
「……認めてくれるのか?」
「俺は姉貴と数ヶ月程しか付き合いが無いが……姉貴が底無しの良い人だってのは俺が身を持って感じた事だからな……そんな姉貴が十年以上関わりがある幼馴染で婚約者だ、なんて言われたら寧ろ信じねえ方がおかしい」
マリーの人望がえげつない件について。
俺は鼻が高いよ。
「それじゃあ俺の方こそよろしく、リック」
ガシッと握手を交わす。
リックの手は……やはり異様に細かった。
喋るのも結構辛いだろうに、ここまで来てしかも俺と話してくれるとかリックも良い奴過ぎるだろ。
「いくら体調が比較的良いって言ってもいつ体調崩すか分からないんだから、無茶しないでよ?」
「姉貴は……心配性だな。分かってるって……もう戻る……」
話すだけでも息が上がるリックは、ケンプさんの執事一人をお付きにして車椅子を引かれながら帰って行った。
まだ来て数分だが、ここまでとなると……これでマリーの力がかなり貢献している方だという言及と照らし合わせると最早家督どころの問題じゃないかも知れないな。
「……リックも帰ったところで、実は私からマリエにどうしても一つだけ頼みがあるのだ。今日の帰省はその話をメインでしようと思っていたんだ」
「話、ですか?」
「ああ。……マリエも知っての通り、リックはまともに歩く事も困難な程病弱だ。最早家督を継ぐなどと言った事は論外……だからどうか、マリエ……お前が家督を、私の家を継いでくれないか?」
俺が思ってた話題直で出たんですが。
あの感じ確かにもう生きるのが精一杯だし、貴族としての役目なんて果たそうとした日にはプレッシャーで倒れるのが目に見えている。
しかしそう来たか、マリーは養子と言えどリックより年上、家督を継がせるにも女性という点を除けばそこまで珍しいケースじゃないか。
女性という点に関しても、別に前例が無い訳でもないし……状況的には割とありな展開。
ただ、家を背負わせる……その責任やら諸々でのしかかってくるプレッシャーを許容出来るかどうかは心配だ。
とはいえ、ケンプさんも苦渋の決断として言ってるだろうしここはマリーの選択次第って事にしとこう。
ポテンシャルはある方だと言えるし。
「あ、アタシが? まだ養子として来て日も浅いのに託して良いの?」
「日は確かに浅い。でもマリエの人柄という人柄を知るには充分だった。だからお願いしたいと言える決断が出来た。そして何より、マリエみたいな心の綺麗な子に家督を継いでもらいたいんだ」
「……アタシに務まるか分からないわよ?」
「私や周りも全力でサポートしよう」
「マリーがやるってなら俺もサポートするぜ。丁度ディーンハイツ家とノース家関係性深い訳だし」
「そっか……お父さんやアルがサポートしてくれるなら……この家の役に立てるならアタシはやるわ!」
「済まない……ありがとう……!」
「やりたい事をやるだけなんだから気にしないで」
立派になったもんだよマリーも。
俺がいなかった世界線の本人と比べたら天と地の差どころか別人としか思えないレベルの言動差じゃないかこれ。
前世の俺もしかしてこの世界のMVP取れるんじゃないか?
それはさておき、事実としてノース家は唯一の息子が家督継げない現状にある、つまり消滅の危機にあった中でのこれなんだからそりゃあ嬉しいだろうな。
息子の病状回復と跡継ぎ問題同時解決出来たし少しずつノース家にも運が向いてきそうだ。
「アルフォンソ君も済まない……」
「マリーが自らで決めた事ですから。俺はその決断を尊重し支えていくだけですよ。そもそもこの状況見ちゃったらマリーに縋りたくなる気持ちも分かっちゃいますし」
「二人共ありがとう!! 私は……良い人達に恵まれたな……」
改めて、マリーがこの家に引き取られて良かったと噛み締める。
しかしこの子が未来の男爵か……
万が一俺が伯爵にでもなったら、この家はすぐ寄子にしようと頭の片隅で考えながら、新しい実家への挨拶は終わっていくのだった。
【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?
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大丈夫だ、問題無い
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無理
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アルマリでイチャイチャしろ