幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第六十六話『離れていても家族は家族』

 明日から恐らく逮捕前最後の連休を迎える。

 逮捕されれば公国との戦争終結までは間違いなく悠長な行動は出来ない、そうとなればカイルとカイルの父親を引き合せるのはここを逃せば大分先になってしまう。

 流石にカイルと約束した手前そんな引き伸ばしにするのは俺個人的に許せない。

 と、言う訳で今日までルクシオンとリオンに調査を頼んでいた、途中経過は『ほぼそれらしいターゲットを発見したので確信を得る為に尾行する』が最後だったので、どうなったのか非常に気になる。

 

 そんなこんなで休日前日の夜更け、俺とリオンとルクシオンは秘密裏に集まっていたのだった。

 

「つー訳でルクシオン、結果的にどうだったんだ?」

 

「結論から簡潔に述べると『王都の片隅でひっそりと暮らしている』という結果に辿り着きました。最初ユメリアから聞いた特徴とは大幅に違うと思いましたが変装や擬態魔法を使って姿をバレない様に変えていたようですね」

 

「ナイスルクシオン!! 恩に着る!!」

 

「良かったな」

 

「ああ、これでカイルにいつもエール送られてた分の恩返しくらいは出来そうだよ」

 

 ホッと胸を撫で下ろす。

 ルクシオンに不可能は無いと思ってはいたが、やはり頼りになると再認識させられる。

 戦争前最後の心残りだったからな、あと少しで完遂出来るに越した事は無い。

 

「アルはお人好しが過ぎますね」

 

「悪いか?」

 

「いえ、その心意気はマスターにも見習ってもらいたいものです」

 

「俺に飛び火させんな! あと俺は充分お人好しだろ!」

 

「それは自分で言うものではありませんよ」

 

 まあそんな事言ってるがリオンの人の良さを俺と同等くらい知ってるのはルクシオンなんだよなあ。

 じゃなきゃ今回の事も付き合ってないだろうし、何だかんだ言いつつも良いコンビだよ。

 

「ところでカイルのお父さんってどんな人だったんだ?」

 

「一言で言い表すなら『人畜無害』でしょう。ユメリアの言う通り温厚ではありますが頼りないと言った印象でした。まあ子ども達からは慕われていた様ですが」

 

「なるほどねえ、やっぱり会いたいと思われるくらいには良い人なんだなあ。これなら大手を振って会わせてやれるよな」

 

「そうだな、ルクシオンが言うんだから間違いねえな。心置き無く会わせられる」

 

 ルクシオンから聞いた限りじゃ優しくて面倒見の良い人というイメージが出来上がった。

 うんうん、確かにユメリアさんともお似合いの朗らか夫婦だな。

 

「あと、どうやら彼は元貴族家の末っ子だったそうですよ。今は籍が抜かれてる様子ですがね」

 

「元貴族ねえ……アル、これは事情がユメリアさん関連の可能性もあるな」

 

「ま、こればっかりは会ってみない事には分からない話だろう。明日聞けるならそこだけ聞いてみるか」

 

 カイルの父親が元貴族家だったのは知らなかった、知らなかったが予想は付いていた。

 何せ『モブせか』では、外道貴族家に攫われてるんだからな。

 何かしら因果関係があったとしても何ら不思議は無い訳だ、そこは把握済みって事さ。

 

「了解、んじゃ寝るか」

 

「おう、おやすみー」

 

 何にせよそこは些細な事に過ぎない。

 メインはカイルとユメリアさんの家族の再会なんだからな、そこは履き違えちゃいけねえって訳。

 それじゃ明日は色々あるし寝ますかね。

 

 

 

 

 

「よーし、全員集まったな」

 

「今日はカイルのお父さんに会う日だもの、気合いが入るわ!」

 

「ご主人様? 別にそこまで気合い入れなくても……」

 

「そうは行かないわよ! 可愛い弟分のお父さんなんだから!」

 

「ふふ、ありがとうマリエちゃん」

 

 翌日の夕方、ルクシオン調べでカイルのお父さんが夕方で仕事が終わると言う話を聞いた為このタイミングで今回のメンバーには集まってもらった。

 

