幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第三章
第五十四話『だから俺、イケメンって嫌いなんだよね』


「ここがエルフのいる島ね」

 

「冬だってのに気候が良くて助かるぜ」

 

 まるで南の島の様な高湿度で温暖な地域。

 今俺達はエルフの島にいた。

 キッカケは学園のダンジョン実習で何処に行くかと言う話が出た際にマリーがポロッと

『エルフのいる南の島が良いかも』

 なんて言ったのが発端で、どうせ全員悩んでたところだし丁度聖女様を立てられるとなって速攻で決まってしまった。

 マリーももう少し聖女としての自覚を持ってほしいが仕方ないところもあるだろう、それにそうでなくとも俺がエルフの島になる様に誘導していたし結果オーライだ。

 

「副隊長! お疲れ様です!」

 

「隊長、飲み物です!」

 

「お、おう……」

 

「お前ら人が変わり過ぎだろ……」

 

 それはさておき、親衛隊長決定戦でぶちのめした二人だがすっかり舎弟と化していた。

 ボコボコにされた事で改心したのは良いが急に変わり過ぎではないだろうか。

 

「どっちにしろここにはお宝もあるって言うし次いでに稼ぐチャンスかもな」

 

 セミエンお前は気楽で良いな。

 本来そのポジションにはマリーがいるはずだったんだがな。

 

「……あ、アル? 僕はいつまで王女様達の護衛を……?」

 

「悪いけどもうちょい頼むわ……一応別国とはいえ皇族だから」

 

「う、うん……」

 

 因みにこのダンジョン攻略にはヘルトルーデとヘルトラウダもいたりする、聖女、別国の王女二人、公爵家、王国の英雄二人(俺含む)とか面子が豪華過ぎてヤバい。

 

「ふん、敵国の人間相手に護衛を付けるなんて随分と悠長ね」

 

「舐め腐ってやがりますわお姉様」

 

「お前ら一応王女様だから仕方ないだろ……」

 

 はぁ、と息を吐き出す。

 せめてこの二人がもう少し優しかったら良かったんだがな。

 体裁的には留学という形でこの二人を同行させた王宮だが、王宮も王宮で判断が甘いというかなんと言うか。

 どういう体裁があっても敵国の要人でしょこの人達。

 

「大体実習でお金稼ぎとか下世話よ下世話」

 

「そうですわ! 品がありません!」

 

「し、仕方ないじゃない! あ、アタシだって……あの家にさえ借金を押し付けられなければ……!!」

 

 実はこの実習、半分くらいマリーの借金返済の為に来ていたりする。

 冬休み中暇そうな馬鹿レンジャーやらヘルシャーク隊を使ってラーファン家の悪行を細かいものまで全て洗いざらい調べ上げさせて三学期が始まると同時に告発して潰しておいたのだった。

 家具やインテリアは全て差し押さえに加えラーファン家は六位下まで格下げさせられ領地も没収の後小さい辺境の島に飛ばされたと聞く。

 差し押さえた分の家具等はリオンと山分けし貰った分は全てマリーの借金返済に当てたが、エアバイクレースで稼いだ賭博金、マリーがダンジョンで見付けた財宝、グリシャム達が貯め込んでいた財宝を加えてもそれでもまだ二割残ってしまった。

 

 そんなんで実習も兼ねられる今稼いでおこうという事になったのだ。

 ただ稼げても期待値は高くないがな。

 

「まあ……そんな訳で理不尽に押し付けられた借金返済って体もあるのは許してやってくれ。完全にコイツにはとばっちりなんだ」

 

「そ、そう……苦労してるのね貴方……」

 

「流石に少し同情しますわね」

 

 同情というか事情に引いてる目線を向けられる。

 そりゃそうだろあのラーファン家に引かない連中なんてこの世に存在しないだろうよ。

 

「よ、親衛隊長。このままカイルの実家のあるところまで行くのか?」

 

