幼馴染はどうやら転生しても続くらしい 作:ぶり大根(元・孤高の牛)
「……で、これなんですか陛下」
「ヴァイス……王国の持ちうる唯一のロストアイテムだ」
「約400m級、パルトナーより小さいですね」
「……」
これでやっと出撃出来る……という時にまた焦らされてしまった。
最速で部隊を再編成して再出撃させた直後、陛下に忘れてたが切り札があるというとんでもない流れで案内された先にはヴァイス……所謂王国随一のトンデモジョークグッズがあった。
ローランドさんよ、アンタ含め俺達結構格好付けたんだし頼むからもうそろそろ出撃させてくれないか?
ただ同時にいたアンジェ、リビア、クラリス先輩と久々に会えたのは嬉しかったけどな。
因みに俺もリオンも三人に凄い剣幕で説教されたのは恥ずかしいので割愛する。
「ま、まあ迫力はあると思うぞ……?」
「とは言え性能もパルトナーには及ばないでしょう」
「この使い魔辛辣だな?」
リオン渾身のフォローもルクシオンにはどこ吹く風なのかあまりに素直な感想を火の玉ストレートで述べまくる。
そりゃローランドがピキるのも当たり前だわ。
「元々こういう性格なんで許してやってください……ははっ。ま、まあ何にせよ中に入りましょう、コイツが治せば何とかなると思いますし」
「悪いがそれは無理だな」
ローランドが演技掛かった様に言う。
そう、このヴァイスがロストアイテムの中のお笑い担当と言われる所以がここに存在している。
ローランドはシートをバッと外す。
そこにはゴテゴテのハート型の台座とハート型のセットが姿を現す、勿論だがほぼ全員ドン引きしている、俺もだが。
「うわでた」
「実物を見ると……こ、これは中々……」
「真に愛し合う者同士があそこに立った時、王家の船が持ち主と認め、その力を発揮する。所有者がいなければドアも開かず中には入れない、という事だ」
「ここにマリエがいればアルと二人放り込んで楽勝だったのに……」
「リオン? お前は俺を何だと思ってるんだ?」
いや確かにそれは一番手っ取り早いんだろうけど俺の扱いよ。
二人でしっかり黒騎士倒すんじゃなかったのかよ。
つーかそもそも俺は王家に連なる家柄じゃねえんだわ。
「ゴホン! 今ここにその末裔の家柄が微塵もいないから言ってんだよ。これ動かせないだろ」
そういえばクリスとグレッグは黒騎士を抑えに出向いてるしブラッドもブラッドで早期に実家に連絡してそっちで動いてるんだったな。
え? ユリウスとジルク? アイツらは……知らん。
まあ邪魔しないなら何でも良いとは思ってるが。
「フン、確かに王家の船に認められるのは、王家と残りの四家。だがもう一つある……そう、失われた最後の仲間の一族も同様の資格を持つ――と、されている」
いやそんな都合の良い話があるかよ。
どうせ悪用防止として風潮して広めたんだろ、王国の歴史を見てもそんな精巧な技術を持っていたという記述は無かったし、まず有り得ないとしか思えない。
「覚悟はいいですね陛下、これは生易しい装置ではありませんよ」
「分かっている……こ、今度こそ動くはず……そう、動くはずだ……一回失敗してるけど……」
「いや失敗してるんかい」
そりゃリオンみたくツッコミたくなる気持ちも分かる。
一番動かさないとならないローランド……陛下と王妃様の二人なのに。
いや失敗て。
確かに二人の間に愛情なんてもんは無いけど実際に失敗したとか聞かされた身にもなってみろよ。
「あ、あはは……」
「はぁ……」
「だ、大丈夫かなあ」
ほらリオンの未来の嫁三人も引いてるじゃねえか。
で、どうせ失敗するオチなんだろうなあ……
『男性58点! 女性60点! 残念! そこはかとなく微妙です!』
「せめてもっとリアクション取れる点数にしてほしかったよ」
「笑えない点数過ぎる」
妙に生々しい点数になるのやめてもらっていいですかね。
周りが凍り付いてるんですよ。
「何よ58点って! 微妙過ぎるじゃない! 王家の出して良い点数じゃないわよ!」
