幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第五十六話『三人での思い出』

「大分深いところまで来たな」

 

 あれから数十分と経ち、別に今のマリーが暴走する事なんてものも無く、平和そのもので遺跡探検を行う事が出来ていた……いや、出来ていてしまったと言った方が良いか。

 ずっと不満そうな顔をする村長をチラリと見やる……おかしい、あの村長が何も仕掛けて来ないなんて事有り得ないはずなのに、露骨に嫌そうな顔するだけで何もしてこないなんて。

 

「そうね、何も無いってのは本当みたいね……ごめんなさい村長さん、ここまで案内してもらっちゃって」

 

「……いえ、里長の命なら仕方ありませんから」

 

「あ、あはは……」

 

「どっちにしろこのまま行けば最奥地もあと十分くらいで着くだろ。そしたらさっさと帰れば良いだけだ」

 

「そうですね。遺跡を見られただけでも思い出に残りますし」

 

 いや、あの村長の事だ……どっかで地下に落とす為の罠を作動させるはずだ……細心の注意を払わないと……

 

「アル? どうしたのよ難しい顔して」

 

「ああ……いや、何も無いなら里長はなんであんな事言ったんだろうなって思ってさ」

 

「う~ん、そうね……何でかしら?」

 

 ほんの少しだけならマリーの言葉に反応しても良いだろうと思った。

 しかし次の瞬間、それが間違いだったと気付かされる。

 

「へ?」

 

「な!? 罠!?」

 

「お、お姉様っ!?」

 

 リオン達のいた場所にぽっかり穴が空く……しまったと思い村長を見ると、平然とした顔で人差し指が壁と同化していたであろうスイッチを押していた。

 俺は幸いにもその場所から少し離れていたが……

 

「マリー!! ラウダ!!」

 

 マリーとヘルトラウダがその落下に巻き込まれる。

 馬鹿かよ俺は……何の為に村長を警戒してたんだ。

 

「クッソが……!!」

 

 咄嗟にまだ落ち切っていないラウダを身体能力強化魔法を使い投げ飛ばす。

 

「ジルク! グレッグ! ラウダ王女を受け止めろ!」

 

「分かりました!」

 

「うおおおおおおお!!」

 

 二人ともまだまだ抜けてる部分はある、だが全く信用出来ない程でも無いのが現状だ。

 アイツらは動くべきタイミングと盤面を間違えるだけで瞬時に動ける勇気は持ち合わせている……だからヘルトラウダを任せられた。

 

「マリー……!!」

 

 急な事で意識を失ったマリーを落下しながら抱きかかえる。

 本当ならマリーを助けたかったんだが仕方ない……せめてコイツが怪我しない様にだけしないとな。

 

「リオンさん!! アルさん!! マリー!!」

 

 叫ぶ様なリビアの声が聞こえたのを最後に、俺の意識も吹っ飛ぶのだった。

 

 

 

 

 

「う、うーん……」

 

「アル! 目が覚めたか!」

 

 重い瞼が開く。

 何で俺寝てたんだっけ……あ、そうか村長にまんまと嵌められてヘルトラウダの代わりに俺が落下してマリーを助けたんだっけ。

 ……そう言えばマリーは大丈夫なのか!?

 

「ま、マリーは大丈夫なのか……!?」

 

「お前が庇ってくれたお陰でな」

 

「アルッ!! もう……アタシを庇って怪我するなんて本当におバカ!!」

 

「おー無事か……っいてて……まあ……マリーとリオンが無事なら良いだろ……」

 

 マリーは無事でも俺は軸足を痛めていたらしい、起き上がろうとしても右脚が少し痛む。

 ただ歩けない程では無いな。

 

「おバカ、無理しないの!」

 

「マリーが治癒魔法掛けてくれたんだろ?」

 

「そ、そうよ……でもまだ未完成だから……」

 

「だったら歩いても問題無いだろ。時期に治るさ」

 

 実際現実で言うと足を捻った程度の負傷に留まってるし何より完治までには時間が掛かると言えど裏返すとこれ以上悪化する事無く治っていくという事でもある。

 なら贔屓目無しに見ても問題無いだろう。

 