「あーそうだな、カイルと何人かで行く事になるな。グレッグも着いてこい」

 

「おう!」

 

 そういや今回、親衛隊にはなれなかったものの何故かグレッグとジルクが着いてきたんだった。

 面倒だが断るのも何だか偲びないし連れてきてしまったが果たして戦力になるんだろうか。

 

 まあ良いや、最悪デコイにでもするか。

 コイツらなら生きて帰れるだろ何だかんだ。

 

 

 

 

 

 まるで南国の密林を思わせる様な森林。

 そこを先導していたのは、ここの出身者でもあるカイルだった。

 

「もう、カイルったら自分の故郷なら先に言ってくれれば良いのに。言ってくれたらお土産とか沢山用意したんだから」

 

 専属使用人という肩書きはあるが、マリーとしては可愛い弟の里帰りみたいなものでありテンションが上がっている。

 ……が、俺はこの里の真実を知っているから喜べない。

 勿論だがカイルも余り良い表情にはなっていない。

 

「……お土産は必要ありません」

 

「……カイル君の様子がおかしくありませんか? 故郷に帰れるのに、どうして落ち込んでいるんでしょう?」

 

「ど、どうしたのカイル? 帰りたくない理由でもあるの?」

 

 しかし少なくとも今のマリーがそんな変化を見落とす訳も無く、焦った様な様子で聞き返す。

 こう見ると本当に過保護な姉なんだよなあ。

 

「どうせ着いたら分かりますよ。ご主人様やディーンハイツ様をあまり困らせたくはありませんが、それ以上に話したくないので」

 

「……そんじゃ深く追求は出来ないな」

 

「そうね。でも何があってもアタシが守ってあげるから!」

 

「……そうですか」

 

 あ、カイルが少し喜んでるのがわかるぞ。

 本当は抱き着きたいんだろうが周りにはグレッグ、ジルクに加え王女姉妹もいるからな。

 我慢するしかないのは仕方ないな。

 

「ここがエルフの住む森か。ダンジョンがあるとは知らなかったが、何やらワクワクしてくるな」

 

「アンジェは楽しそうですね」

 

「うむ! リビアやマリーもワクワクしないか?」

 

「少しはしますよ。遺跡と聞いていますし、何か凄い発見があるかも知れませんね」

 

「アタシもダンジョンは王都のとこでしか入った事無いし」

 

「いや、宝だ。宝がある気がする! 必ず宝を見つけて、家族に自慢してやる!」

 

「……アタシもここで稼げるだけ稼がないと……あんまりアルにも負担掛けさせられないし……」

 

 アンジェは珍しくテンション上がってるな、流石に貴族、つまり冒険者の血が騒いでる様子。

 あとマリーは切実過ぎる、そんな事しなくても俺が適当にしてれば自然と完済出来るのに。

 

「……王女様達は待ってても良かったのに」

 

「実家に借金押し付けられる様なのが聖女と聞かされて不安にならないとでも?」

 

「私は純粋にダンジョンが気になりましたわ!」

 

「ヘルトラウダ様は冒険譚がお好みですか」

 

「そうですわ! いつか私もダンジョンで冒険したいと夢に描いてお姉様から色んなお話を……って! 違いますわ! なんで私は王国民にこんな話をしているのですか!」

 

 この妹意外とコミカルで可愛いところあるな。

 ……しかも俺が思ってた以上にヘルトルーデの事慕ってそうだし……何だかんだこの二人は、二人揃って生きていてもらいたいなんて感情が生まれてしまうなこれは。

 

 森を進んで行くと、一本の道が現れた。

 成程これがエルフの里に続く道って訳か。

 

「……マスター、エルフとは一体何者なのでしょうか?」

 

「ファンタジー種族だろ。何が気になる?」

 

「私のデータにエルフという種族は存在しませんでした。私が待機している間に、急に出現したのがエルフです。気になりませんか?」

 

