幼馴染はどうやら転生しても続くらしい   作:ぶり大根(元・孤高の牛)

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第七十九話『幕間・春休み1』

 公国との戦争も終わり、所謂戦後処理もバレントの証拠がドゥース家と王国から共同で出されたお陰で戦争を主導していた公国の上級貴族連中は軒並み摘発され、フランプトン派閥の貴族共々問答無用の死刑判決を受けた。

 あっさり終わってくれたお陰で俺もそこまで動く必要も無く怪我の療養に注力出来て楽が出来たから得が出来たってもんだ。

 

 因みにだが、その後リオンとは距離を置き殆ど話す事も無くなった。

 やっぱりと言うべきか自分の中で騙して利用していた事実が日に日に大きくなって行って、今更どんな言い訳も通用しない事を自覚しているし散々騙しといて会わす顔が無いというのも大きな理由になっていた。

 マリーに関しては、時間を少し置けれたのが功を奏したか今では怪しまれる事も無く今まで通りのラブラブカップルを『演じられて』いる。

 そもそもがマリー側には俺がリオンと距離を置いている事も偶然に偶然が重なった結果だと言っているし、怪しまれる可能性というのもあの終戦日以外は無い。

 

 あと今マリーはノース家に用事があっていないし、二人には悪いが俺の精神衛生上快適な生活を送れているのは何だかんだで俺に心の余裕を持たせてくれていたりもしている。

 

「しっかし俺が四位上ねえ……これは本格的に伯爵覚悟しとかないといけないかもなあ。ま、リオンはもう伯爵だけど」

 

 それはさておき、今日は春休み初日。

 一年生としての生活が終わりゆっくり出来る……と思いきや、初日から昇進の式典が行われる事になった。

 

 戦争に参加しそれなりに成果を挙げたバルトファルト家や今回もMVPだったリオン含む結構な数の貴族が昇進し、マルケスとサンドゥバル家が共に五位上、俺と実家が共に四位上に昇進、リオンは伯爵昇進と公国からの被害を食い止めた主力組が特にジャンプアップで一気に上がっていた。

 俺とか計算上生涯を通して四位上になる予定だったのに気付いたら一年生終わりと同時にその予定地点に辿り着いてしまって、昨日それを聞かされた時は胃薬を一気飲みせざるを得なかった。

 

「二学期終わりの時は賑やかだったんだけどねえ……」

 

 あと俺とリオンとマルケスは昇進のスピードが特例なくらいの活躍を見せたと言う事で個別での式典になっていたりする。

 これで三人一緒とか言われてたらめちゃくちゃ気まずかったし本当に有難いとしか言葉が出ない。

 二学期終わりには、決闘リベンジだの式典もリオンと同じだったりと、騒がしかったのを思い返し少し寂しくなるが俺が下した決断だったし後悔は無い。

 つーか俺の為の罰だしな、これは。

 

「さーて行きますかね。春休みにやる事も多いしな」

 

 まあこの先の事を思うと気が重くなるが、今は祝い事の式典に集中しておくかね。

 少なくとも王国軍副司令官やったのと四位上昇進とで王国中の注目を集めてるんだから、一応恥ずかしくないくらいの格好は見せないといけないしな。

 

 

 

 

 

「アルフォンソ・フォウ・ディーンハイツ男爵、貴公の副司令官の任を解く。この度は王国の為にその命を省みず守り抜いた事、大義であった」

 

「勿体ないお言葉です」

 

「良い良い受け取っておけ。そしてこの場にて子爵への陞爵、及び四位上の階級と宮廷貴族としての地位を与え、学園卒業後には伯爵への陞爵を確約とする。感謝しろ」

 

「……はい? 伯爵?」

 

