幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第五十九話『鈍感?』

「アル、私はこれを調べて良かったと心の底から思います」

 

「なんだもう解析終わったのか?」

 

 遺跡から離れた場所、頭を切り替えた俺は四肢と喉が潰れた村長を引き摺りながら歩く、とルクシオンが語り掛けてくる。

 まあルクシオンとしては騙されたと分かった上にとんでもない禁忌とも言える物体を見つけられたのだから確かに良かったんだろうが。

 

「つーかそれ何だったんだ?」

 

「ええ、これは忌々しき新人類が作り出したロストアイテムです。しかも装着すれば精神を壊され死に至る正に私にとってもマスターにとってもロストしていれば良かったと言える代物です」

 

「うげっ、なんだよそれ……」

 

「なので徹底的に塵も残らない程破壊します」

 

「る、ルクシオン? あんまり周りに被害出さない様にね?」

 

「言われなくても私にそれくらいの事など造作もありません。壊すのはこのロストアイテムと――遺跡ですから」

 

「言うと思ったわ」

 

 声色からは分からないだろうが間違いなくルクシオンはキレている、キレまくっている。

 自分が忌み嫌う新人類の技術に加えこれが俺達以外の手に渡ったら最悪厄災にしかならない様な核爆弾なんてお土産に渡されたら誰だってキレるわ、俺も嫌だよこんなの。

 

「本来ならお前の暴走とか止めに入るのが普通だが……これがどういう代物か分かったなら……まあ、いっか!」

 

 そしてリオンもリオンで若干キレている。

 こんな実質核爆弾擬きみたいな物体、ずっとロストしてりゃ良かったのにと顔に出ているのが分かる。

 まあ俺だって同意だよこんなの価値云々じゃなくてこの世に存在したらいけない代物だからな。

 

「る、ルク君が怒るところなんて初めて見ました……」

 

「そうだな……いつも冷静沈着だが、彼にも感情があるのだろう」

 

「俺としちゃそんな事よりマリエが無事で良かったけどな」

 

「ええ、私もですよ」

 

「アルが助けてくれたからね」

 

 そしてその後ろでは他のメンツの話し声も聞こえる。

 チラッと見るとグレッグとジルクは哀れ俺に助けられてちょっと照れるマリーの顔を複雑そうな表情で見ていた。

 だからもう諦めたらどうなのかね君達は。

 

 ……あ、そういえば王女姉妹はどこに行ったんだ?

 

「……あの」

 

「ん? ラウダ王女? どした?」

 

 って探そうとした瞬間に服の裾をクイクイと引っ張られたので見てみるとヘルトラウダがいた。

 その隣にはヘルトルーデもいるが……なんだ?

 

「その……助けていただき、ありがとうございます」

 

「私からも礼を言うわ。王国とか公国とか、そういう事を抜きにして……私の妹を助けてくれて……ありがとう」

 

「……敵国の王女様って言ってもさ、俺にはただの仲の良い姉妹にしか見えないんだよ。それに俺も冒険は好きだからさ、賑やかに冒険出来たら……こういうメンツでまた冒険出来たら楽しいだろうなって、思ったんだよ。だから俺は、君達姉妹の事を普通に一緒に冒険する仲間だと思ってる。……綺麗事かもしんねーけど、二人とは仲良くしていきたいって、俺は本心から言いたい」

 

 礼なんて言われるとは思ってなかった。

 俺から見たら微笑ましい姉妹だが、二人から見た俺は敵国のエリート騎士、しかもほぼ壊滅させた元凶の一人と来た。

 どう考えても恨まれてると思っていた。

 だから、少しだけ面食らいながらも本心を言った。

 言わなきゃいけないと思った。

 

「私は……勘違いをしていました。王国とはいつの時代も悪逆非道で、我々を侵害してくる敵だとずっと思っていました。ですが……貴方を見て、無闇に侮辱するのは間違いだと気付きました。そして少なくとも貴方だけは、貴方の言葉だけは……信じてみたいと、思えたのです」

