幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第六十八話『知ってはいたけど冬の監獄は寒い』

「案の定ミレーヌ様に呼び出されたな」

 

「最近アルが偵察させてるネズミ情報でも、フランプトン派閥が俺達を罠に嵌めて逮捕させるだのなんだのってかなり言ってたしな。ミレーヌ様としてもどちらかに肩入れしまくるとまずいだろうし、やっぱり俺達監獄行き?」

 

「だろうな。一旦体裁上ステファニーみたく無罪が証明されるまでは監獄に押し込められるのが関の山。その際俺はともかくリオンのアロガンツとパルトナーもロストアイテムとして押収される可能性は高い」

 

「アルのは……マルケスを知らない人間からしたら通常の鎧にしか見えないだろうし、ロストアイテムでも無いからそれは無いのか」

 

「そゆ事。因みに俺がいない間代理パイロットにクリスを指名してある」

 

「あの剣馬鹿に? 一番合わなくないか?」

 

「一番信用してる権力持ちの友人だからな。確保させとくだけでも割かし良い効果になる」

 

「そんなもんか?」

 

「そんなもんだよ」

 

 連休二日目、普通ならのんびりと自室で過ごしたりマリーとイチャラブな時間を楽しむ様なゆったりとした時間が流れるはずの日だが今日は違っていた。

 ミレーヌ様……王妃様に呼び出されたのだ。

 

 しかしこれは俺達二人にとっては予想の範疇だったのも事実だ。

 前々からフランプトン派閥のところに投入していたネズミロボットの中継・録画映像を事前にリオンに見せて会議し、フランプトン派閥を油断させる、ミレーヌ様の立場を悪くしないの二つの観点の元から無実であっても一旦投獄されるのが丸いのではないかという結論に至ったのだ。

 

 勿論だがこっちの無実を証明するデータはネズミが持ってるし、逆にフランプトン派閥の有罪を証明するデータもネズミに多数保存されているので否定する事自体は俺がマリーに愛を囁く事より容易に可能なレベルで出来る。

 だが問題は反フランプトン派閥でもこちら側に疑念を掛けてる連中がいる事だったりするからなあ。

 

「さてと、しかし面倒っちゃ面倒だよな、分かってても」

 

「俺から穏便に事を収める為に提案した事とは言え、冬の監獄は寒いだろうからなあ。しかもマリー達にはめちゃくちゃ迷惑掛けるだろうし……はぁ」

 

「はぁ……幻滅されないと良いなあ……」

 

 まあ、投獄がどれだけ俺達にとって都合の良い話とはいえ一旦は囚人扱いになる訳だ。

 色んな意味で憂鬱になるなと言う方が無理があるのもまた当然の感情だろう。

 

「ここで抵抗したら更に面倒な事になるし、行くけどさ」

 

「だなあ……」

 

 効率と感情の折り合い付けるのって難しいよね、ほんと。

 

 

 

 

 

「二人とも良く来てくれました」

 

「我々をお呼びと聞いたので」

 

「大体話の方は察しが付いてますけどね……」

 

「あらそうなの。それじゃあ話が早いわね……二人とも、フランプトン侯爵の派閥が活発に動いてるのは知ってる?」

 

 昼下がり、気は乗らないものの行かない訳にも行かず予定通りミレーヌ様に呼び出された所定の場所まで向かい早速と言わんばかりに話が始まる。

 

「ええ、俺の独自調査でも王宮や俺達に不利益な行動が多いのを確認しています」

 

「なまじ相手の位が高いから動けないでいますけどね」

 

「そう。なら更に話が早くなるのだけど……侯爵の派閥から、貴方達二人に公国との繋がりを指摘する声が多く上がっているの」

 

 あー……と二人揃って予想通りだったと面倒な事になるのが確定した事を察して声を落とす。

 まあ当たり前に出る声ではあるけどな。

 

「……やっぱり、公国襲撃の時からの俺達のムーブメントですかね」

 

