幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第六十三話『カイルの本音』

 パルトナーの船内、そこには今回着いてきていたクラスメイト一同、親衛隊、ジルク、グレッグ、ルーデ王女、ラウダ王女の他にユメリアさんも乗せて学園へと帰っていた。

 

「結局財宝としての成果らしい成果は無しか。ま、仕方ないな。それよりまさかカイルのお母さんを一番の成果にするとは、そっちの方が驚きだよ」

 

「そもそもエルフ達が頻繁に立ち入ってたらしいしな。しかし男エルフは学園外でも外道ばっかだと分かった方が収穫だよ……はぁ」

 

「しっかしアル、遺跡ですげー大立ち回り見せたんだってな」

 

「んなのでもねーよ」

 

 船の中でも一番気楽そうにしているセミエンとの会話である。

 船内では少し恐縮しながらではあるがユメリアさんがクラスメイト達と交流をしていたりと微笑ましい雰囲気が流れていた。

 他に成果らしい成果と言えば謎の夢で見た懐中時計があるが……アレは極秘にしとくべきだろうと俺の脳内が警鐘を鳴らしているのでいくら親友でもあそこに立ち会った人間以外にはおいそれとは話せない。

 

「え、えと、ヘルトラウダ王女様? ぼ、僕を見て……な、何か気になった事とかあるの?」

 

「……貴方の頭に乗ってるその子、なんですの?」

 

「あ、これ? これは僕が作ったロボットなんだ。撮影、映像記録、録音記録、それに座標登録やある程度の自立行動も出来るんだよ」

 

「チュッ?」

 

「か、可愛いですわ……!! もし良かったら貴方の発明品、帰ったらもっと沢山見せて下さらない? 興味が湧いてきましたわ!」

 

「え!? ぼ、僕の発明品で良いなら是非……!」

 

 そんでラウダ王女はマルケスのネズミに興味津々で目を輝かせている。

 リビアと言いラウダ王女と言いとことん感性が合ってる気がしてるし、何とか仲良くなってくんねえかなあ。

 

 ……そう言えばラウダ王女の運命の相手って俺の周りの人間の誰かだったんだよな。

 ルーデ王女の運命の相手がリオンであるとなると、ラウダ王女が生き残れれば王位継承権第一位として公国独立の際に王妃になるが……まさか……な。

 

「ユメリアさん可愛い~」

 

「カイル君の育ちの良さが良く分かるかも!」

 

「癒される~」

 

「俺エルフの女性とか初めて見たかも」

 

「親衛隊騎士としての役得ってやつ?」

 

 そしてユメリアさんはクラスメイトや親衛隊に囲まれて少し照れながらも良くされてるのが分かる様で、嫌そうな顔はしていない。

 寧ろこれだけ囲まれて嫌な顔せずに朗らかにしているユメリアさんを見ていると村でどれだけ待遇が悪かったんだと思ってしまう。

 因みに最後の二人は公国襲撃の時に乗っていて親衛隊になった顔見知りの二人だったりする。

 

「良かったわね~カイル」

 

「……まあ、悪い気持ちにはなりませんよ。母さんがここまで良くしてもらってるの見るのなんて初めてですから」

 

 カイルはマリーに頭を撫でられていた。

 当の本人はそっぽを向いているが顔が照れているのが良く分かる、全く仲の良い奴らめ。

 

「カイル、ユメリアさん、それにリオン、ちょっと良いか?」

 

 しかし俺はここでこの三人を集めて話す事があった。

 リオンは既に知っている事だろうが、事前に話をしておかないと計画を実行しようにも出来ないからな。

 

「なんですアル様?」

 

「みんなごめんなさいね~。今行きます~」

 

「よっ、例の話か?」

 

「まそんなとこ……カイル、ユメリアさん。俺達は近い内にカイルのお父さんを探したいと思っている」

 

 そう、例の計画とは……カイルのお父さん探しだった。

 本来なら外道貴族が父親になっているところだったが、何の因果かこの世界線でのユメリアさんは相思相愛で恋仲になりカイルを孕んだ。

 しかも二人の幸せを案じて自ら身を引いて行方不明になった善人とあれば再会させたいに決まってるじゃないか。

 

 二人は困惑とも驚愕とも取れる表情をしている。

 

「俺の父さんを?」

 

「……で、でもあの人は今何処にいるか……」

 

「そういう事はコイツに任せれば良い」

 

「全く、機械使いが荒いマスターですね」

 

「悪いな」

 

「しかしマスターが完全に善意で動くというのも興味深いので付き合って差し上げましょう」

 

 そして最大の貢献者にはルクシオンがいた。

 分の悪い賭けだったが、まさかの完全善意で動くリオンが珍し過ぎて興味が湧いて動くという斜め上での協力となった。

 

「……良いんですか? 今日初めて会った様な相手に」

 

「カイルには色々と恋路を応援してもらったり同性の友達として結構付き合いがあるんですよ。そんな友人にちょっとくらい恩返ししたって罰は当たらない、そう思いますがね」

 

「俺としてはあまり付き合いは無いが、悪い奴じゃないのは知ってるしな。親元離れてたご褒美って事で良いだろ。カイルが良ければの話だがな」

 

「俺としては……複雑ですよ。生まれてすぐ母さんの気持ちも考えず姿を消して、そのまま行方不明なんて。でも……母さんが会いたいって言うなら俺は良いですよ。だって今でも愛してるんでしょ?」

 

「それは……そうだけれど。良いのかしら……」

 

「ったく……良いんだよ会いたければ会いたいで。母さんは昔からそういうところ優柔不断でダメなんだよ」

 

「で、でもでも~……」

 

「あーもう! 会いたいのか会いたくないのかどっちなの母さん!」

 

