幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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アンジェリカの取り巻き二名
原作ではアンジェリカに気に入られようとマリエの私物を燃やしたりその後裏切って逆恨みしたりと情緒が安定しなかったクソ共
今回は上手い事アルフォンソの話術にハマり勝手に更生していった
ちなみにアルフォンソはこの取り巻き達の情報が少ない為この二人がマリエの私物を燃やしたとは知らず、今作初めて振り回される事になった


第六話『Let's パーリー!!』

 煌びやかな会場、周りにはその煌びやかさに負けない華やかなドレスを身に纏った女性の面々。

 この学園では定期的に男女交流を目的としたパーティーが行われる、ここで良い感じに恋人を手に入れた辺境の貧乏男爵なんかも奇跡的にいるらしく男子の面々は気合いが入っている。

 

「マリエ、ドレスはどうした?」

 

「えっと、用意できなくて……」

 

「そうか。だが豪華なドレスよりもいっそ清々しく感じるな。貴様もそう思うだろう?」

 

「ええブラッド様の言う通りです、マリエらしいと思いますよ」

 

「フン、貴様も少しは分かるじゃないか……マリエ、ドレスは今度俺と仕立てに行こう」

 

「はい♡ アルくんもありがとね♡」

 

 チッ、何が『貴様も少しは分かるじゃないか』だよ。

 俺の方がマリーの良さは知ってんだよナルシスト野郎。

 だがそれはそれとして『貴様も少しは分かるじゃないか』はこっちのセリフとして思わせていただこう。

 後々蹴落とすとはいえマリーの良さを共有しようとするのは出会い方さえ違えば友人になっていたかも知れないくらい好印象が持てる。

 あくまで出会い方さえ違えばの話だったがな。

 

「このパーティーで恋人を見つけた辺境貴族もいるらしい。チャンスだぞ」

 

「おう!」

 

 そして少し離れた場所ではタケさん……リオンと、その数少ない友人のダニエル、レイモンド等貧乏貴族が目に炎を宿しながら嫁さん探しをしている……あ、令嬢に罵られた上に令嬢の獣人使用人に折檻されてやがる、南無南無。

 

「……つーかここでも俺はお預けかよ」

 

 マリーは相変わらず五人の内の誰かと色々してるらしく中々こっちに来ないのが歯痒い。

 やだね全く、自分の意中の女が別の男と二人で楽しくしてるとか不快で仕方ない……

 

 因みに令嬢は寄ってきていない。

 そりゃ俺が微妙な子爵家&特別目立つものも無い&マリーにゾッコンなんて評判があれば声を掛けて来ないのも当たり前だが。

 

「ディーンハイツ様ー?」

 

「おや、どうかしましたか……んだよカイルかビビらせんなよ」

 

「貴方との初対面よりは驚きませんでしたけどね」

 

「言ってろダボ」

 

 手持ち無沙汰な俺に話し掛けて来たのは最近マリーの使用人になったカイル、チビだが要領良く働ける秀才だ。

 毒舌な為どうやって対応していこうかと考えていた矢先、コイツが来る日付を忘れておりいつもの様にマリーの部屋に素の口調で入ってったせいで初手本性バレして今に至る。

 だがカイルとはこうやって小声ではあるが軽口を交し合えるくらい仲が良くなれたから結果オーライだろう。

 

「あ、それよりアンジェリカ様とマリエ様があっちで何かやり合ってますけど」

 

「マジかよ……はぁーあ、予想はしてたがこんな急に起きるかね普通。カイル、俺も行くわ」

 

「そう言うと思ってましたよ、ほら早くしないと乗り遅れます」

 

 言うや否や小走りでマリーの元に行くカイル。

 アイツも何だかんだ言ってもマリーの事が少しは心配って事かね。

 俺にそれも続きそっとバレない様にナルシストの横にセット。

 ナルシストは自分の事とマリーの事以外ほぼ興味が無いので気付く訳も無かった……あ、マリーとリオンにはバレたっぽい。

 

「どうして分かっていただけないのですか!私は殿下のために申し上げているのです!」

 

「お前の話は聞くに堪えない。それだけのことだ」

 

 うーん予想通りの進行。

 アンジェリカさんのバックではリオンとオリヴィアが小声で話してるがそちらも恐らく原作通りだろう、だとすると原因は横の男、ナルシストとマリーがキスをした直前か直後二人で歩いてるのを目撃したとかその辺だろう。

 俺としてもアンジェリカさんの怒りは理解出来る、寧ろそれを平然として聞いてるこの五人衆なんなの?

 

「知っているのか? その女……マリエはお前たち全員に……」

 

 お、流石に俺が事前に介入しただけあって原作よりマリーへの当たりは若干弱くなってるか。

 マリーも少し驚いた表情をしている……お前の為だからそこは許せ。

 

「そのくらい知っている。私は彼女に悩みを聞いてもらって救われた。だから彼女を守りたいと思った」

 

「屁理屈が多いんだよお前は。素直に好きと言えばいいだろうが」

 

「マリエは素敵な女性だからな。好きになるのは当然だ」

 

「そうですね。けれど彼女を一番愛しているのは私だと思いますよ」

 

「いや。マリエを一番愛しているのはこの俺だ」

 

 もうほんとなんなんこの地獄空間……てか俺も流れに乗っておくか。

 

「あ、僕も彼女の事は愛しているのでお忘れなく」

 

「お前……いたのか……」

 

 ええいましたよ少し前から。

 貴方は気付かないと思ってましたけどね。

 