「言い難いけどそうなるわね。二人ともあの襲撃からみんなを守ってくれた一番の立役者ではあるけど、何せ公国側の死者が異様に少なく、更に最近は両王女と仲睦まじく話すアルフォンソくんを怪しく見る人間が、フランプトン侯爵派閥以外からも上がっているわ。リオンくんに関しても昨日奪われたロストアイテムの管理責任を問われているわ」

 

「……ほんと、貴族って面倒だよ。だから出世なんてしたくなかったのに」

 

 話のこじつけだと反発する事は簡単だ。

 だが俺達が否定すればヘイトの目は両王女にも向くだろう。

 折角二人が心を開いてきてくれた中で、現実から目を逸らさず頑張って理解してくれたのにそんな仕打ちに遭わせるのは絶対にダメだ。

 その観点からしても、俺にヘイトが向く様にした方が絶対に良いのは明らかだ。

 

「今更言っても仕方ない。それより、呼び出されたという事は一時的にでも全ての問題を解決出来る方法がある……と見て良いのですか?」

 

「ええ、私達王政が表立って解決すれば貴方達の信用は回復するはず。だから……その間は申し訳ないのだけれど、容疑者として地下牢に入っていてもらえないかしら。その代わり必ず貴方達の名誉を回復すると誓います」

 

「……アルと俺が解決したら王政の信用度はガタ落ち、将来的な観点からしてもミレーヌ様達が解決するのが一番丸い、か」

 

「覚悟はしていましたが、一旦は国賊扱いになれと、それも王妃様から言われるのは流石に辛いものがありますね」

 

 俺にせよリオンにせよ、この時点で既に守らなければならないものを多数抱えているというのも辛さに拍車を掛けている。

 親や兄弟といった家族だけではなく、二人とも愛する人を見つけてしまっている。

 その人や親族達に迷惑を掛ける事、何より周りから心無い言葉を掛けられないかと言うのが何より心配でならない。

 

「……ごめんなさい。こうするしか無かったの」

 

「一応……俺には婚約者が、リオンにも未来の婚約者がいます。それはお分かりですよね」

 

「ええ……勿論承知しているわ」

 

「俺やアルの心情に関しては、二人とも覚悟はしていたからこの際どうでも良い。だけど……アルにはマリエが、俺にはリビア、アンジェ、クラリスが……大切な、守らなければならない愛する人がいます。その人達の事は、どうにか守ってください」

 

「家族に関しては、最悪廃嫡して勘当してくれれば守れるけど婚約者はそれで守れないですから。他の男に奪われるのも絶対嫌ですし」

 

 ただ、これは男として、愛する人を他の男に奪われるのだけはどうしても許せないというワガママにも似たプライドだ。

 それを許容すれば守れるというのは百も承知している事実だ。

 だが、二人ともそれを想像したらどうしても我慢ならなかった、俺は当然だがリオンのその時の顔やら言葉やらは俺の想像を超えるくらいのベタ惚れで少し驚いた事を感じたのも記憶に新しい。

 

 だから、捕まるにしてもそこだけは妥協出来なかった。

 

「……分かったわ。私達の強引な要求を飲んでくれた二人だもの。信用出来る人を護衛に付けておきます」

 

「ありがとうございます」

 

「……やれる事はやれたよな、俺達」

 

「心配すんなってリオン。俺達何も悪い事してねーんだから」

 

 内心張り詰めていた心が少しだけ緩むのを感じる。

 こっちにだけヘイトが向けば良い、何も悪い事してないんだから無意味なヘイトにしかならない。

 そんなもん無実が確立されればあっちは何も言えなくなるカスみたいなもんだし気にしなくて良い。

 

「それじゃあ本当に申し訳ないんだけれども……すぐにでも、で良いかしら」

 

「それくらい覚悟出来てますよ」

 

「あー、最後に一つだけ良いですか、ミレーヌ様」

 

「何かしらリオンくん」

 

「ロストアイテムの管理ミスの話ですけど……アレ、偽物なので」

 

「え?」

 

「ブラフですよブラフ、誰が国内の敵なのか炙り出す為の……ね」

 

