幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第五十七話『蹂躙』

「リオンさん達……大丈夫でしょうか」

 

「身体能力強化魔法や装備もしていたから大丈夫だとは思うが……心配なものは心配だな」

 

 その頃地上の方では、落ちていったリオン達を心配する声が上がっており中でもリビアやアンジェ……そしてヘルトラウダがその色が強く出ていた。

 

「……私はあの者からしたら敵対関係だと言うのに……さっきも私の好きな事、しても良いって言ってくれて。今も助けてくれて……なんで……身を呈してまで……何故……」

 

 ヘルトラウダは特に落ち込みと困惑が激しかった。

 今まで自らの周りには身を呈してまで自分を守ってくれる様な存在はいなかった、だが奇しくも敵対関係である王国の騎士に守られ、安否不明となってしまった。

 分からなかった、敵を守る事に何の意味があるのか、何の利益があるのか。

 

「ラウダ……」

 

「アルさんは……ヘルトルーデさんや、ヘルトラウダさんの事、間違いなく今は敵対関係だなんて思っていないんだと思います」

 

「そうだな。少しばかりアルの顔を見たが、両殿下に対する目付きは敵に対するそれではなく、少しばかり優しいものになっていたからな」

 

「……王国民なんて全員外道。今まではそう思っていました。でも――」

 

 事実アルフォンソは、両殿下であるヘルトルーデとヘルトラウダ二人が未来で引き裂かれヘルトラウダが死亡する事を知っている。

 その為二人が共にいる場面を見ると微笑ましい気持ちになっていた。

 そして何とかして二人共に生存させようとも思っていた。

 

「今の王国民を無闇に侮辱するのは、違うのだと知らしめられました。……少なくとも、自らを省みず助けてくれた彼だけは何があっても侮辱出来ません」

 

 ヘルトルーデは、その言葉に何を言っていいか分からない様な顔付きになり黙り込んでしまう。

 復讐の相手であった王国民、だが彼らは何だかんだ言いつつも留学生待遇として受け入れ、一人の人間として接している。

 結果として、何を信じるべきか迷っているのが今の彼女だった。

 

 対してヘルトラウダは、口では控えめに言いつつも既にアルフォンソの事を信用しても良いのではないかと思い始めてきていた。

 

(……彼は王国民であるにも関わらず、帰ったら王都のダンジョンを案内してくれる約束もしてくれました。私の趣味も否定しませんでした。そして助けてくれました。お姉様には言えませんが、あの人の言葉なら少しだけ信じてみたいと、そう思ってしまいました。

……王国と公国の話に大きく食い違いがあるのが一体どういう事なのか、真実かどうかはさておき誰の口からでも無く、彼の口からなら聞いてみたい気がします)

 

 王国民か否かは既に度外視されていた。

 それだけ、彼女の話を聞いてくれた人間というのは姉を除いてはアルフォンソが初めてだった。

 14歳とまだ世間を知らず幼い彼女は、それ故に真っ直ぐ彼を信じてみたいという衝動に駆られたのだ。

 

(それに……私を助けた時の顔……思い返すと少し格好良かった気も……はっ!? な、何を考えているのですか私は! 相手は敵国の貴族である上に婚約者もいるのですよ! でも……私の理想のお兄様像ではありましたし……)

 

 そしてそんな年齢であるが故に、そんな少し優しくされた事で恋心はともかくとして兄候補として見始めていた。

 勿論だが周りは一切知る由もない。

 

「だから……帰ってきてください。貴方には、何がなんでもお礼を言わないとならないのですから……」

 

 何とか煩悩を追い払い、言葉を絞り出す。

 彼女の変化は、果たして公国にどの様な変化をもたらすのか……それはまだ、誰も知らない。

 

 

 

 

 

「この部屋に眠っている管理AIにアクセスし、情報の共有を行いました。この島は実験場です。新人類に対抗するため、人が禁忌に手を出した島……魔法を扱える生物として人工的に作りだしたのがエルフです」

