幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第六十五話『多分逮捕されるのでその前に色々やっておくⅡ』

「ミレーヌ様、この度はご助力いただきありがとうございます」

 

「貴方からどうにか話がしたいと聞かされた時は驚きましたよ。しかしこの二人の為に……特にヘルトラウダ王女殿下は貴方の言葉なら聞いてみたいと言っていたので、私の言葉ではダメだろうと思っていた矢先の話ともあり承諾しました」

 

 昼から夕方になる時間帯、極秘に話をする為の部屋にはミレーヌ様、俺、両王女が座っていた。

 ルーデ王女……は分からないが、ラウダ王女が俺の言葉からなら聞いてみたいと言っていた例の『王国と公国の食い違い』の話をここでしてしまおうとミレーヌ様に何とか土下座して資料を用意してもらっていた。

 

「私はまだ、何を信じるか分からない状態だけど。ラウダが信じたいって言った相手で、ラウダを助けてくれた相手の話なら聞いてみたくなったのよ」

 

「はい、お兄様……ではなく! アルフォンソ様のお言葉なら信じてみたいと思ったのです。私は外を知らなさ過ぎたので……初めて身内以外で信じてみたいと思えた彼の言葉から、聞きたいのです」

 

 そう言えばだが、ラウダ王女は朝話した時すっかり打ち解けてしまい俺の事をお兄様呼びし始めていた。

 何でも『理想のお兄様像』として想像していた人がそのまま出てきたかの様な騎士っぷりで呼びたくなったそうな。

 まあ人前では体裁があるからまずいけど身内間なら良いかと可愛い妹が一人増えた様な気持ちに浸っていたのだが不意打ちを喰らってしまった。

 いやそこで言ったら大事故なのよ。

 

「……ま、まあ仲が良いのは大変結構ですが話に移らせてもらうわ。公国が王国から独立する直前から独立してからの王国とのいざこざを各国視点から見た資料よ」

 

「これは……」

 

「確かに。アルゼル、ラーシェル、ヴォルデノワ……そしてファンオースとホルファート。全て各国王宮公式の印があるわね。癪ではあるけどこれは偽造不可能だから本物と見て間違いないわ」

 

 気を取り直して資料の話だが、王宮になら各国の資料が一点ずつくらいは置いてあるかも知れないという望みに賭けてホルファート、ファンオース含めた各国視点から見た王国、公国間関連の歴史資料が無いか探してもらったところ全て一点ずつながら見つかったらしい。

 王国側から見た資料だけでは全くもって説得力が無いが他国が記した物となれば決定的な証拠に他ならない。

 これに俺の言葉を乗せられれば間違いなく二人は、俺への好感度はさておきある程度の信用はされるはすだ。

 

「……ミレーヌ様、宜しいでしょうか」

 

「元よりこれは貴方がしたいと申し出てきた事。私はこの資料を目の届かない場所にやるのが心配なのでここにいるだけに過ぎないわ。何せ全て一点物だもの」

 

「感謝致します。……それじゃ話そうか」

 

 まず指し示したのは独立理由、公国、当時のファンオース公爵領は王国から不当な扱いを受けたとして独立戦争を起こしたと言う公爵領の言い分が記載されてある。

 ファンオース公国資料にはそのままそれが史実として載せられているが、他の国は違った。

 

「わ、わたくし達が聞いていた話とはまるで違いますわ……」

 

「ファンオース以外の資料では、当時の公爵領がでっち上げの不当を吹っかけてきたもののすぐに嘘がバレ、それを頑なに認めず独立しようとする公爵領を抑え込む為に戦争に発展した……と書かれて……」

 

「……正直、これを本当と思うか嘘と思うかは二人次第だ。資料閲覧を続けよう」

 

 そして独立し度々戦争になってきた両者。

 その度にファンオース資料には王国こそが悪である記述があり、それ以外の資料にはそれぞれファンオースの傲慢な態度やでっち上げを指摘する文面があった。

 

 そして資料は最後、公国の陛下死亡の欄へと移る。

 ここを見せれば俺はデタラメと嫌われるだろうが、これが真実なのだから仕方ないんだ。

 

「なん……ですか、これは……?」

 

「こんな事って……」

 

 当時、ファンオース側から王国側が陛下夫婦を殺害したのではないかと数人の容疑者が挙げられた。

 公国では今も尚この連中が実行犯であると伝えられ、公国民はそれを信じて疑わない世の中になっている。

 

 だが他の資料は違った。

 

「……これが真実だ。公国で実行犯とされている連中には全員、アリバイがあった。他国から来ていた官僚なんかも立ち会っていた奴らがいたのが致命傷だったんだろうな……今それを信じてるのは、公国だけだ。王国でその時間帯動けた連中には全員アリバイあり、だが公国陛下夫婦は亡くなっている。それがどういう意味か……」

 

 残酷な真実が事細かに記されていた。

 

「皆までッ!! 皆まで……言わなくても……大丈夫ですわ……」

 

「……今まで……私達は、騙されてきたと……?」

 

「……こんな残酷な事言った後に言うのもどうかとは思うが、俺の言葉を信じてくれるのか?」

 

「お兄様が所望した各国の適正な印の押された資料に、お兄様の言葉。確かにわたくし達付き合いは短いですが、自分の命を省みずそんな付き合いの短い人間を救い、そして話している最中も心苦しそうなお顔をされて話していましたもの。非常にショックが大きく、気が動転しそうにもなりますが……逆に信じない理由が見当たりませんわ」

 

「王国と他国が交友関係を結んでいるならこの資料も鼻で笑っていたと思うわ。でもほほ無関係の国の記述としてここまで一致されたら言い返す言葉も無いわ」

 

「……ありがとう。正直、信じてもらえるとは思ってなかったよ」

 

