幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第七十三話『満身創痍の勝利……?』

「待たせたなみんな!」

 

 クロカゲを発進させ黒騎士部隊のいるところまで急行し一旦状況確認に移る。

 マクレーンがヘイトを大量に買っていた為か一番鎧が満身創痍になっているのが分かる。

 次いでグレッグ、これは間違いなく実力不足だが逆に言えばここまで脱落せず耐え切っていたという大きな実績を残したのはデカい、本当に強くなったと感心する。

 そしてグリシャム、所々装甲にヒビが入っているが割と元気そうな雰囲気を感じる。流石俺が認めただけある実力者だ。

 

 最後に一番元気そうなのがマルケス。

 コイツの鎧はそもそも典型的なロボットみたいなものではなく、中国神話に出てくる龍をモチーフにしたかの様な細身の飛行船型鎧、その名も『雷龍』だ。

 口からは超高火力の光線を発射出来、尾の方は柔軟に動く上に鋭い刃になっており、肩から背中に掛けては完全追尾型のミサイルやマシンガン、炸裂弾等を搭載しているトンデモ装備。

 そして何より普通のパイロットなら扱い切れず気絶する程の高速移動やキメ細やかな細部まで拘った高速旋回が出来る。

 

 しかも恐ろしい事に前々から言ってる通り、マルケスは俺より鎧の扱いが上手いと太鼓判を押せる人物でもある。

 なのでそれを100%扱いこなせる超人なのだ。

 俺より余程チートである。

 

 因みにクロカゲは慎重に後方からミサイルを飛ばしていたのか、損傷はマルケス程度に留まっていた。

 

「アル、待っていたぞ」

 

「親父、大丈夫か?」

 

「愚問だ、我がディーンハイツの盾は今だ健在よ!」

 

「なら安心だな!」

 

 親父も大丈夫そうだし、ホッと一息付く。

 

「待ってやしたぜ……坊ちゃんッ……」

 

「スマンマクレーン、まだやれるか?」

 

「どこまでも……お供しますよ……!」

 

「頭領が来たからには百万馬力ですぜ!」

 

「へ、おせーんだよ……ディーンハイツゥ……!」

 

「信じてたよ、アル!」

 

 ボロボロとは言えみんな何だかんだ元気そうで良かった。

 

「さ、こっからは俺達のステージだぜ、アル、みんな!」

 

「ぐぅぅぅ……!! 多勢に無勢とは卑怯な……」

 

「悪いが戦争に卑怯もラッキョウもねーんだよ! つー訳で大人しく沈めや!!」

 

 バンデルがなんか喚いてるが知ったこっちゃない。

 魔装を纏ってないお前らとか一万倍くらいマシなんだよねえ!

 

「クソ、我々の攻撃が当たらない……! ガァッ!?」

 

「ミサイル全門斉射!! っと!」

 

「何故避けられる!?」

 

「クソォ!!」

 

「俺がまともにやり合う訳ねーんだよバーカ!!」

 

 とは言え俺のポテンシャルでは黒騎士部隊には敵わない。

 だから回避と全体攻撃という害悪行動に徹している。

 本当は俺もリオンみたいにカッコイイとこ見せたいけど、せめてパルトナーレベルの戦艦を手に入れないとクロカゲじゃ悔しいがどれだけカスタムしてもそろそろインフレには着いていけないかもな。

 あと俺の技術的にも。

 相手にはしないはずだが、帝国軍相手だと攻撃方面はさておき防御方面がそこらのモブ鎧より少し高い程度で終わる可能性すらあるからな。

 

「ほい、リオン!」

 

「そらいっちょ上がり!」

 

「む、無念……」

 

 俺とリオンのコンビで早速一機を落とす。

 尚、他五人は五機で一機を相手にしている。

 これだけでも負担が減るから助かるってもんよ。

 

「この私がこんなところでやられる訳には!!」

 

「おーおー勢いだけは良いな、っと、怖い怖い」

 

 流石に負担が減ると言っても割と俺は一杯一杯なんだけどな。

 1vs1とか俺には無理、流石に作中最強の鎧部隊と言われるだけあるよほんとに。

 全く羨ましい限りだよ、その技術は。

 

「嘗めてんじゃねえ!」

 

「これでも結構キツいんだけど、ね! あークソ、ビリビリネットミサイルもあんま効かねえし! でも……俺は卑怯もラッキョウも大好きなんでね! リオン!」

 

「アルのサポートがあるだけでも戦いやすさが段違いだな! オラ! 二機目!」

 

「クソ……この俺が……」

 