 

 ルクシオンがエルフの成り立ちと真実を告げる。

 うーんこの、いつ聞いてもそんな成り立ちでエルフが威張り散らかしてたのがアホらしく思えてしまう。

 

「その通りです。この島にいるエルフたちは、ここで生み出された個体が野生化した存在です」

 

「人工知能なのか?」

 

「……女の子っぽい声ね」

 

 お、出たなクレアーレ。

 しかし禁忌に手を出して野生化とかほんとロクな事しねえよなエルフ関連は。

 

「はい。旧人類の遺伝子を持つ貴方に会えたことは幸運でした。我々の戦いは無意味ではなかった証ですね」

 

「だ、誰だ! そんな嘘を言う奴は! 我々エルフは人より優れた存在だ。寿命も長く、人よりも魔法の扱いに長けている! 混ざりもののカイルは違うがな!」

 

 余計な悪口付け加えんじゃねえよコイツは、俺の弟分バカにしてると撃ち殺すぞ。

 

「長寿なのはそれだけ長く戦わせるためです。すぐに死なれては困ります。また、魔法の扱いに長けているのは、そのように作り出したからです。もっとも、野生化した影響なのか、我々が作り出した初期のエルフよりも劣化した様子ですが」

 

「自分達が支配者だと思ったら逆に作られていた存在とか哀れだな」

 

「そうね、イケメンは好きだけどゲス野郎は嫌いだしアタシ」

 

「ざまぁ」

 

 まさか自分達が兵器代わりに製造されていたとは露知らずなエルフ達。

 なのに今まで偉そうにふんぞり返ってたと思うとあまりに滑稽で笑いが込み上げてくる。

 だからゲス野郎なんだよおめーらは。

 

「ふざけるな! そんな事実はない。我々こそが――」

 

 支配者だ、とでも宣うつもりだったのだろうがここで乱入者が現れる。

 

「一体何をしている!」

 

「チッ、やっぱ来やがったか村長……いやゲス野郎共の親玉!」

 

「コイツもグルかよ!」

 

 あーあー出たよ村長。

 ここで出てこなきゃ多少は見逃してやっても良いと思ったのに出てくるとか本当に馬鹿だな。

 

「ど、どうするのよコレ!」

 

「どうするも何もコイツらが敵って分かった時点で潰すしかねーだろ」

 

「オイ小僧動くなよ……動いたらそこの女を今すぐ撃ち抜く」

 

 は? ……今コイツ何を言った?

 

 現状を見る。

 村長、引いては全員のライフルはあろう事かマリーに向いていた。

 

「ひっ……」

 

「ケケッ、男二人はともかくそこの女はすぐ死ぬだろうからなァ。これを人質に……ヒョッ?」

 

「貴様ら全員、あの世送りにしてやる」

 

「な……アル!? ……ったく、マリエは俺とアルの背中に挟まれてろ!」

 

 俺はマシンガンを使い切り、ほぼ武器らしい武器は持っていなかった。

 だがまだ二丁だけ、拳銃があった。

 たかが拳銃、されど拳銃、俺が生身で使う技として最大級の物がこの拳銃から生み出されていた。

 それはたとえ怒りに身を支配されていようとも全く衰える事は無かった。

 

「ガッ!?」

 

「ぐぇ!」

 

「な、なn」

 

 ものの0.1秒、きっかり0.1秒、一発0.033~0.034秒、それが最初に撃ち抜いたエルフを除く研究室に元からいたエルフ三人を殺害するのに要した時間だった。

 全員しっかりと眉間に風穴を開け、絶命していた。

 

 俺最大の得意技とは……そう、クイックドロウ……西部劇等で有名な早撃ちであった。

 

 怒りが身を支配しながらも、冷静に殺し切れる程に身にその技術は染み込んでいた。

 

「ひいいいいいいい!?」

 