 それでも、二人は俺を信じてくれた。

 嫌われても仕方ないと覚悟すら持っていたのにも関わらず、俺に向けては嫌な顔一つせず俺の言葉を肯定してくれた。

 国を背負って話した事を信じてくれた事も勿論だが、新しく出来た妹分とそのお姉さんに嫌われなくて良かったという安堵感の方が大きかったかも知れない。

 

 強ばっていた顔から緊張が解かれ、正していた姿勢は背もたれへ背中を預けるくらい疲弊していた。

 

「お兄様、お疲れですか?」

 

「そりゃそうだろ、いくら新しく出来た妹分って言っても二人は別国の王女様。俺とか国の威信や尊厳を背負って話したと言っても過言じゃないからな」

 

「しかも今までは一介の学生だったんでしょ? なら仕方ないわね……それはそうと王妃様がいるの忘れてないかしら?」

 

「でぇっ!? しまったぁ!?」

 

 安心して忘れていたが立会人としてミレーヌ様がいたんだった。

 すっかり忘れてたが流石に不味かったなこれは。

 

「今回は、特例として国の代表と私が認めた上で『飾らない貴方の言葉』が必要だったので許します。……が、今後は気を付ける様に」

 

「は、はいっ!」

 

 許してくれて良かった。

 そもそも俺に国を背負わせてくれる事を認めてくれた時点で本当に寛大過ぎて眩しいよこの人。

 

「それで、話は終わったのかしら?」

 

「お、俺から話す事は以上だ。二人は何かある?」

 

「……わたくし、あっさり信じた様に見えますけれどここまで用意されて、お兄様の言葉だったから信じたのですよ? 他の方の言葉ならたとえ公国の人間だったとしても信じてはいませんでした。それだけはお忘れなき様。……そして、わたくし達に話してくれて、ありがとうございました、お兄様」

 

「ああ、その言葉の重みはこれでも少しは理解してるよ」

 

「私はまだ貴方自体を信じた訳ではありませんから。ラウダが信じ、そして私の目から見ても信じられる資料だったから信じたまで。だけれども、話してくれた事は本当に有り難い事だと思ってるから。今まで寧ろ何で公国の言葉を信用していたのか不思議なくらいだわ」

 

「そう言ってくれてこっちもサンキューな」

 

 二人とも正史だとめちゃくちゃ面倒な人達だと思っていたが、何か凄く素直でこっちが泣きそうになる。

 だってこれでこの二人はもう生存ルートに入ったも同然、特にラウダとは仲良くなれたんだしほぼ俺の私情100%で助けたいと思っちまったんだからな。

 

「それではこれで秘密の会談は終わりね。アルフォンソくん、お二人を部屋までお連れしてあげてね。……大分仲良いみたいだしね」

 

「あ、は、はいっ!」

 

 ミレーヌ様も威厳のある王妃様モードからほんわかした癒し系お姉さんに戻ってこれでようやく全て終わった事が分かった。

 

 帰ったら胃薬飲も……

 

 

 

 

 

「う、うーん……ふぅ、やっと解放されたぜ……」

 

「ちょっと、一応私達の護衛って名目で部屋まで送り届けるんだからあんまりだらしない事はしないでもらえる?」

 

「仕方ないだろ、あの資料を見せながら喋るって事は国の代表相手に喋るのが確定してるんだから」

 

「そうですわお姉様、もう少しお兄様の事を労わってあげてください」

 

「ラウダもそっち側なのね……」

 

「だってお兄様はわたくし達の為に話してくれたのですよ? それなら労わって差し上げないといけませんわ!」

 

 ああ、二人の何気無いラフな言葉がこんなにも癒されるなんて。

 ありがとう世界、何か良く分からないけどあの時ラウダが船内にいてくれて良かった。

 いなかったら今この空気を味わえてはいなかった。

 

 もうこれで良い……と言いたいところだが俺はラウダに最後に一つだけ聞きたい事があった。

 

「ありがとうラウダ。……っと、最後にラウダに聞きたい事が一つだけあるんだけど良かったかな?」

 

「良いですわよ! 何でも!」

 

「手短にね」

 

「あー、その。ラウダってさ、もう魔笛使わないよな……? あれ、使うと死ぬって聞いたから……」

 

「……そうですわね。お兄様と出会っただけでしたら、どこかで気が変わって盗み出して使っていたかも知れません。ですが、今日の話を聞いて公国があれだけ腐っていた事を聞かされたら……使う理由がありません。それにわたくし、お兄様やマルケス様ともっとお話したいんですもの」

 

「なら……良かったよ」

 

 ホッと胸を撫で下ろす。

 しかしそれはそうと新しい疑問が浮かんでくる。

 

「……ってそれは良いけどマル……マルケスとそんな仲良くなったの?」

 

「あの方は慣れない異国の地に来たわたくしに色々と気遣ってくださいましたし、ロボットのお話も沢山聞かせてくださいましたわ。もっともっとお話が聞きたいです!」

 

「そりゃ良かった。アイツ良い奴だからこれからも仲良くしてやってくれ。あとお付きの使用人も悪いヤツじゃないからそっちとも宜しく出来るならしてほしいかな」

 

「分かりましたわお兄様! それではまた明日」

 

「勿論だけど私も魔笛があったとしても使わないから。それじゃまた」

 

「おう、また明日」

 

 ……もしかしてラウダとマルケスって相性良いのか?

 そうなるとワンチャン、ラウダの死を回避する運命の相手がマルケスの可能性が出てくる。

 俺の近くにいる人間ってのも当てはまってるし、これは二人の仲をチェックしておく必要がありそうだな。

 

 日も暮れてきた、明日辺りにリオンと自作自演逮捕の話でもしておくかなと計画を立てつつ一日は終わっていくのだった。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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