「お前だって俺とほぼ同じだろうが! 腐れ縁の幼馴染とか偶に飲む友人程度じゃねえか!!」
「……そもそも愛情を数値にして伝える装置ってもしかしてこれジョークグッズなんじゃ……」
「十中八九そうだろうよ」
「解析した結果、マスターの言う通りこの船は旧人類の資産家が道楽として作り上げた正にジョークグッズだった様ですね。とんだ時間の無駄をしてしまいましたねマスター」
「製造されたのはルクシオンより前みたいだけど、一度しか起動された痕跡は無いわ。つまり文字通りポンコツねこれ」
「ルクシオンもクレアーレも今は余計な事言わないでくれ……」
ローランドと王妃様がギャーギャー言い合ってる中ルクシオンとクレアーレが辛辣過ぎる言葉をぶん投げ掛かる。
事実っちゃ事実だけど言い方を考えようね……
「ええいとにかくさっさと終わらせるぞ!」
俺はヤケになってリオン……ではなく、リビアとアンジェの手を取る。
リオンと未来の嫁三人の誰かなら間違いなく満点を出せるがそうなるとリオンが戦力から外れるからそれは避けたいしな。
「え!?」
「な、何故私とリビアを……」
「リオンはアロガンツに乗ってもらわないと、俺が黒騎士部隊全員相手する羽目になるんでね。悪いけどそれは避けたいから一番親愛度高そうなアンジェとリビアに来てもらうって事さ!」
「……同性同士で反応するのか、それ?」
「分からん! でもリオンがいないと俺の負担がデカすぎるからこの方法しかねえ!」
二人とも許してくれ、これは俺が安全に黒騎士部隊と対峙する為なんだ。
他の黒騎士部隊ならいざ知らず俺一人でバンデルに勝てる訳が無いんだよ!!
「分かりました、それで助けになるなら私はやります」
「り、リビア……ならば私も覚悟を決めよう」
「スマン、恩に着るぜ」
俺としても本当ならこんな良く分からん珍妙な物体に親友の嫁さん乗せるなんて気が乗らないが、これがあればまあまあ早く終わるのもまた確かだしもうそろそろ出撃したいんだよこっちも。
二人は台に乗り、それぞれ装置に手を合わせる。
若干二人とも顔が赤いのはきっと緊張から来てるものだと思いたい。
「両者120点!! オール満点!! 貴方達は生涯を誓い合える運命の相手で間違いないでしょう!」
「マジかよ……」
「リビア……そう思っていてくれていたとは、嬉しいぞ」
「アンジェ……私もですよ」
うんまあ知ってたよこの展開は。
知ってても実際手を取り合う二人を見ると、こうイケないものを見てる気持ちになってきてしまう、いや愛の形が千差満別なのは分かるけどね?
俺にガールズラブの性癖は無かったはずなんだが……
リオンも困惑してるし。
「あらあら~仲良しなのね。ふふ、可愛い……」
「クラリス先輩? 貴方までそっちに行かれると収拾つかなくなるんですけど?」
ついでにクラリス先輩は二人を見てニヤニヤして頬を染めてるし。
なんなんこの空間。
「……ま、まあこれで動かす事には成功したって事にはなるのか。ほんと負担掛けてごめん。絶対二人の事、守るから……!」
「リオンさんなら絶対守ってくれるって、知ってます。だから私もアンジェもアルさんの言葉に頷けたんですよ?」
「私も全力でリオンをサポートする。だから安心して戦え」
「私は……二人みたいに戦えないけど、その代わり沢山の人を助けてくるね」
「三人とも……ありがとう。行ってくる」
しかもリオンは覚悟を決めたシリアスモードになってるし。
俺だけ乗り遅れてる?
まあ俺だってリオンの相棒だし、何かしら決めゼリフは言うか。
「ま、リオンの隣は俺に任せといてくれ。ちゃちゃっとやっつけてきてやんよ」
「でもアルくんも無事に帰ってくるんだよ? マリーを泣かせたらダメだからね?」
「ありがとうございます。アイツ泣かせたら死んでも死にきれませんからね」
あーこれでようやく出撃だ。
もう何回焦らされたんだよ本当に。
内心マリーが心配で仕方ない気持ちはバレてないよな?
