幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第六十話『他人の運命に必ず俺が出現してくる現象に名前を付けたい』

「里長がお礼をしたいそうです」

 

 あれから幾分か、暴れに暴れまくったルクシオンは魔装の右腕と遺跡を跡形も残らず抹殺すると機械なのにめちゃくちゃスッキリした様な艶やかさで戻ってきていた。

 それをどう間違えて明後日の方向に解釈したのか、里長や村のエルフ共は挙ってリオンや俺達のお陰で助かったと言ってきたのだ。

 

 いやこれ自作自演なんだけどね?

 

 そんな訳で里長が礼をしたいと家に招いてきた訳だ、何か流れはおかしいがこれで占いルートに入っただろうし途中経過が歪でも結果良ければ全て良しって事にしとくか。

 

「お礼なんて良いのに。突然訪ねて来たのはこっちの方なんだから」

 

 結果として財宝なんて何一つ手に入らずマリーとしては残念な結果に終わったのに、泣き言や文句一つ言わずにそういう姿には感慨深いものを感じてしまう。

 あと傍にいる男一つでこうも性格が変わってしまうのかと我ながら自分が何をしてきたか冷静に振り返っては前世の俺がこの子に対して非常に過保護に接してきてしまったのではないかと思わされる。

 それこそリオンがリビアに対してしてた程度以上にはしていたとは確信出来る。

 

「……こちらこそ、申し訳無い事をしてしまった。結果的には遺跡を破壊してしまって……何と詫びれば良いか」

 

「里長は、古の魔王の怒りがこの程度で済んで幸いだったと言っています」

 

 この程度と言う言葉にさっきまでのルクシオンの暴れっぷりを思い出してみる。

 躊躇無く遺跡を粉々に粉砕し、魔装は文字通り塵と化させていた。

 ジルクは文化的遺産や発掘物が好きだったのか、相当ショックを受けていたのを覚えている。

 だがあんなの破壊するに越した事は無いからな……許せジルク。

 

 閑話休題、話を戻すがあんな阿鼻叫喚な惨劇を起こしときながら『この程度』と言い切るおばあちゃんにはビックリしてしまう。

 生きてきた年数が違い過ぎて達観してら。

 

「あ、あの! 話は変わりますけど、混ざり物って何ですか? ユメリアさんがそう言っていて……カイル君も様子がおかしいですし、どういう意味でしょうか?」

 

「あ! そうそう、その話題もしないとね。アタシの弟分がここに来る前からずっと来たくないみたいな感じで話してて……アイツの故郷なのに……だから、なんでなのか知りたいわ」

 

 そう言えば占いの前にはこの話題もあったな。

 混ざり物……言ってしまえばその名の通りのものであり、人間からしたら何一つ問題無いのに『エルフだけ』拒否反応を示すという言わばエルフに置ける最大の欠陥構造とも言える話だ。

 

「エルフの美醜が魔力によって判断されるのはご存じでしょうか?」

 

「……成程、大方別種族との間に生まれた存在がカイルで、その魔力がエルフからしたら気持ち悪く感じるってところか」

 

「そうです。魔力はそれぞれに特徴があります。人に説明するのは難しいですが、色として判断しています。ですが、希に複数の色が混じりあったような魔力を持つものが生まれます。

そういった者たちが使う魔法は強力で、そして魔法も特殊なのです。ですが、我々から見れば嫌悪感を抱かずにはいられない。それを里の者たちは混ざりものと呼んでいます。しかし良く分かりましたね」

 

「ここに来る道中で連れの一人が似た様な事話してたからな。ある程度の予想は立てられる」

 

 本当はずっと前から知ってたんだけどな。

 都合良くジルクが話しててくれてたお陰でそれを理由に出来るから今回に関しちゃジルクはファインプレーと言えるだろう。

 

 後で給金の一部を適当な理由付けて渡しといてやるかな。

 

「カイルの母親であるユメリアは、一時期は里を離れてその魔法で旅芸人の真似事をしていました。その際、人間の男性との間に子供が出来てしまったのです」

 

「……ユメリアさん。失礼な事聞くかも知れませんが……その男性の事、愛してました?」

 