 メンバーはメインのユメリアさん、カイル、発案者の俺とリオン、それにカイルの姉貴分のマリーの五人だ。

 

 とはいえメインは二人なので俺達はあまり目立たないと思うがな。

 

「それじゃ事前に話した通り、最初に会うのは二人だけで俺達は後ろで見守ってる事。一段落付いたらカイルの合図で来る感じで頼む」

 

「分かったわ」

 

「マリエはともかく俺達は完全に案内人なだけだしな」

 

「そゆ事。そんじゃ日が暮れない内に行きますか」

 

 ルクシオンから聞いていた場所としては、学園寮からも遠くなく徒歩で簡単に向かえる場所だった。

 カイルは父親の顔を知らないから当然と言えば当然だが学園寮の近くにいたとは灯台下暗しと言えるだろう。

 まあそれを言えばまさか学園に自分の息子がいるとは思ってないだろうあちら側も灯台下暗しな訳だが。

 

 チラリとカイルとユメリアさんの顔を窺う。

 カイルは少し緊張気味な表情、ユメリアさんは昨日とは打って変わって完全に切り替えたのか表情が乙女だ。

 十数年振りの最愛の異性との再会なんだからそりゃそうもなるわな。

 

 しかし俺が転生しただけで色んな運命が変わったものだとふと感じてしまう。

 俺自身が変えたものならいざ知らず、俺の預かり知らぬ場所で起こってる事に関しては不思議で仕方ない。

 特にラウダがなんであの船にいたのかと、今回のカイルの父親の変化は割と本当に謎だ。

 どっちも俺にとっても周りにとっても良い変化になってるから深く追求はしないが、イレギュラーな要素がそれを引き起こさせたのは事実だろう。

 

 新道寺みたいな悪い方のイレギュラーじゃなくて良かったよ本当に。

 

「確かこの辺だったよなルクシオン」

 

「次の路地を曲がった突き当たりにある家です」

 

「そろそろか」

 

 お、そろそろ到着か。

 路地を見つけたところで案内していた俺達とカイル、ユメリアさんの場所、所謂前後を入れ替える。

 これであっちにも尋ね人が誰かハッキリ分かるだろう。

 

「丁度今、向かいからやってくる男がそうです」

 

「クロフォードさん……!」

 

「母さん、あの人が?」

 

「ええ、あなたのお父さんよ」

 

 向かいに見えるのは、確かに人畜無害そうな、控え目そうな、そう言った雰囲気の男性だった。

 眼鏡を掛け帰ってくる男性はこちらには気付いていない。

 

「そんじゃ俺達はアルが言ってた通り少し後ろで見守ってるので」

 

「ごゆっくりどうぞ~」

 

「思う存分、会ってきなさい」

 

「……分かってますよ」

 

「本当にありがとう、三人とも」

 

 そっと俺達が後ろに控え、二人が立つ。

 

「…………え?」

 

 流石に男性、クロフォードさんも気付いたのだろう。

 目をぱちくりさせながらずり落ちそうになる眼鏡を慌てて掛け直し目の前の二人を見やる。

 最初は見間違いとでも思ったのだろう、困惑した表情から次第に驚愕の表情へ変わっていくのが分かった。

 しかしその中に更に嬉しさや気まずさも混ざった様なものもあるのもまた分かった。

 

「クロフォードさん……お久しぶりですね」

 

「え!? ユ、ユメリアなのか!? ほ、本当に!?」

 

「そうですよ……!! あなたが生涯唯一愛したと言ってくれた、ユメリアです……!!」

 

「じゃ、じゃあ横の子は……」

 

「あなたが名前を付けてくれた息子です!」

 

「……か、カイルです。その……父さん?」

 

「おお……おお、おおそうかそうか! カイルか……!! 大きくなったね……」

 

 

 流石十数年経っていてもやはり片時も双方が忘れなかったからかどっちもすぐ気付いて抱擁している。

 幸せそうで何よりだ。

 それにカイルも、自分の父親だと言う事に関してはまだ困惑混じりだが、ユメリアさんが幸せそうな表情をしているからか満足そうな顔になっている。

 