 

「私はまだ本当に信じて良いかなんて分からないけど……思ってた王国民よりは大分お人好しが多いみたいね」

 

「そっか……ありがとな、俺を信じてみようなんて思ってくれて」

 

 想像以上に、ヘルトラウダの言葉が胸に深く突き刺さった。

 たかが一回助けただけだ、それなのにあの子は俺を信じてみたいなんて言ってくれて。

 そんな事言われたら、益々助けたくなるじゃないか……いや、必ず助けよう。

 

「これでも女はキツい奴だらけで俺はもう勘弁だけど……特に下級貴族の女はほぼ全員傲慢で自分の事を上だと信じて止まない。もう俺は婚活なんて疲れたよ……」

 

「……貴方も貴方で苦労してるのね。というか何なのその歪な男女関係は」

 

「公国にはそんな現象ないですし……公国が独立してから出来た風習、なのでしょうか」

 

「俺は知ってると思うけどもう婚約者いるからその心配無いんだよね」

 

「俺はアルが羨ましいよ……」

 

「むー、リオンさんには私達がいるじゃないですか!」

 

「そうだぞ。リオン、お前には私達がいるからもう婚活に苦しむ事も無い」

 

「リビア……アンジェ……」

 

 決意を新たにしたところでこっちの話に戻るが、やっぱり公国にはこの異常な王国の体制は無かったか。

 平民と上級貴族は普通だが下級貴族の女性だけが異常に傲慢で性格ブスの集まりになってるのにはそれこそ歪な成り立ちがあるのだがどうせこのまま大人しくしててもいつかは聞く話だし今説明しなくても良いだろう。

 

「ちょっとアル~? 王女様達が美人だからっていつまで一緒にいる気よ」

 

「なんだ嫉妬か?」

 

「……悪い?」

 

「いーや、めちゃくちゃ可愛くてやっぱ俺の嫁って世界一可愛い女だなって再認識させられたわ」

 

 そんな事をしてるとマリーのちょっとした嫉妬が飛んでくる。

 王女姉妹の話は聞こえていたんだろうがそれはそれとして俺が他の女に取られたと思って不満を漏らしているのが分かるのでめちゃくちゃ可愛くて仕方ない。

 

「……お二人は仲が良いのですね」

 

「そりゃなー。十年以上ずっと隣にいた幼馴染だし、ずっと大好きだし、婚約者だし、相思相愛ってやつ? あ、いくらラウダ王女と仲良くなりたいとは言ってもそういう気は全く無いんで、ご安心を」

 

「そう……ですか」

 

 うん? ヘルトラウダの表情が少しだけ沈んでる気がするけどなんかあったっけ?

 大方恋愛結婚に夢見てるけど王女様だからそれが難しい事を憂いてるって事で良いか。

 

「……アルってアタシの事以外になると途端に鈍感になるわよね」

 

「マリエ自身の事になると地の果て海の底まで地獄耳になるし一瞬の感情の変化でも一切見逃さないのにな。まるで別人だよ」

 

「まるで俺がラウダ王女の心情に気付いてないみたいじゃんそれじゃ」

 

「……これは重症ね」

 

「全くだ」

 

「何の話だよ」

 

 どうして俺はマリーとリオンの二人に呆れられないとならないのか……俺は鈍感ラノベ主人公じゃなくて世界一マリーを愛してるだけの一般貴族なのに。

 だから難聴族とか鈍感族じゃないのに。

 まさかヘルトラウダが俺に一回助けられただけで惚れるなんて有り得ないじゃないですか、流石にそうだったら土下座して謝ってやっても良いくらいだわ。

 

「ところでマスター。もう大分遺跡から離れましたし、殺っても良いとは思いませんか?」

 

「うーんそうだな……これくらい離れてりゃ大丈夫だろ」

 

「……ほんとにやるの?」

 

「ええ。何せ私を騙してこの世に存在してはならないものを渡してきたのですから。その報いは受けるべきではないでしょうか」

 

「今でも面倒なのに下手な奴に渡ったら更に面倒が100倍くらい上がりそうな上に俺達には使いこなせない物体なんて渡して来たんだ、ちょっとくらい遺跡破壊しても許されるはずだ」

 

「り、リオンさん落ち着いて……ほ、ほら深呼吸深呼吸……」

 

「すぅ……はぁ……よし、殺ろう!」

 

「……リオンもルクシオンも程々にしておけよ」

 

 ところでアンジェはさっきからリオンに甘くないか?