「……本当に歩けるか?」

 

「マリーのお陰でちょっと捻った程度まで落ち着いてるからな……少し歩くのが遅くなる程度だ」

 

「無理しないでよ?」

 

「大丈夫だ……それより少々ヤバいんじゃないか……モンスターの数」

 

「ああそうだな。隠れてても見つかるまではもう時間の問題だ」

 

「んじゃ俺も迎撃するから、一気に片付けちまおうぜ。なに、俺の得意は銃撃だ……足は使わずともやれる」

 

 実はさっきからモンスターが地を這う音や声が聞こえまくっている。

 クソ面倒だがまずはこれを突破しない事にはお話にならない。

 リオンは持っていたライフルを、俺は携帯用の小型マシンガン……前世で言うところのスコーピオンVz61に酷似したものを二丁取り出す。

 

「マシンガンか……やっぱ殲滅戦はアルがいると助かるな」

 

「しかもディーンハイツ家直伝対モンスター特攻弾付きだ、この程度の数とランクなら問題無い。マリー、お前はそこに隠れてろ」

 

「だ、大丈夫なのね?」

 

「ちゃっちゃと殺って帰ってきてやる」

 

「……うん」

 

 マリーの顔を見て、俺達は飛び出した。

 蜘蛛型やら蟻型やらトカゲ人間やら蝙蝠型やらうじゃうじゃといるのが見えるがやはり数だけの烏合の衆か、リオンが飛び回る蝙蝠型を的確に撃ち抜く。

 なら俺は地を這う様な連中を一掃する。

 軸足に負担を掛けない様に片膝立ちをしながら両腕から両肩に掛けて強化魔法を掛け躊躇無く撃ち続ける。

 

 小型だからと侮るなかれ、モデルとなったスコーピオンVz61は実際チェコスロバキアの特殊部隊や警察でも採用される程の実用性があり、小型だからこそこうして肉体強化さえ出来れば二丁持つ事を可能にしている。

 小さいとはいえマシンガン二丁、そして小さいからこそ持ち運びもコントロールも容易なこれを俺は愛用していたりする。

 

「ヒャッハー!! 汚物は消毒だーー!!」

 

 バババババ、と小気味よい音が響き渡る。

 扱いやすいマシンガンを、戦闘のプロたる実家に銃撃をメインに教わってきた俺が使えば百発百中だ。

 鳴った音の数だけモンスターが死んでいく……消えはしない。

 ただやはりマシンガンで飛び回るモンスターは狙いにくいのでリオンのアシストも非常に助かっている。

 

 そして装填してあった弾を撃ち尽くせば……先程までうるさいくらいだった地下は、一瞬にして静寂に包まれていた。

 

「……片付いたか。サンキューアル」

 

「俺一人じゃ蝙蝠型は倒しきれなかっただろうしこっちこそ助かったぜ」

 

 リオンの肩を借りながら立ち上がる。

 

「マリー、大丈夫か?」

 

「う、うん。二人とも凄まじかったわ……」

 

「……アルに死なれると困るからな」

 

「とか言いつつ大切な妹守ろうとしてたんでしょ、このこの~」

 

「お前こそ『愛するマリー』の為にって感じだっただろ?」

 

「それはいつもの事だ」

 

「アルにカウンターを仕掛けた俺が馬鹿だったよ」

 

「……兄貴、アル、ありがとね」

 

 ……そう言えば、前世でも俺達三人は小さい頃からこんな様な関係だったっけ、と思い出す。

 何だかんだ妹が可愛いタケさんは、事ある毎に俺の為と言いつつ妹に不利益な存在を俺と一緒にやっつけて、照れ隠しするんだ。

 

「なあ、懐かしいな。俺達三人、前世でもおんなじ関係だったよな」

 

「だな。二人して色んな奴らとっちめてたな」

 

「ヒロくんにはいつも感謝してたし……兄貴にだって、感謝してた。いつも守ってもらってたから」

 