「そ、それは勿論っ。でも……あの人は、『自分が隣にいては君を不幸にしてしまう』とお金だけ置いて行方知れずで……会いたいのは山々なのですが、最早何処にいるか、生きてるのかさえも……」

 

「それが聞けたなら何よりです」

 

「え?」

 

「いや、こちらの話ですよ。……旦那さんと、また会えると良いですね」

 

「そう……ですね」

 

 俺はずっと気になっていた事があった、それはカイルの父親の話であった。

 ユメリアさんはとても朗らかで心優しく、誰も彼もを包み込んでくれるようなそんな心を持っているのを知っている。

 だからこそ、カイルの父親の事をどう思ってるのか聞きたかった。

 愛してるのか、どうとも思っていないのか。

 原作では外道貴族に孕まされたと言う記述があったが……前者且つ会いたいと言ってくれたなら後は簡単、俺がやる事は決まっているからな。

 

 それも少し時間は掛かるだろうから後回しになるが。

 

「カイル、アタシはアンタがどんな存在でも気にしないから。いつも通りアタシの弟分としていれば良いのよ!」

 

「はいはい……分かってますよ(ありがとうございます、ご主人様)」

 

「なんか言った?」

 

「いーえ、何も言ってませんよ」

 

 その誰にも聞こえないように言ったであろうカイルのそれは俺にだけは聞こえていたが、心の中に留めておくとしよう。

 

「……噂話程度には聞いたことがある。ハーフエルフという奴か」

 

「ハーフエルフの立場というのは微妙です。ハーフエルフが生まれるということは、出稼ぎをする男たちにとって放置できない問題ですからね」

 

「……あーそっか、エルフが奴隷として重宝されてるのは子どもが出来ないからってのがデカいもんな。まあ、アル一筋のマリエがカイルと如何わしい事してるなんて想像の『そ』の字も付かないくらい想像付かないがな」

 

「当たり前でしょー? アタシのダンナはアルだけなの。そういう事するのも、して良いのもアルだけなんだから……」

 

「マリーよ、人前で頬を赤らめながら言う事じゃないんだよそれは」

 

 まあ、その、最愛の女がいて二人きりになれる時間もそこそこあって据え膳食わぬは男の恥と言うか、我慢出来ないと言いますかね……勿論学生の身分で妊娠なんて事にはならない様に『精度の高いそういった物』をこっそり購入とかもしてますけど。

 

 とは言えそれを周りにぶちまけるのはテロだと思うんですよマリーさん。

 案の定ジルクとグレッグが冷えてるしリビアとアンジェは顔を赤らめてる、リオンは首を横に振ってやがる。

 

「せ、聖女様の旦那様が良い方なのは理解出来ました。それはさておき……里長が皆さんを占っていたそうです。その結果を伝えるとのことでした。里長に出来るお礼は、こんなものしかないと」

 

 おばあちゃんの通訳係のエルフも若干動揺してんじゃねえかよ。

 

「ではまずは聖女様からになります」

 

「アタシ? どんな結果なのか想像も付かないけど興味あるし聞いてみようかしら」

 

 占い結果は、俺のいない世界線のものは既に知っているが俺が入った事によってどう変わったのかは俺も気になるからな。

 耳を傾ける。

 

「貴方はとても不思議な運命の元にいます。決して交わる事の無かったはずの、唯一貴方を真の意味で幸せにしてくれる男性と奇跡的に出会い、そしてこれからも苦楽を共に生きるだろうと仰っていました」

 

「……唯一、アタシを本当の意味で幸せに……そっか。アタシ、ずっとずっと昔からもう幸せ見つけてたのね」

 

 不意打ちでめちゃくちゃ照れる占い結果暴露してくれたなこのおばあちゃん!?

 でも嬉しいけど!!