 一瞬で四人が絶命した事に、遅れて気付いた唯一の生き残りである村長はひっくり返り這いずる様に逃げようとしていた。

 

「マリエは出来る限り『アレ』は見ない方が良い。俺が手ェ繋いでやるから目瞑ってろ」

 

「分かった……兄貴」

 

 マリーの方もリオンがサポートしてくれてるしこれで俺は自由に遊べるな。

 這いずる村長の両腕と両足に、優雅に四発装填すると瞬時に撃ち出す。

 

「ぎゃあああああああああ!!!」

 

「う~ん、いつも通りの記録かなぁ」

 

 四発の超高速連射、それは傍から見れば四発同時射出と思われてもおかしくない正に神速と言われるべきスピード。

 確実に動けなくなる核となる骨のド真ん中、マリーを殺そうとしたゴミクズにそれを寸分違わず全発撃ち込めた達成感につい笑みが出る。

 

「た、だずげでぐれ……お、俺がわるがっだ……」

 

「あっれれ~おかしいなあ? 君達は俺達人間より上位個体のエルフ様じゃなかったんだっけぇ? なのにどうして命乞いをする必要があるのか……なあ!!」

 

「おげぇっ!!」

 

 喉仏をピンポイントで狙って蹴る、良い感触が伝わってくる。

 恐らくもう喋る事も不可能だろう、無様だと嘲笑する。

 

「散々騙して、マリーを殺そうとして、そんな事したテメェらを許すはずがねえよなあ? ん?」

 

「ね、ねぇアルもうやめてよ……」

 

「……マリー、お前殺されかけたんだぞ?」

 

 俺はマリーの方を振り向かず、下唇を噛みながら答える。

 本当は分かっていた、こんなのマリーが望む訳無いと。

 だがそれでも止められなかった、フラッシュバックしてしまったんだ……助けられず、遺体安置所に横たわるアヤの姿、その時込み上げた怒りや後悔。

 

 それが爆発して、止まらなかったのだ。

 

「それでもっ!! アルが誰かを楽しんで殺すところなんて見たくない!!」

 

「……お前がなんでそういう事をするのか、俺もマリエも分かってはいる。だけど……それでコイツ泣かしたら本末転倒だろ?」

 

「俺は……二度と……失いたくなかったんだ……だから……マリーが殺されるって思ったら……俺は……俺はッ……!!」

 

 拳銃を落として膝を着く。

 まだ完治しきっていない軸足に負担が来るのも忘れていたのか、今更また情けなくも痛くなってきた事に気が付く。

 そこまで無理してたのか、俺は。

 

「もう……アタシはここにいるじゃない。もう一度ヒロくんと出会えて、そうと気付く前にはもう婚約者で、前世で出来なかった事、沢山やれてるでしょ? だからね、もう前世に囚われなくて良いの。今のアタシには物凄く強いアルや兄貴がいるんだから、ね?」

 

 俺は、ただひたすらに怖かったのだ。

 もしもまた俺の力不足で失ったら、そう思うと必死に、是が非でもそれを消したくて感情が暴走してしまって。

 

「スマン……臆病な俺で……」

 

「ううん、それだけアタシの事を守ってくれるって分かるんだから文句なんて言う訳無いじゃない。でも……これからはアタシだって守られてばっかじゃないんだから、ちょっとくらい肩の力抜きなさい。良いわね?」

 

「ああ……」

 

 抱きしめられる。

 マリーの腕の中は、柔らかくて心地好くて。

 やはり安心してしまう。

 

 緊張の糸が解かれた俺は、次第にその瞼をゆっくり閉じていくのだった。




※現実世界でレコードになっているのはボブ・マンデンの一発0.02秒、アルフォンソが一発平均0.033秒

アル「この世界の対人戦特化な特殊家庭に生まれてチビの頃から刷り込まれまくって鍛えられに鍛えられまくったのに…前前世の世界レコード保持者ヤバすぎなのでは?」

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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