 モブには効きまくりのビリビリネットミサイルも直撃を避けて掠める程度に抑えやがるし、その技術どこで売ってますかね。

 出来れば俺にも欲しいんですけどね。

 だが今の俺には掠める程度で充分、少しでも動きが鈍れば後はリオンのアロガンツのパワーで沈められる。

 俺は俺のやれる事だけやりゃ良い。

 

「あーもう! 俺にも君らみたいな技術が欲しいもんだよ!」

 

「死んでもやるものか!」

 

「知ってるわクソが!!」

 

 俺にもチートがあれば、悔しい思いなんてせずに済むんだろうけどな。

 無いものねだりしても意味無いしなあ。

 取り敢えず恨みを黒騎士の一人にぶつける。

 

「な、何!? ぐ、離せ!」

 

「小僧、後ろががら空きだ!!」

 

「ぐぉ……り、リオン、俺の事は気にせず全員やっちまえ!」

 

「馬鹿な!? 貴様、我々諸共消し飛ぶつもりか!?」

 

 しかし調子に乗り過ぎたか、一人捕まえたところでバンデルに後ろから刺される。

 丁度コクピットの真下に刺さったのか火花が飛び散ってまずい……のはさておき、こうなればと貫いてきたバンデルの剣を鷲掴みしリオンに叫ぶ。

 他の奴ならいざ知らずリオンなら俺の命だって預けられるからな。

 

「ルクシオン、『やれる』か?」

 

「問題ありません、ライフル照準セット。発射します」

 

 バババ、とライフルが発射されると丁度俺の横をギリギリで通り過ぎてバンデルに命中する。

 あと前で羽交い締めしてた奴にもかなり命中したらしい、俺が手を離すとそのまま墜落していく。

 

「ぐおおおおお……ここで落ちる訳には……せめてコヤツだけでも……」

 

「オイふざけんなって! 落ちるなら一人にしろや!」

 

 ついでにバンデルと俺も一緒に落下してるらしい。

 いや俺の場合バンデルに掴まれてるだけなんですけど……

 

「これでも喰らえ……や!」

 

 流石にこのまま落ちると俺も危ないというか洒落にならないのでバックパックからビリビリネットミサイルを一つ取り出し思い切りバンデルの鎧にぶつける。

 正直自分にもダメージが来る大博打だが仕方ない。

 

「ぬわあああああああ!! あ、有り得ぬ……この……私が……ルーデ様、ラウダ様……申し訳……ございません……」

 

「ふざけんなっ……て、クソ……いってぇ……ゲボッ」

 

「お、オイアル! 大丈夫か!?」

 

「俺を誰だと思ってる? お前との決闘で気合いだけで生き残った男だぞ……!」

 

 実際は大丈夫な訳が無いです。

 本来捕縛用の高火力電撃ネットをほぼ直で喰らうなんて死んでもおかしくない事したんだから吐血が止まんねえ。

 それでも一緒に落ちるよりはマシな展開になったし誤魔化しは効く、ならこのまま殲滅しに行くだけだ。

 

「無理すんなって!」

 

「うっせー! 無理してねえよ! あっちも落としたみたいだしさっさと殲滅しに行くぞ! 俺達の勝ちを証明してやる!」

 

「ったく、それでマリエが泣いても俺は知らねえからな。死ぬんじゃねえぞ!」

 

「わーってるよ!」

 

 結構ギリギリではあるが死ぬか死なないかで言えばまだ大丈夫なはず。

 ゴホゴホと吐血した口元を手で拭き、最後の殲滅戦へと向かう。

 これが終われば俺の一年生としての大仕事は全て終わりなんだ、ここを乗り切れば残り半分、共和国編を終わらせて後は幸せに過ごすんだ。

 だからこんなところで休んでなんかいられねえんだよ。

 

「レディック……お前はマクレーンとグレッグとクリスとマルの鎧を回収して撤退しろ……後は雑魚だけだから……残りの連中でも問題ねえ……」

 

『わ、分かりました! ですが頭領、頭領も下がった方が良いのでは……』

 

「大丈夫だ……ゴホゴホ、何より俺の鎧は1vs1より殲滅戦向きだ……ここで出ないと勝っても犠牲者が増えちまう……からな」

 

『……ご武運を』

 

 レディックには無理を押し通しちまったな、スマンと心の中で謝る。

 クロカゲの出力も大破して大分下がっちまっただろうが、ミサイルを撃ち込むだけならまだ何とかなる。

 持ってきたもん全部撃ち込んで先に撤退させてもらう、これで良いだろ。

 何にせよ俺が死ぬ程の想いをしてでも黒騎士部隊を生存させて撃墜させた事は後々絶対活きてくるはずだ、それを思えばこの辛さだって乗り越えられるはずだ。

 