 

「ですがその男性は、貴方が固く固く手を繋いでいないと消えてしまう可能性もあると」

 

「大丈夫。アタシ、アルとは何があっても一緒にいるから」

 

 ……消えてしまう、ねえ。

 

 はぁ、こりゃ本格的にさっき見た夢の一部がマジになってきてそうで憂鬱過ぎる。

 最悪の未来はどんな形で俺が消えるのか想像もしたくないね。

 

「さて、次は黒髪のお二人」

 

 次はヘルトルーデとヘルトラウダのターンか。

 ラウダ王女に関してはここにいなかったしどんな結果が出てるか楽しみだな。

 

「まずは少し長身の貴方……いずれ貴方には大きな転機が来るそうです。貴方の目の前に大きな困難が現れると里長が告げています」

 

「そう。それくらいの方が人生は面白いわ」

 

「それと、貴女は運命の相手と出会います。その方と共に歩むことが出来れば、貴女の困難な道は光に照らされ、頼もしい支えになってくれるそうです。そしてその運命を手に入れるには、残酷な現実から目を逸らさず見なさい、さすれば運命の相手の隣にいる男性が貴方をその道へと導いてくれる事でしょう」

 

「残酷な現実……まぁ、頭の片隅に置いておくわ」

 

 いやこれも運命の相手の隣にいる男とか完全に俺じゃん。

 しかも占い結果良化してるし、これならリオンヒロイン入れられるだけ全員投入ハーレム化計画へ大きく前進出来そうだ。

 

「次に少し小柄な貴方。貴方はとても過酷な運命の元にいます。貴方には本来近い将来死、若しくはそれに近しい運命が待ち受けている可能性があります。ですが、運命の男性と出会えればそれから逃れ貴方は幸せになれるでしょう。そしてその運命の相手は、貴方を助ける騎士の近くにいます」

 

「私に死の運命、ですか……」

 

「ら、ラウダ……」

 

「ですが予言とヒントを貰えたのなら、試しに動いてみるのも悪くありませんわ。丁度……私を助けてくれた騎士様ならいますもの」

 

 なあばあさん、俺絡みの予言多過ぎない?

 でもラウダ王女の運命の相手が俺の近くにいるって……誰の事だ?

 

「次はそちらの御二方です」

 

 流石にアンジェとリビアはそうは変わらないだろうから少し気が抜けるかな。

 

「貴女と、そちらの方には、古の魔王すら従える勇者とその相棒の騎士が守っているように見えるそうです。既に現れているのか、これから出会うのか分からないそうです」

 

「勇者と騎士?」

 

 オイ出てんじゃねえかよ!!

 チラッとだけど出てんだよそれは!!

 相棒付け足される必要あった? ……いやあったわ。

 

「男の子向けの物語に出てきますね。魔王を倒した勇者とその隣に立つ騎士……え、えっと、そんな凄い人達は知り合いにいませんけど」

 

「続きますが、貴女たち二人の運命は複雑に絡み合い、本来あるべき道から大きく外れているようです。そして、貴女たちは本来背負うべき重荷を複数の他者が既に背負ってくれています」

 

「え、えっと、助けて貰ったんですかね?」

 

「はい。そして貴女も既に助けられています」

 

「……確かに、リオンやアルには何度も助けられてしまったな」

 

「里長も複雑すぎてよく見えないそうです。ただ、お二人の近くには勇者とそれに準ずる者の加護が見えるそうです」

 

 ……御二方? リオンを見るのはまだしも俺まで見なくても良いのでは?

 

「リオンさんとアルさんも占ってください!」

 

 アンジェも同様に食い気味で賛同してくる。

 

「た、頼む。こいつらだけ占われないのも寂しいだろう? 気になるとかそういう意味ではなく、やはりこういうのはみんな一緒がいいからな!」

 

 オイ絶対気になってるってこの人達。

 

「良いでしょう……しかし里長が少し疲れてしまっている様なので少し休憩をいただきます。申し訳ありません」

 

「いや、それでじっくり聞けるならそれに越した事は無いからな」

 

「……俺の運命に関しては本当に詳しく聞いてみたいしな」

 

 少し焦らされる事になるが仕方ない。

 これだけ他人の運命に絡んでいるのもそうだが、あの遺跡で見た夢に付いてそれっぽい話が出てくるかどうか……

 

(こうなった以上、全部聞いてやるよ!)

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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