 いや一応腹括ってこの式典臨んだ訳じゃないですか俺ね。

 え? その場で学園卒業後に伯爵確定? それはおかしいだろローランド、どういう思考してたらそうなるんだ。

 正直宮廷貴族になるってだけでも、最悪これくらいはあるんじゃないかって程度の予想は付けていても唐突で少し驚いたのにそれはヤバいだろ。

 実家の爵位ぶち抜いてんじゃねえかよ。

 

「なんだ、何か不満か?」

 

「……いえ。ですが、俺自身に伝えられていた陞爵は四位上子爵まででしたので、予想外だった次第です」

 

 そんでもって横にいるミレーヌ様も呆れ返ってるし、これリオンに続いて連続でやるのはどうなんですかねえローランドさん。

 職権乱用だろもう。

 

「ほう、貴様俺の言葉を忘れたか? お前ら二人はいつか絶対国の重鎮として放り込んでやるから覚悟しておけ、といつぞやに言ったと思うのだがな」

 

「確かにそんな事もありましたね」

 

 今思い出しわそんな事。

 確かそれはウイングシャークスカウト直後だから修学旅行直前の秋まで遡る話じゃねえかよ良くそんなの覚えてたなオイ。

 

「そういう訳でお前とあのクソガキの二人には将来王宮で扱き使う為に伯爵まで昇進させる。拒否権は無いが昇進に不安など、まさかあるなんて言わせないがな」

 

「ははっ、それこそまさかですよ。宮廷貴族への引き入れ、そして四位上子爵位、学園卒業後の三位下伯爵位その全て光栄の極みに付きます。謹んでお受け致します」

 

 周りからはリオンの時にも言われたであろうざわつきが生まれている。

 この年齢で伯爵確定が二人も出たら前代未聞のコンボ過ぎて脳みそが追いつかねえわなそりゃ。

 俺だって追い付いてねえよどうしてくれるんだ。

 澄まし顔でまるで全て予見していたかの様に演出しているが内心ツッコミまくりである。

 

 ほんと何なんだよ……勘弁してくれ……

 

 

 

 

 

 部屋に戻ると、先に式典を済ませていただろう親父達が来ていた。

 案の定伯爵になるのは誰も想定していなかったらしく、全員驚いていた。

 

「凄いじゃないかアル! まさかこんなすぐに息子に爵位を抜かれるとは思わなかったが流石は私の自慢の息子だ! 誇らしいぞ!」

 

「兄貴の事はずっと凄いと思ってたけど……子爵昇進に将来の伯爵、ここまで登っていくのはちょっと想像付かなかったなあ……」

 

「私は想像付きましたわ! アル兄様は誰よりも凄い人ですもの!」

 

「いやアリシアお前は兄貴に懐きすぎなだけだろ……」

 

「何か言いましたかヴェン兄様?」

 

「ナニモイッテマセン……」

 

「ふふ、これは帰ったら予定以上のお祝いをしないといけないわね」

 

「そうだな」

 

 家族からは大絶賛を受けているが、人には個々の身の丈に合った生活というものがあるんだよ。

 俺に伯爵は間違いなく合ってない、絶対胃薬の飲み過ぎでくたばるかなんかしてるわ。

 しかも宮廷貴族化してミドルネーム『フィア』になっちゃってアルフォンソ・フィア・ディーンハイツになったし、完全に逃げられないじゃんこれ。

 

「はぁ……俺は今から重責背負わされるのに憂鬱だよ」

 

「副司令官を務めたお前なら問題無いだろう。それにマリエちゃんも喜ぶと思うぞ」

 

「え、あ、まあ……うん、そ、そうだな……え、えーっと……取り敢えず俺はリフレッシュがてら外の空気吸ってくるわ。あと、俺はまだ王宮でやる事あるからあと数日は帰れなくなるから宜しく頼む」

 

「分かった。その間に私達は家でパーティーの準備をしておくから帰る目処が付いたら連絡してきなさい」

 

「了解。んじゃ」

 