「いやお前の顔見てればマリーが心配なのは全員分かってると思うぞ」
「嘘やん……」
バレてたんかい……
「それじゃ整備も完璧だし、気を付けてねアルくん」
「何から何まで本当にありがとうございます。そんじゃ行ってきます!」
エアバイクもアトリー家が整備と称して預かっててくれてたみたいだし、最高だな。
カスタムも強化されてるっぽいしこのままクロカゲまで一直線で行こう。
「リオン、アロガンツ出撃する!」
「アルフォンソ、出撃する!」
「死ねェ!! 王国の騎士!!」
おうおう出撃した途端公国軍がわんさか集まってきやがったな。
本来ならクロカゲで倒してやりたいところだが生憎と俺はエアバイクなもんでな、こういう時の為のお手製煙玉を投げ付け視界を遮る。
「ぐぁ!? ま、前が……」
「悪いが鎧に乗ってない俺は戦ってる暇すら無いんでね! 悪く思うなよ!」
「つー訳で沈んでろ!」
俺が相手のモニター目掛けて煙玉を投げ付けリオンが殺さない様に手加減しつつ落とす、これを繰り返すだけでスムーズに進める。
「お、見えてきた見えてきた」
最高速度で進めるからか割と速くディーンハイツの旗艦を発見、つまりそこが俺の行くべき場所だ。
連携を取る為ネズミに通信を入れる。
「こちらアルフォンソ! 待たせたな!」
『頭領! お待ちしていました!』
「レディック! クリスに一旦二番艦に引く様に言ってくれ! そこで俺がクロカゲに、クリスがディーンハイツ家の鎧に乗り代わる!」
『了解です! クリス様! 頭領が戻られたので一旦二番艦にお戻りください!』
『アルフォンソ……! 分かった、済まないが一旦四人で耐えてくれ! バルトファルトがすぐ来る!』
俺は二番艦に直行する。
見た感じ全員致命傷は無いもののかなり疲弊しているのが見えているからな、いつまで持つか分からない。
「リオン、悪いな。俺もすぐ行く」
「頼んだぜ、相棒!」
『二番艦ハッチ、開きます!』
一度親指を立てるとすぐさま二番艦ハッチに突っ込む。
飛び降りる様にエアバイクから降りるとそれと同時にクロカゲもやってくる。
「ご無事でしたか頭領!」
「おう、問題無い。クリスが乗り代わる用の鎧は?」
「既に整備も終わらせています!」
「分かった、ありがとう」
俺は話もそこそこに降りてきたクリスと固い握手を交わす。
そこには二人にしか分からない、礼や友情というものがあった。
「助かったぜクリス。クロカゲを託して正解だったよ」
「やれるだけの事はした。アルフォンソとバルトファルトがいればもう大丈夫そうだな」
「ったりめーよ。さ、行くぜ」
「ああ。ここからは我々のターンと行こう」
二人揃ってニヤッと笑い、グータッチを交わしそれぞれの鎧へと向かい乗り込む。
いつまでも防戦一方じゃ終われない。
『守備の扇の要』であると同時に『防衛戦最強』と他国に知らしめるにはおあつらえ向きでもある、そして両王女が苦しみながらも受け入れた現実、その気持ちに報いる為にも。
気合いを入れる為に一つ、自分の両頬をパンと叩く。
「今日だけは、マリーの為もそうだけど……ルーデとラウダの為に戦う。あの子達の涙はやっぱ、見たくないからね!」
Ifルート もしもマリエがいたら
リオン「よし、アルとマリエが乗れ! お前らならベストカップルだろ!」
アル「ほんとにやんのかよこれ…」
マリエ「でも興味はあるわ! アル、やってみない?」
アル「マリーが言うならやろっか(手のひら返し)」
機械『両者愛が天元突破して測定不能です! 何度生まれ変わっても二人は出会い結ばれる事でしょう!! 文句無しで世界最高のカップルです!』
この後愛で敵の脳みそが侵食されて一瞬でケリが付いたのは言うまでも無いが『砂糖…砂糖…』と光の無い目で呟く公国軍が大量に出る等ある意味惨状が広がっていたという
【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?
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大丈夫だ、問題無い
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無理
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アルマリでイチャイチャしろ