幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第五十三話『親衛隊長? 俺しかいなくない?』

「……つー訳で、何の偶然かトンデモアイテムを見つけちゃった訳で。しかもアイテムがマリーと反応しちゃったんだが、この子一人に何もかも背負わせるのはどうしても心苦しくてな……リビア……スマン、急な話で申し訳ないがどうかマリーのサポート役として傍にいてあげてくれないか?」

 

 冬休みも佳境に近付いた日、この日俺はリオン、マリー、リビア、アンジェを集めて聖女に付いての会議を行う事となった。

 と言うのも、この数日前それまで存在を隠し通していたこの首飾りを『偶然を装って』マリーが触れて適合するのを神殿の神官に見せて聖女認定させたのだ。

 そういう事なので、既に聖女としてのマリーを確立させた後に、更に騙す形で二人に話してるのでどうしても俺の良心が痛みまくる。

 

 そりゃリビアを怨念から守る為に言ってる嘘ではあるが、やはり友人を騙すのは血反吐を吐く思いになってしまう。

 勿論リオンやマリーもそんな感じらしく、あまり良い顔はしていない。

 

「ま、マリーが聖女……わ、私にお手伝い出来る事があるんでしょうか……」

 

「リビアはマリエと同じ回復魔法の使い手だろ? それに実力も申し分無いし、コイツ一人じゃどうしても頼りないって事だ。リビアがいてくれれば色々と安心出来るしな」

 

「はぁ!? アタシ一人じゃ頼りないってどういう事よ!」

 

「そのままの意味だろバカかお前」

 

「ぬぐぐ」

 

 しかしこの二人もお互いが兄妹と分かってからというもののこうしてじゃれ合いが増えてきてて俺としては微笑ましい限りだ。

 リビアとアンジェも……まあ何となく分かってる様な顔はしてるな、ただ二人目線から見て前世の事なんて何一つ分からないから急に他の異性と仲良くなったリオンの事を若干ジト目で見てる様な気もするが。

 だがマリーには俺という婚約者がいるから大丈夫っぽそうではある。

 

「まあ、急に決まってしまった事なのだから急な話になるのも仕方ないだろう。それに学生の身分で聖女になんてなってしまえば精神的負担も大きい。リビア、マリーの心の支えになってやってくれないか?」

 

 ナイスアシストだアンジェ、そもそもいくら反応したからってそのまま『はいそれじゃ聖女様としてよろしくー!』ってノリで決めて放置するとか頭おかしいんじゃないの神殿。

 そんなだから俺達が単独で動いてサポート役とか用意しないといけないんだろ、まあリビアがサポート役として側近にいないと事故りそうだから都合が良くなってるけど普通キレ散らかしてもおかしくないんだからな。

 

「私の力でお手伝い出来るなら……是非!」

 

「ありがと、リビア」

 

「ううん、マリーのお手伝いが出来るんだから嬉しいよ」

 

 よし、これでマリーを聖女にして尚且つリビアを傍に置くという本来の難易度1億くらいある胃薬案件を捌き切ったぞ。

 それもこれもリビアとマリーが仲良くしてくれてるのが最大の要因だけどな、ありがとう前世の俺。

 

 これで直近の大きな問題としては公国との決着以外は取り払えたかな……いや公国は大き過ぎるんだけどね……はぁ……

 

 

 

 

 

「親衛隊を結成する?」

 

「はい! マリエ様は聖女様になられたのでその威厳を示す為にも必要なのではないかとユリウス殿下の進言の元王宮も絡んでの設立だとか」

 

 三学期が始まり、数日。

 俺達……リオン、リビア、アンジェ、クラリス先輩はマリーに相談があると言われ呼び出されていた。

 待ち合わせ場所に行くとそこにはカーラもいた。

 実はカーラは、あの後空賊騒ぎに加担していたとして学園ではイジメを受けていたがそこをマリーとブラッドに救われ以来マリーを慕い事ある毎に従者みたいに着いてきている。

 話し方も敬語が多くなり、マリーとしても慕ってくれているのがそこまで悪くないと思ってるのか仲良さげな二人を見る事も多いので微笑ましい限りだ。

 

 それは良いんだけどこの説明カーラがするの?

 益々従者っぽくなってない? 一応君準男爵家の令嬢なんだけど?

 あとユリウスお前はどの世界でもやる事は同じなのな……

 

「そういう訳で、アルとあにっ……リオンには迷惑掛けるけど親衛隊に入ってもらえないかって思ってるのよ」

 

「俺は構わないけど」

 

「は? 俺が親衛隊? なんでそんな面倒な……」

 

「だって誰が入ってくるか分からないし……知り合い何人かにやってもらった方が安心すると思うのよ」

 

「それにアルフォンソ男爵様とリオン子爵様は実力も高いですし、これ以上無い人選だと思いますよ」

 

 ふーむ、確かにカーラの言う通りどんな思惑で人間が近付いてくるか分からないし俺一人だと隙が生まれる可能性もあるしな。

 俺とリオン二人なら効率が良いのはその通りだな。

 

「リオン、正直俺達が守ってないと何が起こるか予想が付かない。近くにいた方が動きやすいケースの方が多いとも思うしここは乗らないか?」

 

「そうだよリオンくん、それにリビアもいるんだから損ばっかりでも無いんじゃないかな?」

 

「そ、そうかそれがあるか……」

 

「分かってはいたがリオンは欲望に忠実が過ぎるぞ」

 

「なんだよアンジェ、嫉妬してる?」

 

「な!? 何を……」

 

「ちなみに私は少し嫉妬しちゃってるかなー?」

 

「あ、あわわ二人とも……」

 