「……王宮より余程貴方達の方が優秀そうで頭が痛いわ」

 

 最後に王宮を出し抜いた事も分かったし、な。

 

 

 

 

 

 ―同時刻 ファンオース公国―

 

『ハズレ︎♥ 本物のロストアイテムだと思った? 残念偽物でした~www 恨むなら能無しの亜人を雇ったフランプトン派閥の貴族達を恨むんだなバーーーーーカ!! byリオン&アルフォンソ』

 

「あの小僧共おおおおおおおおおおおお!!! どれだけ我々を愚弄すれば気が済むのだああああああああぁぁぁ!!!」

 

 同時刻、ファンオース公国の黒騎士部隊ではバンデル渾身の雄叫びが響いていたのは、また別の話である。

 

 

 

 

 

「いやあ……覚悟してたとはいえ……さっむ。地下牢寒過ぎない?」

 

「分かる。こんなとこに入れられてたら頭おかしくなりそうだわ、寒くて」

 

 数十分後、無事投獄された俺達は呑気に寒さに付いて雑談していた。

 いやまあやる事無いしなあ。

 

「マスターとアルは呑気ですね。国賊とまで言われているというのに」

 

「言いたい奴には言わせておけ。どうせ聞く価値も無い連中の言葉に決まってんだよ」

 

「現にクラスメイト達や親衛隊のメンバー達は俺達の方信用してくれてるんだろ?」

 

「彼等は健気ですね。他の誰しもから嫌われても、近くで見てきた自分達の方がマスター達を理解していると断固として意見を曲げずに抵抗していましたよ」

 

「ハッ……少しはアイツらの価値観変えといて良かったって思うよ」

 

「だな。ちょっとはやるじゃねーか」

 

 クラスメイト達は流石に何人か裏切ると思ったが全員が全員まさかのこっちの味方として殆どの人間を敵に回しても団結して擁護してくれてるとかいう展開も聞けたし問題も無いからな。

 

「感動的になっているのは良いですが、本当に彼女達の同行は言わなくて良いのですか? 二人の『愛する人』なのでは無いですか?」

 

「億が一にもほんの僅かでも疑われてたら俺は流石に立ち直れない」

 

「フッ……俺は信頼して待ってるだけだ。……だからマリーには嫌われてないはず嫌われてないはず嫌われてないはず嫌われてないはず嫌われてないはず嫌われてないはず嫌われてないはず嫌われてないはず嫌われてないはず……ブツブツ……」

 

「二人とも重症の様ですね」

 

 ははは、そうだ問題無いんだ。

 マリーの事は怖くて聞けないんじゃなくて信頼してるから待ってるだけ……そうこわくなんてないおばけなんていないさ……

 

「あ、それより魔笛の事だけどさ。それこそ万が一にでもバカの手に渡った時の為に解析しといた方が良くないか? 対抗手段とか、使ったら死ぬとかってのもどれだけ使ったら死ぬとか事細かに調べといた方が良いはずだし」

 

「そうだな……ルクシオン、悪いけど出来るか?」

 

「仕方の無いマスターですね。ですが私としても新人類のロストアイテムは気に食わないので抹殺対象として調べましょう」

 

「リオン、ルクシオン、助かるよ」

 

 問題は確かに無い。

 ないが、何故かどうしても魔笛の事が心配になった。

 もうラウダは使わないと言ってくれたしルーデも今の公国に味方する事は無いと言った。

 だが、誰かの手に渡らないとは限らない。

 それだけなら良い、億が一にも魔笛とラウダを同時に持ってかれたら、取り返しの付かない事になる。

 

 やれる事は……全てやるしか無い。

 

 

 

 

 

―同時刻 フランプトン派閥内―

 

(ククク……僕の探し求めていたロストアイテムもあるし、原作には無かったけど意味深な懐中時計……アレはアルが持ってるみたいだし、貰っちゃおうかな♡……まあ、その前にまだ魔笛の残ってるあの子には……最後の絞りカスまで命を絞り出してもらわないとね♡)

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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