「来いよ公国軍共ォ!! 全員纏めてぶっ潰してやる!!」

 

 なるべくヘイトを買い、馬鹿の一つ覚えの如く向かってくる大量の公国軍相手に撃ち込めるもの全て撃ち込んでいく。

 鎧への負担がキツく、こっちにまでその反動が来るが無視する。

 こんだけヘイトを集めてる中少しでも隙を見せたら終わりだ。

 

「アイツはほんっとに無茶ばっかしやがって……でもこれだけ集めてくれたのは流石だ。これなら殺さずにやれる!」

 

「これで……最後だ!」

 

 向かってきた約二十隻に対しある程度以上の損傷を与えたところで弾を撃ちきった。

 これだけやれれば他の公国軍のモチベーションも下がるだろ。

 

「悪いが俺は先に帰らせてもらう……後は頼んだぜリオン……」

 

「おう、さっさと帰れ帰れ。無茶し過ぎなんだよお前は」

 

「死なないギリギリのラインでやってるから大丈夫だ。俺の事は俺が一番良く分かってるからな」

 

 あーあ、帰ったらこりゃ説教コースかな。

 まあそれにしてもここで二十隻無力化したなら黒騎士部隊の全滅も流したしもう相手のモチベーションもほぼ0になって終戦もほぼ間近だろう。

 後はする事無いしゆっくり休むとしますかね……

 

 

 

 

 

「おお! ここにおられましたかヘルトラウダ王女!」

 

 王宮の一角、ヘルトラウダのいる部屋に一人の男が息を切らせながらやってきた。

 

「何用ですか? 無礼ですわよ」

 

 無機質に返事を返すヘルトラウダ。

 アルフォンソやその周りには大分心を開いてきた彼女と言えど、未だかつての敵国全体に心を開ける余裕は無かった。

 それを知ってか知らずか、男は一つ謝り話を続ける。

 

「も、申し訳ございません! ですがアルフォンソ男爵が黒騎士部隊との戦闘において撃墜されたとの事で一刻も早くお伝え出来ればと……!」

 

「お、お兄様が!?」

 

「ええ、現在搬送されていますが危険な状態にあります! なのでヘルトラウダ王女様にも来ていただけたらと……」

 

「分かりましたわ! 案内してください!」

 

『アルフォンソが撃墜された』その言葉でヘルトラウダは平静を失い、男の言葉を全て鵜呑みにする。

 だが、それこそが男の狙いだった。

 

(んふふ、やっぱりこの女は馬鹿だねえ。すーぐ騙されてくれちゃって♡ さーてどこでヤッちゃおうかな~?)

 

 

 

 

 

「ここで故障とかマジかよ」

 

 すぐ帰ろうと帰還したのだが無理をし過ぎたのか、クロカゲが途中で完全に動かなくなってしまった。

 なのでちょっと戦場の街中で護送車を要請して待ってるところだ。

 

「……そういやこの懐中時計、時間逆行とか言ってたけどロストアイテムなら他の機能とかねえのかな」

 

《肯定、存在する》

 

「うわぁ喋った!?」

 

 ボソッと呟いたその一言、どうせ何も無いのは分かっていた……はずだったのに懐中時計が喋り出していた。

 ええ……ずっと黙ってただけかよコイツ……

 

《久しいな、マスター》

 

「いや再会の仕方こんなんかよ。てか逆行はやっぱ真実だった訳かこれ」

 

《肯定、マスターは我と契約し時間を戻した。良くぞ辿り着いた》

 

「はぁ……気が重くなる……あ、それより今は他の機能があるって方が気になるんだけど」

 

 めちゃくちゃ軽いノリで逆行が確定したんだけど笑った方が良い展開なのか? それとも頭抱えてた方が良いのか?

 まあ今はそれより聞ける情報を聞いた方が良いか、気も紛れるし。

 

《我にはライトや特定の人物の場所を捜索する為の機能が搭載されている。後者の使用時には映像も映し出される故、利便性はあると自負している》

 

 いや実用性の塊かよコイツ。

 

「そうだな……マリーはさっき撤退して無事って連絡入ってたし……ラウダ……ヘルトラウダの場所を知りたいな。ちょっと心配だしな」

 

《了承。捜索完了。映像を映し出す》

 

 本当は軽い気持ちで言った言葉だった。

 ちょっと無事な姿見て、ホッとしたいだけだった。

 あの子は、あの子だけは何も問題無く過ごせると確信していた。

 

 だから、見せられた映像に脳みその理解が追い付かなった。

 

「んだよ……これ…… 」

 

 まだ、俺の戦いは終わらないらしい。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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