「良かった……良かったなあ……」

 

 因みにリオンはボロ泣きである。

 割とドライな性格をしていると思われがちなリオンだが、この人は前世から何だかんだ言いつつ涙腺が弱いタイプだったりする。

 二学期の終業式でも俺含めた六人の魂の結晶が壊れなくて済んだ時には安堵感とか俺への怨念とか色々混じった涙を流していたのが記憶に新しい。

 

「本当になあ……」

 

「確かに嬉しいけど涙腺緩すぎよ……」

 

 因みに俺もボロボロなのは秘密である。

 

 

「でもどうしてユメリアがここに? 僕と共にいては君の身が危ないからって君の元を離れたのに」

 

「後ろにいる方々が、会いたいなら探す手伝いをしてくれると言ってくれて……その、確かに危ないのは分かってます。でも、それ以上にやっぱりあなたに会いたくて……」

 

「そ、そうだったのか……で、でも君達はエルフの島に住んでいるんだろう?」

 

「……えーっと、それも色々と後ろの方々がやってくれて」

 

「……ところで後ろの人達って」

 

「え、えっと貴族階級の子達? って表現で合ってるのか分からないですけど……」

 

 

 っと、ここでカイルからジェスチャーで来るように指示される。

 成程この流れで自己紹介してしまおうという事か。

 

「では自己紹介は我々自ら行わせていただきます」

 

「え、あ、ど、どうも……って貴族階級って本当なのかい!?」

 

「ええ、俺はアルフォンソって言います。今は五位下男爵をやらせていただいてます」

 

「あ、次俺か。俺はリオンだ。えー、まあ一応四位下子爵やってます……」

 

「私はマリエです。一応養子だけど男爵家の跡取りになります……」

 

「ほ、本当に貴族階級の人達……え、えーっと、僕作法とか……」

 

 アワアワし出すクロフォードさん。

 いやこの雰囲気見て貴族の礼節とかし出すのは真面目が過ぎるでしょ。

 

「構いませんよ。俺達お堅いの嫌いだし、今回のメインはそこの二人なんで。自己紹介ついでに二人の現状を説明します」

 

「は、はい」

 

「まずカイルですが、今はマリエの専属使用人をしています」

 

「え!?」

 

「とは言っても、所謂『そういう関係性』にはなっていません。言ってみれば二人は姉と弟みたいな関係性です。そんな訳でカイルは学園寮にいるのでエルフの島には住んでないです」

 

「ほっ……」

 

 胸を撫で下ろすクロフォードさん。

 まあ父親としては息子がその年齢で……ってのは思うところがあるのは仕方の無い事だろうしな。

 

「次にユメリアさんですが、色々端折って言う事になって申し訳ないですがユメリアさんが住んでいたとこの村長が我々に対して非常に不敬な振る舞いをしたので、彼女が元々村でも待遇が悪く嫌悪されていたという背景も考えて賠償金代わりに引き抜いて今後はリオンの実家でメイドさんとして雇い入れるつもりです」

 

「そ、そうだったんだ……いや、貴方達に救っていただき本当にありがとうございます」

 

 深々とお辞儀をされる。

 

「とは言えこれからも近くはなりましたが三人揃えるのは週末くらいにはなってしまいますが……」

 

「それでも構いません。お貴族様達に守って貰えるなら二人とも安心ですし、週末だけでもまた会える様になるならそれに越した事はありません……本当に、本当にありがとうございました!」

 

「私からも、リオンくん、アルくん、マリエちゃん、本当にありがとう!」

 

「俺からも……」

 

 離れていても、家族は家族だ。

 ほんの少しでも俺達がこの三人の為に何かやれたのだとしたら、それ以上の喜びは無い。

 

 

 

 

 

 因みにその後三人は王都を歩くのは危険という事で毎週リオンの実家から増えた船の内の一隻を送迎としてリオンに預け、リオンの領地でまったり過ごす事が決まったらしい。

 

 良かった良かった。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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