 オイリオンのお陰で話があらぬ方向に進んでるんだが。

 俺が言えた事じゃないのを承知で言わせてもらうが痴話喧嘩なのに空気が甘過ぎる、ホイップクリームそのまま食べるより甘いと思う。

 しかしその胸焼けしそうな甘さを見ていると満足な気持ちにもなるんだから不思議な話だ、まあみんなして幸せそうな顔してんだから当然か。

 

「ハイハイイチャつくのは後にしろよー。それでリオンはどうするんだ? 俺は勿論引き受けるが」

 

「す、スマンスマン……まあ面倒事が増えるのは勘弁だから効率を考えて渋々だが受けてやる」

 

「ありがとう二人とも」

 

「俺としては嫁を守るのは夫の務めだと思ってるし構わないさ」

 

「えへへ……」

 

「お前らも充分イチャついてると思うが?」

 

 俺は終わってからイチャついてるからセーフ。

 

「それより他の親衛隊ってどうやって集めるんだ?」

 

 お、リオン良いところに目を付けたな。

 下手なのにやらせるのはなるべく避けたいし募集や選考方法も重要になってくるだろう。

 

「うーん、そこが問題なのよね……」

 

「ふむ、ここは純粋に募ってリーグ方式の決闘で上位何人かを選出するというのはどうだろうか」

 

「なるほど! それならマリエ様に近付く悪い虫は排除出来ますね!」

 

「カーラは発想が物騒過ぎないか?」

 

「ではアルフォンソ様はどこの誰とも分からない男にマリエ様を狙われても良いのですか?」

 

「もしそんな奴がいたら裏で行方不明扱いにした上で王国の土に還ってもらう事になるね」

 

「人の事言えねえじゃねえか!!」

 

「リオンさん、アルさんはそれだけマリーの事が好きだって事ですよ」

 

「そしてリビアは発想が純粋過ぎる!」

 

 仕方ないじゃんだって想像したら殺したくなってきたんだもん……

 

「と、とにかくアタシは早速そんな感じで募集の準備始めるから! 本当に二人ともありがとね!」

 

 さて俺は観戦者席で悠々と誰が勝ち上がってくるか見ようじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんて思ってた時期もありました」

 

 親衛隊選別リーグ戦で予想外過ぎる事態が起きていた。

 募集要項に

『リーグ予選は各組上位2名、計32名がトーナメント本戦進出』

ってあったのはまだ良いが

『トーナメント上位8名は親衛隊決定。以後はトーナメントを行わず親衛隊長になりたい者がアルフォンソ・フォウ・ディーンハイツ男爵と一騎打ちを行う。勝てた者がいない場合はアルフォンソ男爵が親衛隊長となる』

 ってなんじゃこりゃ!? って思うに決まってるだろ!

 確か親衛隊長はあの後俺が良いって自薦して決まったはずだろ。

 だってマリーの親衛隊長だぞ、俺しかいなくない?

 

「なんつーか、ドンマイ」

 

「ふざけてるだろこれ……レッドグレイブ家とかアトリー家が手を回してこれなのか? それともあの二家がわざわざそんな事仕組んだのか?」

 

「でもまだあの五馬鹿がいなかっただけマシだろ」

 

「それはそうだけども……! てか今トーナメントどうなってる!?」

 

「あ、それなら今ベスト8まで終わりましたよ」

 

「お前の知り合いも多かったが中々に見所がある戦い方だったぞ」

 

「でも知り合いだから大半は親衛隊長戦は辞退じゃないかな?」

 

「え、マジ!? ラッキーと言うべきかなんと言うべきか……残った八人のリストはどんな感じだ?」

 

「アタシの親衛隊だからずっと付けてたよ。ほら、これ」

 

「おお! サンキューマリー!」

 

 出来るならあんまり挑戦者はいないでくれ……生身で戦う分には銃以外専門外なんだよ……

 

「ええとなになに……マルケス、ルクル、セミエン、ランス……それにあの公国襲撃の時同じ船に乗ってたのが二人か。計六人が知り合いで辞退。残り二人が申し込んで来た連中って事か……それならまあ何とか……」

 

 あっぶね助かった……まさかここまで知り合いが勝ち上がってるとは思わなかったがそのお陰で最悪8戦覚悟してた決闘は2戦になったか。

 いやあこれならある程度力を抜きながらでも頑張れそうだ。

 

「アル、残った二人だが……伝言を預かっている。聞くか?」

 

「アンジェに伝言とは贅沢な。まあ良いよ、今は気分良いし。なんて?」

 

 今なら気分良いからある程度の戯れ言は聞き流して笑って戦ってやろうじゃないか、俺の優しさに感謝しろ。

 

「……『勝ったら聖女様は貰う』と」

 

「よし殺す」

 

「一瞬で機嫌悪くなるじゃんコイツ」

 

「ま、まあアルさんですし……」

 

「はぁ……大きな怪我はさせないでね。一応選考勝ち抜いた正式な騎士だから」

 

 人の婚約者を奪おうとしてる様な根性ひん曲がった連中にマリーの騎士なんて務まる訳ねーだろうが。

 叩き潰して根性鍛え直してやるから覚悟しろ阿呆共。

 

 尚、決闘は描写するまでもなく俺が勝ちました。

 そりゃそうだろ。

 

 

 

 

 

「上手く行きましたね、アトリー伯爵」

 

「ああ。彼には娘を助けてもらった大恩はあったが実力は確かめたかったのでな。それにギルバート君としてもアンジェリカ様の傍に置くに相応しいか確かめるには良い機会だったのではないかな?」

 

「そうですね。お陰で親衛隊長としての格に相応しいと言えますし、リオン君共々安心してアンジェリカを任せられます」

 

 陰でこんな予想が的中していた様な会話を両家がしていた事を、アルが知る由も無かったのであった。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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