 因みに勿論だが二重転生者の俺はそっちのネタバレを知っている。

 知ったら何とも言えない顔するんだろうなあ……

 

「それに、人間の女性と交配出来ない点も気になります。なのに、男性の場合は――」

 

「あそこが僕の生まれ育った故郷です」

 

 ルクシオンが捲し立てる前にカイルが遮る様に喋る。

 確かにそこそこの集落があるな。

 

「い、イケメンが沢山……」

 

「マリー? マリー!? お前には俺がいるだろ!?」

 

「アルは勿論心から愛してるし他の男に言い寄られても蹴飛ばすけどそれはそれとして観賞用のイケメンは別腹なのよ。じゅるりら……」

 

 クソ、これだからイケメンは嫌いなんだよ。

 マリーが浮気するとは全く思ってないがやはり嫉妬してしまうものはしてしまう、まあこんだけ嬉しそうにしてるなら少しくらい良いとも思うが。

 それと俺一筋宣言も貰ったし。

 

「エルフは基本的に美形揃いですが、人間のように外見で美醜を判断しないそうですよ」

 

「へぇ~、そうなの?」

 

「はい。その者の持つ魔力によって好みがあるそうです。なので、外見的な好き嫌いはほとんどないそうです」

 

 一見平等に見てくれるような発言に聞こえるが、それのせいでカイルが苦しめられているのを俺は知っている。

 

「……少なくとも、マリーがお前を見た目とか変な部分で判断してるとかは無いから安心しろ」

 

 他の連中はジルクの知識に興味を持ってるのか各々盛り上がってるが、俺としては俯くカイルを見てられなくて、誰にも聞こえない様にこっそり話し掛ける。

 俺とカイルは仲も良いし同性だし、何かしら元気付けられれば良いんだけど。

 

「そう……ですね。あの良くも悪くもお人好しなご主人様に複雑怪奇な理由なんて付けられませんね」

 

「そういうこった。後、あの里でお前がどういう理由でどういう扱いを受けてるか知らんが俺達の仲間である事だけは確かだ。公国の王女姉妹以外は全員思ってるはずだからそれだけは忘れるなよ」

 

「……分かりました。ほんと、これだからご主人様の婚約者は貴方しか認められなかったんですよ?」

 

「そりゃどうも」

 

 ほんと、コイツはマリーにベッタリな上に筋金入りの俺とマリーのカップリング推しだよな最初から。

 俺ってばそんなに信用あるのかね、少しは自分のムーブに自信も持てるってもんよ。

 

「さて、そろそろ里に着きます」

 

 そういやこの段階だとユメリアさんとは決して仲が良いとは言えなかったんだよな……でもこのカイルなら性格も丸くなってるし何とかこの段階で仲良くなってねえかなあ。

 

「あ、カイル!」

 

 お、噂をすれば緑色の髪に茶色の瞳、小柄で童顔な女性のエルフ……あれが恐らくユメリアさんだろう。

 

「ご主人様、紹介しますね。こちら俺の母のユメリアと言います」

 

「え、えっと、その、初めまして!」

 

「……母さん、ご主人様が連れてきた人達が里の遺跡に入りたいらしいんだけど許可取れる?」

 

「カイル? その前に『ただいま』は?」

 

「はぁ……ご主人様どころか俺とほぼ関係無い人の前でどうしてそんな事しないといけないんだよ……」

 

「久しぶりに帰ってきてくれたんだからそれくらい聞きたいじゃない! ね?」

 

「ほんっとに母さんは……ただいま」

 

「おかえりカイル~。あ、遺跡見学の許可だよね。村長に聞いてくるから待ってて~」

 

 ……なんだよカイルの奴、ユメリアさんと仲良いじゃないか。

 何だかんだマリーの境遇とか見てきたせいで家族の有り難みを理解したのかもな、だとしたら嬉しい成長に他ならない。

 

 だが問題はここからだな。

 この里はこの親子以外真っ黒も真っ黒の外道連中、気を引き締めていくかね。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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