 この中で一番厳しそうなのに……いや、最早諦めてるのか……どちらにせよもう止められないだろうけどな。

 俺としてもあんなのさっさと破壊してくれるに越した事無いし。

 

「ではお言葉に甘えて……破壊システム作動、対象の物体を破壊します。それと同時並行して……あっちも殺ってしまいましょう」

 

 俺とリオンには分かる、今上空にルクシオン本体がいる事を。

 そして何をするか……勿論察せない二人じゃない。

 

「なあ……アレでやるのか?」

 

「確かに俺は賛同したけど本体でやらなくても……」

 

「いえ、私の怒りは私で発散しなくてはなりません。よって遺跡の破壊は私でしか行いません……発射」

 

 うわぁ全く躊躇しねえじゃんルクシオン。

 上空から降り注ぐ光が遺跡に次々襲い掛かり、粉砕していく。

 どちらにせよあんなとこにあるものなんてクソッタレエルフの死体とこの世に存在してはいけないおぞましい開発物しか無いし良いけど……

 

 引き摺ってきた村長はあまりの恐怖に泡を噴いている。

 

 ……ま、このまま引き摺ってくか。

 

 

 

 

 

「魔王様、どうかお許しください」

 

「我々の島を見逃してください」

 

「だから俺は嫌だと言ったんだ! 村長たちが遺跡を荒らすから!」

 

「その村長も遺跡を荒らしてる最中にモンスターに襲われて瀕死って話じゃないか!! どうするんだよ!!」

 

 エルフの村に帰ってくると、まあ案の定阿鼻叫喚が広がっていた。

 しかも村長に関しては都合良く悪者になってもらったから全てのヘイトは村長に向いている、マリー殺そうとして息があるだけマシだと思えよお前は。

 

「……馬鹿な奴ら」

 

 カイルは、その光景をユメリアさんと俺達の近くで見て嘲笑する様に漏らす。

 その声は……俺にしか届かなかったが、今までの積年の恨み辛みを乗せた言葉だったのは確かだろう。

 何にせよカイルに関しては親子揃って関係が良好ならもう何でも良いよ、エルフなんて所詮お前ら抜いたら村長みたいなのばっかだろうし。

 

「……ユメリアさん、でしたよね」

 

「あ、はい! え、えっとカイルが仕えてる女の子の婚約者さん……でしたっけ?」

 

「ええ、カイルが仕えてるのが『マリエ』で俺が『アルフォンソ』って言います。俺の場合名前が長いので『アル』って呼んでもらって構いませんよ。……つーかカイルもいつまでも俺の事苗字読みするんじゃなくてアルって呼んでも良いんだぞ?」

 

「わざわざどうも……アルくん、よろしくね」

 

「……じゃあ、折角ですから呼ばせてもらいますよ。……アル様」

 

 そう思うとカイルとユメリアさんって本当に凄く良い人達だ。

 カイルは同性として気軽に付き合えるし、俺が近くにいない時のマリーの話とかも積極的にしてくれるし。

 ユメリアさんはドストレートにほんわかしてて癒し系美人で、この親にしてこの子ありって感じの人の良さを感じる。

 

「ユメリアさん……カイル、良い奴っすね」

 

「ええ、それはもう。私の自慢の一人息子ですから」

 

 さて……この後は占いかな。

 俺の何が占われるのやら、ちょっと期待してしまうな。




※両王女はアルに興味を示している為魔装の腕の優先順位が格段に落ちてる段階で破壊されました

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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