「うっ……あ、会いたいです……」

 

「はい、そういう訳です」

 

 え、なに、めっちゃ仲良くないこの二人。

 俺がいる世界線ってだけで改変が凄すぎてビビってる件。

 俺がいない世界線だとここではこういう掛け合いなんて一切無いどころか完全に亀裂が入ってる状態だったし。

 そう思うとどこでカイルの性格を変えたのか分からんが良くやった自分と言いたい。

 

「了解。んじゃ今度の週末にでも訪ねに行ける様に……ルクシオン、頼んだ」

 

「その前に見た目の特徴や名前、職業等を後でユメリアから聞く必要がありますよマスター。そうやってせっかちだから三人への告白のタイミングも間違えたのでは?」

 

「うっ、うっせー!」

 

「何にせよ明日はちょっとユメリアさん借りる事になるからスマンなカイル」

 

「いえ、父さんと会う為なら寧ろ積極的に借りてって下さい。この人自分からだとどうにもオロオロするタイプなので」

 

「うぅ~本当だけどそこまで言わなくても良いのに~」

 

 良いなこの二人の微笑ましい掛け合い。

 心が浄化されるというか、いつまでも見ていられるというか。

 

「ところでユメリアさん、カイルっていつもこんな調子だったんですか? 結構俺といる時とも雰囲気違いますけど」

 

「それがねアルくん、帰ってきた時から凄く素直になってて私もびっくりしちゃったんです。でもそれだけ成長したって事ですから何も気になりませんよ~」

 

「……これ、ご主人様聞いてないから言いますけど。ご主人様の元の実家って凄くご主人様に対して酷い扱いばかりしてたんです。それでもあの人は俺に対してたまにキツく当たる事もあるにはありましたけど。基本的には優しく接してくれて……ま、それと母さんがちょっと重なったんですよ。だから母さんの有り難みを感じたんです、面と向かって言うのなんて今回だけですけどね」

 

「そう。良い人に巡り会えたのね」

 

 初めて本音を聞いた気がする。

 感謝の気持ちやら恩があるってのは度々聞いてきたが、マリーの接し方がユメリアさんと重なっていたとはな。

 つーかそれマリーに聞かせてやれば良いのに、絶対めちゃくちゃ喜んでくれるぞ。

 

「それ、マリーには言わないのか?」

 

「言える訳無いでしょ……母さんには色々迷惑掛けたから、日頃の感謝として今回だけ特別に本音を話すって名目で話しますけどご主人様に言うには恥ずかし過ぎますって……」

 

「……♪」

 

 えー残念なお知らせがあります。

 マリーが真後ろでこっそり聞いてます。

 済まないカイル、俺ではどうしようも出来ない事もあるんだ許してくれ……

 

「どうしましたアル様?」

 

「あー、いや、うん、その、今気付いたんだが……手遅れらしい」

 

「はい?」

 

「……えー、後ろをご覧下さい」

 

 俺の詰まった様な声に何かを察したカイルの額から大量の冷や汗が落ちてくるのが見える、そして青ざめ始める。

 ギギギ……と音が聞こえてくる様なカチコチとした動きで自分の後ろを振り返るカイル。

 

「ふふ~ん、アタシの事そこまで大事に想ってくれてたんだ」

 

「ご、ごごごご主人様……い、いつからそこに……?」

 

「うーん、『ご主人様聞いてないから』からかしら?」

 

「大事なとこほぼ全部ッ!! ほぼ全部聞かれてるッ!! 終わりだよもう!!」

 

 カイル渾身の叫びであった。

 因みにこの声でほぼ全員のクラスメイトに事情を把握されたのはあまりにもあまりにもな致命傷な追撃になりかねないので控えるものとする。

 

「え~良いじゃない、アタシの可愛い弟分がそんなにアタシの事好いてくれてるなんて嬉しいわよ?」

 

「貴方はもう少しアル様と話す時みたいな恥じらいを持って下さい!!」

 

「あらあら仲が良いのね~」

 

 マリーが恥じらいを持つのは残念ながら俺関連だけなんだ。

 

「……そう言えば、アタシとカイルの関係性って専属使用人って立場からしたら歪なのかしら?」

 

 ふとした様にマリーが呟く。

 現状の王国から見たら確かに歪なのだろうが、俺達やクラスメイトとしては最早見慣れた日常なんだよな。

 あと王国が異常なだけと言われたらそれまでだからそこまで心配する事でも無いと思うがな。

 

「……? そうは思いませんよ。王国の一般的な風習としての専属使用人と違ったとしても、カイルとマリエちゃんはとても自然な仲の良さに見えます。ね、アルくん、リオンくん」

 

「そうですね。寧ろこういう関係性の専属使用人が今までいなかった事の方が不思議で仕方ないですよ……」

 

「関係性なんて人それぞれだからな。仲良いならそれに越した事は無いよ。お陰でこうしてカイルが成長してる訳だし」

 

「そ、そう? なら……いっか」

 

 疑問が解決したマリーは再びカイルの頭を撫で始める。

 そして最早されるがままに溜め息を吐きながら撫でられるカイルも俺達としては恒例だ。

 

「隊長! もうそろそろパルトナーが帰投します!」

 

「ユメリアさんはやはり聖女様のお部屋に案内する形で宜しいのでしょうか」

 

「そうか、ありがとう。ユメリアさんの案内もそこで間違いないから頼む」

 

 さて、そろそろこの旅も終わりか。

 散々な目には遭ったがその分良い成果は手に入ったしこれからのヒントも得た。

 

 さて、後は……恐らくこれから俺とリオンが投獄される可能性が高いだろうし色々と根回しをしておくかな。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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