 はぁ……いくらマリーの前では平気で演技出来てもこうしてリラックス出来る空間で唐突に横からその話題で殴られるのは慣れてないからやめてほしいんだけどなあ。

 あと少し俺が演技下手だったら流石に何かあった事がバレてるところだったぞ……どうして家族の前で冷や汗かかないとならないんだよ全く。

 

 取り敢えずリフレッシュの為に部屋の外に出て、こちらも帰ってきてるだろうマルケスの部屋に向かう。

 

「おーい、マルいるかー?」

 

「マルならまだ帰ってきてないわよ。そんなとこ突っ立ってないで中入ったら?」

 

「おわ、マジでか。というかステファニーもすっかりメイドが板に付いてきたな」

 

 しかしマルケスはまだ帰ってきてないらしい。

 あっちもあっちで俺みたいに何かしらローランドの要らないサプライズでも受けてるんだろうか。

 それにしても自然と応対しているステファニーはすっかりマルケスのメイドとして一人前になってきた感じがするな……なったばかりの時は料理、洗濯、掃除何をしても上手く行かなかったのに。

 気付けば全部一人で積極的に熟す世話焼きメイドだもんなあ。

 あとマルケスの呼び方もかなり親密なものになってるし。

 

「まあ、マルはアタシの恩人だから。拾ってもらったからにはその分の恩を返さないとアタシのプライドとメンツに関わるのよ。決してアイツの事が好きだとか最近違う女と仲良くしてて嫉妬してるとかじゃ絶対無いから誤解するんじゃないわよ、良いわね?」

 

「もう全部理由言ってんねんそれは」

 

 そして何か最近ステファニーが思っていた以上にギャグ方面寄りのポンコツ属性持ちだと言う事が徐々に分かってきた。

 特にマルケスの事になると言えと言わずとも自分から話してしっかり自爆してくれる為話していて飽きないし、初対面の時のイメージからは正直一番印象が良い方向に変わったと思う。

 今や楽に話せる人物の一人になってるのがその証拠だ。

 

「と、とにかく言うんじゃないわよ! 特にマルに言ったら承知しないんだから!」

 

「へいへい分かってますよ」

 

「あ! アル来てるのー?」

 

「おう、帰ってきてると思ったらいなかったからちょっと邪魔してるわ」

 

 丁度話し終わったタイミングでマルケスも帰ってきたし、聞かれてなくて良かったなステファニー。

 

「お帰りなさいマル、少し遅かったわね」

 

「うん。僕の技術を正式に王宮で採用する事が決まったから五位上になるのと同時に宮廷貴族にもなったんだ。それの話で少し遅くなっちゃった」

 

「良かったじゃない。貴方の技術もアタシやあの人以外にも認められた証拠なんだし」

 

「だな。ついでに俺も宮廷貴族になったし、何なら卒業後には伯爵になれって強制的に大臣クラスコースだ。全く先が思いやられるよ」

 

「は、伯爵!? 凄いじゃないかアル!」

 

「下手なのに伯爵になられるよりはアンタの方がマシなのかもね」

 

「そりゃどうも」

 

 ステファニーさん多分俺はその下手なのの内の一人だと思うんですよ。

 だって豆腐メンタルな上に非チートだぞ。

 

「軽く言ってるけど、その歳で伯爵が確約されるのなんて前代未聞なんだからもう少し誇りなさいな……と言いたいところではあるけど、アンタに威張られるよりはそうしていてくれた方が余程マシね。それと疲れてるみたいだから紅茶を入れてあげるわ、感謝しなさい」

 

「気が利くな、サンキュー。心が落ち着くのを頼むわ」

 

 まさかステファニーが現時点で落ち着く枠になるとは思わなかった。

 俺はその後ろ姿を見ながら、マルケスとの恋が成熟する様にこっそり祈っておくのだった。

【調査その3】独自解釈で話を進めていく展開が将来的にあるけど大丈夫そう?

  • 大丈夫だ、問題無い
  • 無理
  • アルマリでイチャイチャしろ
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