「……生意気だとは言っても妹は妹だ。兄なら守って当然だろ」

 

「つっても泣いてるアヤを見ると陰でどいつが泣かせたんだとか、地獄に落とすとか言ってたけどな」

 

「おいサラッと秘密にしたかった事言うなよ!?」

 

 アヤは女子から嫌われやすい性格をしていた。

 だから中学時代までは人気もあったが反面イジメの標的にもなりやすく、泣いて帰ってくる日もちょくちょくあったのを思い出す。

 まあその度に俺とタケさんが激怒して、学校に直訴したりしたっけ。

 学校には恵まれていたのか小学校、中学校共に珍しく誠実で対応も早かったが、それでも直らない様な連中も多くそんな奴らは俺とタケさん直々に弱味を握ったり捏造したりしてしっかり制裁して地獄送りにしていた。

 

 そんな事があった日には、両隣に俺とタケさんを置いて三人一緒に帰っていたのも覚えている。

 だから中学三年の夏以降では県内でも専ら噂になったのかイジメは無くなっていた。

 

 本当に懐かしい。

 

「ほんと……また三人で笑える日が来るなんて夢みたい」

 

「俺達バラバラに死んじまったからな。今度は三人一緒に長生きしたいもんだ」

 

「んじゃ、早くこの世界平和にしないとな」

 

 そういやリオンはアルトリーベがシリーズ化してるのまだ知らないんだったな……落ち着いた時にでも三人で集まって情報の擦り合わせやっとかないといけないな。

 

「それよりマスター、どうやら私達は招かれざる客人だった様ですよ」

 

「何だ、人間の雄と雌か……変な丸いのもいるな」

 

「……みたいだな。マリエは下がれ」

 

「な、なんでこんなところにエルフが……?」

 

「大方あのモンスター『擬き』を作ってたのはエルフってところだろ。殺しても消えなかったし……胡散臭いとは思ってたがやっぱ裏で糸を引いてたか」

 

 やはりいたか、クソエルフ共。

 本当にコイツらゲス野郎共だな。

 

「理解が早いな。お前たちでは想像すら出来ないと思っていた」

 

「我々はこの遺跡で生命の誕生という神の領域に足を踏み入れたのさ。お前ら人間には理解できないだろうが、古代では高度な文明があった。きっと野蛮な人間ではなく、我々エルフが支配していた時代だ。その証拠もある。この地下にはエルフの骨があった。人間の骨は一つもなかったよ」

 

 んな訳あるかい。

 ルクシオンは理解してるだろうが、当のエルフが馬鹿過ぎてツッコミが追い付かない。

 

「我々は、人間に奪われた世界を取り戻し、エルフこそが全ての種族を束ね、導き――」

 

「それは違います。貴方たちが言う古代の文明を支配していたのは人間です。そして、この施設で作られていたのは――貴方たちエルフでしょう」

 

 自分に酔った様な話し方をするエルフにルクシオンの火の玉ストレート毒舌が突き刺さる。

 哀れエルフ共、まさか自分達が作られていたとは思うまい。

 

「ねえ、兄貴の使い魔って何者?」

 

「あーコイツか? お前はあんまり記憶に残ってないだろうが救済要素として課金アイテム枠にあったロストアイテムの戦艦だ」

 

「課金アイテム枠……あー!! アレね! 兄貴が初手からそんなの手に入れてたとかそりゃアルでも勝てない訳だわ。ほんと兄貴と敵対関係にならなくて良かったわ」

 

「俺としても妹と敵対関係は出来れば避けたかったからありがてえわ」

 

 そう言えば兄妹として喋ってる二人見れるのは貴重だな、いつも傍に誰かかんかいるし。

 ルクシオンで盛り上がる二人に何だかホッコリしてしまう。

 

「何だ、その変なことを言う丸い物体は?」

 

 あ、クソエルフ共いるの忘れてたわ……

 

 さて……しかし面倒な事に巻き込まれたな……コイツら殺しても良いかな?

 え? ダメ?

 

 はぁ……

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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