 そして外野の令嬢軍団は大盛り上がり。

 ほぼ五人衆に対する歓声なのは確実だがアイツらのどこがそんなに良いのやら俺には全く分からんわ。

 

「在学中の遊びで終わらせるつもりはないということですか」

 

「あぁ。俺にとってかけがえのない女性はただ一人マリエだけだ」

 

 さて。

 本来ならここでアンジェリカが問答無用で『マリエ』に手袋を投げ付けて決闘を申し入れるが俺はマリーに対する印象を変えている。

 どう出るかな……

 

「…………私との時間を全てその子に費やしてでも、ですか?」

 

「…………へ?」

 

 マリー、完全に思考停止。

 ゲームと違うどころか完全に自分の預かり知らぬところで予想外の事が起きていて頭の対応が追いついていない。

 

「そうだ。俺はお前との時間よりマリエとの時間の方が大切――」

 

「ね、ねぇユリウス殿下!?」

 

「どうしたマリエ」

 

 お、思考回復早いな流石俺の嫁なだけある。

 ダラダラと冷や汗を流すマリーは必死にぶりっ子を作りながらユリウス殿下に振り向きあくまでも声が震えない様に平静を保ちながら言葉を紡ぐ。

 

「あ、アンジェリカ様は婚約者なんだからちゃんと時間取ってあげてって言った時、殿下『アンジェリカとの時間は大丈夫』だって……」

 

「確かにそう言ったな。アンジェリカとの時間は『取らなくても』大丈夫だと」

 

「………………そっかぁ……」

 

 絞り出した唯一の声がこれであった。

 ゲームに無い展開どころか殿下の言葉の解釈からクズ思考が滲み出過ぎて最早どうして良いか分からない状況に追い込まれてますねこれは。

 

「……マリエと言ったな」

 

「ひゃ、ひゃい……」

 

「お前は、殿下に忠告してくれていたのか……?」

 

「え、あ、そ、そうです……その、婚約者と言うくらいなので殿下にとってもアンジェリカ様は大事な方だと思って……」

 

「そう……だったか……」

 

 しかしそこは乙女ゲームに憧れを持っていたマリー、本作内のセリフすらうろ覚えの癖に何とかこの流れに馴染んできている。

 

「だからどうしたと言う?」

 

 だからどうしたじゃねえんだわポンコツ。

 大体お前のせいでこうなってるって少しは気付け。

 

「……マリエ。私はお前に決闘を申し入れる。殿下を賭けて」

 

「ひゃっ……とと」

 

 そして元の流れに戻りアンジェリカさんの手袋が、原作よりは大分勢いを抑えられマリーの手元に来る。

 それを反射的にキャッチしてしまうマリー……いや拾ったら承諾の合図のはずだが……誰も突っ込まないし良いか。

 

「マリエ。代理人は俺が務めよう」

 

「そんな……!」

 

「殿下ばかりに良い格好はさせておけません。私も立候補します」

 

「面白そうだから俺も参加するぜ。誰でもいいからかかってこいよ」

 

「殿下を愚弄するとは、ライバルと言えど流石に聞き捨てならないな。俺も参加だ」

 

「剣の腕には自信がある。マリエの剣として戦ってみせよう」

 

 あ、ここはほぼ変わらない流れなのか……まあここで乗らないとそれはそれでマリーに対して愛が無いと思われるから乗るしか無いな。

 コイツらと同族なんて死んでも嫌だが背に腹はかえられん。

 

「ぼ、僕の射撃技術だって負けていませんよ!」

 

 すみませんねアンジェリカさん……そんな恨めしい表情しないでくださいよ……ここで参加しとかないと後々俺の評価が最底辺まで落ちる上にここで全員蹴落とす予定なんですから。

 

 あと余裕無くてリオンの表情見てなかったけど、あっちもあっちで想定外の動きに多少なりとも驚きはあるものの俺と同じく大まかな流れが同じならそこまで気にしてないみたいだな。

 流石タケさん、クズだが冷静だ。

 

「こうなると公爵令嬢は……」

 

「相手は殿下だぞ。戦いたいヤツなんて誰もいるわけ……」

 

「だ、誰か……」

 

「おいおい取り巻きにも見捨てられたのか?」

 

 ……予定通り追い詰められたアンジェリカさん。

 本来ならここで取り巻きにも事情はさておき見捨てられ絶望するのがルートになっている。

 

 だが、でも。

 

 

『私は……最初、バレそうになったら裏切ってでも逃げてしまおうと思っていました。でも……貴方の最後の言葉を聞いて、立ち止まり、立ち向かい、アンジェリカ様と共にいようと決めました』

 

『あ、アタシも……やった事は取り返せないけど……せめてあの人の傍で守りたい……その為に今までやってきたんだし』

 

 

 パーティー会場に入る直前に、その言葉を聞いた。

 俺は、それを信じている。

 

 

「ここまで人徳がないと同情したく―― 」

 

「ま、待ってください!」

 

「ちょ、ちょっと待った!」

 

 

「……やるじゃん」

 

 アンジェリカは、主人公……リオンとオリヴィア以外から見捨てられ完全孤立する直前まで行ってしまう、それが『モブせか』のシナリオであり辿るべき運命だった。

 

 しかし、その原典から外れ勇気を振り絞った取り巻きが二人、そこに、アンジェリカの隣に立った。

 

「お前達……!」

 

『不憫な悪役令嬢』の運命が少しだけ、変わろうとしていた。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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